パロキセチン
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Japanese Journal
- 塩酸パロキセチン水和物の有効性・安全性の総括-市販後調査より-
- 臨床医による新薬の評価 塩酸パロキセチン水和物--抗うつ薬
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
パキシル錠5mg
組成
1錠中のパロキセチン塩酸塩水和物(パロキセチンとして)含量
添加物
- デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム水和物、ヒプロメロース、マクロゴール400、ポリソルベート80、酸化チタン、三二酸化鉄
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者(「相互作用」及び「重大な副作用」の項参照)
- ピモジドを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
効能または効果
- うつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害
- 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。(「警告」及び「その他の注意」の項参照)
- 社会不安障害の診断は、DSM-IV※に基づき慎重に実施し、診断基準を満たす場合にのみ投与すること。
※DSM-IV:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th edition(DSM-IV精神疾患の診断・統計マニュアル)
うつ病・うつ状態
- 通常、成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして20〜40mgを経口投与する。投与は1回10〜20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。
パニック障害
- 通常、成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして30mgを経口投与する。投与は1回10mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日30mgを超えない範囲で適宜増減する。
強迫性障害
- 通常、成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして40mgを経口投与する。投与は1回20mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日50mgを超えない範囲で適宜増減する。
社会不安障害
- 通常、成人には1日1回夕食後、パロキセチンとして20mgを経口投与する。投与は1回10mgより開始し、原則として1週ごとに10mg/日ずつ増量する。なお、症状により1日40mgを超えない範囲で適宜増減する。
- 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。なお、肝障害及び高度の腎障害のある患者では、血中濃度が上昇することがあるので特に注意すること。(「薬物動態」の項参照)
慎重投与
- 躁うつ病患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]
- 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
- 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
- 衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある。]
- てんかんの既往歴のある患者[てんかん発作があらわれることがある。]
- 緑内障のある患者[散瞳があらわれることがある。]
- 抗精神病剤を投与中の患者[悪性症候群があらわれるおそれがある。](「相互作用」の項参照)
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 出血の危険性を高める薬剤を併用している患者、出血傾向又は出血性素因のある患者[皮膚及び粘膜出血(胃腸出血等)が報告されている。](「相互作用」の項参照)
重大な副作用
セロトニン症候群
(1%未満)
- 不安、焦燥、興奮、錯乱、幻覚、反射亢進、ミオクロヌス、発汗、戦慄、頻脈、振戦等があらわれるおそれがある。セロトニン作用薬との併用時に発現する可能性が高くなるため、特に注意すること(「相互作用」の項参照)。異常が認められた場合には、投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
悪性症候群
(1%未満)
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合がある。抗精神病剤との併用時にあらわれることが多いため、特に注意すること。異常が認められた場合には、抗精神病剤及び本剤の投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発現時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
錯乱、幻覚、せん妄、痙攣
(1%未満)
- 錯乱、幻覚、せん妄、痙攣があらわれることがある。異常が認められた場合には、減量又は投与を中止する等適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑
(頻度不明注1),3))
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
(頻度不明注1),3))
- 主に高齢者において、低ナトリウム血症、痙攣等があらわれることが報告されている。異常が認められた場合には、投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
重篤な肝機能障害
(頻度不明注1),3))
- 肝不全、肝壊死、肝炎、黄疸等があらわれることがある。必要に応じて肝機能検査を行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- パロキセチン塩酸塩は選択的なセロトニン(5-HT)取り込み阻害作用を示し、神経間隙内の5-HT濃度を上昇させ、反復経口投与によって5-HT2C受容体のdown-regulationを誘発することにより、抗うつ作用及び抗不安作用を示すと考えられる。
抗うつ作用
- マウス強制水泳試験において反復投与により用量依存的な無動時間の短縮作用を示した。
- マウス尾懸垂試験において用量依存的な無動時間の短縮作用を示した25)。
- 縫線核破壊ラットのムリサイド行動に対して用量依存的な抑制作用を示した26)。
抗不安作用
- ラットsocial interaction試験において反復投与によりsocial interaction時間の増加作用を示した27)。
- ラットVogel型コンフリクト試験において反復投与により抗コンフリクト作用を示した。
- ラット高架式十字迷路試験において反復投与によりopen armにおける滞在時間及び進入回数を増加させた28)。
抗強迫性障害作用
- マウスガラス玉覆い隠し行動試験においてガラス玉覆い隠し行動を抑制した。
作用機序
- パロキセチン塩酸塩はin vitroにおいてラット視床下部シナプトソーム分画への5-HT取り込み阻害作用を示した29)。Ex vivo試験においても経口投与により5-HT取り込み阻害作用を示し、反復投与しても5-HT取り込み阻害作用は示すものの、ノルアドレナリン取り込み阻害作用は示さず、その5-HT取り込み阻害作用は最終投与24時間後に消失した29)。
- パロキセチン塩酸塩はラットの背側縫線核及び前頭葉皮質における細胞外5-HT含量を増加させた30)。また、ラットにおける5-HTP誘発head twitch行動の増強作用及びPCA誘発自発運動量増加の抑制作用を示したことから31)、行動薬理学的にも5-HT取り込み阻害作用が示された。
- パロキセチン塩酸塩はmCPP誘発自発運動活性減少に対して単回投与では作用を示さなかったが、反復投与で拮抗作用を示したことから、反復投与により5-HT2C受容体のdown-regulationを誘発することが示された32)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- パロキセチン塩酸塩水和物(Paroxetine Hydrochloride Hydrate)
化学名
- (-)-(3S,4R)-4-(4-fluorophenyl)-3-[(3,4-methylenedioxy)phenoxymethyl]piperidine monohydrochloride hemihydrate
分子式
分子量
性状
- 白色の結晶性の粉末である。
N,N-ジメチルホルムアミド、メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(95)又はエタノール(99.5)にやや溶けやすく、水、アセトニトリル、無水酢酸、2-プロパノール又はテトラヒドロフランに溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
塩酸パロキセチン水和物
[★]
- 英
- paroxetine
- 化
- 塩酸パロキセチン水和物 paroxetine hydrochloride hydrate
- 商
- パキシル, Paxil
- 関
- 精神神経用剤
分類
-
適応
- うつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害
禁忌
- 1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 2. MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者(「相互作用」及び「重大な副作用」の項参照)
- 3. チオリダジンを投与中の患者
- 4. ピモジドを投与中の患者
副作用
- うつ病・うつ状態患者、パニック障害患者、強迫性障害患者及び社会不安障害患者を対象とした本邦での臨床試験において、総症例1424例中975例(68.5%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、傾眠336例(23.6%)、嘔気268例(18.8%)、めまい186例(13.1%)、頭痛132例(9.3%)、便秘113例(7.9%)であった(承認時)。
- うつ病・うつ状態患者、パニック障害患者を対象とした使用成績調査及び強迫性障害患者を対象とした特定使用成績調査において、3239例中503例(15.5%)に臨床検査値異常を含む副作用が報告された。その主なものは、嘔気157例(4.8%)、傾眠120例(3.7%)、食欲不振42例(1.3%)、めまい42例(1.3%)であった(第13回安全性定期報告時)。
添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179041F1025_2_23/
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- hydrogen chloride
- 同
- 塩化水素
- 関
[★]
- 英
- hydrate
- 関
- 水和、水分補給