昔は少量の腹水(約200 ml ぐらい以上)の診断も腹部単純写真でおこなっていた。骨盤内に少量の腹水があるとき、膀胱の上部にみられる Dog's ear signは非常に有名である。さらに、腹水が増加するにつれ、側腹線条徴候 ( Flank stripe sign) 、腸管の中央化(Centralization of the GI tract)といった所見がみられるが、これらはすべて背臥位写真の所見である。立位写真では腹水は、消化管とともに骨盤内に落ち込むため診断できない。現在では、より少量の腹水をUSやCTで診断が可能である。腹水の存在診断に腹部単純写真を用いることはほとんどない。ただ、腹部外傷のとき腹腔内出血の有無を診断するために上記のサインぐらいは知っておかねばならない。(参考3)