- 英
- 関
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/09 15:45:29」(JST)
[Wiki ja表示]
腫瘍ウイルス(しゅようウイルス)はウイルスのうちで腫瘍形成に関わっているウイルス。がんウイルスとも呼ばれる。その多くはDNAウイルスまたはレトロウイルスであり、プロウイルス化した際にがん遺伝子が活性化される。
最初の腫瘍ウイルスは1911年にペイトン・ラウスによってニワトリに肉腫を生じさせる濾過性病原体として発見され、後にラウス肉腫ウイルス (Rous sarcoma virus, RSV) と名付けられた。彼はこの業績により1966年のノーベル生理学・医学賞を受賞している。このウイルスは2本鎖RNAを持つレトロウイルスだった。がんの原因となる遺伝子は、肉腫 (sarcoma) からsrcと命名された。srcは後にウイルスだけでなく宿主のゲノムにも存在していることがわかり科学者たちに衝撃を与えた。ウイルス由来のものをv-src、細胞由来のものを c-srcと書く。
がん遺伝子は細胞の増殖制御に関係していることが多く、本来は宿主やそれに近い生物の染色体の一部であったものが他のウイルスとともに細胞外に出たものと考えられている。
目次
- 1 ヒトの腫瘍ウイルス一覧
- 2 追記
- 3 脚注
- 4 関連項目
ヒトの腫瘍ウイルス一覧
- IARC発癌性リスク評価: Type1 (発癌性がある)
- EBウイルス (Epstein-Barr virus) - バーキットリンパ腫
- B型肝炎ウイルス (Hepatitis B virus; HBV) - 肝細胞癌
- C型肝炎ウイルス (Hepatitis C virus; HCV) - 肝細胞癌
- ヒトパピローマウイルス16型 (Human papillomavirus type 16; HPV-16) - 子宮頸癌
- ヒトパピローマウイルス18型 (Human papillomavirus type 18; HPV-18) - 子宮頸癌
- ヒトTリンパ好性ウイルス1型 (HTLV-1) - 成人T細胞白血病
- IARC発癌性リスク評価: Type2A (おそらく発癌性がある)
- ヒトパピローマウイルス31型 (Human papillomavirus type 31)
- ヒトパピローマウイルス33型 (Human papillomavirus type 33)
- カポシ肉腫関連ヘルペスウイルス (Kaposi's sarcoma herpesvirus; KSHV / Human herpesvirus 8; HHV-8) - カポジ肉腫
- IARC発癌性リスク評価: Type2B (発がん性が疑われる)
- ヒト免疫不全ウイルス (Human immunodeficiency virus type 2; HIV-2)
- ヒトパピローマウイルス (16, 18, 31, 33型以外)
- IARC発癌性リスク評価: Type3 (発癌性は不明 - 現在検証中)
- D型肝炎ウイルス (Hepatitis D virus)
- ヒトT細胞好性ウイルス2型 (Human T-cell lymphotropic virus type II)
追記
2005年に、スウェーデンのマルメ大学で行われた研究は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した人間との、予防手段を用いないオーラルセックスは口腔癌のリスクを高めると示唆した。この研究によると、癌患者の36%がHPVに感染していたのに対し、健康な対照群では1%しか感染していなかった[1]。
『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌で発表された最近の別の研究は、オーラルセックスと咽喉癌には相関関係があることを示唆している。HPVは頸部癌の大半に関係しているので、この相関関係はHPVの感染によるものと考えられている。この研究は、生涯に1-5人のパートナーとオーラルセックスを行った者は全く行わなかった者に比べおよそ2倍、6人以上のパートナーと行った者は3.5倍の咽喉癌のリスクがあると結論付けている[2]。
脚注
- ^ Oral Sex Linked To Mouth Cancer Risk
- ^ Oral sex can cause throat cancer - 09 May 2007 - New Scientist
関連項目
- 発癌性
- 悪性腫瘍
- レトロウイルス
- 牛白血病ウイルス
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Related Links
- 腫瘍ウイルス(しゅようウイルス)はウイルスのうちで腫瘍形成に関わっているウイルス。がんウイルスとも呼ばれる。その多くはDNAウイルスまたはレトロウイルスであり、プロウイルス化した際にがん遺伝子が活性化される。
- 腫瘍を引き起こす6種類のヒト癌ウイルス 細胞に感染し腫瘍を誘起するウイルスを便宜的に腫瘍ウイルスと呼んでいます ウイルスは遺伝子としてDNAあるいはRNAのどちらか一方をもち、DNAウイルス、RNAウイルスと大別されますが、腫瘍 ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- oncovirus、oncogenic virus
- 関
- オンコルナウイルス、腫瘍ウイルス、レトロウイルス、レトロウイルス科、オンコウイルス亜科、RNA腫瘍ウイルス
[★]
- 関
- oncogenic virus
[★]
- 英
- RNA tumor virus
- 関
- オンコウイルス、オンコルナウイルス、レトロウイルス、レトロウイルス科、オンコウイルス亜科
[★]
- 英
- tumor viral antigen
- 関
- ラージT抗原、T抗原、スモールT抗原
[★]
- 英
- tumor virus infection
- 関
- ショープ線維腫、ショープ乳頭腫
[★]
- 英
- tumor
- 同
- 新生物 neoplasm new growth NG
- 関
分類(EPT.65)
悪性度
細胞と間質の割合
発生学的由来
組織学的分類
上皮性腫瘍
良性腫瘍
悪性腫瘍
非上皮性腫瘍
良性腫瘍
悪性腫瘍
-
臓器別分類
外陰部(女性)
子宮
卵巣
- 表層上皮性・間質性腫瘍 Surface epithelial-stromal tumors
- 性索間質性腫瘍 Sex cord/stromal tumors
- 胚細胞腫瘍 Germ cell tumors
腫瘍と関連する疾患 first aid step1 2006 p.294
[★]
- 英
- virus
- 同
- ウイルス粒子 virus particle、ビリオン virion
- 関
- 微生物学、抗ウイルス薬、国試に出がちなウイルス
感染経路による分類 SMB.374
学名
目(order, -virales), 科(family, -viridae), 亜科(subfamily, -virinae), 属(genus, -virus), 種(species)
増殖過程
- 吸着 absorption
- 侵入 penetration
- 脱殻 uncoating
- ゲノムの複製 replication、遺伝子発現 transcription
- ウイルス粒子の組み立て assembly
- 放出 release
感染の分類
持続時間
ゲノム
- 一本鎖RNA(-)をゲノムとするウイルスはウイルス粒子内にRNA依存性RNA合成酵素を有する。