低浸透圧血症

出典: meddic

hypoosmolar state
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群低ナトリウム血症



UpToDate Contents

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和文文献

  • Chlorpropamide-Induced SIADHの2症例
  • 中村 全,川口 光,広瀬 賢次
  • 千葉医学雑誌 66(5), 335-339, 1990-10-01
  • … 症例2はCPをGCに変更した結果,低浸透圧血症,低Na血症ともに回復した(270→290mOsm/kg,129→139mEq/l)。 …
  • NAID 110006182897
  • 経過中にSIADH (syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone)を呈した原発性肝癌む1例
  • 福田 真作,岡本 勝博,高橋 修一,相楽 衛男,河田 耕一
  • 日本内科学会雑誌 76(7), 1083-1086, 1987
  • … 75病日不穏状態,低Na血症,低浸透圧血症,および尿中Na排泄の持続を認めた.血漿ADHは増加していた. …
  • NAID 130000901467

関連リンク

循環血流量減少性低ナトリウム血症につながる腎性の体液喪失が,ミネラルコルチコイド欠乏症,利尿療法,浸透圧利尿,または塩類喪失性腎症とともに生じることがある。塩類喪失性腎症には,腎尿細管機能低下を主とする内因性腎 ...
162 レジデント2 09/4 Vol.2 No.4 西﨑祐史(聖路加国際病院 内科専門研修医) 「低ナトリウム血症をみたら,血漿浸透圧,尿電解質濃度,体液量に注目する!」 デキ レジ 聖路加チーフレジデントが あなたをデキるレジデントにします

関連画像

 とっての浸透圧(膠質浸透圧血漿浸透圧と低ナトリウム血症  低アルブミン血症による浮腫血漿浸透圧と低ナトリウム血症 血中のアルブミンにより、血管 血漿浸透圧と低ナトリウム血症


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低ナトリウム血症」

  [★]

hyponatremia
低Na血症
ナトリウム高ナトリウム血症電解質異常

定義

  • 血清ナトリウムが134mEq/L以下の病態。(正常の下限は135mEq/Lとされる)
  • 水とナトリウムのバランスという観点で、2つに分けられる

疫学

  • 日常臨床上最も頻度の高い水・電解質異常
  • 入院患者の3%、集中治療室患者の30%(IMD)

病型

ICU.525

  • 循環血減少性低ナトリウム血症:下表で[2]に相当
  • 利尿・副腎不全: 尿中Na > 20mEq
  • 嘔吐・下痢    : 尿中Na < 20mEq
  • 等容量性低ナトリウム血症:細胞外液は増加していないが、水の方が多くなった状態。臨床的に浮腫が無い。下表で[1]に相当
  • 循環血増加性低ナトリウム血症:細胞外液にナトリウムと水が増加しており、なおかつ水の方が多い病態:下表で[3]に相当
  • 腎不全    : 尿中Na > 20mEq
  • 心不全・肝不全: 尿中Na < 20mEq

IMD

  • [1] 細胞外液量増加:組織間質に非常に多量の水と多量のナトリウムが移動。移動する原因は血液のうっ滞、膠質浸透圧の低下など
  • うっ血性心不全、肝硬変、末期腎不全など。
  • うっ血性心不全や腹水を伴う肝硬変では、圧受容器が循環血液量の減少を検出してバソプレシンを分泌する(cases.200)
  • [2] 細胞外液量減少:ナトリウム喪失による。
  • 消化管からの喪失(下痢、嘔吐、腸閉塞など)、熱傷、利尿薬の過剰投与、腎疾患、副腎不全など。
  • [3] 細胞外液量正常:ナトリウムの摂取・排泄は変わらないが、水が異常に蓄積されるため? ← 最も多いらしい
  • 内分泌疾患(副腎不全、抗利尿ホルモン(ADH)不適合分泌症候群(SIADH)、甲状腺機能低下症)、薬物、水中毒(心因性多飲)など。
  • 高浸透圧性:高血糖、マンニトール投与など。
  • 正浸透圧性:脂質異常症(高脂血症)、高蛋白血症など。

水とナトリウムのバランスによる分類

  Na 体液 摂取と排出はどうなのか? 脱水所見
IN
OUT
 ○
希釈性低ナトリウム血症 過剰 - 多い [3] ○→ [3] →○ 無し
心因性多飲症、低張輸液過多 SIADH
ナトリウム欠乏性低ナトリウム血症 - 過少 少ない   ○→ [2] →○ 有り
摂食不能 腎性(Addison病、塩類喪失性腎炎、利尿薬の使用)
腎外性(下痢・嘔吐、熱傷腸閉塞)
  大過剰 過剰       [1]   無し
    うっ血性心不全
肝硬変
ネフローゼ

低ナトリウム血症+血漿浸透圧上昇

QB.D-333
  • 高脂血症 → (炎光光度法で測定する場合)過剰の脂質によって血漿の非液相成分が増加し血漿浸透圧が上昇するが、液相成分が減少しているため見かけ上低ナトリウム血症となる (ICU.523) → 偽性低ナトリウム血症
  • 高血糖 ← 高血糖だけで低血糖になる?
  • 尿毒症 → 浸透圧較差の増大による。ある種の毒性物質(エタノール、メタノール、エチレングリコール、腎不全によって蓄積した同定できない毒素)が細胞外液にあるときに増加する(ICU.517)(つまり、毒性物質が浸透圧を生み出す物質として作用するということ)。ちなみに、急性腎不全では正常であり、慢性腎不全で浸透圧較差は上昇する。

病態生理

体液電解質異常と輸液 改訂第3版 p.51
低ナトリウム血症のメカニズム   障害の原因 障害の例
effective osmole(Na, K)の欠乏 長期間のの下痢・嘔吐・絶食
浸透圧利尿
水分過剰 口渇感の異常
(多飲)
尿自由水排泄能力を超えた量の飲水 心因性多飲
マラソン中の多量飲水
尿希釈能の低下
(水排泄障害)
尿細管での
自由水生成障害
有効循環血漿量低下
 (心不全、肝不全、脱水)
極度の低栄養・偏食
腎障害
不適切な抗利尿ホルモン作用 SIADH
有効循環血漿量低下
甲状腺機能低下
糖質コルチコイド欠乏

症状

  • 急性:症状が出現しやすい。意識障害を呈する
  • 慢性:無症候。125mEq/L以下にならなければ顕性化しない事が多い。臨床的に問題となるのは非常に低いレベル(120mEq/L)。
  • 全身 :無力感、全身倦怠感
  • 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐
  • 神経 :意識障害(傾眠、昏睡)
  • 筋  :痙攣、腱反射低下、筋力低下
  • 高度かつ急速な場合 → 水中毒をきたす。

重症度別(YN.D137)

  • 軽症:120mEq/L以上:無気力、疲労感、軽度の食思不振、頭痛
  • 重症:120mEq/L以下:悪心・嘔吐、強い食思不振や頭痛、精神症状や間代性痙攣、意識障害

検査

  • 血清Na・K 測定、腎機能検査、ADH、コルチゾール、アルドステロン、甲状腺ホルモンの測定、血液ガス分析など(IMD)
  • 尿の浸透圧、尿Na濃度

治療

  • 根治療と対症療法

YN.D-137改変

  脱水   Na 体液 病態生理 尿中Na 尿浸透圧 ADH 治療 原疾患
[1] なし hyponatremia
with
hypervolemia
  大過剰 過剰 細胞外液量増加   (>20mEq/L)   分泌される ・ループ利尿薬+水,Na制限
・(不十分)サイアザイド追加
・低Kや体腔液貯留が強い場合スピロノラクトン追加
末期腎不全
(<20mEq/L) うっ血性心不全肝硬変
[2] あり hyponatremia
with
hypovolemia
ナトリウム喪失型
ナトリウム欠乏性低ナトリウム血症
- 過少 細胞外液量減少 Na OUT
→○
↑ 80mEq/L
(>20mEq/L)
    ・Naの補給+等張液輸液(生食,乳酸リンゲル)
・Na排泄率をモニターしIN>OUTを確認
腎性:利尿薬の過剰投与、Addison病、尿細管傷害
↓ 20mEq/L
(<20mEq/L)
腎外性:消化管からの喪失(下痢、嘔吐、腸閉塞)、熱傷、
Na IN
○→
↓ 20mEq/L 経口摂取不能
[3] なし hyponatremia
with
normovolemia
水過剰型
希釈性低ナトリウム血症
過剰 - 細胞外液量正常 水 OUT
→○
→ 40mEq/L ADH excess
>320 mOsm/kg
(>100mOsm/L)
分泌抑制不可能 ・水制限
・ループ利尿薬+生理食塩水
SIADHなど
  水IN
○→
↓ 20mEq/L <100 mOsm/kg
(<100mOsm/L)
分泌抑制を上回るwater intake 低張輸液過多、水中毒(心因性多飲)
[4]           偽性低Na血症 高浸透圧性           高血糖マンニトール投与
正浸透圧性 脂質異常症(高脂血症)、高蛋白血症

対症療法

  • 脱水:等張の生理食塩水
  • SIADH:飲水制限
  • 水とナトリウムの過剰:水とナトリウムの摂取制限、利尿薬
研修医当直御法度 症例帳 p.28
低ナトリウム血症だからといって生理食塩水を輸液すればいいわけではない。
  • [1] ナトリウム過剰(それ以上に水貯留):(症状)浮腫、腹水などによる著明体重増加。(基礎疾患)心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変
 ・・・ 生理食塩水輸液××
  • [2] ナトリウム欠乏:脱水、アジソン病
 ・・・ 生理食塩水輸液ok
  • [3] ナトリウム正常(水が過剰):水中毒、SIADH
 ・・・ 生理食塩水輸液××

合併症

  • 急速な低ナトリウム血症の補正により生じうる。
  • 中枢神経に細胞内脱水をきたし、橋部を中心に脱髄病変を示す。
  • 症状:神経障害、意識障害、痙攣、四肢麻痺など



抗利尿ホルモン不適合分泌症候群」

  [★]

syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone, (国試)SIADH
syndrome of inappropriate secretion of antidiuresis, SIAD
抗利尿ホルモン不適合分泌ADH不適合分泌症候群 inappropriate antidiuretic hormone secretion inappropriate secretion of antidiuretic hormone syndrome inappropriate ADH syndrome IADHS、シュワルツ・バーター症候群 Schwartz-Bartter syndrome抗利尿ホルモン分泌異常症不適切ADH分泌症候群
syndrome of inappropriate ADHsyndrome of inappropriate ADH secretionsyndrome of inappropriate antidiuretic hormonesyndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretionsyndrome of inappropriate diuresissyndrome of inappropriate secretion of ADHsyndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone
バソプレシン AVP


病因

  • 抗利尿ホルモンの不適切な分泌。
  • 1. 抗利尿ホルモンが分泌される血漿浸透圧の閾値が異常となっている ← セットポイントの異常
  • 2. 何らかの原因によって、恒常的に抗利尿ホルモンが分泌されている

HIM.2222改変

  • 悪性腫瘍
  • 癌腫:肺、十二指腸、膵臓、卵巣、膀胱・尿路系
  • その他:胸腺腫、中皮腫、気管支腺腫、カルチノイド、gangliocytoma、ユーイング肉腫
  • 頭部外傷
  • 感染症
  • 血管障害
  • 神経疾患
  • 先天奇形
  • 代謝異常
  • 薬剤性

病態生理

なぜ、waterのreabsorptionが増えるにもかかわらず、血圧が上昇しないの?
HIM.2222
  • 何らかの原因による不適切な抗利尿ホルモンの分泌 → 水の過剰な保持 →
1. → 細胞外液の増加 → (1)糸球体濾過量の増加と心房性利尿ペプチドの分泌、(2)レニン活性の抑制(supresses plasma renin activity)、(3)尿ナトリウム排泄の増加
細胞外液の増加を相殺しているが、その代償としてナトリウムを喪失し、低ナトリウム血症の増悪に繋がっている。 ← このために血圧は正常で、浮腫も起きないし、体液量も増えないと。
2. → 低ナトリウム血症 → 脳を含めた全身の細胞内液の増加 → 頭蓋内圧が亢進 → 急性水中毒症状
2-3日で脳の組織から水が排除されて症状が寛解する。
上記メカニズムに追加。
3. 1.の通り、循環血漿量の増加を招き、RAA系抑制などが起こる → 近位尿細管でのNa、水吸収低下(近位尿細管でのNa再吸収にはアンジオテンシンIIが関与) → 尿酸の再吸収低下、尿排泄増加(近位尿細管での挙動はNa、水と同じ、らしい) → 低尿酸血症

症状

低ナトリウム血症に基づくもの
尿量は変化がない  ←  水の再吸収が亢進しているため??

検査

診断基準

  • 1.低ナトリウム血症:血清ナトリウム濃度は135mEq/Lを下回る。
  • 2.血漿バゾプレシン値:血清ナトリウムが135mEq/L未満で、血漿バゾプレシソ値が測定感度以上である。
  • 3.低浸透圧血症:血漿浸透圧は280mOsm/kgを下回る。 ← 基準値:275-295 mOsmol/kg serum water(HIM.A)
  • 4.高張尿:尿浸透圧は300mOsm/kgを上回る。 ← 基準値:50-1200 mOsm/l (QB) , 500-800 mOsmol/kg water(HIM.A)
  • 5.ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は20mEq/L以上である。
  • 6.腎機能正常:血清クレアチニンは1.2mg/dl以下である。
  • 7.副腎皮質機能正常:早朝空腹時の血清コルチゾールは6μg/dl以上である。

鑑別診断

  • 低ナトリウム血症を呈する疾患・病態を除外する

治療

参考1
  • 1.根治療   : 原疾患の治療を行う。
  • 2.水分摂取制限: 1日の総水分摂取量を体重1 kg当り15~20 mlに制限する。
  • 3.Na摂取   :食塩を経口的または非経口的に1日200 mEq以上投与する。
  • 4. 自由水排泄 :重症低ナトリウム血症(120 mEq/L以下)で中枢神経系症状を伴うなど速やかな治療を必要とする場合はフロセミドを随時10~20 mg静脈内に投与し、尿中ナトリウム排泄量に相当する3%食塩水を投与する。その際、橋中心髄鞘崩壊を防止するために1日の血清ナトリウム濃度上昇は10 mEq/L以下とする。
  • 5.ADH拮抗阻害薬:異所性バゾプレシン産生腫瘍に原因し、既存の治療で効果不十分な場合に限り、成人にはモザバプタン塩酸塩錠(30 mg)を1日1回1錠食後に経口投与する。投与開始3日間で有効性が認められた場合に限り、引き続き7日間まで継続投与することができる。
  • 6.ADH拮抗阻害薬:デメクロサイクリンを1日600~1,200 mg経口投与する。
注意:急速な低Na血症の補正は橋中心髄鞘崩壊 CPMをきたす。
ADH拮抗薬としては抗菌薬のデメクロサイクリン(レダマイシン)や抗てんかん薬ジフェニルヒダントイン(フェニトイン)が使われることがあった

参考

  • 診療と治療の手引き
http://square.umin.ac.jp/endocrine/tebiki/001/001008.pdf

国試



不適切ADH分泌症候群


ナトリウム欠乏性低浸透圧血症」

  [★]

hypoosmolar state due to sodium depletion
低浸透圧血症

希釈性低浸透圧血症」

  [★]

dilutional hypoosmolar state
低浸透圧血症

浸透圧」

  [★]

osmotic pressure
圧力オスモル
  • 単位はmOsmが使われる。
  静水圧 膠質浸透圧
細動脈 細静脈
血漿 30mmHg 10mmHg 25mmHg
間質 ≒0mmHg 5mmHg


症」

  [★]

sis, pathy
  • 検査や徴候に加えて症状が出ている状態

低浸透圧」

  [★]

hypoosmolalityhypoosmolarityhypoosmosis


浸透」

  [★]

osmosis
浸透圧




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