ビンブラスチン
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この項目では、抗癌剤の一種としてのVBLについて記述しています。フランス軍の軽装甲4WDとしてのVBLについては「VBL装甲車」をご覧ください。 |
ビンブラスチン
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IUPAC命名法による物質名 |
dimethyl (2β,3β,4β,5α,12β,19α)-15-[(5S,9S)-5-ethyl-5-hydroxy-9-(methoxycarbonyl)-1,
4,5,6,7,8,9,10-octahydro-2H-3,7-methanoazacycloundecino[5,4-b]indol-9-yl]-3-hydroxy-16-methoxy-1- methyl-6,7-didehydroaspidospermidine-3,4-dicarboxylate
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
D(AU) D(US) |
法的規制 |
POM (UK) ℞-only (US) |
投与方法 |
静注に限定 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
n/a |
代謝 |
肝臓 (CYP3A4-mediated) |
半減期 |
24.8時間(終末) |
排泄 |
胆汁および腎臓 |
識別 |
CAS登録番号 |
865-21-4 143-67-9(硫酸塩) |
ATCコード |
L01CA01 |
PubChem |
CID 8935 |
DrugBank |
APRD00708 |
KEGG |
D08675 |
化学的データ |
化学式 |
C46H58N4O9 |
分子量 |
810.974 g/mol |
ビンブラスチン(vinblastine)とは、抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)の一種。CAS登録番号865-21-4。硫酸塩が「エクザール」という商品名で発売されている。VLBまたはVBLの略号で表されることがある。初期の頃は、ビンカレウコブラスチン(Vincaleukoblastine)といわれていた。
目次
- 1 効果・効能
- 2 副作用
- 3 作用機序
- 4 関連項目
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効果・効能
- 悪性リンパ腫、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、再発又は難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)
- 本剤とメトトレキサート、ドキソルビシン、シスプラチンとの併用(M-VAC療法)で、尿路上皮癌
副作用
骨髄抑制、知覚異常、末梢神経炎、痙攣、錯乱、昏睡、昏蒙、イレウス、消化管出血、アナフィラキシー様症状、心筋虚血、脳梗塞、難聴、呼吸困難及び気管支痙攣、間質性肺炎(類薬のビンデシンで)、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、悪心・嘔吐、口唇炎、消化不良、歩行困難、味覚異常、不安、不眠、無精子症、無月経、性腺(睾丸、卵巣)障害等、高血圧、レイノー現象など。
作用機序
チューブリンとビンブラスチン(黄色)の複合体。チューブリンのαサブユニットを赤色で、βサブユニットを青色で示している。
あまり明らかではないが、本剤がチューブリンに結合することにより、細胞周期を分裂中期で停止させるとされる。ビンブラスチンのチューブリンに対する結合部位はβサブユニットの付近である。
関連項目
- ニチニチソウ
- インドールアルカロイド
- アルカロイド
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 再発又は難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)治療におけるVeIP療法(硫酸ビンブラスチン、イホスファミド、シスプラチン併用療法) 適正使用情報
- M-VAC療法(尿路上皮癌)(メトトレキサート、硫酸ビンブラスチン、塩酸ドキソルビシン、シスプラチン併用療法) 適正使用情報
- ヒト腎細胞癌培養細胞株におけるCa^<++>拮抗剤の制癌剤の効果増強について
- 増田 光伸,執印 太郎,窪田 吉信
- 日本泌尿器科學會雜誌 77(10), 1592-1596, 1986-10-20
- … ヒト腎細胞癌培養細胞株,KN41,5873T,YCR-1の3株を用い,硫酸ビンブラスチン(VLB)及び塩酸ドキソルビシン(ADM)に対するCa^<++>拮抗剤の抗癌作用増強効果について検討した.殺細胞効果の検討として,コロニー形成法を行った.Ca^<++>拮抗剤として,塩酸ニカルジピン,塩酸ベラパミル,乳酸ブレニラミン,ニフェジピンを用い,濃度は細胞毒性を示さない10μMとした.ニカルジピンは,KN41,5873T,YCR-1に対しVLB及びADMの殺細胞効果を増強さ …
- NAID 110003057335
Related Links
- 硫酸ビンブラスチンは、以下の癌の治療に適用されます。・他の治療法で改善しなかった乳癌 ・他の化学療法で改善しなかった絨毛腫。絨毛腫は妊娠性絨毛腫瘍の一種です。・ホジキンリンパ腫 ・カポジ肉腫 ・菌状息肉腫
- 下記の使用量はあくまでも目安となります。 実際の使用においては医師の指示に基づき、適切な量を使用するようにしてください。 1.悪性リンパ腫、絨毛性疾患に対しては、白血球数を指標とし、ビンブラスチン硫酸塩として、初め ...
- 1.ビンブラスチン硫酸塩通常療法:次記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解:悪性リンパ腫、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、再発胚細胞腫瘍又は難治性胚細胞腫瘍(再発精巣胚細胞腫瘍又は難治性精巣胚細胞 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
エクザール注射用10mg
組成
- エクザール注射用10mgは、1バイアル中に次の成分を含有する。
有効成分・含有量
禁忌
(次の患者又は部位には投与しないこと)
次の患者には投与しないこと
次の部位には投与しないこと
効能または効果
ビンブラスチン硫酸塩通常療法
効能・効果
下記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解
- 悪性リンパ腫、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、再発又は難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)、ランゲルハンス細胞組織球症
- 悪性リンパ腫、絨毛性疾患に対しては、白血球数を指標とし、ビンブラスチン硫酸塩として、初め成人週1回0.1mg/kgを静脈内に注射する。
次いで0.05mg/kgずつ増量して、週1回0.3mg/kgを静脈内に注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 再発又は難治性の胚細胞腫瘍に対しては、確立された標準的な他の抗悪性腫瘍剤との併用療法を行い、ビンブラスチン硫酸塩として、1日量0.11mg/kgを1日1回2日間静脈内に注射し、19〜26日間休薬する。これを1コースとし、投与を繰り返す。
- ランゲルハンス細胞組織球症に対しては、通常、ビンブラスチン硫酸塩として1回6mg/m2(体表面積)を、導入療法においては週1回、維持療法においては2〜3週に1回、静脈内に注射する。
なお、患者の状態により適宜減量する。
注射液の調製法
- ビンブラスチン硫酸塩1mg当たり1mLの割合に注射用水又は生理食塩液を加えて溶解する。
- 悪性リンパ腫、絨毛性疾患に対して、本剤の投与量の決定にあたっては、白血球数を指標として1週間間隔で以下のように段階的に増量し、至適投与量に到達させる。
増量の目安
増量段階:投与量
- 第1回目:0.1mg/kg
第2回目:0.15mg/kg
第3回目:0.2mg/kg
第4回目:0.25mg/kg
第5回目:0.3mg/kg
- 白血球数が3000/μLまで低下した場合は4000/μL以上に回復するまでは投与を延期すること。多くの患者における1週間当たりの投与量は0.15〜0.2mg/kgになるが、白血球数の減少の程度は一定ではなく、0.1mg/kgの投与で3000/μLまで低下する例もある。維持量としては、約3000/μLの白血球減少を示した投与量より1段階少ない量を1から2週間の間隔で投与する。ただし、白血球数が4000/μL以上に回復するまでは、前回の投与より7日間経過していても次回投与は行ってはならない。1週間1回投与すべき量を分割して少量連日投与しても効果の増強は認められない。
一方、1週間1回の投与量の数倍量を分割して連日長期に投与した場合には痙攣、重篤かつ不可逆的中枢神経障害を起こし、死に至った例が報告されているため、上記投与方法を厳格に守ること。
- 再発又は難治性の胚細胞腫瘍に対し、確立された標準的な他の抗悪性腫瘍剤との併用療法(VeIP療法(ビンブラスチン硫酸塩、イホスファミド、シスプラチン併用療法))においては、併用薬剤の添付文書も参照すること。
M-VAC療法
効能・効果
尿路上皮癌
- メトトレキサート、ドキソルビシン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、ビンブラスチン硫酸塩として、成人1回3mg/m2(体表面積)を静脈内に注射する。
前回の投与によって副作用があらわれた場合は、減量するか又は副作用が消失するまで休薬する。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
標準的な投与量及び投与方法は、メトトレキサート30mg/m2を1日目に投与した後、2日目にビンブラスチン硫酸塩3mg/m2、ドキソルビシン塩酸塩30mg(力価)/m2及びシスプラチン70mg/m2を静脈内に注射する。15日目及び22日目に、メトトレキサート30mg/m2及びビンブラスチン硫酸塩3mg/m2を静脈内に注射する。これを1コースとして4週ごとに繰り返す。
注射液の調製法
- ビンブラスチン硫酸塩1mg当たり1mLの割合に注射用水又は生理食塩液を加えて溶解する。
慎重投与
- 肝障害のある患者
[本剤の代謝及び排泄が遅延し副作用が増強する可能性がある。]
- 腎障害のある患者
- 骨髄抑制のある患者
[本剤には骨髄抑制作用がある。]
- 感染症を合併している患者
[本剤には骨髄抑制作用があり、感染症を増悪させることがある。]
- 神経・筋疾患の既往歴のある患者
[神経障害が強くあらわれることがある。]
- 虚血性心疾患のある患者
[心筋虚血症状が強くあらわれることがある。]
- 水痘患者
[致命的な全身障害があらわれることがある。]
- 高齢者
[「高齢者への投与」の項参照]
重大な副作用
骨髄抑制注)
(頻度不明)
- 汎血球減少、白血球減少、血小板減少、貧血があらわれることがある。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、致命的な感染症(敗血症、肺炎等)や臓器出血等に至った報告がある。
知覚異常、末梢神経炎、痙攣、錯乱、昏睡、昏蒙注)
(頻度不明)
- 知覚異常、末梢神経炎、痙攣、錯乱、昏睡、昏蒙があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与量を減量するか投与を中止するなどの処置を行うこと。
イレウス、消化管出血注)
(0.1〜5%未満)
,*ショック、アナフィラキシー様症状注)
(頻度不明)
- ショック、アナフィラキシー様症状(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫、血圧低下等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心筋虚血注)
(頻度不明)
- 心筋梗塞、狭心症、心電図上虚血所見が発現したとの報告がある。
脳梗塞注)
(頻度不明)
- ビンカアルカロイド製剤により、脳梗塞が発現したとの報告がある。
難聴注)
(頻度不明)
呼吸困難及び気管支痙攣注)
(頻度不明)
- 呼吸困難及び気管支痙攣が発現したこと、また、これらの症状はマイトマイシンCとの併用時に発現しやすいことが報告されている。このような症状が発現した場合には本剤の投与を中止すること。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)注)
(頻度不明)
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
動物移植性腫瘍に対する抗腫瘍効果9),10)
- ビンブラスチン硫酸塩はマウスのP-1534白血病、Ehrlich腹水型腫瘍、Freund腹水型腫瘍、S-180腹水型腫瘍及びB-82A白血病に対して著明な生存日数の延長をもたらし、また、マウスの乳腺腫瘍(DBA腺癌)、ラットのWalker癌及び横紋筋肉腫に対しても、明らかな腫瘍増殖抑制効果を示した。
細胞学的効果11)
- ビンブラスチン硫酸塩1.0mg/kgをマウスの腹腔内へ投与し経時的に腹水腫瘍細胞の分裂像を観察したところ、マウス腫瘍細胞(Ehrlich腹水型腫瘍及びL1210腹水型腫瘍)において、分裂細胞の増加とともに分裂中期細胞の蓄積がみられた。
作用機序12)
- ビンブラスチン硫酸塩の作用機序の詳細はまだ明らかにされていないが、紡錘体を形成している微小管のチュブリンに結合することにより、細胞周期を分裂中期で停止させると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ビンブラスチン硫酸塩
Vinblastine Sulfate
(初期にはVincaleukoblastineの名称で記載された。)
略号
化学名
- Methyl(3aR,4R,5S,5aR,10bR,13aR)-4-acetoxy-3a-ethyl-9-[(5S,7S,9S)-5-ethyl-5-hydroxy-9-methoxycarbonyl-1,4,5,6,7,8,9,10-octahydro-3,7-methano-3-azacycloundecino[5,4-b]indol-9-yl]-5-hydroxy-8-methoxy-6-methyl-3a,4,5,5a,6,11,12,13a-octahydro-1H-indolizino[8,1-cd]carbazole-5-carboxylate monosulfate
分子式
分子量
性状
- ビンブラスチン硫酸塩は、白色〜微黄色の粉末である。水にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
吸湿性である。
★リンクテーブル★
[★]
ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン。vincaleukoblastine sulfate VLB
[★]
ビンブラスチン。硫酸ビンブラスチン
[★]
- 英
- bulla, pulmonary bulla
- 同
- 気腫性嚢胞 emphysematous bulla
- 関
- ブレブ
- ブラ bulla 気腫性嚢胞 肺胞が破壊されてできた肺実質内の気腔
- 肺胞壁の破壊、融合、拡張により生じた気腫 ただし胸膜の弾性板の内側に留まっている
[★]
- 英
- vinblastine, VLB
- ラ
- vinblastinum
- 同
- 硫酸ビンカロイコブラスチン vincaleukoblastine sulfate, VLB
- 化
- 硫酸ビンブラスチン vinblastine sulfate
- 商
- エクザール、Alkaban-AQ, Velban
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- sulfuric acid, sulfate
- 関
[★]
- 英
- bottle
- 関
- ビンづめ