出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/01/17 19:15:44」(JST)
骨伝導(こつでんどう)とは、生体内部を伝播する音を聞くこと、またはその方法。声などの生体内部から発生する音を生体表面で計測する方法を指すこともある。
骨伝導は、空気を伝って鼓膜(中耳)を振動させ聴覚神経(内耳)に伝わる(気導音)に対して、声帯などの振動が頭蓋骨を伝わり直接聴覚神経に伝わる(骨導音)ものである。この骨伝導は意図的に起こさずとも日常で常に起こっており、例えば自分が聞く自分の声は気導音と骨導音が合わさったものである。録音した自分の声を初めて聞くと強い違和感を覚えるのは、録音機器のマイクは空気伝導によって伝わる音のみを録音するからである。
18世紀ドイツの作曲家ベートーベンは20代後半に難聴を患い、ほとんど何も聞こえないほどの状態になったが、この時彼は指揮棒を歯で噛みピアノに押し付けて骨伝導で音を聞き取ることで、作曲を続けることができたと言われている[1]。
また一部の生物は体表面に耳殻を持たず、そのような生物は骨伝導によって外部の音を検知している。例えばクジラは、水圧の影響を避けるために聴覚器官が全て体内にあるが、下顎の骨で水の震動をとらえて耳骨に伝えることで音を感じ取っている。
上記のように骨導音は、振動する物体を頭部や頸部(乳様突起が用いられることが多い)に接触させることで音の一部が外耳・中耳を介さずに直接内耳に到達する。これを利用し、外耳・中耳に障害のあるタイプの伝音性難聴用の補聴器へ活用されている。
外部の騒音に妨害されずに音を聞き取ることが出来たり、逆に骨伝導で音を聞きながら耳から入ってくる音も聞くことも出来るため、空気伝導を利用した音響機器と異なり耳を開放しておくことが出来る。そのため、耳を開放しておかなければ危険な状況で働く人(消防士や兵士など)の通信に利用されている。さらに長時間空気伝導を利用した音響機器を使用すると、疲労や聴覚の機能を低下させる可能性があるが、骨伝導ならばその可能性が少ないとされる。
この利点を生かしたスピーカーやヘッドフォンが発売されている。また、携帯電話でこの骨伝導スピーカーを搭載した機種が発売された事もある。
骨導超音波(こつどうちょうおんぱ)とは、骨伝導で呈示された超音波のこと。通常、ヒトは超音波を知覚できないが、骨伝導で呈示された場合は聴覚が健常な者だけでなく、一部の重度感音性難聴者にも聴覚として知覚される。(ヒトには知覚できないと考えられていた)超音波であるのに明瞭に知覚されるということ、重度感音性難聴者にも比較的容易に知覚されるということから、通常の聴覚とは異なる知覚メカニズムに依っている可能性があると考えられている。産業技術総合研究所らによって知覚メカニズムの解明と新型補聴器への応用が進められている。
声などの生体内部から発生する音を、生体表面で計測する方法。骨導(こつどう)とも言う。必ずしも骨を介していない場合であっても一般に骨伝導と言われるが、区別して“筋肉伝導”と呼ばれることもある。
奈良県立医科大学の細井裕司教授が軟骨伝導聴覚を発見し企業と合同で、これを利用した補聴器など機器の開発・改善を進めている[2][3][4][5]
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