出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/20 10:26:47」(JST)
コククジラ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Eschrichtius robustus (Lilljeborg, 1861) |
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
コククジラ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Gray Whale | |||||||||||||||||||||||||||||||||
コククジラ生息域
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コククジラ(克鯨、児童鯨、学名:Eschrichtius robustus)は、ヒゲクジラ亜目 コククジラ科に属する水棲哺乳類。コククジラ科は、コククジラ1属1種のみで構成される。体長 12-14 m と、クジラのなかでは比較的小型で、和名においてもコクジラ、コク、チゴクジラなどと、小柄であることに由来する名称である。
コククジラの体表は灰色だが、ある程度年を経た個体は、全身にフジツボやエボシガイ、クジラジラミなどの寄生生物を付着させているため、白のまだら模様になっている。尾部の背面には数個の小さな瘤(こぶ)が連なっており、背びれはない。
コククジラは外洋に出ることなく、沿岸部を南北に往復し、2万kmを回遊する。これは、現生哺乳類の年間の回遊距離としては、おそらく最長のものである。現在生存している北太平洋のコククジラは、アジア側の沿岸を回遊する西の系統と、北米側の沿岸を回遊する東の系統とに分かれる。西の系統は、夏はオホーツク海で過ごし、冬に中国広東地方の沖で繁殖する。春と秋の回遊時には、朝鮮近海から日本の太平洋沿岸を通過する。東の系統はカリフォルニア州とメキシコの沿岸を繁殖場とするが、ホエールウォッチングの人々がボートで訪れると、寄ってきて体をさわらせてくれることもある。
また、前述の通り沿岸棲であり、その食性も他のヒゲクジラ類がプランクトンを捕食するのに対し、コククジラは海底の泥や砂をヒゲでこしとることによってカニなどのベントス(底生動物)を捕食する。そのため、クジラヒゲは短く硬いものとなっている。
寿命は50-60年と考えられている。
ヒトとの大きさ比較
吻部
背面
コククジラの系統については長らく議論されてきた。上方へと湾曲した吻の形状からセミクジラ科と近縁であるとする意見も出される一方祖先的な形態を留める事からケトテリウム科と近縁であるとする説もある[1]。しかしSINEを使用した遺伝子解析においては、ナガスクジラ内の3系統と挿入パターンの矛盾が見られる。これは、祖先多系[2]を保った状態のまま、急激に四つの系統に分化した事を示している[3]。[4]これらのことから、コククジラの分類は見直される可能性もある。
かつては北半球全域に生息していた。沿岸性であり、クジラとしてはさほど巨大でなかったことから、古くから捕鯨の対象とされてきたが、特に近世になってからは乱獲により急速に個体数が減少させられた。北大西洋の個体群は18世紀ごろまでに絶滅し、北太平洋においても激減した。その後の捕鯨禁止が功を奏し、北太平洋のうち北アメリカ沿岸の個体群はかなり回復してきているが、他方、東アジア沿岸の個体群は一時は絶滅と判断されたほどで残存数わずか100-150頭と危機的な状況にある。数値統計上、アジア系個体群は実質的に日本の捕鯨業によって壊滅した[5](中国沿岸のザトウクジラやアジア系のシロナガスクジラやナガスクジラ、セミクジラなど数多くの種類に共通)。コククジラは沿岸凄で東アジア(日本を含む)の沿岸の開発の影響を受けるのだが、更に現在樺太島北部で行われているロシアの油田開発(サハリン2)によって生存を脅かされている。また、現存するアジア系個体群の何割が元来のアジア系なのかも不明。
北米個体群は一時期は二万頭前後まで回復したが、人間活動の影響による環境収容力の低下から餓死する個体が増え、その後減少したが現在では安定しつつあると思われる。遺伝子調査の結果、捕鯨以前は現在の10倍以上もの鯨が棲息していたと推測されている。
朝鮮半島で日本の捕鯨業者によって捕獲された個体を測定した結果、胸ビレやヒゲ板、頭部のプロポーション等に北米系とは異なる特徴が見られたとされる。アジア系の個体数は、捕鯨以前の規模ですら北米系統よりは遥かに少なかったとする説が存在する。
かつては東アジア圏沿岸のほぼ全土が生息域であった。済州島、黄海(大連市沖の海洋島等)、中国南部(福建省香港、大亜湾など)・マカオ、海南島および雷州半島に繁殖海域が存在したと思われる。琉球諸島や台湾に越冬海域が存在したかは未確認であり、トンキン湾やバブヤン諸島などのフィリピン国内等、既知の分布外の地域に到達した可能性もある。過去、アジア系に現在のバンクーバー島のような定住群が存在したか否かに関しても不明である。
捕鯨以前は日本列島の沿岸にも数多く、北海道ではセミクジラやツチクジラなどと同様に一種の風物詩とされるほどよく見られ、とくに採餌海域が到達していた可能性がある北海道北西部(礼文島・利尻島・宗谷岬・天塩町・石狩湾・積丹半島など)や九州北部(対馬海峡や山口県沖の玄界灘、若狭湾周辺の地域(伊根湾や丹後半島)など)、土佐湾などは捕獲上の統計的に見ても数が多かったとされる[6]。知床半島周辺(標津町、野付半島など)と根室海峡周辺(根室半島の落石など)、陸奥湾、伊豆半島周辺[7](三浦半島や小田原など)、丹後半島、周防灘、鳥取砂丘沿い、大村湾有明海などにも本種にとっては理想的とも言える自然環境が整っている。かつて、日本列島の日本海沿岸は本種の分布には当てはまらないとされてきたが、混獲等の記録が存在する事から覆された。大村秀雄は瀬戸内海が本種の繁殖海域であったとする説を発表したが[8]、それを証明する資料は捕獲記録以外は存在しない。これまで日本では、大隅半島以南および南西諸島など東シナ海での確認は考古学的検証や記録からも発見された事はなかった[9](日向灘沿岸で白骨化個体の発見が一例ある[10])。 近年、未確認の目撃例がトカラ列島および宮古島であったが、過去、このような記録が一切存在しなかった理由は謎である。
現在生存する130頭前後のニシコククジラの何割が、純粋なアジア系の生き残りか北米個体群由来なのかは不明である。 韓国および中国では、国家指定の保護動物に指定されてきたが、少なくとも韓国での近年の同種の確認はない。中国国内の場合、2007年に、台湾海峡の平潭県での混獲記録が存在する。
日本はおろか、現代のアジアでは同種の確認は他の多くの大型種同様、非常に稀である。日本では近年になるまで保護対象となることもなく、積極的な保護対策は取られずにきた。結果、2000年代に東京湾に迷入した個体や親子を含む雌4頭が定置網で混獲され犠牲になった。90年代には 北海道寿都郡で密猟されたと思われる死体が発見された[11]。市場から同種の肉が発見された事もある。
絶滅していたと思われていたが、アジア系では初の水中撮影が1993年に伊豆大島で行われた(およびロシア国内外での、一度の出現数では最多の3頭)[12]。この時の撮影を行ったのは、故望月昭伸氏(初のセミクジラの水中撮影も小笠原で成功した)や中村宏治氏、小笠原ホエールウォッチング協会会長を務めた森恭一氏らである[13]。この時の撮影は、同種の採餌行動を鮮明に捉えたものでも世界初であった。 伊勢湾・三河湾では80年代より3度生存個体が確認されており、数ヶ月にわたる定着行動も見られた(同地域は国内での商業捕鯨業の発祥地でもある)。また、2010年に伊良湖岬近くの田原市赤羽根町沖で確認された若年個体が2012年に湾内に定着していた事も証明され[14]、アジア圏では初の定期的な回遊の記録となった。2009年に尾鷲沖で観察された幼鯨も同一の可能性がある[15]。
日本海では、2014年に新潟県寺泊町の沿岸で確認され[16]、捕鯨時代以降、生存個体では日本初の記録である。
ホエールウォッチングも参照。
以下、絶滅した動物一覧「野生個体群の絶滅(野生絶滅)」より抜粋。 ’’ 大西洋で絶滅されたとされている。2000年代に東太平洋個体群から50頭を空輸して再導入する計画が持ち上がったが、2014年1月現在の時点で実行される予定はない。2010年に地中海、イスラエルとバルセロナ沖で一個体が観察されたが、大西洋個体群の残存ではなく温暖化によって開けた北極海を通ってきた太平洋個体群からの迷入と思われる。2013年には、ナミビアでも確認され、同種が南半球で発見されたのは歴史上初めてであった。 ’’
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