アンプレナビル
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Japanese Journal
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
レクシヴァ錠700
組成
成分・含量
- 1錠中にホスアンプレナビルカルシウム水和物をホスアンプレナビルとして700mg含有する。
添加物
- 結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、ヒプロメロース、酸化チタン、トリアセチン、三二酸化鉄
禁忌
- 本剤の成分あるいはアンプレナビルに対して過敏症の既往歴のある患者
- 重度の肝障害患者[肝臓の代謝機能の低下により、本剤の活性代謝物であるアンプレナビルの高い血中濃度が持続するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。]
- 肝代謝酵素チトクロームP450(CYP)3A4で代謝される薬剤で治療域が狭い薬剤(ベプリジル塩酸塩水和物、シサプリド、ピモジド、トリアゾラム、ミダゾラム、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン等)を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- バルデナフィル塩酸塩水和物を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- リファンピシンを投与中の患者[「相互作用」及び「薬物動態」の項参照]
効能または効果
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、他の抗HIV薬と併用すること。
- 無症候性HIV感染症に関する治療開始については、CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって、本剤の使用にあたっては、患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドライン1)〜3)を確認すること。
- 通常、成人には以下の用法・用量に従い経口投与する。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
抗HIV薬の治療経験がない患者
- ・ホスアンプレナビルとして1回700mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日2回併用投与
- ・ホスアンプレナビルとして1回1400mgとリトナビル1回100mg又は200mgをそれぞれ1日1回併用投与
- ・ホスアンプレナビルとして1回1400mgを1日2回投与
HIVプロテアーゼ阻害剤の投与経験がある患者
- ・ホスアンプレナビルとして1回700mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日2回併用投与
- HIVプロテアーゼ阻害剤投与経験のある患者に対する本剤及びリトナビル1日1回併用投与は推奨されない。
- 抗HIV薬の治療経験がない患者でリトナビルの投与が困難な患者に対しては、リトナビルと併用しない用法・用量(ホスアンプレナビルとして1回1400mgを1日2回)の適用を考慮すること。
- ホスアンプレナビルとリトナビルの併用投与において、「用法・用量」で定められた用量よりも高用量の投与により、AST(GOT)、ALT(GPT)が上昇する可能性があるため、「用法・用量」で定められた用量を超えて投与しないこと。
- 軽度又は中等度の肝機能障害患者に対し、本剤を投与する場合には、以下の用法・用量にて注意して投与すること。
軽度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類の合計点数:5〜6)
- ・ホスアンプレナビルとして1回700mgを1日2回投与
- ・ホスアンプレナビルとして1回700mgを1日2回とリトナビル1回100mgを1日1回併用投与
中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類の合計点数:7〜9)
- ・ホスアンプレナビルとして1回700mgを1日2回投与
- (「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定されない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
慎重投与
- 肝機能障害のある患者[肝臓の代謝機能の低下により、高い血中濃度が持続するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。また、肝炎の患者ではトランスアミナーゼが上昇する危険性があるため、本剤治療前及び治療中は定期的に臨床検査を実施すること。]
- 血友病患者[HIVプロテアーゼ阻害剤で治療中の血友病患者において、皮下血腫、出血性関節症等の出血事象の増加がみられたとの報告がある(「副作用」の項参照)。]
- スルホンアミド系薬剤に過敏症の既往歴のある患者[本剤はスルホンアミド基を有するため、交叉過敏症があらわれる可能性がある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
- Stevens-Johnson症候群等の重度又は生命に危険を及ぼすような発疹があらわれたとの報告がある(1%未満)。重度の発疹、及び全身的症状又は粘膜症状を伴う中等度の発疹があらわれた場合は、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。
高血糖、糖尿病
- 糖尿病、糖尿病の悪化、糖尿病性ケトアシドーシス(いずれも頻度不明)及び高血糖(1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は、インスリン又は経口糖尿病薬の投与開始や用量調節など適切な処置を行うこと(HIVプロテアーゼ阻害剤にて治療中の患者において、糖尿病、糖尿病の悪化、高血糖及び糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれたとの報告がある)。
出血傾向
- 皮下血腫、出血性関節症等の出血事象の増加(頻度不明)があらわれることがあるので、本剤投与中は出血事象の増加に注意し、このような症状があらわれた場合は、血液凝固因子を投与するなど適切な処置を行うこと(HIVプロテアーゼ阻害剤にて治療中の血友病の患者において、皮下血腫、出血性関節症等の出血事象の増加があらわれたとの報告がある)。
横紋筋融解症、筋炎、筋痛、CK(CPK)上昇
- 横紋筋融解症、筋炎、CK(CPK)上昇(いずれも頻度不明)及び筋痛(1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(HIVプロテアーゼ阻害剤にて治療中の患者(特にHIV逆転写酵素阻害剤を併用している患者)において、横紋筋融解症、筋炎、筋痛、CK(CPK)上昇があらわれたとの報告がある)。
薬効薬理
作用機序4)
- ホスアンプレナビルは、アンプレナビルのプロドラッグであり、消化管上皮から吸収される過程でアンプレナビルに変換される。アンプレナビルは、前駆体ポリ蛋白質の解裂に関与するHIVプロテアーゼを阻害することで感染性を持つウイルスの産生を抑制する。
本剤とリトナビルを併用投与した場合、リトナビルによる強力なCYP3A4阻害により、アンプレナビルの代謝がリトナビルにより阻害される結果、血漿中アンプレナビル濃度が上昇する。なお、本剤とリトナビルを併用投与した場合の抗ウイルス活性は主にアンプレナビルによるものである(「薬物動態」の項参照)。
抗ウイルス活性5)
- アンプレナビルはMT-4細胞及び末梢血白血球におけるHIV-1 IIIB及びHIV-2 ZYの複製を抑制し、IC50値はそれぞれ80nM及び340nMであった。また、末梢血白血球における臨床分離HIV-1の複製をIC50値12〜19nMで抑制した。
アンプレナビルは、ジダノシン、ジドブジン、アバカビル等のヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)あるいはサキナビルと併用することにより抗ウイルス活性において相乗作用を示した。また、インジナビル、リトナビルあるいはネルフィナビルと併用することにより相加作用を示した。
耐性6)〜8)
- HIVをアンプレナビル存在下で培養すると耐性発現の基本となるI50Vの変異及びM46I/L、I47Vの変異がHIVプロテアーゼに生じ、これらの3変異によりアンプレナビルの抗ウイルス活性のIC50値は10倍以上上昇する6)。また、この変異ウイルスをサキナビルの存在下で培養するとI47Vの変異が消失し、サキナビルに対する耐性を獲得すると共にアンプレナビルに対する感受性が回復した7)。一方、インジナビル、ネルフィナビルあるいはリトナビルの存在下ではそれぞれに特有の変異が出現し、2剤に耐性を示すようになる。また、in vitroではI54M、V32I+I47V及びI84Vの変異も同定されている。HIVプロテアーゼ阻害剤(PI)未治療患者において、NRTIであるアバカビル及びラミブジンの治療下でホスアンプレナビルを併用投与すると、17%(5/29例)にアンプレナビル耐性HIVが発現し、55%(16/29例)にNRTI耐性HIVが発現した(APV30001試験)。同じくPI未治療患者において、NRTI2剤の治療下でネルフィナビルを投与すると31%(17/54例)にネルフィナビル耐性HIVが発現したのに対して、ホスアンプレナビル/低用量リトナビルを併用投与してもアンプレナビル耐性HIVは発現せず(0/32例)、さらに、ホスアンプレナビル/低用量リトナビル併用時のNRTI耐性HIV発現率(13%、4/32例)もネルフィナビル投与時(57%、31/54例)に比較して低かった(APV30002試験)。PI未治療患者におけるアンプレナビル耐性HIVの発現には、I50V、I54L/M、V32I+I47VあるいはまれにI84V変異、さらにそれに続く二次変異としてのM46I/L変異が関与する可能性が示唆されている8)。
交差耐性(社内資料)
- アンプレナビルによって発現する変異の組み合わせはアンプレナビルに特有であり、他のPIではみられない。これらの変異HIVはリトナビルに対しては多少の交差耐性を示すものの、サキナビル、インジナビル及びネルフィナビルに対する感受性は変化しない。
PI既治療患者から分離したHIV中の耐性HIVの割合は、アンプレナビルが15%であり最も低かった(ロピナビル22%、サキナビル25%、インジナビル30%、リトナビル35%、ネルフィナビル55%)。また、PIに対して交差耐性を示す変異HIVの74%(322/433株)がアンプレナビルに感受性を示した。アンプレナビルに対する交差耐性に関連する主な変異としてはI84V+L10I/V/Fが考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ホスアンプレナビルカルシウム水和物
(Fosamprenavir Calcium Hydrate)
化学名
- Monocalcium(3S)-tetrahydrofuran-3-yl(1S,2R)-3-{[(4-aminophenyl)sulfonyl](2-methylpropyl)amino}-1-benzyl-2-(phosphonatooxy)propylcarbamate hydrate
分子式
性状
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