出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/07/07 15:39:44」(JST)
優性の法則(ゆうせいのほうそく)とは、親の性質の現れやすいほう(優性)と現れにくいほう(劣性)があり、それぞれの遺伝子が同一個体に共存した場合、優性の側の形質のみが表現型として表れること。メンデルの法則の1つ。
たとえば、対立形質を持つ純系同士の交配では、子の代では1:0の割合で片方の性質が現れるが、これは見かけのことであって、劣性が遺伝していないわけではない。孫の代では3:1の割合で両者の性質が現れる。
オーストリアのブリュン(現在はチェコ領ブルノ)にあった修道院の司祭、グレゴール・ヨハン・メンデルが発見した。
優性をA、劣性をaとすると、次のように遺伝する。
1代目から2代目への遺伝
a | a | |
A | Aa | Aa |
A | Aa | Aa |
2代目から3代目への遺伝
A | a | |
A | AA | Aa |
a | Aa | aa |
1代目の劣性の性質は2代目では優性の性質のために現れない。しかし、3代目からは優性を持たないものが出てくるため、劣性の性質が現れる。
現代の知識を以てこれを解釈すれば、大抵の場合、優性の性質はその種の普通の形質であり、劣性のものはそうではなく特殊なものである例が多い。これは、たとえば一遺伝子一酵素説で考えれば分かりやすい。
この説では、遺伝子は酵素の設計図であると見る。その酵素が作れることでその生物はある形質を発現できる。劣性の遺伝子はその設計図が壊れたものと考えれば良い。その遺伝子をもつ生物はその酵素を作れないので、その形質を発現できず違った形になる。これが劣性の形質である。
優性の遺伝子をもつ個体と劣性の遺伝子をもつ個体とが交配すれば、その子は優性遺伝子と劣性遺伝子をヘテロに持つことになる。その体内には正しい設計図と壊れた設計図が共存するので、正しい酵素と壊れた酵素が同時に作られる。その結果、数が少なくはなっても正しい酵素が作られることにより、その形質は発現できることになるであろう。つまり見掛け上は劣性の形質は出現しない。
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