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前舌 | 前舌め | 中舌 | 後舌め | 後舌 | ||
狭 |
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広めの狭 | ||||||
半狭 | ||||||
中央 | ||||||
半広 | ||||||
狭めの広 | ||||||
広 |
母音(ぼいん、英: vowel)は、ことばを発音するときの音声の一種類。声帯のふるえを伴う有声音であり、ある程度の時間、声を保持する持続音である。舌、歯、唇または声門で息の通り道を、完全にも部分的にも、瞬間的にも閉鎖はせず、また息の通り道を狭くすることによる息の摩擦音を伴うこともない。
子音の対立概念であり、英語の vowel から V と略して表されることもある。
母音の音色を決定するのは舌の形と唇の形、顎の開閉度である。そこで調音音声学では、母音を分類する基準として、唇の丸み加減、舌の最上部の前後と舌の最上部の高低の位置が使われる。これらの状態によりIPAによって基本母音が定められている。ただし、これは物理的に舌の位置をはかったものではなく、聴覚印象上の音の距離によって決められたものである。
母音は、単独で、あるいはその前後に1個または複数の子音を伴って、一つの音節を構成する。
一つの母音の発声中に調音を変えるものを二重母音と呼ぶ。三種類の調音があるなら三重母音と呼ぶ。二重母音・三重母音はあくまで一つの母音であり一音節であるが、単なる母音の連続は複数の音節となる。
母音はその持続時間の長さの違いによって長母音と短母音に分けられる。言語のなかには長母音と短母音の区別により意味の弁別を行うものがある。日本語もその代表であり、長母音を含む音節を長音と呼んでいる。習慣的に長母音と呼ばれていても実際には長さが弁別的ではない場合がある。アメリカ英語の [i] と [ɪ] (bead [ˈbid], bid [ˈbɪd]) などがこれに当たる。なお英語では bead [ˈbiːd], beat [ˈbiˑtˑ] のように後続子音の発声の弁別にも用いられる。
鼻からも息を出す母音を鼻母音と呼ぶ。標準的な日本語ではこの音は音素としては存在しないが、実際の音では「雰囲気」、「陰影」など撥音(「ん」の音)の次に母音、半母音、摩擦音が続く場合、撥音が鼻母音化して、それぞれ [ɸɯɯ̃iki] または [ɸɯĩiki], [iĩeː] と発音される。[ĩ], [ɯ̃] は [i], [ɯ] に対応する鼻母音である。
調音器官の筋肉の緊張を伴うと考えられるか否かで母音を弁別することがある。前者を緊張音、後者を弛緩音と呼ぶ。しかし必ずしも筋肉の緊張があると証明されていない。
母音を調音する際に舌尖を反らせたり、舌を盛り上げたりすると、咽頭に狭めができてr音のような音色を備える。これをr音化といい、r音性の母音ができる。
舌、歯、唇または声門で口からの息の通り道を完全に、部分的にあるいは瞬間的に閉鎖せず、かつ、口腔内の上下の調音器官の間隔が狭い無摩擦の有声音を接近音といい、接近音は持続音として発する場合は狭母音として母音に含めるが、持続せずその構えからすぐに続けて別の母音を発する場合は、一般にその接近音を半母音として子音に含める。また、鼻音の[m]、[n]、[ŋ]や流音の[l]、[ɹ]などが音節性を持って母音のように用いられる言語もある。[h] を無声の母音とすることがある。
標準日本語の母音には、/a/, /i/, /u/, /e/, /o/ の5つが存在する。それぞれの一般に [a], [i], [ɯᵝ ][1], [e], [o] と発音される。五十音では、同じ母音を持つ仮名が、ひとつの段を構成する。しかし、方言においては、母音が5つとは限らない。
標準日本語の母音は、無声音として実現することがある。これを母音の無声化という。無声子音に挟まれた狭母音[i], [ɯ](「北」[ki̥ta]、「房」[ɸɯ̥sa])や、無声子音の後で文節末でピッチの低い狭母音[i], [ɯ](「秋」[aki̥]、「〜です」[desɯ̥])などの場合がある。但し、中部地方から中国地方にかけての方言においては、母音の無声化の起こらないものも少なくない。
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