- 英
- dura mater
- ラ
- dura pachymeninx
- 関
- 脳硬膜、脊髄硬膜、髄膜
神経
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/06 22:06:33」(JST)
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脳: 硬膜 |
髄膜の模式図
脊髄と脊髄膜
|
名称 |
日本語 |
硬膜 |
ラテン語 |
dura mater |
関連情報 |
MeSH |
Dura+Mater |
グレイの解剖学 |
書籍中の説明(英語) |
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硬膜(こうまく、dura mater)は、脳と脊髄を覆う3層の髄膜のうち、一番外にある膜。硬膜の内にあるクモ膜とは密に接着している。ただし硬膜下隙と呼ばれる微細な隙間があり、硬膜下出血で血液がたまると肉眼で認められる程度まで広がる。硬膜は非常に厚く強靭な膜であって、脳と脊髄を周りの組織から隔て外傷や感染から守るという役割を担っている。クモ膜と軟膜をあわせて(広義の)軟膜(leptomeninx)と呼ぶのに対応し、硬膜をpachymeninxと呼ぶことがある。脳の硬膜と脊髄の硬膜を特に区別する必要があるときは、脳硬膜(のうこうまく、英語:cranial dura mater、ラテン語:dura mater encephali)、脊髄硬膜(せきずいこうまく、英語:spinal dura mater、ラテン語:dura mater spinalis)と呼び分ける。
目次
- 1 脳硬膜
- 2 脊髄硬膜
- 3 参考文献
- 4 関連項目
脳硬膜[編集]
脳を包む構造[編集]
脳硬膜は頭蓋を内張りしており、頭蓋骨の骨膜と癒着している。頭蓋内の正中で、脳硬膜は大脳鎌(だいのうかま、falx cerebri)と呼ばれる板のような突出を出す。大脳鎌は左右の大脳半球を隔て、脳梁にまで至る。大脳鎌の吻側端付近は、頭蓋底内面正中、篩骨の鶏冠と呼ばれる突起から、そのすぐ上に始まる前頭稜という突起に沿って頭蓋骨に付いている。尾側で大脳鎌は左右に分かれ、小脳を包む小脳テントという構造を作る。
硬膜静脈洞[編集]
脳硬膜と頭蓋骨の間、また正中部で左右の脳硬膜が合わさる部分には、一部で大きな隙間がある。それらは総称して硬膜静脈洞と呼ばれ、脳を通ってきた静脈血を集めて内頸静脈に送る。硬膜静脈洞は、大脳鎌上縁の上矢状静脈洞、下縁の下矢状静脈洞、小脳の尾側で左右に走る横静脈洞、横静脈洞の続きが頚静脈孔の近くでS字型に曲がったS状静脈洞、下垂体の周りにある海綿静脈洞と海綿間静脈洞、そこから頚静脈孔に向かう上錐体静脈洞と下錐体静脈洞に大きく分けられる。なお、静脈洞(venous sinus)とは、静脈血が流れていても管らしくなく、周りの組織の隙間と言えるような場所に使われる語であって、ほかには心臓に冠静脈洞というものがある。
硬膜静脈洞の中には、脳クモ膜が脳硬膜を貫いて突出したクモ膜顆粒が出ている。クモ膜顆粒はクモ膜下腔の脳脊髄液がクモ膜を通過して静脈血に吸収される場所と考えられている。詳しくは脳脊髄液#脳脊髄液の循環を参照されよ。
脊髄硬膜[編集]
脊髄硬膜は、脊椎の骨膜との間に硬膜上腔という隙間を隔てている。硬膜上腔は静脈叢を含んだ脂肪組織で満たされている。脊髄硬膜はクモ膜・軟膜とともに、脊髄神経の根を包んで脊柱管の外に出る。脊髄神経が脊髄神経節を作り前枝と後枝に分かれた先にも硬膜は続いているが、その部分は神経上膜と呼ばれる。
参考文献[編集]
- Werner Kahle、長島聖司・岩堀修明訳『分冊 解剖学アトラスⅢ』第5版(文光堂、ISBN 4-8306-0026-8、日本語版2003年)
- 寺田春水・藤田恒夫『解剖実習の手びき』第11版(南山堂、ISBN 4-525-10311-6、2004年)
関連項目[編集]
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ウィキメディア・コモンズには、硬膜に関連するカテゴリがあります。 |
神経解剖学: 脊髄 |
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脊髄神経 |
背側(後根、神経節、後枝) - 腹側(前根、前枝) - 交感神経幹 - 交通枝(灰白交通枝、白交通枝)
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灰白質/レクセドの層 |
後角(背核、ローランドの膠様質、固有核) - 側角 - 前角 - 中心管/中心膠様質
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|
白質 |
体性感覚/上行 |
後索/後索・内側毛帯路: 触覚・固有覚: 薄束 - 楔状束
側索: 固有覚: 脊髄小脳路(背側脊髄小脳路、腹側脊髄小脳路) - 温痛覚: 脊髄視床路(外側脊髄視床路、前脊髄視床路) - 後外側路 - 脊髄視蓋路
|
|
運動/下行 |
側索: 皮質脊髄路(外側) - 錐体外路系(赤核脊髄路、オリーブ脊髄路)
前索: 皮質脊髄路(前皮質脊髄路) - 錐体外路系(前庭脊髄路、網様体脊髄路、視蓋脊髄路)
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周囲 |
硬膜外腔 - 硬膜 - 硬膜下腔 - クモ膜 - クモ膜下腔 - 軟膜
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その他 |
歯状靱帯 - 脊髄円錐 - 馬尾 - 終糸 - 頸膨大 - 腰膨大 - 前正中裂
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Japanese Journal
- 5. 硬膜動静脈瘻の分類と治療の課題(PS1-1 血管奇形の基礎と臨床,プレナリーセッション,脳神経外科学の課題,第32回日本脳神経外科コングレス総会)
- 杉生 憲志,徳永 浩司,菱川 朋人,伊丹 尚多,平松 匡文,大熊 佑,伊達 勲
- 脳神経外科ジャーナル 21(Supplement), 54, 2012-04-20
- NAID 110009359424
- ラグビーボール状に頭部変形をきたした頭蓋骨・頭皮下髄膜腫の1症例
- 西嶌 泰生,宇都宮 昭裕,鈴木 晋介,遠藤 俊毅,鈴木 一郎,西村 真実,江面 正幸,鈴木 博義,上之原 広司
- 脳神経外科ジャーナル 21(1), 32-38, 2012-01-20
- … 症例は35歳,男性.友人に頭部の変形を指摘されたことを機に広範な頭皮下,頭蓋骨腫瘍が発見された.画像上,頭頂部から後頭部にかけ頭蓋骨が広範に肥厚し,これに連続して頭皮下に偏平状な腫瘍,さらに,硬膜下上矢状洞近傍に小腫瘍を認めた.頭皮下と頭蓋骨腫瘍の生検では悪性所見のない髄膜腫(meningothelial meningioma)と判明した.生検に続き,肥厚した頭蓋骨,頭蓋骨内外の腫瘍を可及的に切除した後,チタンメッシュにて頭蓋を …
- NAID 110009328120
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- 絨毛膜癌腫の症例において急性硬膜下血腫を発生、脳ヘルニアへ進行している (MRI). 急性硬膜下血腫(きゅうせいこうまくかけっしゅ、acute subdural hematoma)とは、硬膜 と脳の間に血腫が形成された状態のことであり、頭部外傷としては重症に分類される ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 腰椎穿刺において穿刺針がくも膜下腔に達するまでに通過する組織の順で正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111C008]←[国試_111]→[111C010]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104H005]←[国試_104]→[104H007]
[★]
-
- ①毛
- ②爪
- ③皮膚腺(汗腺、乳腺、脂腺)
- ④水晶体、角膜
- ⑤口窩上皮、下垂体前葉、エナメル芽細胞、唾液腺
-
内胚葉
上皮Epithelium
- 1)肝臓の実質細胞
- 2)膵臓の実質細胞
- 3)呼吸器系の上皮
-
- 2)第1と第2の咽頭嚢の境界(舌盲孔) 甲状腺
- 3)第2咽頭嚢
- 6)第5咽頭嚢 鰓後体(甲状腺C細胞)
- 7)その他 脊索前板
- 1)蹄胱の上皮(一部)
- 2)尿道の上皮(一部)
- 3)前立腺
- 4)膣下部
- *始原生殖細胞は卵黄嚢(内胚葉)由来といわれてきたが、最近の研究では三層性胚盤以前の二層性胚盤の時の胚盤葉上層の一部の細胞が生殖細胞への運命をたどる(決定)ことが明らかにされた。
中胚葉
- 1)体幹と体肢の筋肉=筋板
- 2)体幹と体肢の骨格=椎板
- 3)体幹の皮膚の真皮=皮板
- 4)結合組織
- 5)骨髄
-
- a) 腎・尿細管(後腎より)
- b) 尿管・腎盤・腎杯・集合管(中腎管より尿管芽として出芽
- a) 生殖腺(卵巣と精巣)
- b) 中腎管(精巣上体・精管・精嚢)
- c) 中腎傍管(卵管・子宮・膣上部)
-
- a) 漿膜(腹膜腔、胸膜腔、心臓腔の表面)
- b) 副腎皮質
- c) 体肢の骨と結合組織(肢芽)
- a) 消化管系の筋
- b) 脈管系の筋
- c) 心臓(刺激伝導系も含む)
- d) 脾臓
- e) 血球
- *四肢骨の形成には椎板由来の間葉細胞と壁側中胚葉が関与する。
- *四肢の筋の形成は体節(筋板)由来の細胞が関与する。
[★]
- 英
- neural crest
- ラ
- crista neuralis
- 同?
- 神経堤細胞 neural crest cell、神経冠
- 関
- [[]]
- 神経板の貫入中に、神経溝の両縁に沿って出現する一群の細胞集団が神経堤細胞であり、これは外胚葉由来である。
- 頭頚部の発生過程では、外胚葉由来である神経堤細胞が中胚葉の代わりに間葉組織として振る舞っている。
①末梢神経系ニューロン、脳神経節(知覚性、副交感性)、脊髄神経節(知覚性)、交感神経節(交感性)、消化管の副交感神経節
②神経鞘芽細胞(シュワン細胞)
③グリア細胞
④髄膜細胞(軟膜、クモ膜、硬膜)
⑤副腎髄質細胞(内分泌)
⑥メラニン芽細胞(皮膚の色素細胞)
⑦顔面・頭部の軟骨・骨と結合組織、軟骨芽細胞、頭蓋骨、ゾウゲ芽細胞、鰓弓の骨と骨格筋、顔面・頚部(鰓弓由来)の真皮、大動脈弓壁
[★]
- 英
- arachnoid mater, cranial and spinal arachnoid
- ラ
- arachnoidea encephali et spinalis
- 同
- くも膜
- 関
- 脳クモ膜、脊髄クモ膜。クモ膜下腔
概念
臨床関連
[★]
- 英
- posterior meningeal artery (KL)
- ラ
- arteria meningea posterior
- 関
- 前硬膜動脈、中硬膜動脈
走行
分布
[★]
- 英
- spinal cord (M)
- ラ
- medulla spinalis
- 成人の脊髄は大後頭孔からL1-L2の椎骨まで達する (M.279)
解剖
[★]
- 英
- hypertrophic cervical pachymeningitis
- ラ
- pachymeningitis cervicalis hypertrophicans
- 関
- 髄膜血管型神経梅毒、髄膜炎
[★]
- 英
- spinal epidural abscess, SEA
- 関
- 硬膜外膿瘍、頭蓋内硬膜外膿瘍、頭蓋硬膜外膿瘍
[★]
- 英
- epidural neoplasm
- 関
- 硬膜外腫瘍
[★]
- 英
- membrane
- 関
- メンブラン、メンブレン