- 英
- gynandromorph
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/10/15 11:22:47」(JST)
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アゲハチョウの一種 Papilio androgeusに見られる雌雄モザイク
左右で翅の模様が違い、左下側の青い部分が雌の翅の模様であり、それ以外のクリーム色部分が雄の翅の模様を示している。
ナナフシの一種(サカダチコノハナナフシ
Heteropteryx dilatata )での雌雄モザイク
雌雄モザイク(しゆうモザイク、英語:gynandromorph)とは、生物において一つの個体の中に雄の特徴と雌の特徴を持つ部分が、明らかな境界を持って混在していること(モザイク状態)[1]。雌雄嵌合体(しゆうかんごうたい)、性的モザイク(せいてきモザイク)と呼ぶこともある。
大多数の生物は、同じ種でも個体に性別という区別が存在する。オスとメスとで細胞の遺伝的構成は異なり、多くの場合、オスの特徴とメスの特徴は一つの個体で併存することはない。その例外の一つが雌雄モザイクである。他に細胞全体の遺伝的構成が雌雄の中間的で統一されている「間性」[2]がある。二つはまったく別の現象であるが、ヒトの場合、雌雄モザイク状態と間性状態を含めて半陰陽と呼ぶ。
雌雄モザイクは節足動物や鳥類で観察されている。発生や組織形成時の体細胞分裂で性染色体の脱落がおき細胞レベルでの性表現が異なる組織がモザイク状になることや、性染色体・常染色体を問わない体細胞突然変異による性ホルモン受容性が変化した組織がモザイク状になることなどが、原因として推定されている[1]。
これらの説は、原因は遺伝子の異常によると考えるものだが、鳥類である鶏に関してこれらとは異なる説がある。その説は、オスの遺伝子を持つ精子とメスの遺伝子を持つ精子の2つが卵子と同時に受精し、1つの卵の中にオスとメスの2つの胚が形成され、それが融合することで雌雄モザイクの鶏が生まれるというもの。この根拠は、2010年に発表された実験[3]で、雌雄モザイクの鶏の細胞を調べた結果、遺伝子に異常がないことが発見されたことによる。
昆虫で雌雄モザイクが比較的良く観察されることから、「昆虫には性ホルモンは無く、細胞ごとに性別が決定する」という説が昆虫学では定説[4][5]となっているが、「昆虫にも性ホルモンがある可能性がある」とする研究者もいる[6]。
脚注
- ^ a b 八杉竜一ら編「雌雄モザイク」『岩波生物学辞典』
- ^ 「間性」「雌雄モザイク」『岩波生物学辞典』
- ^ “右と左で性が違う:「雌雄モザイク」ニワトリの研究”. 2012年4月4日閲覧。
- ^ 嶋田透『昆虫の性決定の遺伝子ネットワーク』1ページ
- ^ 東京農工大学農学部蚕学研究室『性決定』2ページ
- ^ 嶋誠悟、山元大輔「昆虫に性ホルモンはあるか」『日本比較内分泌学会ニュース』18ページ(ギナンドロモルフと性の細胞自律的決定)以降
参考資料
- 八杉竜一ら編『岩波生物学辞典(第4版)』 岩波書店、1996年、ISBN 4-00-080087-6。
- 嶋田透『昆虫の性決定の遺伝子ネットワーク』日本学術振興会。 2009-04-17 閲覧。
- 東京農工大学農学部蚕学研究室『性決定』。 2009-04-17 閲覧。
- 嶋誠悟、山元大輔(2003年)「昆虫に性ホルモンはあるか」『日本比較内分泌学会ニュース』、Vol. 2003 (111)11-31ページ。 2009-04-17 閲覧。
関連項目
- 性的二形 / 性染色体
- モザイク (遺伝学)
- 間性
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- 二村 正之,大谷 浩
- 蝶と蛾 57(2), 105-110, 2006-03-20
- … 産ナガサキアゲハの雌雄モザイクを記録した.本雌雄型個体は1999年6月,ビエンチャン市内にて若原ソン,若原弘之両氏によって採集されたものである.前翅長は左右ともに61mmであり,同地域から採集された正常雌(70-76mm, n=4)および雄(65-68mm, n=2)と比べて小型である.本個体の右前翅および後翅は背側(表),腹側(裏)面ともに概ね雄の斑紋を示すが,左前翅及び後翅は両側面ともに雌雄モザイクを示す.左前翅には …
- NAID 110007034364
- タイで採集されたアサコナンヨウブユに見いだされた雌雄モザイク個体について
- 福田 昌子 .,佐藤 寛子,Choochote Wej [他],高岡 宏行
- 衞生動物 55(2), 121-123, 2004-06-15
- Gynandromorphism was found in one adult black fly of Simulium asakoae collected while attracted to a human in Thailand. This is the first record of sexual mosaicism of Simuliidae in Thailand.
- NAID 110003819419
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- 混倍数性 mixoploidy
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- 同じ人の体の何に、遺伝形質または染色体の数や構造の異なった2種類以上の細胞が存在場合を指す。受精卵の卵割の初期に、染色体の不分離現象が起きた結果生じる (EPT.99)
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