ジダノシン
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Japanese Journal
- 核酸系逆転写酵素阻害薬ジダノシン(ヴァイデックス)の薬理作用と臨床効果
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ヴァイデックスECカプセル125
組成
- ヴァイデックスECカプセル125は1カプセル中 ジダノシン 125mgを含有する。
- なお,添加物としてデンプングリコール酸ナトリウム,カルメロースナトリウム,メタクリル酸コポリマーLD,ラウリル硫酸ナトリウム,ポリソルベート80,フタル酸ジエチル,水酸化ナトリウム及びタルク,また,カプセル本体にゼラチン及びラウリル硫酸ナトリウムを含有する。
禁忌
- 膵炎の患者[膵炎を増悪させることがある。]
- 本剤に対する過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 無症候性HIV感染症に関する治療開始の指標はCD4リンパ球数500/mm3以下若しくは血漿中HIV RNA量5,000copies/mL(RT-PCR法)以上との国際的な勧告がある。従って,本剤の使用にあたっては,CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ,薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので,本剤は他の抗HIV薬との併用を考慮すること。
- 通常成人には,ジダノシンとして以下の用量を1日1回食間に経口投与する。
- 体重60kg以上:400mg
体重60kg未満:250mg
- なお,症状により適宜増減する。
- カプセル剤は食事の影響により吸収率が約20%低下するので,必ず食間に投与すること。
- カプセル剤には,腸溶性コーティングされた顆粒が入っているので,かまずに服用すること。
- 本剤投与中,膵炎が認められた場合は,投与を中止すること。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において,因果関係が特定できない重篤な副作用が発現し,治療の継続が困難であると判断された場合には,原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
- カプセル剤の1日2回以上投与での有効性及び安全性は確立していない。
慎重投与
- 膵炎の既往歴のある患者[再発することがある。]
- 末梢神経障害又はその既往歴のある患者[症状を増悪又は再発させることがあるので,減量,休薬若しくは中止を考慮すること。]
- *腎障害のある患者[腎障害のある患者では,本剤の消失半減期が延長し,副作用が強くあらわれるおそれがあるので,以下の表を参考にして投与量を調節するなど慎重に投与すること。]
腎障害患者に対するカプセル剤投与量の目安〉
クレアチニンクリアランス(mL/分):投与量(ジダノシンとして)・投与回数
体重60kg以上
- ≧60:400mg・1日1回
30〜59:200mg・1日1回
10〜29:125mg・1日1回
<10:125mg・1日1回
体重60kg未満
- ≧60:250mg・1日1回
30〜59:125mg・1日1回
10〜29:125mg・1日1回
<10:※
※:重篤な腎障害(クレアチニンクリアランス<10mL/分)のある体重60kg未満の患者には本剤の投与は適さないため,他の治療法を用いること。
血液透析を受けている患者には,血液透析終了後に投与すること。血液透析により投与量を追加する必要はない。
重大な副作用
膵炎(頻度不明):
- 膵炎があらわれることがあるので,血清アミラーゼ,血清リパーゼ,トリグリセライド等の生化学的検査を定期的に行うこと。これらの検査値の上昇がみられた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
乳酸アシドーシス(0.2%):
- 乳酸アシドーシスがあらわれることがあるので,このような場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝障害,門脈圧亢進症(非肝硬変性も含む):
- 重度の脂肪肝を伴う肝腫,重篤な肝障害(0.5%),門脈圧亢進症(非肝硬変性も含む)(頻度不明)があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
網膜色素脱失・視神経炎(頻度不明):
- 網膜色素脱失・視神経炎があらわれることがあるので,このような場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
発作・痙攣(0.2%),錯乱(頻度不明):
ミオパシー(頻度不明):
- ミオパシーがあらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
低換気症(頻度不明):
- 低換気症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー様反応(頻度不明):
- アナフィラキシー様反応があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明):
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので,このような場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性腎不全(頻度不明):
- 急性腎不全があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
汎血球減少症(0.2%):
- 汎血球減少症があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
横紋筋融解(頻度不明):
- 横紋筋融解があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
脳血管障害・脳出血(頻度不明):
- 脳血管障害・脳出血があらわれることがあるので,このような場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序8),9)
- ジダノシンは天然ヌクレオシドであるデオキシアデノシンの3位水酸基を水素に置換した合成ヌクレオシド誘導体である。細胞内において細胞性酵素により活性代謝物のジデオキシアデノシン5-三リン酸に変換される。ジデオキシアデノシン5-三リン酸は,天然基質のデオキシアデノシン5-三リン酸との競合により,またウイルスDNAに取り込まれることによりウイルスDNA鎖の伸長を停止させ,HIV-1の逆転写酵素活性を阻害する。
細胞培養アッセイにおける抗ウイルス活性10)
- 各種HIV-1感染リンパ芽球性細胞及び単球/マクロファージ細胞を用いて,ジダノシンの抗HIV-1活性を検討した。その結果,ジダノシンのウイルス複製の50%阻害濃度(EC50値)は,リンパ芽球性細胞で2.5〜10μM及び単球/マクロファージ細胞で0.01〜0.1μMであった(1μMは0.24μg/mLに相当)。
耐性10)
- ジダノシンに対して低感受性のHIV-1分離株がin vitroで選択されたほか,ジダノシン投与患者からも分離されている。ジダノシン投与患者の分離株の解析では,アミノ酸をコードしている遺伝子の点突然変異による,逆転写酵素の65番目のアミノ酸がリジンからアルギニンへ,74番目のアミノ酸がロイシンからバリンへ,また184番目のアミノ酸のメチオニンからバリンへの置換が確認された。臨床分離株では74番目のアミノ酸のロイシンからバリンへの置換が最も頻回に観察された。ジダノシンを6〜24カ月単独投与した患者60例(ジドブジンの投与を受けたことのある患者を含む)から採取したジダノシン誘発突然変異をもつHIV-1分離株のジダノシンに対する感受性をin vitroで検討した結果,感受性が1/10に低下した患者が10例観察された。ジダノシン感受性の低下した臨床分離株は,1つ若しくはそれ以上のジダノシン耐性関連の置換を有していた。
交差耐性10)
- 2年以上にわたりジダノシンとジドブジンの併用療法を受けた患者39例中2例から分離されたHIV-1分離株の感受性をin vitroで検討した結果,ジドブジン,ジダノシン,ザルシタビン,サニルブジン及びラミブジンに対して感受性が低下していた。(交差耐性を示した。)これらの分離株の解析では,アミノ酸をコードしている遺伝子の点突然変異による,逆転写酵素の62番目のアミノ酸がアラニンからバリンへ,75番目のアミノ酸がバリンからイソロイシンへ,77番目のアミノ酸がフェニルアラニンからロイシンへ,116番目のアミノ酸がフェニルアラニンからチロシンへ,また151番目のアミノ酸がグルタミンからメチオニンへと5ヵ所の置換が確認された。臨床試験の結果より,チミジン誘導体によるアミノ酸置換(41番目のメチオニンがロイシン,67番目のアスパラギン酸がアスパラギン,210番目のロイシンがトリプトファン,215番目のスレオニンがチロシン,219番目のリジンがグルタミン)が存在する場合にはジダノシンに対する感受性が低下することが示された。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
化学名:
分子式:
分子量:
- 236.23
- ジダノシンは白色〜微黄白色の結晶性の粉末である。水にやや溶けにくく,エタノール(95)に極めて溶けにくい。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- didanosine,
- 同
- ジデオキシイノシン dideoxyinosine ddI
- 商
- ヴァイデックス Videx
- 関
- 核酸系逆転写酵素阻害薬