亜急性甲状腺炎
概念
- 有痛性の甲状腺腫脹がみられ、ときに発熱が認められる甲状腺炎である。病気によって甲状腺中毒症や甲状腺機能低下症を呈する。全身倦怠感や感染による上気道炎が、数週間くらい甲状腺にまつわる特徴(thyroid-related features)に先行する。(HIM.2238)
- 全身性ウイルス性感染(mumps、coxsackie, adenoviruses, measles, Influenza, echoviruses)に伴うが、患者からウイルスを同定する試みはしばしば不成功に終わり、病原体同定することは本疾患の管理に影響を及ぼさない。(HIM.2238)
- 症状は咽頭炎に似ており、しばしば見落とされる。(HIM.2238)
疫学
- 30-50歳 (HIM.2238)
- 男女=1:3 (HIM.2238)
病期~
- 3 phase:
- 1) destructive phase:濾胞破壊によるhyperthyroid。甲状腺中毒症(T3,T4高値。TSH低値)。123I uptakeは低値か検出下限以下。
- 2) phase of hypothyroidism:数週間の経過で甲状腺機能低下症となる。unbound T4低値、軽度TSH高値。123I uptakeは正常化やや高値
- 3) recovery phase:正常化
病理
- 斑状に炎症細胞の浸潤が認められ、甲状腺濾胞のdisruptionを伴う。甲状腺濾胞には多核巨細胞が認められるものがある。濾胞の変化は線維化を伴う肉芽腫に進展する。発症から数ヶ月で甲状腺は通常正常に回復する。
- マクロ:非対称性腫大。
- 組織像:多核巨細胞、リンパ球、形質細胞、組織球、急性炎症を示す箇所、線維化巣、肉芽腫形成。
症状
- 局所の圧痛と自然痛、発熱、全身倦怠感、数カ月で回復。
身体所見
- 全身症状:(ときに)発熱
- 甲状腺:疼痛、腫大
検査
- 甲状腺機能:病期による。
- 超音波検査:炎症部位・腫瘤部に一致して低エコーとなる。
グレーブス病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎の比較
- YN.D-40改変
| 破壊性甲状腺炎 | グレーブス病 | 備考 | ||
| 無痛性甲状腺炎 | 亜急性甲状腺炎 | |||
| 病態 | 橋本病 (慢性甲状腺炎)の 経過中に濾胞の 崩壊を示す |
甲状腺の炎症による 濾胞破壊 |
TSHRの過剰刺激 | |
| 炎症 | mild | severe | [-] | |
| 末梢fT3 | ↑ | ↑ | ↑ | 甲状腺機能亢進もしくは濾胞の破壊で上昇 |
| 123I uptake | ↓ | ↓ | ↑ | 健全な甲状腺濾胞が存在し、甲状腺ホルモン合成能が高い |
| 血清TSH | ↓ | ↓ | ↓ | fT3上昇のため |
| 血清サイログロブリン | ↑ | ↑ | ↑ | 甲状腺機能亢進もしくは濾胞の破壊で上昇 |
| TSH受容体抗体 | [-] | [-] | [+] | |
| 抗TPO抗体 | [+] | [-]/トキニ[+] | [+] | |
| 抗サイログロブリン抗体 | [+] | [-]/トキニ[+] | [+] | |
参考
- 1. [charged] 亜急性甲状腺炎 - uptodate [1]