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歯科医師(しかいし、英語: Dentist、Doctor of Dental Surgery、Doctor of Dental Medicine)は、歯科医学に基づいて傷病の予防、診断および治療、そして公衆衛生の普及を責務とする医療従事者である。
歯科医師 | |
---|---|
英名 |
Dentist Doctor of Dental Surgery D.D.S Doctor of Dental Medicine D.M.D |
実施国 | 日本 |
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 医療 |
試験形式 | 歯科医師国家試験 |
認定団体 | 厚生労働省 |
等級・称号 | 歯科医師 |
根拠法令 |
医療法 歯科医師法 |
ウィキプロジェクト 資格 ウィキポータル 資格 | |
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日本において、その職務等に関しては、歯科医師法により規定されている。業務独占資格および名称独占資格の医療資格である。
歯科医師とは歯科医師法によって「専ら歯科医療及び保健指導を掌ることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとすることを責務とする」と定められている。「歯科医業」とは咬合構築に関与する行為(補綴、充填、歯列矯正)、歯牙・顎骨・口腔粘膜・舌・口唇・唾液腺・咀嚼筋など下顔面に発生する疾患の治療、全身疾患のうち口腔または下顔面に症状を現す疾患の治療および機能回復訓練、などの行為をいう。
なお、医師法の医業と重複する部分は耳鼻咽喉科学の口腔内疾患(口腔癌舌癌など)、皮膚科学の口腔内粘膜疾患等であるが、医師、歯科医師(歯科口腔外科歯科医師)共に診療を行っている。ただし、口腔癌が口腔以外の全身の器官に転移している場合は、医師と歯科医師が互いにに治療方針の意見交換を行っておりそこで医科歯科連携治療が行われている。
また医師は耳鼻咽喉科や頭頚部外科を標榜し歯科・口腔外科を歯科医師のみが標榜する。歯科口腔外科を医師が標榜する事は出来ない。
歯科医師は医師には許されていない咬合に関する歯科医業を行う医療従事者である。
また医師が義歯や歯科矯正などの「咬合に関する診療」を行えば歯科医師法違反になる。
現在の日本では、厚生労働省が指定した大学の歯学に関する正規の課程(歯学科、6年制)を卒業し、歯科医師国家試験に合格しなければ歯科医師になれない。したがって、歯科医師は全員、学士(歯学)の学位を有する。しかし、「博士(歯学)」を有する者が必ず歯科医師とは限らない。歯学系大学院の博士課程、または歯学部の研究室で複数の論文を発表し、歯学部大学院に博士号を申請し、大学院教授たちの審査で博士号を与えるにふさわしいとされれば、博士号を歯科医師でなくとも与えられる(なお、同様に医師は必ず学士(医学)を有しているが、「博士(医学)」を有する者が必ず医師とは限らない)。
日本において歯科医師は、医師とは別の国家資格である。歯科医師となるには、歯科医師国家試験に合格しなければならない。歯学部を卒業し学士(歯学)の学位を得ただけでは歯科医師になれない。
歯科医師国家試験の受験資格は、原則として大学において歯学の正規の課程を修めて卒業した者および卒業見込みの者(学士(歯学))に与えられる。正規の課程を卒業し、試験に合格し歯科医籍に登録をしたものは厚生労働大臣より歯科医師免許状が与えられ、これにより独立して歯科医業を行うことができる。また通常は、保険医登録も行うことが多い。さらに医療機関(診療所、病院)(どちらも歯科医業を行う診療所、主に歯科医業を行う病院の開設者や管理者になる)すなわち歯科医院の開業をし、診療所院長にをなるには、歯科医師免許取得後1年以上の卒後臨床研修を修了しなければならない。歯科衛生士に認められている一部行為を除き、他者の指示に基づかず歯科医業を行うことが歯科医師のみに認められている。また、主に歯科医業を行う病院および診療所の管理者も歯科医師が就くものと定められている。現在、歯科医師免許に更新期限はなく、歯科医業停止・免許取消を医道審議会により決定されない限り生涯にわたって有効である。
歯科医師免許は、診療科ごとに交付されるものではない。その為、各診療分野の学会が学会認定医などの認定を行っている。これらは法的な拘束力を持つ資格ではないため、標榜科名(現在、歯科、歯科口腔外科、矯正歯科、小児歯科の4科が認められている)は自由に標榜できる。なお専門医資格は、各学会の専門医を持っていないと広告できない(医師の専門医標榜制度と異なる)。
明治維新前:明治維新以前は、口歯科、口中科を専業にする医師がいて、口、喉、歯の治療をおこなっていた。世界的には紀元前2500年頃のものと推定される義歯がギーザから発掘されている。
明治維新後:1874年(明治7年)8月に医制が公布され、西洋を模範とした医療制度が整えられ始めた。「医制」により、医師になるには、医術開業試験を合格することが求められた。1875年(明治8年)、小幡英之助は第1回目の医術開業試験に「歯科」を専門に試験を申請し合格した。小幡は医籍4号をもって登録された。これは「歯科を専攻する医師として登録された」ということであるが、小幡が西洋歯科医学を専攻した先達であり、「歯科」という語を初めて用いたこともあり、日本で最初の(近代)歯科医師とされている。1883年(明治16年)、医籍とは別に歯科医籍が作られ、医師と歯科医師とは独立した、別個の存在となった。1906年(明治39年)、法律48号により歯科医師法が制定された。1942年(昭和17年)、大戦中の医療体制確立のために、医師法と合わさって国民医療法となったが、歯科医師制度そのものに変化はなかった。戦後、国民医療法は、医師法、歯科医師法、医療法(医療機関について規定)にわかれ、現在に至る。
調査年 | 歯科医師数 | 男 | 女 |
---|---|---|---|
1955(昭和30年) | 31,109 | - | - |
1960(昭和35年) | 33,177 | - | - |
1965(昭和40年) | 35,558 | 31,710 | 3,848 |
1970(昭和45年) | 37,859 | 33,756 | 4,103 |
1975(昭和50年) | 43,586 | 38,700 | 4,886 |
1980(昭和55年) | 53,602 | 47,012 | 6,590 |
1984(昭和59年) | 63,145 | 55,049 | 8,096 |
1986(昭和61年) | 66,797 | 58,180 | 8,617 |
1988(昭和63年) | 70,572 | 61,189 | 9,383 |
1990(平成2年) | 74,028 | 63,822 | 10,206 |
1992(平成4年) | 77,416 | 66,501 | 10,915 |
1994(平成6年) | 81,055 | 69,048 | 12,007 |
1996(平成8年) | 85,518 | 72,252 | 13,266 |
1998(平成10年) | 88,061 | 73,669 | 14,392 |
2000(平成12年) | 90,857 | 75,671 | 15,186 |
2002(平成14年) | 92,874 | 76,549 | 16,325 |
2004(平成16年) | 95,197 | 77,301 | 17,896 |
2006(平成18年) | 97,198 | 78,254 | 18,944 |
2008(平成20年) | 99,426 | 79,305 | 20,121 |
2010(平成22年) | 101,576 | 80,119 | 21,457 |
2012(平成24年) | 102,551 | 80,256 | 22,295 |
2014(平成26年) | 103,972 | 80,544 | 23,428 |
2016(平成28年) | 104,533 | 80,189 | 24,344 |
2018(平成30年) | 104,908 | 79,611 | 25,297 |
2012年の米国の総歯科医師数は約20万人である[1]。最も多いのはカリフォルニア州の約3万人、次いでニューヨーク州の約1万5千人で、これらの地域の都市部では歯科医師過剰問題が指摘されている[1]。
しかし、米国全体では歯科医師不足となっている州がほとんどであり、最も少ないのはワイオミング州の293人、次いでバーモント州の373人である[1]。
2009年度の米国の歯科医師の平均年収は、一般開業医で平均19万4千ドル、専門医で平均31万1千ドルであった[1]。
米国歯科医師会は、歯内療法専門医、歯周専門医、補綴専門医、矯正専門医、小児歯科専門医、口腔外科専門医、口腔病理専門医、歯科放射線専門医、公衆衛生専門医の9種類を設定している[1]。
また、米国では米国歯科医師会認定の専門医とは別に口腔内科、高齢者歯科、口腔顔面疼痛、顎関節症などの特殊専門プログラムならびに医師が準歯科専門医に位置づけられている[1]。
米国には国民健康保険制度は存在せず、個人は会社や学校を通じて民間保険に加入していることが多い[1]。医療保険には狭義の医療保険と歯科医療保険があるが、特に後者は高額であるため1億3000万人以上のアメリカ国民は歯科医療保険には加入していない[1]。
低所得者及び身体障がい者対象の医療保険にメディケイドがあり、医療費を連邦政府と州政府が折半している[1]。しかし、予算の低い州では治療の保証の範囲が限られており、ほとんどの州では緊急処置のみであり、またメディケイドを受け入れる施設が少ないため治療には長期間を要する[1]。
歯科医師に関する組織には、学会、職能団体(労働組合)、規制団体などがある。
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