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金

英
gold、Au、golden

WordNet

  1. suggestive of gold; "a golden voice"
  2. presaging or likely to bring good luck; "a favorable time to ask for a raise"; "lucky stars"; "a prosperous moment to make a decision" (同)favorable, favourable, lucky, prosperous
  3. marked by peace and prosperity; "a golden era"; "the halcyon days of the clipper trade" (同)halcyon, prosperous
  4. made from or covered with gold; "gold coins"; "the gold dome of the Capitol"; "the golden calf"; "gilded icons" (同)golden, gilded
  5. a soft yellow malleable ductile (trivalent and univalent) metallic element; occurs mainly as nuggets in rocks and alluvial deposits; does not react with most chemicals but is attacked by chlorine and aqua regia (同)Au, atomic number 79
  6. coins made of gold
  7. great wealth; "Whilst that for which all virtue now is sold, and almost every vice--almighty gold"--Ben Jonson
  8. something likened to the metal in brightness or preciousness or superiority etc.; "the child was as good as gold"; "she has a heart of gold"

PrepTutorEJDIC

  1. 『金の』,金製の / 『金色の』,黄金色の / (金のように)貴重な,すばらしい
  2. 『金』,黄金(おうごん) / 《集合的に》『金貨』(gold coins) / 金銭,富,財宝 / 黄金色,金色 / 《しばしば…of goldの形で》(金のように)価値のあるもの;純真,親切 / 『金の』,金製の / 金色の
  3. goldの化学記号

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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/26 23:12:09」(JST)

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この項目では、元素の金について説明しています。その他の用法については「金 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
白金 ← 金 → 水銀
Ag

↑
Au
↓

Rg
79Au
周期表
外見
黄金色
一般特性
名称, 記号, 番号 金, Au, 79
分類 遷移金属
族, 周期, ブロック 11, 6, d
原子量 196.966569(4) 
電子配置 [Xe] 4f14 5d10 6s1
電子殻 2, 8, 18, 32, 18, 1(画像)
物理特性
相 固体
密度(室温付近) 19.30 g/cm3
融点での液体密度 17.31 g/cm3
融点 1337.33 K, 1064.18 °C, 1947.52 °F
沸点 3129 K, 2856 °C, 5173 °F
融解熱 12.55 kJ/mol
蒸発熱 324 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 25.418 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 1646 1814 2021 2281 2620 3078
原子特性
酸化数 5, 4, 3, 2, 1, -1(両性酸化物)
電気陰性度 2.54(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 890.1 kJ/mol
第2: 1980 kJ/mol
原子半径 144 pm
共有結合半径 136±6 pm
ファンデルワールス半径 166 pm
その他
結晶構造 面心立方格子構造
磁性 反磁性
電気抵抗率 (20 °C) 22.14 nΩ·m
熱伝導率 (300 K) 318 W/(m·K)
熱膨張率 (25 °C) 14.2 µm/(m·K)
音の伝わる速さ
(微細ロッド)
(r.t.) 2030 m/s
強度 120 MPa
ヤング率 79 GPa
剛性率 27 GPa
体積弾性率 180 GPa
ポアソン比 0.44
モース硬度 2.5
ビッカース硬度 216 MPa
ブリネル硬度 25 HB MPa
CAS登録番号 7440-57-5
最安定同位体
詳細は金の同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
195Au syn 186.10 d ε 0.227 195Pt
196Au syn 6.183 d ε 1.506 196Pt
β- 0.686 196Hg
197Au 100 % 中性子118個で安定
198Au syn 2.69517 d β- 1.372 198Hg
199Au syn 3.169 d β- 0.453 199Hg
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自然金

金(きん、英: gold, 羅: aurum)は原子番号79の元素。元素記号は Au。第11族元素に属する金属元素。

目次

  • 1 概要
  • 2 性質
  • 3 利用の歴史
  • 4 自然界での金の生成
  • 5 用途
    • 5.1 工業用品としての利用
    • 5.2 通貨・投資対象としての利用
    • 5.3 装飾品としての用途
  • 6 カラーゴールド
  • 7 純度
    • 7.1 カラット (Karat)
    • 7.2 千分率(‰ パーミル)
  • 8 金鉱床
  • 9 金鉱山
    • 9.1 産出国
  • 10 化合物と同素体
  • 11 同位体
  • 12 毒性
  • 13 金の地上在庫
  • 14 日本にある金の総量
  • 15 金に関連する作品
  • 16 参考文献
  • 17 脚注
  • 18 関連項目
  • 19 外部リンク

概要

常温常圧下の単体では人類が古くから知る固体金属である。元素記号は Au であり、これはラテン語で金を意味する aurum に由来する[1]。

柔らかく、可鍛性があり、重く、光沢のある黄色(金色)をしており、展性と延性に富み、非常に薄くのばすことができる。同族の銅と銀が比較的反応性に富むこととは対照的に、標準酸化還元電位に基くイオン化傾向は全金属中で最小であり反応性が低い。熱水鉱床として生成され、そのまま採掘されるか、風化の結果生まれた金塊や沖積鉱床(砂金)として採集される。

これらの性質から、金は多くの時代と地域で貴金属として価値を認められてきた。化合物ではなく単体で産出されるため精錬の必要がなく、装飾品として人類に利用された最古の金属である。銀や銅と共に貨幣用金属の一つであり、貨幣(金貨)として使用され、流通してきた。ISO通貨コードでは XAU と表す。また、医術、エレクトロニクスなどの分野で利用されている。

性質

原子番号は79であり、貴金属としては最も大きい[2]。 金は単体では金色と呼ばれる光沢のある黄色い金属であるが、非常に細かい粒子状(金コロイド)にすると黒やルビー色に見える場合があり、時には紫色になる。これらの色は金のプラズモン周波数によるもので、主に黄色と赤を反射し青を吸収する。このため、薄い金箔を光にかざすと、反射と吸収の谷間にあたる緑色に見える。

展性・延性に優れ、最も薄くのばすことができる金属であり、1グラムあれば数平方メートルまで延ばすことができ、長さでは3000メートルまで延ばすことができる。平面状に延ばしたものを「金箔」(きんぱく)、糸状に延ばしたものを「金糸」(きんし)と呼ぶ。華美な衣装を作るために、金糸は綿や絹など一般的な繊維素材と併用される。逆に大きな展延性が精密加工や加工後の製品の耐久性が悪いという弱点にもなる。

他の金属と同様に合金とすることが容易である。合金化は金にとっては硬度を上げることができ、他の金属にとっては伸長性が増し、本来の金色以外に変化に富んだ色調の地金とすることができる。銅との合金は赤く、鉄は緑、アルミニウムは紫、白金やパラジウムやニッケルは白、ビスマスと銀が混ざった物では黒味を帯びた色調になる。自然に存在する金には通常10%程度の銀が含まれており、20%を超える物は、エレクトラム、青金または琥珀金と呼ばれる。さらに銀の量を増やしていくと、色は次第に銀白色になり、比重はそれにつれて下がる。

詳細は「#カラーゴールド」を参照

金は熱伝導、電気伝導ともに優れた性質を持ち、空気では浸食されない。熱、湿気、酸素、その他ほとんどの化学的腐食に対して非常に強い。そのため、貨幣の材料や装飾品として古くから用いられてきた。

一方、金はある特殊な条件下で化合物を生成する。

通常の酸やアルカリには反応しないが、ハロゲンは金と反応を起こす。このため、塩素を発生する王水やヨウ素を含むヨードチンキは金を溶かすことができる。

Au + HNO3 + 4 HCl → H[AuCl4] + NO + 2 H2O

また強力な酸化作用を有する熱濃セレン酸にも溶解する。さらに酸素の存在下でシアン化物の水溶液に錯体を形成して溶解する。この反応は金鉱石から金を抽出するために応用されている。

4 Au + 8 NaCN + O2 + 2 H2O → 4 Na[Au(CN)2] + 4 NaOH

化合物中での金で安定な原子価は+1, +3であり、化合物あるいは水溶液中において Au3+ など単純な水和イオンは安定でなく、[Au(CN)2]− および [AuCl4]− など主に錯体として存在する。AuCl など1価の金化合物はシアノ錯体を除いて一般的に水溶液中で不安定であり不均化しやすい。

3 AuCl + H2O → H[Au(OH)Cl3] + 2 Au

また金化合物は一般的に熱力学的に不安定であり、光の作用により分解し、単体の金を遊離しやすい。合金中において金はイオン化したとしても直ちに他の金属によって還元され、添加された金属は酸化される。このことも金が安定と言われる所以になっている。

利用の歴史

金は非常に有用な性質を多くもち、また精錬の必要がない単体の金そのままで自然界に存在しているため、隕鉄などとともに精錬が必要な鉄などよりも早く人類が最初期から利用していた金属とされる。しかし産出は非常に限られていたため、有史以前から貴重な金属、貴金属として知られていた。また、そのままでは金として利用できない金鉱石であっても、水銀を用いて精錬し、得られた合金から水銀を蒸発させて単体の金を得る冶金法は古くから知られた。金の長い年月を経ても変化しないという性質は神秘性を産み、不老不死との関連としても研究された。占星術においては、中心に点が描かれた円の記号は太陽を表すと同時に金も表し、これは古代エジプトのヒエログリフや初期の漢字においても[要出典]見られる。このように、金は歴史とともに利用価値の高さゆえの豊かさと富の象徴であり、金そのものの所有や鉱山の所有、採掘の権利などがしばしば個人間から国家間の規模にいたるまでの争奪や係争の要因ともなった。

金は紀元前3000年代に使われ始めた。最古の金属貨幣は紀元前7 - 6世紀にリディアでつくられたエレクトロン貨で、天然の金銀合金に動物や人物を打刻している。金は中国で商時代に已に装飾品として使われ、春秋戦国時代には貨幣や象嵌材料として使用された。

古代エジプトのヒエログリフでは、紀元前2600年頃から金についての記述が見られる。ミタンニの王トゥシュラッタが、通常は粒として請求をしている。エジプトとヌビアは、史上でも有数の金産出地域である。『旧約聖書』でも、金について多く触れられている。黒海の南西部は、金の産出地として名高い。金を利用した物としては、ミダスの時代にまでさかのぼると言われている[誰によって?]。この金は、紀元前643年から630年のリディアでの、世界で初めての貨幣成立に大きく影響を及ぼしたと言われている[誰によって?]。 日本での古代の金製品は福岡県志賀島にて発見された漢委奴国王印などがある。古墳時代には奈良県東大寺山古墳出土の「中平」銘鉄剣や埼玉県稲荷山古墳出土の「辛亥」銘鉄剣など、鉄地に線を彫って金線を埋め込んだ金象嵌があった。

奈良時代までの日本は金を産出せず、その需要は朝鮮半島の新羅や高句麗からの輸入に頼っていた。

749年、百済王敬福により奥州(現在の東北地方)での砂金の発見が報告され状況は一変する。8世紀後半からは逆に渤海、新羅などへ輸出され、遣唐使の滞在費用として砂金が持ち込まれることで後の「黄金の国」のイメージの原型が形作られた。

平安時代には奥州を掌握した奥州藤原氏によって、産金による財力を背景に平泉が平安京に次ぐ日本第二の都市にまで発展した。奥州産の金は京都や北宋、沿海州などとの交易に使用され、金をふんだんに使用した中尊寺金色堂はマルコ・ポーロが『東方見聞録』で 紹介した黄金の国「ジパング」のモデルになったともされる。

ヨーロッパのアメリカ探検家達による金の強奪は、当時のアメリカ先住民達が持っていた金の量から見ても膨大な量に上った。とくに中央アメリカ、ペルー、コロンビアを原産とする物が多い。

歴史上の評価を総括するならば、金は最も価値のある金属と考えられてきた。また純粋、価値、特権階級の象徴としてもとらえられてきた。これは、金が他の金属と比較して年代を経ても基本的な性質を損なわず、価値を保存する性質に優れていたことが大きな理由である。したがって、その後発展した多くの通貨制度においても、金は最も上位に位置する基準とされてきた(金本位制)。金の採掘は比較的容易であり、1910年からこれまでに、究極可採埋蔵量のうち75%ほどの金が産出されてきたと考えられている。地質学的に、地球上にある採掘可能な金の埋蔵量は、一辺が20 mの立方体に収まる程度と考えられている。

こうして金が財力として価値が見いだされると、新たに金を採掘するよりも容易に金が得られる技術の開発が試みられた。金そのものの性質を調べることに加え、それまでの冶金術を元に、身近な金属や物質から金を作り出す研究が盛んに行われ、これは錬金術として確立した。占星術からの引用で太陽を表す記号で金も表し、金を生み出すことができるとされた物質には賢者の石の名を与えた。錬金術師達により賢者の石を作ることに多くの努力がなされ、その試みの全ては失敗に終わったが、得られた多くの成果はその後の化学や物理学の基礎となった。

19世紀のゴールドラッシュ以降、カリフォルニア州、コロラド州、オタゴ、オーストラリア、サウスダコタ州ブラックヒルズ、カナダのクロンダイクなどで大きな金の鉱脈が発見されてきた。

詳細は「#金鉱山」を参照

現代では原子核物理学と宇宙物理学の発展により、鉄(原子番号56)より重い元素核種は中性子捕獲とベータ崩壊によって作られることがわかっている。この過程を解明するための再現実験で、金よりも原子番号が一つ大きい水銀(原子番号80)の安定核種に中性子線を照射すると放射性同位体が生成され、これがベータ崩壊することで金の同位体が得られる。ただしこれらは安定核種ではない(放射能を持つ)上に、実用に耐えうる十分な量の金を求めるのなら、長い年月と膨大なエネルギーが必要であり、得られる金の時価と比べるともちろん現実的でない。

自然界での金の生成

金を含むあらゆる元素は、宇宙の進化とともに生成されてきた。特に金のような重い元素は、星の爆発などのすさまじい天文現象で生成された。

宇宙で金を含むこのような重元素が作られるプロセスは、これまで漸近巨星分枝と呼ばれる赤色巨星内で合成される過程(s過程)と、そのような巨大な恒星が寿命を終え超新星爆発を起こす過程(r過程)の両方で合成されると考えられていた。しかし、これらの過程では、前者は中性子束が低いため反応断面積が小さく重元素は生成できず、後者は爆発の際に発生したニュートリノが中性子を陽子に変えてしまうため、やはり重元素は生成しにくいことがわかってきた。最新の研究では、強い重力によって中性子の密度が非常に高くなった中性子星が合体する過程で、白金や希土類(レアアース)といった元素とともに金も大量に合成される可能性が高いことがわかった[3]。

用途

金は、前述のような耐食性、導電性、低い電気抵抗などの優れた特性を持ち、20世紀になってからは工業金属として様々な分野で使用されている。 一方で金属加工用途としての金は過度に軟らかいため、通常は銅や銀、その他の金属と鍛錬されて、合金として用いられる。

金とその他の金属の合金は、その見栄えの良さや化学的特性を利用して指輪などの装飾品として、また美術工芸品や宗教用具等の材料として利用されてきた。さらに貨幣、または貨幣的物品を代替する品物として用いられてきた。

武具として利用されたことは、富の象徴や力の象徴として装飾に用いられた程度以外にはほとんどない。これは金の、軟らか過ぎる、重過ぎる、高価過ぎる、といった性質のためである。現実には特殊な使用法[要出典]を除いて殆ど実戦に役立つ物では無い。これに対してフィクションの世界では金製品の武具が多く登場する。

工業用品としての利用

近年では、廃棄された工業用品(おもに携帯電話などの電子基板)を溶解し、金、リチウムなどの貴金属や希少金属(レアメタル)を抽出する事業(いわゆる都市鉱山)も展開されている。

性能向上の為に金メッキが施された端子
  • 多くの競技や賞の賞品メダルの材質の一つとしても用いられている。オリンピックにおける金メダル(スターリングシルバー若しくはブリタニアシルバーの土台に総量6グラム以上めっき)、ノーベル賞など。銀や銅も同様に使用される。
  • 電気抵抗が小さく、延性が高いためコンピュータ (CPU) などの回路、電子部品のワイヤ・ボンディングなどに用いられる。ただし、最近はより安く導電率が同等の銅が台頭している。
  • 高い導電性と酸化による腐食に対する強い耐性から、表面を金メッキしたものは年月を経ても錆びないため、電子部品の電導体やコネクタの部品として広く利用されている。銀の方が導電性は高いが、空気中では表面に硫化物を生成して導電性が低下するため、金のほうがコネクタの材料としては優れている。
  • 可視光、非可視光ともによく反射するため、人工衛星の保護剤として全体に貼られている。
  • 同様の性質を利用して、宇宙飛行士が着込む船外服のヘルメットのバイザーに薄膜として蒸着させることで紫外線を防ぐことが可能である。
  • フルートをはじめとした管楽器などの材質(管やキィ部分)に用いられる。一般的である洋銀、銀よりも響きが豊かになる。
  • 金化合物を酸化第1錫(SnO)とともに弱い酸化雰囲気下でガラスに溶融すると、ワインレッドに近い赤色を発色する。これを金赤と呼びガラスの着色技術として利用されている。
  • 金コロイドは0.3μm 程度の粒径を持つ。非常に強烈な色素として多くの研究室で応用が研究されている。
  • 触媒として広く利用されている。表面化学の研究の進展により主に単結晶表面での反応性が調べられ、極めて不活性であると考えられてきた。しかし、春田正毅らによって、金の粒子径(1 - 10 nmでの)制御により一酸化炭素を-78 °Cの低温下でも二酸化炭素に酸化できるという発見および酸素水素混合ガスを酸化剤に用いてプロピレンを選択的にエポキシ化できるという発見がなされてから一転、金触媒ブームが巻き起こった[4]。また、金の様々な合金はこの分野で作られたのが初めである。
  • 生物学分野では、走査型電子顕微鏡で用いる生物のコーティング材として用いられている。
  • 鍼治療用として、金を含む材質の鍼が製造されている。一般的なステンレスの鍼に比べて高価なため、金の鍼を使うのが効果的とされる特異な症状に対してコスト面で折り合いがつく場合に用いられる。
  • 歯科の治療に用いる歯冠として古くから利用されている。金歯や金パラ(金銀パラジウム合金、銀歯の一つ)として使われていたが、現在はコバルト・クロム合金やセラミック材料などのより安い素材に置き換えらつつあり、金の使用は減少しつつある[5]。しかし、日本では金銀パラジウム合金が医療保険適用となっているため、日本での歯科用途での金の使用は減少していない[5]。
  • 放射性同位体 Au-198(半減期2.7日)はいくつかの癌の抑制治療に用いられている。
  • 金シアン化合物が結核菌の増殖を抑えることが1890年にコッホにより見出され、金チオ硫酸ナトリウム、金メルカプトペンゾールなどが結核の治療薬に用いられた。やがて、それまで結核の一症状と考えられていたリウマチが別の病気であることが判明し、1960年頃までに主にヨーロッパで金チオマレイン酸、金チオグルコースなどが開発された。これらが自己免疫疾患を抑えるのに有効である判明してからは、副作用を抑えたリウマチ性関節炎に有効な治療薬(ミオクリシン、オーラノフィン等)も開発され、日本では医療保険適用として薬価収載されている。金剤によるリウマチ治療は「クリソテラピー」と呼ばれる。
  • 金を静脈中に投与すると、肝臓に選択的に分布することが知られており、同位体を用いた診断が行われていたことがあった。

通貨・投資対象としての利用

USドル表示の価格推移グラフ

流通目的の金貨として利用する場合は、単体では軟らかすぎる(因みにこの軟性を利用して、かつては金貨などを噛む事で歯形が付くかどうかで本物か紛い物かを判別していた時期がある。すなわち歯形が付かないほど不純物が混ざっている事になるため)。オリンピックなどの競技で優勝者が金メダルを咥えて見せる事があるが、この名残である。あるいは金地金を充分に用意できないなどの理由で、銀や銅など他の金属と混ぜた合金として利用されてきたが、最近の主に投資目的の地金型金貨においては純金製のものが一般的になっている。日本でも江戸時代には小判、一分判などの金貨が流通していた。明治時代になっても、金は銀行が発行する紙幣との交換が可能で、その価値が保証されていた(本位貨幣、金本位制。日本の金貨を参照)。

現在は、紙幣との交換はできないが、今なお各国の中央銀行が支払準備金として金を保有している。また、鉱山会社や証券会社や銀行や地金商などの貴金属専門業者、商品取引員等で、金を投資対象とする金融商品(金ETF、純金積立など)が取り扱われている。キロバー(質量1キログラムの地金)の購入の場合は、地金商や鉱山会社などの貴金属専門業者等で購入するよりも商品取引員で購入するほうが、東京商品取引所の金先物市場の期近を活用しているため、東京商品取引所の受渡供用品であり、そして、受渡供用品の商号又は商標の指定は出来ないが、中間マージンが低い分安いコストで購入できる。逆にキロバーを鋳造する地金商からの購入の場合は、自社で溶解し自社ブランドの刻印を刻んで販売するため、その分コストを上乗せされ販売されている。金本位制が崩壊した今も、(恐らくはその名残として)貨幣のような価値をまだ認められていると考えられる。

他の貴金属と同様、金も取引の際にはトロイオンス、またはグラム建で価格が決定される。

金の価格は、公開された市場取引によって決められる。現在一般に「金価格」と呼ばれているものには、1919年にロンドンで設立された The London Gold Market Fixing Ltd. (TLGMFL) にて1日2回(午前と午後)決定される現物価格(呼値1トロイオンス当たり0.25US $(USD)) と、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX。旧ニューヨーク商品取引所(COMEX)から承継)及び同取引所の親会社に当たるCMEグループが運営する24時間稼働の電子取引システム「グローベックス」で決められる金先物取引中心限月価格(呼値1トロイオンス当たり0.10US $(USD)標準品純度99.50%以上の金地金) の2つがある。後者は経済指標として用いられることもある。その他、世界各地で相対取引(Over The Counter(OTC))されているロコ・ロンドン(Loco London)取引(建値1トロイオンス当たりUS $(USD)受渡品最低純度99.50%以上の金地金「グッドデリバリーゴールドバー」) 、インドのマルチ商品取引所(呼値10グラム当たり1ルピー(INR)標準品純度99.50%以上の金地金) 、ドバイ金商品取引所(呼値1トロイオンス当たり0.10US $(USD)標準品純度99.50%以上の金地金) 、東京商品取引所(呼値1グラム当たり1円(JPY)標準品純度99.99%以上の金地金)や上海期貨交易所(呼値1グラム当たり0.01元(RMB)標準品純度99.95%以上の金地金)などでの先物取引など世界各地で取引されている。日本での金価格は、商品取引員の場合、ドル円相場、ロコ・ロンドン価格(東商取との裁定取引(アービトラージ))及び国内需給要因等により形成され(東京金先物価格)、加え、東京金先物の受渡など流通段階で金価格に対する消費税が加算され、小売価格では業者への手数料等が加算される。

TLGMFL設立時のメンバーはN・M・ロスチャイルド&サンズ (N.M.Rothschild & Sons)、モカッタ&ゴールドスミド (Mocatta & Goldsmid)、ピクスリー&アベル (Pixley & Abell)、サミュエル・モンタギュー・アンド・カンパニー (Samuel Montagu & Co)、シャープス・ウィルキンズ (Sharps Wilkins) であった。TLGMFL 会員権はその後変遷を辿り、2011年現在のメンバーはバークレイズ(子会社のバークレイズ・キャピタル Barclays Capital が加入[6])、香港上海銀行 (HSBC)[7]、スコシアバンク(子会社のスコシア・モカッタ Scotia-Mocatta[8] が加入)、ドイツ銀行[9]、ソシエテ・ジェネラル[10]である。

歴史的には、貨幣の価値によって同等の重さの金と交換できる金本位制として知られる、経済システムの裏を支える物として使われてきた。この方式では、政府および中央銀行は、通貨と金の交換価値を定めることになる。長い間アメリカ合衆国では1トロイオンスを$20.67 ($664.56/kg) で交換可能としていたが、1934年に1トロイオンスあたり$35.00 ($1125.27/kg) となった。だが1961年には経済力に対して金が不足し、価格の調整が困難になった。

金を背景とした経済環境の崩壊を受け、1968年3月7日、国際取引単位である1トロイオンスあたり$35.00 ($1.13/g) と個人間取引の変動価格の二段階の価格が設定された。この方式は1975年には破綻をきたし、金は自由取引されるようになった。中央銀行は歴史的理由から価値が下がってはいるが、金を保有し続けている。最も多くの金を保有しているのはアメリカ合衆国連邦準備制度下の各連邦準備銀行である。金価格は比較的安定した貨幣によって定められ、米ドル建で決定され各国通貨に換算される。

1968年以降、公開市場での金の価格が大きく動く。2008年3月17日にNYMEXが$32,713/g ($1,017.50/oz) を記録して以来、金価格はロンドン現物、NYMEX/グローベックス先物共に歴史的な高値圏にある。特に2011年はチュニジアのジャスミン革命を引き金とした中東情勢の緊張、日本の東日本大震災、アメリカの連邦債務上限額引き上げ問題を背景とした米国債ショック、ギリシャ経済危機を発端とするユーロ圏ソブリン危機の再燃などの影響を受け金価格は急騰。グローベックス先物は2011年8月22日2200GMTに$59,199/g ($1,903.30/oz。KITCO調べ。参考資料)を記録。ロンドン現物も2011年9月2日午後の値決めで金価格がプラチナ価格を初めて上回り、9月5日午前の値決めで$58,987/g ($1,896.50/oz。KITCO調べ。推移)に達した。その後、2011年9月22日のアメリカ連邦公開市場委員会後に300米ドル近く値を下げ、2011年10月現在$1,600/oz台で推移している。
また、東京商品取引所の金(標準取引)の上場来最高値(先物、金価格に対する消費税抜きの価格)は、期近2013年2月7日の5,065円/g、期先2013年2月7日の5,081円/g (2013年4月現在)である(1982年3月23日上場)。そして、国内小売価格(田中貴金属工業)の最高価格は1980年1月21日に6,495円/gを記録している。

なお、日本での金取引自由化後における最安値は、NYMEX先物(終値ベース)は1999年7月19日の$7,866/g ($252.90/oz) 、ロンドン現物は同年7月20日午後の$7,862/g ($252.80/oz)(いずれもKITCO調べ)、東京商品取引所の金(標準取引)の上場来最安値(先物、金価格に対する消費税抜きの価格)は、期近同年9月16日の865円/g、期先同年9月16日の836円/g である。そして、国内小売価格(田中貴金属工業)の最安値は同年9月17日に917円/g(税抜)を記録している。

装飾品としての用途

キャスト、プレスを用いた量産タイプの指輪やブローチ、手作りの一品ものなどジュエリーとしての用途が多い。

線状にした金は繊維状の刺繍に用いられる。

展延性がよいため金箔として美術工芸品・建造物に用いられる。また金箔を粉にしたものは味や栄養に影響しないが華やかに見えるという点から、飲料や料理の食材にあるいは酒に混ぜるなどして用いられる。この場合の金粉は銅抜きと呼ばれ割り金として銅は含まれていない。 また食器類に用いる場合は、見栄えをよくするのみならず、食品に金属の味をつけない意味でも有用になることがある。

金は通常錆びることがなく、アクセサリーとして手入れしやすく安心して身につけられることも人気の理由となっているが、一部にアレルギーに関する懸念がある。

詳細は「#毒性」を参照

金を使った装飾品は特にインドや中国で需要が高い[5]。また、日本製の金装飾品は品質が高く、アジアからの観光客に人気がある[5]。現在は貴金属を使わないコスチュームジュエリーなどが伸びてきており、金装飾品の需要を減らしている[5]。

純金は軟らかいそのままでは装飾品として機能しづらい。従ってほとんどの場合、別の金属(割り金)を添加した合金を用いて装飾品を作る(純度に関しては当該項目を参照)。国内の装飾品では K18 や K14 が一般的であるが、欧米ではK9やK8も市場に多い。

カラーゴールド

金-銀-銅三元合金の色相図

金合金は、割り金の銅、パラジウム等の配合率によって様々な色調を示す。これらを総称してカラーゴールドと呼ぶ。 カラーゴールドの代表的なものをあげる。

イエローゴールド
K18 の場合、金750‰、残りを銀銅等量のものをイエローゴールドと称している。しかし、銀4 - 6、銅6 - 4の比率の範囲も、イエローゴールドの範疇としている(ISO8654)。一般的に認知されている金色に近い。
グリーンゴールド
K18 の場合、金750‰で残りが銀の合金をグリーンゴールドと称している。日本語では青割り、又は青金という。ISO8654 の金の色と名称の範囲で、グリーンゴールドの成分比率と色名を定めている。
ピンクゴールド
K18 の金750‰、残りの割り金の80 %銅の合金を一般的に、ピンクゴールドと称している。パラジウムを加えることがある。
レッドゴールド
K18 の金750‰、残りの割り金が全て銅の合金をレッドゴールドと称している。グリーンゴールド同様、ISO8654 で成分比率と色名を指定している。日本語では赤割り、又は赤金と言う。
パープルゴールド
金800‰に対してアルミニウム約200‰程度の割合の合金[11]で、地金は紫色を呈する。脆いという性質があったが近年の加工技術により宝飾品として部分的に利用されている。
ホワイトゴールド 白色金
ニッケル系とパラジウム系があり、金にそれぞれの元素と、前者は、さらに銅、亜鉛を、後者はさらに銀、銅を加えて、白色化した金合金をホワイトゴールドと称している。K18 の場合、ニッケル系、パラジウム系ともそれぞれ50‰以上を含まないと、白色度が不足する。一般社団法人日本ジュエリー協会は色差を用い、ホワイトゴールドの色の範囲を指定している。以前は白金の代用品として装飾品に用いられたが、現在はカラーゴールドの一種としての地位を得て、イエローゴールド以上に普及している。

このほか、黒味がかったブラック・ゴールドや、柔らかな金茶色のベージュ・ゴールドなどもある。

純度

合金の主成分の含有率を純度、又は品位という。金の品位は、24分率で表される習慣がある。その場合、純金は24金、24カラット (Karat)、あるいは、K24 と表す。そして、金の含有率に従い数値を変える。例えば、18金は金の含有率が18/24、すなわち750‰であることを表し、装飾品に750と刻印される。なお、このカラットは宝石の重量を表すカラット (carat・1ct=0.2g) とは異なるものである。

日本では99.99 %以上の純度の金を24カラット、又は純金と表示して良いことになっている。

また、ジュエリー用金合金の場合は、999以上を純金と表示してもよい。但し、1000分の1に硬化材が添加されている可能性があるので、地金取引に用いるインゴットの純金とは異なる。

このほか、純金の度合いを0.995などのように0から1の間の数値で表すこともある。

カラット (Karat)

現在でも金の装飾品や万年筆のペン先の純度表示に使われている。

ちなみに金の純度を24分率で表す単位のことで、K24(24金)とは純度の24分の24を表す(純金)。K22(22金)なら24分の22 (91.67 %、ジュエリー用916‰)、K18(18金)なら24分の18 (75 %、ジュエリー用750‰)となる。

千分率(‰ パーミル)

ジュエリー用金合金は、次のように千分率で表すと決められている。また、その単位は最低値であり、マイナスは不可とされる。 多くの国は、ISOやCIBJOの定める品位区分に基づいた製品を作っているが、日本国内では市場に合わせて品位が開発されているので、下に明記された区分以外の品位も存在する。

ISO9202 JIS-H6309 の品位区分

916(K22に相当) 750(K18に相当) 585(K14に相当) 375(K9に相当)

CIBJO(国際貴金属宝飾品連盟)の品位区分

999 986 916 750 585 416 375 333

造幣局貴金属製品品位証明区分

999 916 750 585 416 375

金鉱床

カリフォルニア産(上) オーストラリア産 (下)八面体型をしている

酸化をほとんど受けない金は、主に自然金(しぜんきん、native gold、金の単体)として得られることがほとんどである。また金は、火成岩中にも極微量に含まれる。ただし、採算が取れるほど固まって産出されるのはまれであるため、銅や鉛などの精製過程における副産物として通常は得られる。金鉱山として金を産出する場合は、金の鉱脈、あるいは鉱染を受けた岩体に沿って掘っていく。そのほかに、金を含む鉱石が風化した、砂状のものをパンニング皿(側面に一定間隔で凹凸の刻みが入れてある皿)などの道具によってより分ける砂金掘りの方法もある。

通常、石英、炭酸塩、まれに硫化物の鉱脈(英:vein)の中に自然金として存在する。硫化物では黄鉄鉱、黄銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、硫砒鉄鉱、輝安鉱、磁硫鉄鉱などの鉱床に含まれていることが多い。非常に稀であるがペッツ鉱、カラベラス鉱、シルバニア鉱、ムスマン鉱、ナギヤグ鉱、クレンネル鉱などの鉱脈に含まれていることもある。また、金は鉱化流体として存在していることが多く、間隙の多い岩体を金を含む熱水が通過した場合は鉱染状に金が産出する。この場合、鉱石単位量当たりの金含有量は少ないものの、総量が多くなることがある。

金鉱石

金は地球全体の地殻内に広く分布して存在しており、存在比は0.003 g/1000 kg程度 (0.003 ppm) である。熱水鉱床は変成岩と火成岩のなかに生成する。

金鉱床は銀、銅や水銀、硫化鉄、テルルなどのレアメタル、砒素を同時に産出することが多い。銀やレアメタルは鉱山の収益を補えるが、脈石となる水銀や砒素はそのまま廃棄されると公害の原因になり、公害対策や公害処理の費用のために逆に収益に影響を及ぼすことがある。

鉱床は風化や浸食されていることもあり、その場合、金は砂金として小河などに流されるが比重が大きいために沈殿しやすく、重い鉱物の漂砂鉱床や砂鉱床に集まっている。もう一つ重要な鉱床は堆積頁岩または石灰岩の鉱脈で、これはまばらに単体の金が白金などの金属とともに散在する形で存在する。

また、海水中にも金は含まれており、その割合は1000 kgあたり0.1 - 2 µg (1×10−4 - 2×10−3 ppb) 程度である。

金鉱山

オーストラリア、ビクトリアにある金鉱山の入り口

経済的に金鉱山と言える物は平均して1000 kgあたり0.5 gの金を産出する必要がある。典型的な鉱山では、露天掘りで1 - 5 g/1000 kg (1 - 5 ppm)、通常の鉱山で3 g/1000 kg (3 ppm) 程度である。人間の目で見て金と分るには鉱脈型の鉱床で少なくとも30 g/1000 kg (30 ppm) 程度の濃度が必要で、それ以下の金鉱石では鉱石内に金があることを人間の目で見分けることはほとんどできない。

沖積層の鉱床では砂鉱床採掘が用いられ、堅い岩の鉱脈では金属抽出が用いられる。金の精製を完了するには塩素処理または電解精錬を用いる。海水中には前述の通り金が含まれているが、2014年現在採算の取れる抽出方法は見つかっていない。

1880年代から南アフリカ共和国が金産出の2/3を占め、ヨハネスブルグは世界で最も多くの金を産出する都市と言われていたが、2004年時点では1/3まで比率が低下した。オレンジ自由州とトランスバール州にある金鉱山は世界で最も深く掘られた鉱山となっている。1899年から1901年までのボーア戦争はイギリスとボーアの鉱山労働者の権利と、南アフリカの金の所有権に関する争いである。その他の主な金の産出地としてはロシア、カナダ、アメリカ、オーストラリア西部にある。2009年現在、産出が最も多い国は中国である。

日本ではかつて、比較的多く金が産出した。マルコ・ポーロの『東方見聞録』などで「黄金の国」と呼ばれていたのも、日本産の金が出回っていたからである。

戦国期には甲斐国において黒川金山や湯之奥金山が稼業し、金山衆により採掘された金鉱石を粉成、精錬し金生産を行なっていたと考えられている。

しかしながら、江戸時代前期、すなわち寛永年間以降は国産の金山は徐々に衰え始めた。たとえば有名な佐渡金山もすでに採掘をやめ、現在は観光地化している。大正・昭和初期の頃には東洋一の金山と言われた北海道の鴻之舞金山は採算ベースに乗る金を全て掘り尽くし1973年(昭和48年)に閉山。現在では、辛うじて1985年(昭和60年)から菱刈鉱山が採掘されるなどのみである。この一方、現在海底の熱水鉱床からの産出が将来的に期待されている。

恐山では温泉沈殿物として金の異常濃集体が発見されており、日本の地質百選に選定された(「恐山の金鉱床」)。地質調査によると、金の含有量は鉱石1トン当たり平均約400グラム、場所によっては6500グラムにも達するが、この一帯は国定公園に指定されている上、土壌には高濃度の砒素が含まれていて、作業者の生命にも危険が及ぶため、商業目的の金の採掘は不可能とされている。

産出国

2009年の金産出国ランキング上位10カ国は下記のとおり。数値は産出量(トン)、世界シェア(出典: 二宮書店『地理統計要覧 2012年版』)。南アフリカ共和国では、Witwatersrand 地方に先カンブリア時代に形成された鉱山が集中している。金鉱床は約400kmに及ぶ露頭に沿っている。金の生産は安定しており、産出国側も値崩れを予防するために市場に供給される量を調整しており年度ごとの増減は少ない[12]。南アフリカ共和国での電気供給不安などのサプライ懸念がある上に、新規の鉱山開発などが年々難しくなっており、実際に過去10年の範囲で考えれば供給量は微減しているとも言われる(ワールドゴールドカウンシル発表)。この一方上述のように新たな採掘技術の可能性や海水からの抽出等については今後の技術開発に拠るものであり、資源として枯渇に向かっているわけではない。

  1. 中華人民共和国 320 (13.1 %)
  2. アメリカ合衆国 223 (9.1 %)
  3. オーストラリア 222 (9.1 %)
  4. 南アフリカ共和国 198 (8.1 %)
  5. ロシア 191 (7.8 %)
  6. ペルー 182 (7.4 %)
  7. インドネシア 130 (5.3 %)
  8. カナダ 97 (4.0 %)
  9. ウズベキスタン 90 (3.7 %)
  10. ガーナ 86 (3.5 %)
世界合計 2,450

化合物と同素体

塩化金(III) (AuCl3) とテトラクロリド金(III)酸(塩化金酸)(HAuCl4) は最も有名な金化合物の一つである。金を含む化合物は多くの場合、金原子は+1または+3の酸化状態として存在する。

金イオンは1価、3価ともに軟らかい酸であり、軟らかい塩基と錯体を形成しやすい。またフッ素との反応では+5価の酸化状態もとり、フッ化金(V) (AuF5) を形成する。さらに金疹とよばれる Au− のアニオンを含む CsAu や RbAu、およびテトラメチルアンモニウム金 (CH3)4N+ Au−) のような化合物を形成する。これは水素化ナトリウムにおけるヒドリドのように、主に非金属元素がとる-1価と同形式のものである。

これまで合成された金の化合物の種類は同族の銀や銅とくらべると少ない。下記に主な化合物を列挙する。

  • テトラクロリド金(III)酸 (H[AuCl4])(金は王水に溶けて AuCl4− イオンを作る)
  • ハロゲン化金(フッ化金(フッ化金(III)、フッ化金(V))、塩化金(塩化金(I)、塩化金(III)、八塩化四金)、臭化金、ヨウ化金)(AuX, AuX3)
  • カルコゲン化金(酸化金、硫化金、セレン化金、テルル化金)(Au2X, Au2X3)
  • ジシアノ金(I)酸カリウム (K[Au(CN)2])
  • 雷金 (Au2O3·nNH3) - イミドあるいはアミド基を含む爆発しやすい緑色または黄褐色の粉末である。
  • 水酸化金(III) (Au(OH)3)

なお、金の同素体は確認されていない。

同位体

1種の安定同位体と、18種の放射性同位体が確認されている。

詳細は「金の同位体」を参照

毒性

単体の金は(王水の例外を除いては)強酸などとも反応しない。化学的反応性が低い金属であるが、必須ミネラルであるカルシウムやカリウム、鉄等と異なり健康な人体には必須な元素ではないとされている[13]。このため、金は銀ともに食品添加物として認可されており、金粉や金箔が製造用剤・着色料の目的で使われている。また、金・銀ともに、歯科用材料(いわゆる金歯・銀歯)として長らく使用されており、また金糸が織り込まれた衣服の着用なども行われ、その安全性は実証されているとされる。食用された金は、胃酸などの消化液とは全く反応せず、体内を素通りしてそのまま排泄されてしまう。これが、(イオン化されていない)純金の食用が、人体に何の効用も毒性ももたらさないことの根拠とされる。また、金箔に微量に含まれる銀も、胃酸では溶解しないとされている。また量的にも、金箔に使用される程度の微量な量の摂取では健康に影響しないと言われる。

しかし、厚生労働省の病院モニター制度の報告によると、パッジテストでは金もアレルギー反応があり、金合金のジュエリーによるアレルギーの報告がある[要出典]。そのうちの、ニッケルを含むホワイトゴールドは特にアレルギーを起こしやすい金属と言われているが、しかし一般社団法人日本ジュエリー協会の調査では、この合金による金属アレルギーの報告は届いていない[要出典]。但し、ニッケルめっきによる金属アレルギーの例は多い。

一方で、金イオンは安定な単体の金とは異なり酸化力が強く、無機金塩類は毒物及び劇物取締法等により劇物に指定されている[14]。金イオンは人間に限らず、ほとんどの生物に対して毒性を示す。しかし、一部の真正細菌は金イオンに対して耐性を示す。デルフチア・アシドボランスは、自身が出す代謝物で金イオンから自身を保護し、金イオンを無害な金の単体に変える能力を持つ[15]。これらを根拠として接触皮膚炎、接触アレルギー、腎臓障害等が金による中毒(金中毒)としてあげられている[13]。これらは主に単体の金の装飾品を皮膚につけることによって起こるものであるが、装飾品から溶解した微量金イオンに対してアレルギーが形成された人に見られる。

また、金属金の表面にチオール基 (SH) を有する物質が吸着すると、表面の金原子に水素が奪われ、金表面とイオウ原子に強固な相互作用が生じる。 このことから、消化管内においてSH基を有するシステイン残基を含んだタンパク質やペプチド、あるいはおならの臭いの元と言われるアリシンなどは金属金に吸着する可能性がある。 このとき、腸内細菌によるそれらタンパク質・ペプチド・アリシンの代謝には変化が現れる可能性がある。 したがって、純金の食用が人体に何の効用も毒性ももたらさないということは断言すべきではない[誰によって?]。

金中毒の解毒剤としては一般の重金属中毒の解毒に使われるジメルカプロール (HSCH2CHSHCH2OH) を処方する。ジメルカプロールは金と安定な錯体を形成して、速やかに体外に除去する働きをもつ。

リウマチ治療薬としての金化合物を過剰に投与すると、その蓄積によって皮膚炎、腎臓や肝臓の障害、貧血などの症状が起こることがわかっている[13]。

金の地上在庫

イギリスの GFMS の統計によれば2009年末時点で総量は165,600トンである(金の地上在庫とはこれまでに採掘され精製加工された金の総量のこと)。

(参考)主要各国の保有量[16]
  • アメリカ合衆国[17]:8134トン(外貨準備に占める割合は78.2 %)
  • ドイツ:3413トン(同66.3 %)
  • フランス:2541トン(同59.4 %)
  • イタリア:2452トン(同68.1 %)
  • スイス:1064トン(同39.8 %)
  • 日本:765トン(同2.1 %)
  • オランダ:621トン(同61.2 %)
  • 中華人民共和国:600トン(同1 %)
  • インド:358トン(同3.3 %)

日本にある金の総量

2008年1月現在、日本に「地上資源」ないし「都市鉱山」として存在する金は約6800トンで、これは全世界の金の現有埋蔵量の約16 %にも及ぶ量である[18]。

金に関連する作品

  • ドキュメンタリー『NHKスペシャル 宇宙 未知への大紀行』 第5集『150億年の遺産 〜生命に刻まれた星の生と死〜』 (NHK) - 超新星爆発、星の誕生といった天文現象と金の元素生成との関連について解説。
  • 映画『007 ゴールドフィンガー』
  • 映画『秘境』
  • ミダース(神話)(イソップ寓話の一篇としても知られる)

参考文献

  • 山本喜一 監修 『最新図解 元素のすべてがわかる本』 ナツメ社、2011年12月6日初版刊行、ISBN 978-4-8163-5150-1

脚注

[ヘルプ]
  1. ^ 桜井 弘 『元素111の新知識』 講談社、1998年、322頁。ISBN 4-06-257192-7。 大和言葉で「こがね/くがね(黄金: 黄色い金属)」とも呼ばれる。
  2. ^ 同じ第11族元素であるレントゲニウムは、単体金属としては未確認であり、有用的に用いられた例はなく現在は貴金属には含めない。
  3. ^ 中性子星合体は金、白金、希土類等の生成工場|publisher=国立天文台|date=2014-07-01
  4. ^ T. Ishida, M. Haruta, Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 7154.
  5. ^ a b c d e ゴールド・デマンド・トレンド 2012年第2四半期 World Gold Council
  6. ^ 2004年にN・M・ロスチャイルド&サンズから会員権譲受。
  7. ^ 1992年のミッドランド銀行 Midland Bank(現 HSBC バンク HSBC Bank plc)買収に際し、同行系列にあったサミュエル・モンタギュー・アンド・カンパニーを傘下に収める。
  8. ^ モカッタ&ゴールドスミドはハンブロス・バンク Hambros Bank(現在はソシエテ・ジェネラル傘下)、スタンダードチャータード銀行と親会社の変遷を経て1997年にスコシアバンク傘下に入った。
  9. ^ ピクスリー&アベルとシャープス・ウィルキンズは1966年に合併してシャープス&ピクスリーとなり、2001年にドイツ銀行傘下に入った。
  10. ^ シャープス&ピクスリー発足により空席となった会員権はジョンソン・マッセイ Johnson Matthey、クレディ・スイス・ファースト・ボストンを経てソシエテ・ジェネラルに移った。
  11. ^ Weblio辞書 新語時事用語辞典
  12. ^ 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (World Metal Statistics) PDF
  13. ^ a b c 『最新図解 元素のすべてがわかる本』、218頁。
  14. ^ 毒物・劇物リスト - 物質構造科学研究所公式サイト内のページ
  15. ^ Gold biomineralization by a metallophore from a gold-associated microbe Nature Chemical Biology
  16. ^ 朝倉慶 『恐慌第2幕 – 世界は悪性インフレの地獄に堕ちる』 ゴマブックス 2009年
  17. ^ 1999年5月の上院銀行委員会で、当時の FRB 議長であったグリーンスパンは「金(ゴールド)の、売却はいたしません。ゴールドは究極の通貨だからです」と述べている。
  18. ^ (物質・材料研究機構「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」)

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、金に関連するメディアがあります。
  • 錬金術
  • 自然金、砂金
  • 金将、と金、成金
  • 合金
  • 金色
  • 金メダル
  • 「金と銀」(フランツ・レハールのワルツ)

外部リンク

ウィクショナリーに金の項目があります。
  • 金属資源情報センター
  • World Gold Council (英語)
表・話・編・歴
周期表(未発見元素を含む)
  1 2   3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
1 H   He
2 Li Be   B C N O F Ne
3 Na Mg   Al Si P S Cl Ar
4 K Ca   Sc Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
5 Rb Sr   Y Zr Nb Mo Tc Ru Rh Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe
6 Cs Ba La Ce Pr Nd Pm Sm Eu Gd Tb Dy Ho Er Tm Yb Lu Hf Ta W Re Os Ir Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn
7 Fr Ra Ac Th Pa U Np Pu Am Cm Bk Cf Es Fm Md No Lr Rf Db Sg Bh Hs Mt Ds Rg Cn Uut Fl Uup Lv Uus Uuo
アルカリ金属 アルカリ土類金属 ランタノイド アクチノイド 遷移金属 その他の金属 半金属 その他の非金属 ハロゲン 希ガス 不明
表・話・編・歴
金の化合物
二元化合物
AuBr · AuBr3 · Au2C2 · AuCl · AuCl3 · Au4Cl8 · AuF3 · AuF5 · AuI · AuI3 · Au2O · Au2O3 · AuP · Au3P2 · Au2S · Au2S3 · AuSe · AuTe2
多元化合物
AuCN · Au(CN)3 · Au(ClO4)3 · AuOH · Au(OH)3 · AuSCN · Au2(SeO4)3 · Au2(SO4)3 · HAuBr4 · HAuCl4 · Au2(CO3)3


UpToDate Contents

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  • 1. 慢性閉塞性肺疾患(COPD):定義、臨床症状、診断、および病期分類 chronic obstructive pulmonary disease definition clinical manifestations diagnosis and staging
  • 2. リウマチ性疾患への金化合物の使用 use of gold compounds in rheumatic diseases
  • 3. 金治療の主な副作用 major side effects of gold therapy
  • 4. 安定した慢性閉塞性肺疾患(COPD)のマネージメント management of stable chronic obstructive pulmonary disease
  • 5. 後十字靱帯損傷 posterior cruciate ligament injury

Japanese Journal

  • 金融商品会計の再構築(その1)「世界金融危機と会計基準の見直し要請」
  • 吉田 康英
  • 中京経営研究 = CHUKYO KEIEI KENKYU 22(1・2), 75-84, 2103-03
  • NAID 120006514422
  • 頸城野郷土資料室学術研究部研究紀要 2016年度著作一覧
  • 頸城野郷土資料室学術研究部研究紀要 2099(0), 1-1, 2099
  • … のパトリ的な意味」(研究論文)<br>●Vol.1/No.3 2016/04/01 真野俊和「『宮座』とは何か 『定義』方法をめぐる問題として」(ディスカッション・ペーパー)<br>●Vol.1/No.4 2016/04/01 石塚正英「関山神社金銅仏は仏教美術様式からみて百済仏」(資史料紹介)<br>●Vol.1/No.5 2016/04/28 茂木謙之介「戦前期地域社会における皇族表象―埼玉県秩父地方における秩父宮をめぐる諸言説の検討から―」(研究論文)<br …
  • NAID 130007635943
  • 博多港はなぜ日本一のクルーズ寄港地になったのか?:-先行研究を踏まえた考察と今後の展望-
  • 杉村 佳寿,朝岡 大輔
  • 運輸政策研究, 2020
  • <p>我が国港湾へのクルーズ船の寄港回数,特に外国船社の寄港が急増し,中でも博多港は寄港回数国内最多を誇る.本稿では,港湾を中心とするクルーズ受入側での政策立案,施策展開に対して先行研究から示唆を得ることを目的に,クルーズ市場の拡大経緯とクルーズ船社・港湾の戦略に関する先行研究の成果を踏まえ,ケーススタディ的に博多港が日本一の寄港回数を誇るようになった理由を考察し,クルーズ港湾の今後の …
  • NAID 130007625170

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Japan Pharmaceutical Reference

薬効分類名

  • 生薬

販売名

金原エンゴサクM

効能または効果

  • 漢方処方の調剤に用いる。
  • 漢方処方の調剤に用いる。

★リンクテーブル★
リンク元「五臓」「gold」「Au」
拡張検索「薬剤溶出型吸収性金属スキャフォールド」「神経系重金属中毒」「金属性」

「五臓」

  [★]

  • 東洋医学とは異なる概念。五行論に基づく。
木 火 土 金 水
肝 心 脾 肺 腎
肝→心→脾→肺→腎 → 肝 ・・・
肝:精神運動を安定化し、栄養素の代謝と解毒を司る
心:意識レベルを保ち、意識的活動を統括し、覚醒・睡眠レベルを調節する
脾:食物を消化吸収し、水穀の気を生成する
肺:呼吸により宗気を摂取し、全身の気の流れを統括し、水穀の気の一部から血と水を生成する
腎:成長、発育、生殖能を司り、骨・歯牙を形成・維持する。

参考

  • 1.
http://allchinainfo.com/health/wuzang

「gold」

  [★]

  • n.
(元素)金
関
Au、golden

           

「Au」

  [★]

金

関
gold、golden

 

「薬剤溶出型吸収性金属スキャフォールド」

  [★] drug-eluting absorbable metal scaffold, DREAMS

「神経系重金属中毒」

  [★]

英
nervous system heavy metal poisoning

「金属性」

  [★]

英
metallic
関
金属
「https://meddic.jp/index.php?title=金&oldid=59721」から取得
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