出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/18 02:16:47」(JST)
ビブリオ属 | ||||||||||||||||||
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コレラ菌
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Vibrio Pacini 1854 | ||||||||||||||||||
下位分類(種) | ||||||||||||||||||
その他60種以上 |
ビブリオ属(—ぞく)はグラム陰性桿菌に分類される通性嫌気性菌の一属。自然界では海水などの水中に多く存在する環境中の常在細菌であり、コレラ菌や腸炎ビブリオなどの病原体もこのグループに含まれる。
ビブリオ (vibrio) という名称は、「振動する」を意味するラテン語 (vibro-) に由来し、本属の菌が水中で活発に泳ぎ回る様子に因んで名付けられたものである。
ビブリオ属の細菌は、通性嫌気性のグラム陰性桿菌で、近縁の腸内細菌科の細菌と同様、ブドウ糖を発酵する性質を持つ。その多くは耐塩性または好塩性で、またアルカリ性の環境を好む。
典型的なビブリオ属細菌は、菌体の片端に一本の鞭毛(単毛性の極鞭毛)を有する、コンマ状に湾曲した形態である。このような典型的なビブリオ属の代表としては、コレラ菌が挙げられる。極鞭毛は有鞘性で太く、ビブリオ属の細菌はこれをスクリューのように回転させることで、水中を活発に泳ぎ回る。典型的なビブリオ属の細菌では、菌体が0.5-1回転ほどねじれたらせん状になっており、これが本菌がコンマ状に見える理由である。このため、本菌は一般的には桿菌に分類されるが、場合によっては、らせん菌の一グループとして扱われることもある。
一方、ビブリオ属にはこのような典型的な特徴とは違った形態を示すものも含まれている。一部のビブリオ属細菌は、極鞭毛のほかに菌の周囲全体から伸びる鞭毛(周毛性鞭毛)を持つ。これらの周毛性鞭毛は、一般に細く、人工培地での培養を繰り返すうちに失われるものも多い。また一部のビブリオ属細菌は、コレラ菌のような湾曲を示さず、まっすぐな桿菌状の形態をとるものもある。こういった非典型的なものの代表としては、腸炎ビブリオが挙げられる。
一般に真正細菌において、そのゲノムは一個の環状DNAのみ(染色体数は1)からなるが、ビブリオ属の細菌は例外的に、大小2つの環状DNAをゲノムとして持つという特徴がある。一般に、染色体のサイズが小さい方が複製に必要な時間が短いことが知られており、ビブリオ属菌はゲノムを分割することで素早い複製を可能にし、これによって増殖速度を高めていると考えられている。
ビブリオ属細菌は、自然界では水中に多く生息する環境中の常在細菌である。耐塩性、好塩性の菌種が多いため、淡水のみならず、海水や汽水中などによく見られる。多くのものは、水中で、あるいは魚類などの水生生物の体表面や体内に感染して、またあるものは環境中でバイオフィルムを形成して、そこを生活の場として繁殖する。なかにはコレラ菌のように、動物(ヒト)に経口的に感染して、その腸管内で大量に増殖した後、宿主の排泄した物に混じって再び水中に戻ってくるものもある。
一部のビブリオ属菌は、ヒトに対する病原性を持っている。飲み水や菌の付着した魚介類を介して経口的に感染するの原因になるもののほか、汚染した水に浸かったときに傷口から感染(創傷感染)するものも存在する。ビブリオ属菌の感染症には、コレラや感染性胃腸炎(感染型食中毒)などの消化器感染症が多くみられるが、菌種によっては感染後に血中に移行して敗血症の原因になるものや、創傷感染による患部壊死を起こすものなども存在する。
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リンク元 | 「細菌」「食中毒菌」「Vibrio cholerae」「ビブリオ科」「Vibrio parahaemolyticus」 |
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科 | 属 | 種 | 法律 | 特徴 | 季節性 | 感染 | 毒素 | 症状 | 原因食品 | 潜伏期間 | 経過 | 治療 | 予防 | ||
感染型 | グラム陰性桿菌 | 腸内細菌科 | サルモネラ属 | 再興感染症 | 新生児・乳児での接触感染 | 菌体内毒素 | 下痢(粘液、水様で緑色)、嘔吐、腹痛、急激な発熱(38-40℃) | レバー刺身、生肉、焼き鳥、生卵、ハム、ソーセージ、魚肉練り製品、乳製品、あん | 6-48時間(平均12時間) | 1-3日 | 対症療法 | 加熱、二次感染の予防(ネズミ、ゴキブリの駆除) | |||
グラム陰性らせん菌 | カンピロバクター属 | Campylobacter jejuni | 初夏(5-6月) | まな板、包丁などによる2次感染 | 菌体内毒素 | 下痢(水樣、腐敗臭)、腹痛、嘔吐、発熱、まれに敗血症 | 肉類、生乳、水(家畜の屎尿による汚染) | 2-5日(まれに10日) | 1-2週間 | 対症療法、エリスロマイシン | 加熱、ペットからの感染予防 | ||||
Campylobacter coli | |||||||||||||||
グラム陰性桿菌 | 腸内細菌科 | サルモネラ属 | チフス菌 | ||||||||||||
グラム陰性桿菌 | 腸内細菌科 | サルモネラ属 | パラチフス菌 | ||||||||||||
グラム陰性桿菌 | 腸内細菌科 | シゲラ属 | 赤痢菌 | ||||||||||||
生体内毒素型 | グラム陰性桿菌 | ビブリオ科 | ビブリオ属 | コレラ菌 | |||||||||||
グラム陰性桿菌 | 腸内細菌科 | エシェリキア属 | 腸管出血性大腸菌 | 3種感染症 | 経口感染 | ベロ毒素 | 激しい腹痛を伴う頻回の水樣便、溶血性尿毒症候群や脳症の合併により重症化 | 加熱不足の牛肉の摂食(牛乳、フルーツ、汚染野菜) | 3-4日 | 75℃1分の加熱で菌は死滅する | |||||
グラム陰性桿菌 | ビブリオ科 | ビブリオ属 | 腸炎ビブリオ | 耐熱性毒素、好塩菌、真水、酸に弱い | 夏季 | 生板・包丁などによる二次感染。成年男子に多い | 激しい下痢(水様、粘血便)、上腹部激痛、発熱(-38℃) | 刺身、漬け物 | 10-20時間(平均13時間) | 2-3日 | 対症療法 | 加熱(60℃, 10分)、冷蔵(10℃以下)、水洗い。まな板、包丁の洗浄 | |||
グラム陽性桿菌 | クロストリジウム属 | ウェルシュ菌 | 土壌、水、ヒトおよび動物の腸管に常在、嫌気性菌、芽胞形成 | エンテロトキシン | 下痢、腹痛、吐き気 | 畜肉および魚肉とその加工品、動物性蛋白質を用いて調理後、長期保存されていた食品(カレー、シチューなど) | 8-22時間 | 肉類、魚介類の脹内容物からの汚染防止。長時間保存する場合、加熱調理後冷蔵庫内にて保存。再加熱を十分に行う。 | |||||||
毒素型 | グラム陽性桿菌 | バシラス属 | セレウス菌 | 芽胞形成、芽胞形態で自然に広く存在。食品腐敗変敗細菌 | エンテロトキシン | 嘔吐型: 吐き気、嘔吐 | 米飯、チャーハン、スパゲティ | 1-5時間 | 低温保存、長期保存を避ける | ||||||
下痢型: 下痢 | 食肉製品、スープ、プリン、野菜 | 8-12時間 | |||||||||||||
グラム陽性桿菌 | クロストリジウム属 | ボツリヌス菌 | 嫌気性細菌、致命率が高い。芽胞形成。 | ボツリヌス毒素(80℃, 数分で無毒化) | 悪心、吐き気、めまい、頭痛、腹痛、下痢。眼症状(眼瞼下垂、複視、視力低下、瞳孔散大)、神経・筋症状(言語障害、嚥下障害、呼吸困難) | 缶詰、瓶詰(魚、獣肉、野菜、果実)、いずし、ハム、ソーセージ、からしレンコン) | 12-36時間 | 抗毒素血清治療 | 野菜などの水洗い、魚の内臓による汚染を防ぐ | ||||||
グラム陽性球菌 | スタフィロコッカス属 | 黄色ブドウ球菌 | ヒト常在菌(皮膚、口腔、粘膜、鼻咽頭粘膜)。化膿傷、咽頭炎、ニキビ、風邪の症状時には病巣となる | 耐熱性エンテロトキシン | 激しい吐き気、嘔吐、腹痛、下痢 | おにぎり、柏餅、シュークリーム、生クリーム | 0.5-6時間 | 1-3日 | 化膿巣のある人を調理に従事させない。低温保持(5℃以下) |
起炎菌 | 潜伏期間 | 原因食 | 発熱 | 腹痛 | 嘔気・嘔吐 | 下痢 | その他 | |
感染性食中毒 | 腸炎ビブリオ | 5-24hr 平均10hr |
魚介類(加工品) 6-9月に多い |
++ | +++ | ++ | +++ | ショック 心筋障害 |
サルモネラ | 7-72hr 平均12-24hr |
肉、卵、サラダ | +++ | ++ | + | ++ | ショック 敗血症 | |
カンピロバクター | 2-5日 | 鶏肉、牛肉、牛乳 5-7月に多い |
++ | + | ++ | ++ | ||
病原性大腸菌 | 1-3日 平均24hr |
牛肉が多い | ++ | + | ++ | + | ||
毒素性食中毒 | ブドウ球菌 | 0.5-6hr 平均3hr |
乳製品、かまぼこ、氷小豆、 夏季に多い |
± | + | +++ | + | エンテロトキシンによるショック |
ボツリヌス菌 | 2hr-8日 | いずし、キャビア | - | + | + | ± | 神経症状 眼症状 |
first aid step1 2006 p.132,141,170
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