- 英
- cosmic ray
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/30 06:15:11」(JST)
[Wiki ja表示]
宇宙線(うちゅうせん、英: Cosmic ray[1])は、宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線のことである[2]。主な成分は陽子であり、アルファ粒子、リチウム、ベリリウム、ホウ素、鉄などの原子核が含まれている[3]。地球にも常時飛来している。
目次
- 1 概要
- 2 発見
- 3 宇宙線による被曝
- 4 生成される娘核種例
- 5 宇宙線実験
- 6 参考文献
- 7 出典
- 8 脚注
- 9 関連項目
- 10 外部リンク
概要
宇宙線のほとんどは銀河系内を起源とし、超新星残骸などにより加速されていると考えられている。これらは、銀河磁場で銀河内に長時間閉じ込められるため、銀河内物質との衝突で破砕し、他の原子核に変化することがある。実際、Li、Be、B、Sc、Vなどの元素の存在比が、太陽系内のものと宇宙線中とで大きく異なることが知られている。このため、宇宙線の元素比や同位元素の存在比を測定することで、宇宙線の通過した物質量を推測することが出来る。
エネルギーの高い宇宙線の到来頻度は極端に低くなるが、そのエネルギースペクトルは冪関数 dI/dE∝E-α(α〜3)で近似できる。このため、宇宙線の加速は熱的なものではなく、星間磁気雲や衝撃波との衝突を繰り返すフェルミ加速のような機構が考えられる。
地球大気内に高エネルギーの宇宙線が入射した場合、空気シャワー現象が生じ、多くの二次粒子が発生する。寿命の短いものはすぐに崩壊するが、安定な粒子は地上で観測される。 このとき、大気中に入射する宇宙線を一次宇宙線、そこから発生した粒子を二次宇宙線と呼ぶ。 一次宇宙線の大部分は陽子をはじめとする荷電粒子である。それに対して、二次宇宙線は地上高度では大半がμ粒子である。
粒子加速器などで人間が作り出せるエネルギーは、重心系で最大1013 eVのオーダー(CERNで計画されているLHCが 1.4×1013 eV)であり、実験室系に換算しても、1017 eV程度である。 それに対し、宇宙線のエネルギーは実験室系で最大 1020 eVに達する。このため、宇宙線によって超高エネルギー領域での素粒子反応について重要な知見を得ることができる。 実際に、様々な新粒子が素粒子実験より先に宇宙線中から見つかった。
一般にはGZK限界を越えるエネルギーを持つ宇宙線(超高エネルギー宇宙線)は観測されないとされているが、その観測を目的とした実験計画(テレスコープアレイ実験)がある。
なお、宇宙線は半導体素子の誤作動や破損の原因にもなる。
発見
ビクター・フランツ・ヘスは、気球を用いた放射線の計測実験を1911年から1912年に行い、地球外から飛来する放射線を発見した。この業績により、彼は1936年にノーベル物理学賞を受賞している。
宇宙線による被曝
自然放射線#宇宙線によるものを参照のこと。
生成される娘核種例
宇宙線実験
- スーパーカミオカンデ
- カンガルー (物理学)
- テレスコープアレイ実験
- GRAPES-3
など
参考文献
- 住明正,平朝彦,鳥海光弘,松井孝典 『地球惑星科学2』 岩波書店、2010年。ISBN 978-4-00-006992-2。
- 名越智恵子,仲澤和馬,河合聡 『放射線とは何か』 丸善出版、2011年。ISBN 978-4-621-08421-2。
- 宇宙線陽子の生成源を特定 ―フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡による成果を「サイエンス」誌に発表―(2013年2月15日 JAXAプレスリリース)
- JAXAなど、宇宙線陽子が超新星残骸から生成されることを確認(2013年2月15日 マイナビニュース)
出典
- 宇宙線てなあに (PDF) 名古屋大学 太陽地球環境研究所
- 宇宙線の発見 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 宇宙放射線の起源 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 宇宙放射線の種類 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 宇宙放射線の計測 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 宇宙放射線のによる年間被ばく (原子力百科事典 ATOMICA)
- 宇宙放射線の影響研究と意義 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 宇宙放射線の影響研究の現状 (原子力百科事典 ATOMICA)
- 宇宙線を目で見る装置「スパークチェンバー」 (原子力百科事典 ATOMICA)
脚注
- ^ ATOMICA「宇宙線」
- ^ 名越 2011 p.3
- ^ 住 2010 p.177
関連項目
|
ウィキメディア・コモンズには、宇宙線に関連するカテゴリがあります。 |
|
ウィキメディア・コモンズには、宇宙線に関連するカテゴリがあります。 |
- 高エネルギー荷電粒子
- 銀河宇宙線
- 太陽エネルギー粒子線
- ニュートリノ天文学
- 空気シャワー
- 霧箱
- スベンスマルク効果
外部リンク
放射線(物理学と健康) |
|
単位 |
放射線量の単位 - 放射能の単位
|
|
測定 |
放射線・放射能計測機器
|
|
放射線の種類 |
電磁放射線(X線 - ガンマ線)- 粒子放射線(アルファ線 - ベータ線 - 中性子線 - 陽子線)
|
|
物質との相互作用 |
各放射線と物質との相互作用
|
|
放射線と健康 |
基本概念
|
放射線生物学 - 放射線医学 - 放射線被曝 - 保健物理学
|
|
放射線の利用
|
放射線源 - 放射線療法(レントゲン(X線撮影)- ポジトロン断層法 (PET) - コンピュータ断層撮影(CTスキャン))- 後方散乱X線検査装置 - 食品照射 - 原子力電池
|
|
法律・資格
|
放射線管理区域 - 放射線管理手帳 - 放射線取扱主任者 - 技術士原子力・放射線部門 - 原子炉主任技術者 - 核燃料取扱主任者 - エックス線作業主任者 - ガンマ線透過写真撮影作業主任者 - 日本の原子力関連法規
|
|
放射線と健康影響
|
放射線障害 - 放射線の健康影響
|
|
放射能被害
|
放射能汚染 - 核実験の一覧 - 原子力事故 - 原子力事故の一覧
|
|
関連人物
|
放射線研究者
|
|
関連団体
|
日本の原子力関連組織 - 原子力関連の国際組織
|
|
関連用語、その他
|
放射線量 - 放射能 - 放射性物質 - 放射性降下物
|
|
|
Category:放射線
|
|
宇宙飛行 |
|
主要項目 |
歴史(英語版)(競争、事故) · 軌道力学
|
|
|
応用 |
地球観測衛星(偵察衛星、気象衛星) · 宇宙開発 · 宇宙旅行 · 衛星測位システム · 宇宙建築(英語版) · 宇宙移民
|
|
有人宇宙飛行 |
主要項目
|
宇宙飛行士 · 生命維持装置
|
|
危険性
|
無重量状態(宇宙酔い) · 宇宙線
|
|
主な計画
|
ボストーク · マーキュリー · ボスホート · ジェミニ · ソユーズ · アポロ · スペースシャトル · 神舟 · ミール · ISS · コンステレーション
|
|
その他
|
宇宙遊泳
|
|
|
宇宙機/宇宙船 |
スペースシャトル · 無人宇宙船(英語版) · 宇宙機の推進方法 · スペースプレーン
|
|
目的 |
弾道 · 軌道(英語版)(対地同期軌道、地球周回軌道) · 惑星間 · 恒星間航行 · 銀河間航行
|
|
打ち上げ |
ローンチ・ヴィークル · 使い捨て · 再利用 · 宇宙速度 · 直接上昇(英語版) · 非ロケット式宇宙到達 · 射場 · 発射台
|
|
主な機関 |
ESA · NASA · RKA · CNES · CNSA · ISRO · JAXA
|
|
その他 |
民間宇宙飛行 · 宇宙天気予報 · ラグランジュ点 · 宇宙空間と生存(英語版)
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 「すざく」で見た宇宙線加速源 (「すざく」10周年記念特集(2))
- 特別記事 : ノーベル物理学賞2015受賞決定 宇宙線研究所長 梶田 隆章 教授
- 研究奨励賞 X線・ガンマ線観測で明らかにする超新星残骸における宇宙線加速
Related Links
- 代表的な宇宙線検出器は、地表の広範囲に配置された多数の検出器で空気シャワーをとらえる地表宇宙線実験で、その痕跡から一次宇宙線のエネルギーや化学組成を再構築します。目的によりいくつかの種類があります。
- 2014.07.08: 【記者会見】「宇宙の最高エネルギー粒子生成源へ手がかり」 ―最高エネルギー宇宙線のホットスポットの兆候― [お知らせ] 2014.07.04: 【記者会見及び見学会】「大型低温重力波望遠鏡・KAGRAのトンネル完成」 [お知らせ]
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- universe、space、cosmic
- 関
- 腔、スペース、分野、余地、領域、空間
[★]
- 英
- line、string
- 関
- 裏打ち、系統、弦、紐、ライン