出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/08/07 22:27:46」(JST)
顕生代 | 新生代 | 第四紀 |
新第三紀 | ||
古第三紀 | ||
中生代 | 白亜紀 | |
ジュラ紀 | ||
三畳紀 | ||
古生代 | ペルム紀 | |
石炭紀 | ||
デボン紀 | ||
シルル紀 | ||
オルドビス紀 | ||
カンブリア紀 | ||
原生代 | ||
始生代 | ||
冥王代 |
白亜紀(はくあき、白堊紀、Cretaceous period)とは、地球の地質時代の一つで、約1億4500万年前から6600万年前[1]を指す。この時代は,ジュラ紀に続く時代であり中生代の終わりの時代でもある。次の時代は、新生代古第三紀の暁新世である。
白堊の堊(アク; アと読むのは慣習)は粘土質な土、すなわち石灰岩のことであり、石灰岩の地層から設定された地質年代のため白堊紀の名がついた。白堊を白亜とするのは常用漢字表にないからで、亜(亞)には土の意味は無い。
白亜紀は,温暖な気候と高海水準とで特徴付けられる時代である。他の地質時代と同様に白亜紀の開始と終了との地層には際立った特徴があるものの、正確な年代については、数百万年程度の誤差が見受けられる。白亜紀の終わりを示すK-T境界においては、イリジウムが大量に含まれた粘土層が世界中に見つかっている。これは、6,568万年前にユカタン半島及びメキシコ湾にある巨大なチクシュルーブ・クレーターを作った隕石の衝突によってその破片が地上に降り積もった物と考えられている。この隕石の落下が引き起こした気候変動が、白亜紀末の大量絶滅に関係しているという学説は、現在では地質学者、古生物学者等の間で広く支持されている。
白亜紀は、次のとおりの12の時代に分けられている。 うち、アルビアンまでを前期、セノマニアン以降を後期とする。
周辺の時代 | ||||
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新生代 | 第四紀 | |||
新第三紀 | ||||
古第三紀 | 漸新世 | |||
始新世 | ||||
暁新世 | ||||
中生代 | 白亜紀 | マーストリヒチアン | 7210万年 - 6600万年前 | |
カンパニアン | 8360万年 - 7210万年前 | |||
サントニアン | 8630万年 - 8360万年前 | |||
コニアシアン | 8980万年 - 8630万年前 | |||
チューロニアン | 9390万年 - 8980万年前 | |||
セノマニアン | 1億50万年 - 9390万年前 | |||
アルビアン | 1億1300万年 - 1億50万年 | |||
アプチアン(英語版) | 1億2500万年 - 1億1300万年前 | |||
バレミアン | 1億2940万年 - 1億2500万年前 | |||
オーテリビアン | 1億3290万年 - 1億2940万年前 | |||
バランギニアン | 1億3980万年 - 1億3290万年前 | |||
ベリアシアン | 1億4500万年 - 1億3980万年前 | |||
ジュラ紀 | ||||
三畳紀 | ||||
古生代 |
ジュラ紀から白亜紀の境目に大きな絶滅などはなく、白亜紀も長期にわたり温暖で湿潤な気候が続いた。前期白亜紀において、一時的な寒冷化が見られるものの、同時期の表層海水温に関する研究では、低緯度地域で32 ℃、中緯度地域で26 ℃と現在より高い海水温で安定していたことがわかっている[2]。末期には気候帯が現われ、植物相にも変化が見られた。
植物は、主流であった原始的な裸子植物やシダなどが減少し、被子植物が主流となって進化、繁栄を遂げた。スギなどの針葉樹は現代と同じ形まで進化し、イチジク、スズカケノキ、モクレンなどが現在とほぼ同じ形となった。
白亜紀は,超大陸パンゲアの分裂が一層進んだが、これによって地理的な隔離が起きたため、陸上の生物の多様性を更に高めることとなった。地上の動物は、恐竜やワニなどの爬虫類が支配的地位を占め、ジュラ紀に続いて全盛期であった。地上、海洋及び空を含め多種多様な進化を遂げている。白亜紀前期まではジュラ紀に栄えた恐竜の系統も依然健在であったが、白亜紀後期においては、その多くは姿を消した(広義のアロサウルス類、広義のディプロドクス類、ステゴサウルス類など)。代わってジュラ紀にはあまり目立たなかった系統の恐竜が新たな進化を遂げ、放散することになる。白亜紀後期の恐竜及び翼竜の代表的な種は、ティラノサウルス、トリケラトプス、プテラノドンなどが知られる。しかし白亜紀末期に他の多くの生物と共に恐竜は衰退し、最終的に現生鳥類を除いて絶滅する(後述)。また、翼竜類においては特に翼指竜亜目が白亜紀前期に多様化のピークを迎えていたが(翼竜の中でも嘴口竜亜目は前期を最後に姿を消した)、白亜紀後期には鳥類の発展と対照的に中・小型の翼竜類が衰え、プテラノドンやケツァルコアトルスなど大型種だけが残る状況となっていた。有鱗目 においてヘビ類が地中性又は水中性のトカゲ類から進化したのも、白亜紀であるとされる。
哺乳類は、この時代に形態を大きく進化させ、胎生を持つようになり、また、有袋類及び有胎盤類への分化を遂げた。中には恐竜の幼体を襲っていた種もある。ただし、それらの形態は、小さな形の種にとどまっていたものが多い。有胎盤類は、白亜紀後期には既に多くの系統へと分岐していたようである。
前時代に恐竜から分岐した鳥類では、この時代に真鳥類が出現している。しかし、大勢を占めたのは,古鳥類(英語版)であり、陸上性では孔子鳥、エナンティオルニス類 (反鳥類、Enantiornithes) などが繁栄した。なお、海鳥では、真鳥類のヘスペロルニス、イクチオルニスなどが栄えた。しかし、白亜紀に全盛を迎えたこれらの鳥類の集団は、白亜紀末期にほとんどが絶滅した。この時期に現生鳥類の直系の祖先も出現している。多くの目は、白亜紀後期には分化していたようだ。
海洋では1億2000万年前に現在のオントンジャワ海台を形成した大規模な海底火山噴火が南太平洋で発生した。魚竜、海生ワニ類、大型のプリオサウルス類(首長竜の一群)が絶滅したのは、この影響ともされる。代わってモササウルス類、エラスモサウルス類をはじめとする首長竜などが繁栄した。軟骨魚類では現在見られる型のエイ及びサメ、硬骨魚類ではニシン類が現れ、軟体動物では狭義のアンモナイトなどが進化を遂げた。
ジュラ紀中期に誕生した浮遊性有孔虫、及びココリスなどのナンノプランクトンは、この時期に生息域を大きく拡大させ、その遺骸は白亜紀の名称の元となった石灰岩層を形成した。
詳細は「K-T境界」を参照
地上・空・海で繁栄していた爬虫類も、白亜紀の末には減り始めた。
白亜紀末には、地球史の上で5回目の、規模としては古生代ペルム紀末期の大絶滅(P-T境界)に次ぐ大規模な絶滅が起きた(K-T境界)。この大量絶滅では、陸上生物の約50%、海洋生物の約75%[3][4]、生物全体で約70%が絶滅した[5]と考えられている。哺乳類・爬虫類・鳥類の多くが絶滅し、特に恐竜は(現生種につながる真鳥類を除いて)全てが絶滅した。また、海洋においても、カメ、カンプソサウルス(チャンプソサウルス)類以外の全ての海棲爬虫類、全てのアンモナイト類が絶滅している。しかし、アメリカで、この大量絶滅から70万年後とされる地層からアラモサウルスの化石が発見され、議論を呼んでいる。この発見は、カナダのアルバータ大学などの研究により確認され、論文がアメリカ地質学協会の専門誌に掲載された[6]。
現在では絶滅の直接の原因は隕石(小惑星)の衝突によるものであるという説が広く知られており、2010年3月5日には12ヶ国の研究機関による研究チームが同説が絶滅の直接の原因であると結論づけた [7]。ただし、それ以外の説も依然として存在する[8]。
白亜紀の終わりにかけて、パンゲア大陸は完全に分かれ、配置は異なるものの現在ある大陸と同じ構成になった。ローラシア大陸は北アメリカとヨーロッパとに分かれて大西洋が広がり、ゴンドワナ大陸は南極大陸、オーストラリア大陸、アフリカ大陸、南アメリカ大陸に分割された。インド及びマダガスカルは,まだアフリカと陸続きであったが末期には分裂し島大陸となっていた。北アメリカ大陸に食い込むようにして形成されていた浅い海は石炭層に挟まれて陸地となり、海の堆積物を多く残した。この他で重要な白亜紀の地層の露出は,中国とヨーロッパとで見られる。また、インドのデカントラップにある大量の溶岩の地層は、白亜紀から暁新世にかけて形成されたものであることがわかっている。
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