出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/09/18 13:41:43」(JST)
この記事はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点から説明されていない可能性があります。ノートでの議論と記事の発展への協力をお願いします。(2010年7月) |
健康診断(けんこうしんだん)とは、診察および各種の検査で健康状態を評価することで健康の維持や疾患の予防・早期発見に役立てるものである。健診(けんしん)、健康診査とも呼ばれる。
学校や職場、地方公共団体で行われるなど『法令により実施が義務付けられている』ものと、受診者の意思で『任意に』行われるものがある。任意に行われる健康診断は診断書の発行を目的とした一般的評価のことが多いが、全身的に詳細な検査を行い多種の疾患の早期発見を目的としたサービスも広く普及しており、船舶のオーバーホール施設になぞらえて人間ドックと呼ばれる。
また労働安全衛生法により、危険物・特定の化学物質などを扱う職業の従事者はそれに応じた健康診断を定期的に受けることが義務づけられており、この健康診断は重大な職業病の発生を未然に防ぐことが目的という点で一般的なものとはやや性格を異にする。
なお、特定の疾患の発見を目的としたものは検診(たとえばがん検診)とよばれる。
厚生科学研究班が一般向けに作成したガイドライン(Minds医療情報サービス)に受診すべき健診5項目と対象疾患について解説がある。
労働者の健康診断は、労働安全衛生法第66条以下および労働安全衛生規則[1]によって定められている。この実施は事業者の義務であり(労働安全衛生法第66条1項)、使用者による健康診断の不実施は法違反となり、50万円以下の罰金に処せられる(労働安全衛生法第120条)。
雇用主は、常時使用する労働者に対し、以下の健康診断を実施しなければならない。派遣労働者については、派遣元が実施しなければならない。
一般健康診断の11項目(労働安全衛生規則44条)
- 既往歴、業務歴の調査
- 自覚症状、他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査
- 胸部エックス線検査、喀痰検査
- 血圧の測定
- 貧血検査
- 肝機能検査
- 血中脂質検査
- 血糖検査
- 尿検査
- 心電図検査
パートタイム労働者については、以下の1,2いずれにも該当する場合には、「常時使用する労働者」に該当する(定期健康診断、特定業務従事者の健康診断においても同様)。
医師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施が、平成27年12月より、常時使用する労働者数が50人以上の事業者の義務となった(労働安全衛生法第66条の10)。50人未満の事業場については当面の間努力義務とされる。事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、法で指定する職業性ストレスの検査を行わなければならない。
学校保健安全法により、毎学年6月30日までに(学校保健安全法施行規則第5条[2])健康診断を行うことが定められている(学校保健安全法11条~18条)。項目は学校保健安全法施行規則第6条[2]に定められている。
幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高等学校・高等専門学校 | 大学 | 備考 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | 6年 | 1年 | 2年 | 3年 | 1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | 1年 | 2年以降 | ||||
1 | 身長、体重 | ○ | 胸囲は1994年度まで | ||||||||||||||||
座高 | ○ | △ | |||||||||||||||||
2 | 栄養状態 | ○ | |||||||||||||||||
3 | 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無 | ○ | △ | 脊柱検査など | |||||||||||||||
4 | 視力 | ○ | |||||||||||||||||
聴力 | ○ | △ | ○ | △ | ○ | △ | ○ | △ | ○ | △ | ○ | △ | |||||||
5 | 眼の疾病及び異常の有無 | ○ | |||||||||||||||||
6 | 耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無 | ○ | |||||||||||||||||
7 | 歯及び口腔の疾病及び異常の有無 | ○ | △ | ||||||||||||||||
8 | 結核の有無 | × | ○ | × | ○ | × | 問診・胸部エツクス線検査・喀痰検査・聴診・打診など | ||||||||||||
9 | 心臓の疾病及び異常の有無(心電図検査以外) | ○ | 心電図検査・臨床医学的検査など | ||||||||||||||||
心臓の疾病及び異常の有無(心電図検査) | △ | ○ | △ | ○ | △ | ○ | △ | ||||||||||||
10 | 尿(糖以外) | ○ | ○ | △ | |||||||||||||||
尿(糖) | △ | ||||||||||||||||||
11 | 寄生虫卵の有無 | ○ | △ | ||||||||||||||||
12 | その他の疾病及び異常の有無 | ○ |
※2003年度から色覚検査が削除されている。
就職活動などに健康診断証明書が必要とされるため、大きな大学ではその発行を迅速・正確に行うための自動発行機が普及しつつある。
就学時の健康診断に関しては学校保健安全法施行規則第3条[2]に定められている。詳細は就学時健康診断を参照。
学校保健安全法において、学校職員の健康診断についても定めている。毎年度始めから6月30日までの間に受診し、項目は学校保健安全法施行規則第13条[2]に定められており次の通りである。
20歳未満 | 20-34歳 | 35歳 | 36-39歳 | 40歳以上 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 身長 | ○ | △ | |||
体重 | ○ | |||||
腹囲 | ○(35歳未満及び36-39歳、妊娠中の女性その他であつて腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断されたもの、ボディマス指数が20未満である職員並びに自ら腹囲を測定し、その値を申告した職員(ボディマス指数が22未満である職員に限る)は△) | |||||
2 | 視力及び聴力 | ○ | ||||
3 | 結核の有無 | ○(20・25・30・35歳以外であつて感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令第十二条第一項第一号 又はじん肺法 第八条第一項第一号 若しくは第三号 に掲げる者に該当しないものは△) | ○ | |||
4 | 血圧 | ○ | ||||
5 | 尿 | ○ | ||||
6 | 胃の疾病及び異常の有無 | △(妊娠中の女性は×) | ○(妊娠中の女性は×) | |||
7 | 貧血検査 | △ | ○ | △ | ○ | |
8 | 肝機能検査 | △ | ○ | △ | ○ | |
9 | 血中脂質検査 | △ | ○ | △ | ○ | |
10 | 血糖検査 | △ | ○ | △ | ○ | |
11 | 心電図検査 | △ | ○ | △ | ○ | |
12 | その他の疾病及び異常の有無 | ○ |
児童福祉施設の入所者に対し、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準[3]第12条により入所時及び少なくとも年2回の定期健康診断が学校保険安全法に準じて行われる。
市町村は以下の乳幼児に対して、政令で定める乳幼児健康診査を行わなければならない(母子保健法12条)。
政令においては、受診の年齢(4か月、1歳6か月、3歳)や診察項目が決められている。
原子爆弾による被爆者に対する健康診断として、毎年2回の定期健康診断と、年2回を限度とする希望による健康診断(うち1回はがん検診を受診可)がある。
病院・診療所において、各種の健康診断が行われている。一般的な健康状態評価および人間ドックサービスの他、労働安全衛生法で義務付けられている健康診断の振り替えとして行われる場合がある。
保健所では、健康診断の簡略なものとして老人保健法による基本健康診査(住民検診)を行っている。自治体によっては、健康診断受診奨励金や、交通手当を支給しているところもある。
健康診断に出かける手間を省くため、または特定の項目について頻度の高い検査を行うため、家庭で簡単に健康診断を行うための検査キットが市販されている。また、検査キットを郵送することにより健康診断を行っている機関がある。次のような検査項目がある。
健康診断の究極の目的は、対象者にできるだけ健康で長生きしてもらうことであり、つまりマクロで見れば対象の平均寿命の延長である。病気を早期発見でき早めに対処できるのは無条件に良いことと簡単に考えられがちであるが、実際には以下に挙げる様々な要因のため、健康診断はマクロ的に無効で資源の無駄であるばかりか、健康に逆効果となる可能性すらある。実施主体が多くの金銭的負担を抱えるものである以上、その有効性がコストに見合うだけのものであることは統計的、疫学的に証明されなければならないが、多くの場合はそれらの証明には非常に長い歳月を要するため、不十分なエビデンスや予想によって検診を行わざるを得ないこともある。このような点で論争を生じている代表例としてメタボリックシンドロームも参照。
なお、この節で挙げた例はいずれも専門家でも意見の一致がないものや現在進行形で評価中のものが含まれており、検診が無効であると主張しているわけではないことに注意。[要出典]
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