出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/07/13 20:49:41」(JST)
議長(ぎちょう)とは会議を代表し、会議の運営を統括する役職。類似する役職に「座長」がある。
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組織によっては議事運営以外の執行権限を付与されることもあり、最高決議機関の議長を組織全体の代表とする組織もある。英語表記の翻訳でSpeaker、Chairman、Presidentなどに対する訳語として用いられる。英語圏でChairmanと言った場合は強い実権を伴う代表者であることが多く、代表取締役の肩書きとして用いられる場合もある。日本の国家機関における「議長」の肩書きは、1869年(明治2年)に設けられた各藩などの代表による議会である公議所の議長にまでさかのぼることができる。
同様の役職が委員長、主席といった職名であることもある。たとえば、中華人民共和国における全国人民代表大会の議長役の職名は「常務委員長」、中国人民政治協商会議においては「主席」である。
議会を主宰し、議事進行を担当する役職。立法権の代表者である。
国 | 議会(一院制) | 下院 | 上院 |
---|---|---|---|
中国 | 全国人民代表大会常務委員長 | ||
フランス | 国民議会議長 | 元老院議長 | |
イギリス | 庶民院議長 | 貴族院議長 | |
日本 | 衆議院議長 | 参議院議長 | |
台湾 | 立法院長 | ||
アメリカ合衆国 | 下院議長 | アメリカ合衆国副大統領が兼務。[1] | |
ロシア | 国家会議議長 | 連邦会議議長 |
国会及び地方議会における代表者であり会議主宰者である。議長席は議場内中央最上段に設けられている。
両議院の議長は国会法上の役員である(国会法16条1号)。
議長は各院それぞれ議員の中から単記無記名投票で互選で選ばれ、最多得票者が議長となる(国会法23条、衆議院規則3条、参議院規則4条)。内閣総理大臣指名選挙が記名投票であるのに対して議長選挙は無記名投票である[2]。
一般的に議院第一会派の長老格の政治家が選出される例が多く、「あがりポスト」と目されている。1973年より両議院議長は、公平さを期す為に自分が所属している会派を離脱して、無所属で活動することが慣例となっている(これ以前は重宗雄三のように所属政党の人事に影響力を行使した例もあったが、衆議院ではそれ以前にも正副議長の離党が申し合わされていた時期もあった[3])[4]。ただし党籍は維持する例と離党する例が混在する。任期満了直後の選挙に出馬する場合は衆議院では所属政党の公認で立候補することが通例[5]であり、参議院では選挙区(旧地方区)で立候補をする場合は非公認で立候補をすることが通例である。イギリス下院議長のような、完全に党を離れ選挙では主要政党が対抗候補を出さないといった徹底した中立性はない。
日本国憲法下では議長選挙ではほぼ全会一致で選出される例が多いが、1955年3月の衆議院議長選挙では益谷秀次が三木武吉と争ったり、1971年7月の参議院議長選挙では河野謙三が木内四郎と争う例、1993年8月の衆議院議長選挙では土井たか子が奥野誠亮と争う例もあった(いずれも前者が選出)。
戦後間もない1948年には衆議院議長職経験を持つ山崎猛が首班候補とする山崎首班構想があったり[6]、戦後日本政治の過渡期には衆議院議長経験者がさらなる権力意欲を目指して政権要職に就任する例は珍しくなかった[7]。しかし、戦後日本政治の過渡期が過ぎてからは議長ポストは長老格の政治家が最後に就任する「あがりポスト」とみなされるようになった。また前尾繁三郎や坂田道太は議長退任後に首相就任の声がかかった際に、「議長経験者が首相になるのは国会の権威の上からよくない」として辞退したこともあり、1970年代以降は議長経験者がさらなる権力欲を目指すことは慎むべきとする風潮が浸透していった。議長候補にあげられた二階堂進や小渕恵三は前述の風潮を重んじて首相に意欲を示していたために議長就任を断っている。1978年12月以降に議長経験者が行政要職に就任した例としては土屋義彦(1991年10月4日議長退任・1992年7月13日埼玉県知事就任)や江田五月(2010年7月25日議長退任・2011年1月14日法務大臣就任)があるが、議長経験者が行政要職に就任するのは議長の権威を損ねるとして批判的な意見が出ることもある。また土井たか子と綿貫民輔が衆議院議長職経験後に小政党の党首に就任し、首班指名選挙で票を得た例がある。
議会が自ら選任した役員を解任するには国会法など議会法上に特段の定めがある場合を除きなしえない[8]。現在、国会法は常任委員長については解任規定を置いており、本会議における解任決議を可決させて解任させることができる(国会法30条の2)。しかし、議長に対しては本会議で不信任決議を可決させても法的拘束力を有しないとされる。不信任決議を受けた議長が自発的な辞任を拒否した場合、強制的に失職させるために懲罰事犯として除名し議員資格を失わせた例[9]があるが、議長が慣例を無視して自らについての議案の審議に際しても副議長に議事運営を代行させず、かつ職権で懲罰議決の審議や採決を行わせなければそれも不可能である。
議長の任期は各々議員としての任期による(国会法18条)。ただし、参議院では通常選挙後の国会召集時に辞任して改めて選挙が行うことが慣例となっている。
議長の権限には次のようなものがある。
副議長は議長に事故があるとき又は議長が欠けたときに会議を主宰する者(国会法21条)。具体的には議長が病休または事故などで不在の時、あるいは議事が長時間になり議長が休息を取る時に議長席に座り議会を進行させる。その職務内容及び権限は正議長に準ずる。
両議院の副議長は国会法上の役員である(国会法16条2号)。副議長の任期は議員としての任期による(国会法18条)。ただし、参議院では通常選挙後の国会召集時に辞任して改めて選挙が行うことが慣例となっている点は議長と同じである。
副議長も議員内から互選で選ばれる。国会の慣例では衆参両議院議長は第一会派から選ばれるのに対し、副議長は第二会派から選ばれるが、議長同様公平さを期す為に所属政党、あるいは所属会派を離党・離脱して、無所属で活動することが慣例となっている(以前は副議長も第一会派から選ばれていた)。
仮議長は議長及び副議長に共に事故があるときに置かれる議長(国会法22条1項)。選び方は事務総長か事務局長が議長席に座り、仮議長選出選挙を行い、最多得票者が仮議長となる(国会法22条2項)。ただし、議院は仮議長の選任を議長に委任することもできる(国会法22条3項)。 仮議長も国会法上の役員とされ(国会法16条3号)、その職務と議事進行に関わる一切の権限は正議長に準ずる。
最近の選出例としては、2004年(平成16年)6月5日の参議院本会議において、国民年金法改正案の審議にあたり、野党から議長不信任決議案が提出されたが、野党出身の副議長が散会を宣告して(無効な散会ということで取り扱われた)本会議の議事続行を拒絶したため、議長不信任案の審議のため竹山裕自由民主党参議院議員会長が仮議長に選出した事例がある。
都道府県議会、市町村議会に議長が存在する。議員の任期にかかわらず1~2年で交代する慣例となっている自治体もある。国会同様議長は採決に参加しないため、定数の少ない市町村議会では「議長を出した側が採決で負けるため議長職を押し付け合う」という事態も時折発生する(近年では2007年の大阪府千早赤阪村議会、合併賛成派と反対派が同数となったため)。
臨時議長とは、地方自治体議会において置かれる臨時の議長である。地方自治体議会では、初招集日で正副議長が決まっていない場合、出席者の中で年長議員を臨時議長にして、議長選出選挙を行う。いわば議長選出選挙を行う為だけに置かれる議長であって、仮議長とは異なる。なお、出席者の内で最年長議員が臨時議長に就いても、更に年長の議員が途中出席した場合は、速やかに臨時議長を交代しなければならない。
一部の企業には(代表)取締役会議長という役職があり、議長という肩書きを持つ会社役員が居るが、あまり一般的な役職名ではない。 なお、最近は委員会設置会社における取締役会議長はしばしば見受けられる。
アメリカ統合参謀本部議長 (Chairman of the Joint Chiefs of Staff)
中小の軍需産業企業ではメタルストーム社など代表者の肩書きが議長(Chairman)である企業が多い。 これは軍におけるChairmanが組織のトップであることに由来している。
法人においては、理事会などの会合の議事を進行させる役目の人を議長と呼ぶ。議長の権限は法律ないし定款で定められていることがある[14]。また、定款により、たとえば「理事長が理事会の議長を務める」のように定めることがある。この場合、法人の役職に対する肩書きとしての「議長」は存在しない。
議長に類似する役職。会議の代表というニュアンスは薄く、その時々の会合の議事運営について責任を負う暫定的な役職という色合いが濃い場合が多い。 特に学会発表の場合の一枠(セッション)について、司会・進行を担う役割があり[15]、英語の(session) chairに相当する。 ただし、「会議」という名前でも、1回の会合ではなく一定期間続く合議体において、とりまとめ訳を座長と称することがある。例えば皇室典範に関する有識者会議においては座長、座長代理が置かれた。
なお、座長には、演芸関係の興行を行う団体である「座」の長、統括者という意味もある。
ウィクショナリーに議長の項目があります。 |
リンク元 | 「chairman」「学科長」 |
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