頚肩腕症候群
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頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん、英: cervico-omo-brachial syndrome)は、首筋から肩・腕にかけての異常を主訴とする整形外科的症候群の一つである。肩腕症候群(けんわんしょうこうぐん)、頸腕症候群(けいわんしょうこうぐん)などともいう。
作業関連筋骨格系障害(Work related musculoskeletal disorders)とも。
目次
- 1 原因
- 2 出現しやすい症状・障害
- 3 治療法
- 3.1 西洋医学による治療
- 3.2 東洋医学による治療
- 3.3 頸肩腕症候群を診てくれる医療機関
- 4 脚注
- 5 参考文献
- 6 関連項目
原因
広義の頸肩腕症候群は、首(頸部)から肩・腕・背部などにかけての痛み・異常感覚(しびれ感など)を訴える全ての症例を含む。この中で、他の整形外科的疾患(たとえば変形性頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群など)を除外した、検査などで病因が確定できないものを(狭義の)頸肩腕症候群と呼ぶ。
狭義の頸肩腕症候群は座業労働やストレスを原因とする場合が多い。かつてキーパンチャー病と呼ばれたものもこの一種であり、現在OA病あるいはパソコン症候群と呼ばれる一連の症状もこの範疇に入る。若年層から起こり、男性より女性のほうがかかりやすいとされている。 職業によって罹患した際は、頸肩腕障害と呼応され、比較的軽度の人から重度の人まで幅広い。 頸肩腕症候群であることではなく、その重症度が問題の疾患である。 最近の研究で、重症難治化した頸肩腕症候群の多くは繊維筋痛症の容態を示すことが多いことも分かってきた。
出現しやすい症状・障害
首筋(僧帽筋や胸鎖乳突筋)、肩、上背部、腕にかけてのこりや痛み、しびれなどで、感覚障害や運動障害を伴うこともある。目の痛みや疲れ、風邪や花粉症などによる鼻の異常、むし歯や歯周病などが、引き金になったり症状を増長させたりすることもある。また、頭痛・めまい・耳鳴りなどの一般症状をはじめ、集中困難・思考減退・情緒不安定・抑うつ症状、睡眠障害等の精神症状、レイノー現象や冷え等の抹消循環障害、倦怠感、最大握力・維持筋力の低下、動悸、微熱ドライマウス等自律神経失調症状、胃腸障害、月経困難、半身感覚障害、天候による症状の増悪など多岐にわたる事もあり、必ずしも症状が上肢だけに限定されるものではない。
治療法
西洋医学による治療
広義の頸肩腕症候群のうち、他の病名で説明できるものは、それぞれの疾患の項目を参照のこと。
狭義の頸肩腕症候群に対しては、基本的には対症療法が行われる。
- 薬物療法 - 非ステロイド性抗炎症薬、筋弛緩薬、ノイロトロピン、精神的要因が強い場合は抗不安薬など。筋弛緩と抗不安の両方の作用を持つエチゾラムが使われることがある。
- 理学療法 - 温熱療法、牽引療法など。
東洋医学による治療
脈が浮、実であれば、葛根湯が効くことがある。
鍼も効果があることが認められており、五十肩、腰痛、外傷性頸部症候群などとともに健康保険で鍼灸治療が受けられる疾患の一つになっている[4]。
治療には、天柱穴、風池穴、肩井穴、曲池穴、合谷穴抔の首から腕にかけての経穴が多く用いられるが、全身症状や五臓六腑の虚実を確かめながら、取穴しなければならない。
頸肩腕症候群を診てくれる医療機関
頸肩腕症候群は、整形外科の病気であるのにも関わらず、心療内科へ紹介されるケースが非常に多い。この病気を理解している、経験豊富な医師がいないクリニックでは、この病気の診察は難しい。
精神安定剤などの処方を伴い、長い期間、患者と向き合うことができるのは、本当にこの病気を理解している医師だけである。また、この病気の患者の多くは、医療機関をたらい回しにされ医療不信になっていたりする。 たらい回しにされる理由は、医療者におけるそもそもの病気の認知度の低さに加え、 MRIやレントゲン検査では発見出来ず、検査所見が少なく診断や立証の困難さにある。 近似疾患の慢性疲労症候群や繊維筋痛症、膠原病を疑い検査に行った過程で頚肩腕症候群であることが判明する事もある。
近年では、数年以上の療養を余儀なくされる重症罹患者の存在もあり、中枢神経系を介して症状が全身に広がり、 慢性疲労や疼痛、筋力低下が引き起こさせるのではないかと考えられるため、脳からの神経伝達の異常によって生じる筋疾患とそれに付随する全身症状を診断する神経内科の方が専門性が強いと思われる。 つまり、過度の脳疲労の蓄積によって生じる病気とも考えられる。
脚注
- ^ “柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて” (プレスリリース), 厚生労働省, http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/jyuudou/index.html 2012年10月26日閲覧。
参考文献
- 日本産業衛生学会頸肩腕障害研究会「頸肩腕障害の定義2007」、『産業衛生学雑誌』第49巻第2号、2007年3月、 A15-A19、 NAID 40015431549。
- 日本産業衛生学会頸肩腕障害研究会「頸肩腕障害の診断基準2007」、『産業衛生学雑誌』第49巻第2号、2007年3月、 A19-A21、 NAID 40015431550。
関連項目
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Japanese Journal
- 「頸肩腕症候群」の歴史(第2回)歴史に背く労災行政 : 頸肩腕症候群の労災申請の取り組みを通して分かったこと
- 「頸肩腕症候群」の歴史(第1回)慢性筋筋膜性疼痛(非特異的障害)の勝利 : 画像診断偏重の整形外科診断に対して : 2000年12月江戸川区養護学校教諭の「背腰痛症」裁判
Related Links
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★リンクテーブル★
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- 52歳の女性。左手の小指と環指のしびれを主訴に来院した。3か月前から左手の小指と環指にしびれが続いていたが、2週間前から仕事でキーボードが打ちづらくなったため受診した。2年前から糖尿病に対し経口糖尿病薬で治療中であり血糖コントロールは良好である。身長 158cm、体重 57kg。左手掌の尺側と環指、小指に感覚鈍麻があり、左上肢の尺側手根屈筋、環指と小指の深指屈筋、第一背側骨間筋、小指外転筋の筋力は徒手筋力テストで2。左第一背側骨間筋に筋萎縮を認める。末梢神経伝導検査(別冊No. 24)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D055]←[国試_113]→[113D057]
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[正答]
※国試ナビ4※ [111E031]←[国試_111]→[111E033]
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- 英
- eperisone
- 化
- 塩酸エペリゾン エペリゾン塩酸塩 eperisone hydrochloride
- 商
- アチネス、エペソ、エペナルド、エペリッサー、エペリナール、エペル、エボントン、エンボイ、サンバゾン、ホマライト、ミオナール、ミオナベース、ミオペリゾン、ミオリラーク、リンプラール
- 関
- 筋弛緩薬、中枢性筋弛緩薬
- 脊髄レベルに作用して脊髄反射を抑制し、γ系に作用して筋紡錘の感度を緩和することにより、骨格筋緊張緩和作用を発揮する。
- また、血管平滑筋に対するCaイオン拮抗作用および筋交感神経抑制作用により、血管を拡張して循環改善作用を示す。
適応疾患
- 脳血管障害、痙性脊髄麻痺、頸部脊椎症、術後後遺症(脳・脊髄腫瘍を含む)、外傷後遺症(脊髄損傷、頭部外傷)、筋萎縮性側索硬化症、脳性小児麻痺、脊髄小脳変性症、脊髄血管障害、スモン(SMON)、その他の脳脊髄疾患
[★]
- 英
- neurotropin
概念
- ペインクリニック治療指針 改訂第4版、添付文書より
- ノイロトロピンはワクシニアウイルスをウサギに接種し、炎症皮膚組織から抽出した非タンパク質性生理活性物質を含有する製剤である。
- 痛みの下行性抑制系の賦活、ブラジキニン産生抑制、局所血流改善効果を有する。
- オピオイド系を介さずにセロトニン系およびノルアドレナリンの下行性抑制系を賦活して鎮痛効果を発揮し、用量依存性に侵害刺激によるブラジキニン産生を抑制する。さらに、興奮性神経ペプチドの放出抑制作用や交感神経抑制作用、神経軸索変性の抑制作用も示唆されている。
適応
[★]
- 英
- cervico-omo-brachial syndrome
- 同
- 頸肩腕症候群
- 関
- 頚肩腕痛、頚腕症候群?
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
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- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候