出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/08 12:33:32」(JST)
雷雨(らいう、英: thunderstorm)は、発達した積乱雲から激しく降る雷を伴った雨のこと。
雷雨は積乱雲に起因している。地上で熱せられた激しい上昇気流と共に大量の水蒸気が積乱雲上部(高度約8~10km)に吹き上げられる。吹き上げられた水蒸気は、高度上昇とともに飽和し多量の雨粒になる。さらに、上空で雨粒の代わりに氷粒が凝縮する。この氷粒同士が、激しい上昇気流にあおられ衝突を繰り返しているうちに、積乱雲上部で多量の静電気が蓄積される。これが、雷の原因となる。
そして、地上からの上昇気流と、雨粒や氷粒の重力とのバランスが崩れることにより、狭い地域に集中して激しい雨が降り注ぐようになる。そのため雷雨は集中豪雨となることが多く、土砂崩れや洪水などの自然災害を時として引き起こす。しかし雷雨は短時間で止むことが多く、降り出してから1時間から数時間以内で終わり、直後に晴れ間を見せることもある。
ただし、湿った空気が山などの地形に供給され、連続的に上昇気流が積乱雲に供給される場合は、雷雨が長期化し短時間でその地方の年間雨量に匹敵する雨量が観測されることもある。
雷雨の発生は一年中季節を問わないが、熱せられた空気が上昇気流となりやすい夏に多く、夏の風物詩として季語にもなっている。一日の中では、上昇気流が弱まり、降雨とのバランスが崩れやすい午後3時から日没までの時間帯に起こりやすい。またその時間帯の雷雨は、昼間に蓄えられた熱エネルギーが膨大なため、雷雨も激しくなりやすい。そのため、夏のこの時間帯の雷雨を特別に夕立とも言う。
積乱雲上部の氷粒が成長し、融けずにそのまま地上まで達すると激しい霰(あられ)や雹(ひょう)となる。冷たい空気が上空にあり、空気の状態が特に不安定の時に起こりやすく、日本では春頃から初夏にかけて起こる事が多い。
赤道付近の熱帯気候では、積乱雲が頻繁に生成されるため、日常的に雷雨が起こり、その雷雨はスコールと言う。
また、インドなどの南アジア、アフリカの一部、中南米の亜熱帯地域などでは、雨季のモンスーンの際に激しい雷雨が発生することがある。
地球温暖化やヒートアイランド現象等により、激しい上昇気流が起こりやすくなり、併せて激しい雷雨が今後頻発すると予測されている。
アメリカなどでは、雷雨をその母体となる降水セル(precipitation cell)の規模をもとに3~4つに分類している。
シングルセルの場合、セルの寿命は30分程度で、すぐに衰えてしまう。ただ、シングルセルの場合でも狭い地域に複数のセルが発生する場合が多く、雷雨が持続する時間はそれよりも長くなるのがふつうである。一方、マルチセルやスーパーセルは、セル内で上昇気流の部分と下降気流の部分がはっきりと分離しているため、気流の循環(=雲の発達の原動力)が維持されやすくされやすく、寿命が数時間にも及ぶ。
上記の分類における説明は絶対的なものはなく、雹や竜巻などの頻度は地形や他の気象に影響を受ける面もある。セルが一生のうちに違う分類へと姿を変える、例えばシングルセルからマルチセルへと変わるようなことも多い。また、2つ以上の分類に当てはまるセルもあり、いまだに分類には不明確な部分がある。
国際式天気記号 | ||||||||||
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表・話・編・歴 |
国際式天気図の天気記号では、29.前1時間内に雷電(降水を伴ってもよい) 91.前1時間内に雷電(観測時に弱い雨) 92.前1時間内に雷電(観測時に並または強い雨) 95.弱いまたは並の雷電(雨、雪、みぞれのいずれかを伴う) 97.強い雷電(雨、雪、みぞれのいずれかを伴う) の5種類が雷雨を表す記号に該当する。
日本式天気図の天気記号(日本式天気記号)では、優先順位が定められているため、雷または雷強しの2種類が雷雨を表す記号に該当する。
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