- 英
- palindrome
- 関
- 回文構造、パリンドローム
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- a word or phrase that reads the same backward as forward
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- 回文(前後どちらから読んでも同一に読める語・句・文)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/08/15 01:13:47」(JST)
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回文(かいぶん)とは、始めから(通常通り)読んだ場合と終わりから(通常と逆に)読んだ場合とで文字や音節の出現する順番が変わらず、なおかつ、言語としてある程度意味が通る文字列のことで、言葉遊びの一種である。英語では palindrome という。
目次
- 1 概要
- 2 回文的な作品
- 2.1 回文的音楽
- 2.2 回文的な文章
- 2.3 回文的な和歌・俳句
- 3 生物学における“回文”
- 4 回文を題材にした作品
- 4.1 書籍
- 4.2 雑誌・番組内のコーナー
- 4.3 楽曲
- 4.4 コマーシャル
- 4.5 キャラクター
- 5 脚注
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
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概要
西暦79年にヴェスヴィオ火山の噴火によって滅亡したヘルクラネウムの街の遺跡に「Sator Arepo Tenet Opera Rotas」という回文が刻まれている事から、回文の起源は少なくとも西暦79年またはそれ以前まで遡る事ができる。英語では「Madam, I'm Adam」(マダム、私はアダムです)のような例が知られている。日本でも「磨かぬ鏡」「竹藪焼けた」など、言葉遊びとして古くからいくつもの例があり、小瀬渺美は安政期に新潟の俳人が刊行した回文俳諧集を挙げて、当時から日本で回文の文化が普及していた可能性を指摘している[1]。
著名な古典的回文として以下のものがある。いずれも五七五七七の短歌律形式をとっている。
- 長き夜の 遠の睡りの 皆目醒め 波乗り船の 音の良きかな
- むら草に くさの名はもし 具はらは なそしも花の 咲くに咲くらむ[2]
- 惜しめとも ついにいつもと 行春は 悔ゆともついに いつもとめしを[2]
回文は前読んでも後ろから読んでも意味が同じものだが、これに対し「gateman」(後ろから読むと「nametag」)のように前から読んだ場合と後ろから読んだ場合で意味が変わるものをsemordnilap(シモードニラップ)と呼ぶ。これはpalindromes(=回文)を後ろから読んで作られた造語で、「semordnilap」という単語自身がsemordnilapの例になっている。この言葉は論理学者のDmitri A. Borgmannによって作られたとされている。
日本語回文のルールとして、濁音、半濁音、促音、拗音は清音と同一として考えることが多い。すなわち、「は行」と「ば行」と「ぱ行」、「つ」と「っ」、「や」と「ゃ」などは逆から読んだ際に発音が入れ替わっても問題はない。ただし、回文作家の中にはこれを嫌い、発音まで完全に回文にすることにこだわる者もいる。
日本語の回文といえばふつう、かな表記の回文をさす。ローマ字表記日本語の回文については、高木茂男 (1976). 数学遊園地. 講談社. ISBN 9784061178915. [3]に例が見える。漢字表記では日本語の文章として成立しないので、単語(特に固有名詞)で回文とみなすこともある。
1661年(寛文元年)に刊行された『紙屋川水車集』には以下の41文字の回文があり、最長の日本語回文とされていた。現在では1000文字以上の回文も作られている。
- はれけき先の日 あのつま香をもとめむ 色白い梅(むめ)ども 岡松のあひのき 咲きければ
回文的な作品
回文的音楽
蟹行カノンは、音譜を前から読んだものと後ろから読んだものとを同時に演奏するものである。J.S.バッハの「音楽の捧げもの」にその例がある。
ハイドンの交響曲47番『パリンドローム』の第3楽章は、逆から呼んでも同じ楽譜になる。
回文的な文章
ダグラス・ホフスタッターはそれにちなんで著書『ゲーデル、エッシャー、バッハ』の中で回文的な会話からなる作品を作っている。亀とアキレスの会話が続き、途中で蟹がひと喋りして出て行くが、その後の会話が前半のアキレスと亀の立場を変えて逆にたどるように構成されている。
回文的な和歌・俳句
幕末の仙台に一千句以上の回文的な和歌・俳諧を創作した廻文師・仙代庵(細屋勘左衛門・1796年-1869年)がいる。
- わが身かも長閑かな門の最上川(わかみかものとかなかとのもかみかわ)
- 題目よどんどこどんとよく燃いた(たいもくよとんとことんとよくもいた)
- 長し短かししかし短かな(なかしみしかししかしみしかな)
- みな草の名は百と知れ、薬なり、すぐれし徳は花の作並(みなくさのなははくとしれくすりなりすくれしとくははなのさくなみ)
- 頼むぞのいかにも二階のぞむのだ(たのむそのいかにもにかいのそむのた)
- 嵯峨の名は宿りたりとや花の笠(さかのなはやとりたりとやはなのかさ)
- はかなの世しばしよしばし世の中は(はかなのよしはしよしはしよのなかは)
生物学における“回文”
分子生物学でも回文またはパリンドロームという用語を用いる。これはDNAまたはRNAの配列に関して、二重鎖の一方を読んだ場合と、もう一方(相補鎖)を逆向きに読んだ場合が同じになる構造をいう。制限酵素で切られるターゲット配列はたいてい小規模の回文構造である。また大規模な回文構造はヘアピン状の立体構造をとりうるが、これは遺伝子の調節配列などに多くの例がみられる。
回文を題材にした作品
書籍
- 『土屋耕一回文集—軽い機敏な仔猫何匹いるか—』 土屋耕一(誠文堂新光社 1971年)
- 『つつみがみっつ』 土屋耕一(福音館書店こどものとも 1975年)
- 『笑いの氾濫 巷に息吹く洒落精神』 乙田東洋司(関西市民書房 1981年)
- 『笑学強加書―ことばあそびばらいえてい』 日本笑学指導院笑鬼会本院冗皇・乙田東洋司(社会思想社 1984年)
- 『ことばあそび新文―ユーモア&クレージーニューズ』 笑鬼会本院・乙田東洋司(社会思想社 1986年)
- 『にわのわに』多田ヒロシ(こぐま社 1985年)
- 『まさかさかさま 動物回文集』 石津ちひろ(河出書房新社 1989年)
- 『またたび浴びたタマ』 村上春樹(文藝春秋 2000年)
- 『回文の国へようこそ』坂崎千春(中公文庫 2003年)
- 『ダンスがすんだ』フジモトマサル(新潮社 2004年)
- 『喜劇悲奇劇』 泡坂妻夫
- 『喜劇ひく悲奇劇』 鯨統一郎
- 『ゲームの国(リリおばさんの事件簿1)』 森博嗣
- 『終わりは始まり』 中村航・フジモトマサル(集英社 2008年)
- 『いつも心に好奇心!』 はやみねかおる・松原秀行(講談社 2000年)
- 『みんなでグルグル回文あそび』全三巻 ながたみかこ(汐文社 2008年)
- 『めざせ!回文の達人』 ながたみかこ(大泉書店 2007年)
- 『アニマルマニア』 ながたみかこ(講談社 2003年)
雑誌・番組内のコーナー
- 『笑いの文化人講座』
- 『ターン鳥チキン』 田中れいな・久住小春 (「ハロー!モーニング。」内コーナー: 2005年11月27日~2006年4月9日)
- 『おもしろ回文集「野茂のものは野茂のもの」』 (斉藤洋美のラジオはアメリカン)
- 『ジュニアエラ』回文ちゃれんじ道場
- 『弘兼憲史の回文塾』(週刊ポスト)
楽曲
- 『回文 21 面相』作詞:ビーンズ豆田、作曲:鈴木由花、歌:山崎清介(フジテレビ『ひらけ!ポンキッキ』より)
- 『ん?バナナのななばん』作詞:里乃塚玲央、作曲:大森俊之 (NHK『うたっておどろんぱ』より)
- 『トマト』作詞:荘司武、作曲:大中恩:トマトが回文になっていることをあつかった歌。
- 『こたつたこ』作詞・作曲:内野真澄 (NHK『ピタゴラスイッチ』より)
- 『世迷い言』作詞:阿久悠、作曲:中島みゆき
- 『恋の呪文はスキトキメキトキス』作詞:康珍化、作曲:小林泉美、歌:伊藤さやか(フジテレビ『さすがの猿飛』オープニングテーマ)
コマーシャル
- 山本山のコマーシャル:山本山が漢字の配列で回文になっている点を取り上げている。
キャラクター
- キリンリキ ポケットモンスター
- サルサルサ ライブオン
- トンマノマントタイムパトロール隊オタスケマン
脚注
- ^ 小瀬渺美「<実践記録>翻刻と紹介「廻文之俳諧」」聖徳学園岐阜教育大学国語国文学第17集、1998年
- ^ a b 『日本歌学大系第4巻』(佐佐木信綱編、昭和31年1月15日・風間書房発行)より
- ^ 「Ura ni naru」(裏になる)を「URAN×I=NARU」という覆面算にして解く例が、第II章にある。
関連項目
- 回文数
- 12月21日(回文の日)
- アナグラム
- 山内あゆ(色気を含んだ回文作りを得意とするアナウンサー)
- レム色(自作回文のお笑い芸人)
- 土屋耕一 (「軽い機敏な子猫何匹いるか」など回文集の著作があるコピーライター)
- ながたみかこ(「アニマルマニア」「回文ゲーム」他、回文集の著作がある作家)
外部リンク
- 中村航・フジモトマサル回文連載「終わりは始まりII」(集英社WEB文芸レンザブロー)
- ヒマラヤ山系の回文のページ
- 世界最長回文(日本語、かな1197文字。清濁区別なし)
- 非魔神流こじつけ回文(日本語、かな1339文字。清濁区別あり)
- 回文ユンブイカ(日本語、かな1551文字。清濁区別あり)
- 日本一長い回文(日本語、かな3733文字。清濁区別なし)
- A 17,259 word Palindrome(英語、17259語)
- THE LONGEST ONE(ポーランド語、33000字以上)
- 回文21面相(回文ポータルサイト)
Japanese Journal
- 根源へ : 草舟立言(第18回)文学について(後篇)
- 根源へ : 草舟立言(第17回)文学について(前篇)
- 阿川佐和子のこの人に会いたい(第956回)(文化功労者は)大きな声じゃ言えないけど、年齢制限まで来ちゃったということでしょう。 画家 安野光雅
Related Links
- 1999年9月15日 ... 回文(かいぶん)っていうのは、前から読んでも後ろから読んでも同音の文章のことや ねん。「しんぶんし」「たけやぶやけた」っていうのやけど、昔から人気があって、執念 燃やして、えらい長いのを考えてる人もいてはります。(ここでの回文は ...
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