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この項目では、物を切断するための道具について説明しています。2012年の日本映画については「はさみ hasami」をご覧ください。 |
はさみ
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はさみ(鋏、剪刀)は、物を切断するための道具である。形態としては、支点が作用点から離れている握り鋏(和鋏)、支点が中間にある洋鋏がある。
助数詞には「丁」あるいは「挺」(読みはいずれも「ちょう」)が用いられる。
要ネジを持たない原始的な構造の鋏で、日本では和鋏とも呼ばれる。英語では spring scissors。日本で発明されたものではないが、現在も一般的に生産・使用されているのは日本のみである。現代の日本では洋鋏が主流であり、和鋏は糸切り鋏や飴細工用などの限定された用途に使用される。
和鋏は通常1枚の細長い金属板の両端に刃が付けられ、これをU字形の曲げてばね状にし両側から力を加えることで刃の部分が重なり合う構造となっており、2枚の刃が交わった部分が閉じていくことで間に挟んである紙や布などが切断されるしくみである。構造的にはてこのうち第3種てこの構造をもち、二枚の刃の部分が作用点、金属板がU字型に曲げられた部分が支点、刃に近い持ち手の部分が力点となる。和鋏は使用していない時にはばねの力で刃は開いているが、安全のため先端の刃の部分を閉じた状態で覆うキャップやカバー付きのものも存在する。
洋鋏は通常2枚の細長い金属板が支点を中心軸として重なり合う構造となっており、それぞれの金属板の内側に向かって刃が付けられ、2枚の刃が交わった部分が閉じていくことで間に挟んである紙や布などが切断されるしくみである。構造的にはてこのうち第1種てこの構造をもち、二枚の刃の部分が作用点、刃をつなげる部分が支点、反対側の持ち手の部分が力点となる。洋鋏は使用していない時には安全のため閉じておかれることが多く、先端の刃の部分を覆うキャップやカバー付きのものも存在する。
刃の接触点に剪断する力を集中するように、刃はわずかにひねられている。これをひねりと呼ぶ。また、切る対象に依って、刃と刃のあたる角度を変えるために裏側に「スキ」と呼ばれる隙間をつくっている。これによって例えば、髪の毛のような軽い材質でかつ、硬い表面のものでも切ることができる。正確に切らなければならないものほど、精密に調整したスキとひねりが必要である。
なお、英語では scissors[1]というが、金切り鋏やケーブル鋏など、刃が柄に対して小さく、強力なものは snips と呼び分けている。
はさみは切断工具であるため、固い鋼を使ったものが多い。一般の事務用、工作用のものでは錆に強いステンレス鋼を使ったものが主流である。最近では、表面にフッ素コート加工を施して糊やテープによるベタつきを防ぐ工夫をした商品も一般化している。
子供用にはプラスチック製のはさみもある。
特殊な用途向けに、切断されるものに対して磁気の影響を及ぼすことがないように、セラミックで作られたはさみもある。
さらに、理美容師などが使用するはさみの高級品には、コバルト基合金製のものがある。
通常のはさみは右利き用に作られているが、左利き用のものも少数であるが市販されている。利き手と異なる向きにつくられたはさみを使用するのは困難が伴う。これは、はさみのかみ合わせ部分に対する力の配分が逆になってしまうため、かみ合わせ部分を広げる方向に力が入ってしまうからである。
左利き用のはさみは、右利き用のはさみと完全に左右が反転した、総左と呼ばれるものと、持ち手の部分のみ左右が反転した足左と呼ばれるもの(かみ合わせ部分は右利き用と同じ)がある。足左は、右利き用のはさみに慣れた人、すなわち、かみ合わせの力配分を右利き用にしている人が、持ち手の部分だけ左用にしたい場合に使われる。逆に、足左に慣れている人は、総左のはさみをうまく使いこなせない。これは、足左のはさみの力の配分方法と、総左のはさみの力の配分方法が反対になるからである。
足左のはさみは、本来の左利きのはさみとは違い、一種便宜的なはさみであるため、市場に出回る量は少ない。
なお、右利き用のはさみではあるが、右手、左手どちらでも持てるような、ユニバーサルデザインにしたはさみもある。足左のはさみと同じように使うことができる。
次のようなものが市販されている。
古代エジプトの壁画にはさみやピンなどが描かれており、また紀元前1000年ごろの古代ギリシアのものとされるはさみが出土しており、古代から使われていたと考えられている。もともとは医療用もしくは羊毛の収穫に使われており、当初は握り鋏が用いられていた。
日本では6世紀に中国を通して伝わったと考えられており、この時代の古墳からの出土例もある。古代・中世には主に握り鋏が用いられ、また金属製のものの他に木製のはさみも作られていた。ただ裁断などの用途には伝統的に刃物が用いられていたため、はさみの普及は職人や華道など限定的なものであった。
量産されるようになったのは江戸時代から、一般庶民に普及したのは江戸時代末期から明治時代ころといわれる。明治時代から普及した背景には、衣服の洋装化により従来以上に複雑な布の裁断が必要となったことが一因となっている。
日本においては、所持には法律による規制がある。正当な理由[2]を持たずに隠して携帯[3]することは軽犯罪法に抵触するため、科料、勾留されることがある。
また、刃体の長さが8センチメートルを超える[4]はさみを、業務[5]その他正当の理由を持たず携帯することは銃刀法第22条に抵触するため、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金を課せられることがある。
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