出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2022/03/20 03:41:20」(JST)
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
臓器の移植に関する法律 | |
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日本の法令 | |
通称・略称 | 臓器移植法 |
法令番号 | 平成9年法律第104号 |
種類 | 医事法 |
効力 | 現行法 |
公布 | 1997年7月16日 |
主な内容 | 臓器移植医療や臓器売買に関する法律 |
関連法令 | 日本国憲法、刑法、脳死臨調法 |
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臓器の移植に関する法律(ぞうきのいしょくにかんするほうりつ)は、日本の法律の一つ。法令番号は平成9年法律第104号、1997年(平成9年)7月16日に公布され、最終改正は臓器の移植に関する法律の一部改正(平成21年法律第83号)。一般には臓器移植法と呼ばれる。
第6条において、死亡した者が臓器移植の意思を生前に書面で表示していて、遺族が拒まない場合に限り、「脳死した者の身体」を「死体」に含むとしてその臓器を摘出できると規定する。
臓器提供意思を有効に表示可能な年齢については、法文には何ら規定されていない。臓器移植の意思を書面で表示するためには、脳死という概念を理解し、臓器提供の意思を明示する必要があり、意思能力が不可欠とされる。
未成年者の意思能力年齢については諸説あるが、厚生労働省が保健医療局長名(当時)で「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)として「臓器提供に係る意思表示の有効性について、年齢等により画一的に判断することは難しいと考えるが、民法上の遺言可能年齢等を参考として、法の運用に当たっては、15歳以上の者の意思表示を有効なものとして取り扱うこと」と通知したことから、実質的には15歳未満の臓器提供ができないとされていた。
しかし2009年の法改正により、2010年1月17日からは、臓器を提供する意思表示に併せて、親族に対し臓器を優先的に提供する意思を書面により表示できることになった。また2010年7月17日からは、本人の臓器提供の意思が不明な場合にも、家族の承諾があれば臓器提供が可能となった。これにより15歳未満の者からの脳死下での臓器提供も可能になった。
この法律案は、1996年12月に第139回国会衆法第12号として中山太郎議員他によって、議員立法として提出され、1997年4月24日に衆議院で可決され参議院に送られた。参議院では、1997年6月17日に一部修正の上可決され、衆議院に回付された。衆議院では、参議院からの修正回付案に同日同意が与えられ、成立した。法律の施行日は、1997年10月16日。
このように、衆議院で無修正の上可決された法案が、参議院で大幅修正の上もう一度衆議院で同意が与えられ成立するという異例の展開となった。
この法律案に関しては、日本共産党を除く全政党が、例外として党議拘束を外している。党議拘束を外した理由として、各政党は人の死を定義するという、議員個人の倫理・宗教観に関わるような議案だったためとしている。なお日本共産党は、党議拘束をかけて採決を棄権している。
当初より他国に比べ、特に脳死臓器移植の臓器提供に関する制約が厳しく移植数が伸びないとの指摘があり、脳死臓器移植の施術状況を考慮しながら、法律施行後3年を目処に見直すことになっていた。しかし、10年以上が経過し、脳死臓器移植の数が増えず移植医療が停滞していたにもかかわらず、長い間改正されていなかった。議員立法であった法律成立の過程に配慮してか、行政府は改正案を出さずに、議員有志の改正案作成に委ねられた。
いずれの議案も否決される可能性があるため、多くの議員の賛同を得るべく、折衷案(いわゆるD案)が2009年5月に提出された。しかし、AからCの各案の賛同議員から折衷案に対する反対意見も述べられた[1]。
移植を必要とする患者団体などからは、一刻も早いドナーの拡大を求められている[2]が、交通事故の遺族団体などからは、ドナーを拡大するためだけの改正には反対の声がある[3]。
衆議院には、議員提案の改正案が上記の4案が提出されていた。法案提出から何年にもわたり、ほとんど審議が進んでいない状況であったが、2009年5月に世界保健機関(WHO)総会において、臓器不正売買を目的に、移植ツーリズムの原則禁止や、生体移植、組織移植をめぐるガイドラインを決議する見込みになったことから、2009年になって、改正の機運が出てきている(WHOの決議自体は、新型インフルエンザの流行が起きたことに伴い、総会の開催期間が短縮されたため、2010年に延期されている[4])。
2009年4月に入り、自民党と民主党の国会対策委員長が、審議促進に向け積極的な発言を行った。国会では、衆議院厚生労働委員会に臓器移植法改正法案審査小委員会が設置され、審議を行ってきたが、2009年4月28日に小委員長中間報告がなされ、論点整理が行われた[5]。その後、衆議院厚生労働委員会では、2009年5月27日と6月5日に法案審議が行われ、委員会審議は実質終了した[6]。
衆議院は、2009年6月9日の衆議院本会議で、委員会採決を省略して、厚生労働委員会の田村憲久委員長による臓器移植法改正4案の審議経過に関する「中間報告」の聴取と、各案提出者による意見表明が行われた[7]。2009年6月18日に、衆議院本会議で採決。法案提出順(ABCDの順)に記名式投票をし、過半数の賛成を得られた案が出た時点で終了するという方式で採決が行われた。共産党が審議不十分として全員棄権したほかは、他の政党は議員個人の倫理観にかかわるものとして党議拘束をはずして、採決に臨んだところ、自民党議員を中心にA案賛成者が多く、賛成263人・反対167人でA案が可決され、衆議院を通過した。
政党 | 賛成 | 反対 | 棄権 |
---|---|---|---|
自民 | 202 | 77 | 24 |
公明 | 12 | 18 | 1 |
民主・無所属クラブ | 41 | 65 | 6 |
社民・市民連合 | 0 | 7 | 0 |
共産 | 0 | 0 | 8 |
国民新・大地・無所属の会 | 2 | 0 | 5 |
無所属 | 6 | 0 | 2 |
計 | 263 | 167 | 56 |
A案が衆議院で可決され参議院に送付されたが、A案反対者の多かった野党が過半数を占めていたため、成立の行方は不透明とも見られた。当時野党だった民主党の輿石東参院議員会長は2009年6月18日の記者会見で、「臓器移植法案を最優先でやらなければいけないとは思ってない。急がなければ死んでしまうという話でもない。一日も早く救いたい気持ちは分かるが」と述べた[8]。
衆議院でA案が可決されたことを受け、改正に慎重な参議院議員有志らにより、いわゆるE案が提出されている。2009年6月26日に、衆議院を通過したA案と新たに提出されたE案の趣旨説明が行われている。また、A案の内容のうち、脳死を人の死とすることへの抵抗感から否決されることを避けるため、A案の修正案(いわゆるA'案)が、7月10日に提出された。
参議院厚生労働委員会における5日間の審議の後、委員会採決を省略して、2009年7月10日に中間報告を行い、本会議で直接採決されることとなった[9]。
A'案およびE案については、仮に参議院で可決しても、衆議院での審議と議決が再び必要となるため、衆議院解散に伴い廃案になるおそれがあった。また、3案とも否決された場合とA'案が可決された場合は、修正前のA案について、衆議院での再議決をする可能性があった。
しかし、2009年7月13日に、参議院本会議において、衆議院同様に共産党を除く各党が党議拘束をはずして採決に望み、押しボタン方式で採決を行われたところ、まずA'案(A案修正案)が賛成72、反対135の反対多数で否決され、続いてA案が賛成138、反対82の賛成多数で可決・成立した。E案は、A案が可決されたため、採決されずに廃案となった[10]。改正法は、公布から1年後の2010年7月17日に施行された。
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(目的)
臓器摘出の適応
脳死した身体の定義 → 脳死の定義は臓器移植に供するかどうかを問わずに適用される。
脳死判定の適応 → ただし、脳死判定は臓器移植を行うときにしかやらない
消化器 | 0.3 |
腎臓 | 0.2 |
脳 | 0.15 |
骨格筋 | 0.15 |
皮膚 | 0.1 |
心臓 | 0.05 |
気道 | 0.05 |
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