出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/11/18 10:58:15」(JST)
人類が土壌を摂食する文化は世界各地に分布しており、消化作用の促進、滋養強壮、解毒などの効果があるとされている[1]。
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土壌にはマグネシウム、ナトリウム、カルシウム、鉄分などのミネラルが含まれている。
一般的な食文化として、土を食材として用いる地域は世界各地に分布している[1]。例えばアメリカ合衆国南部では黒人奴隷が持ち込んだ土食文化が普及し、調理済み土を一般商店で買い求めることができるし、ネイティブ・アメリカンはイワーキー(癒しの土、Ee-Wah-Kee)と呼び心労回復のために土を食べる[1]。その他、ベトナムでもてなし料理として知られている土の網焼や、ハイチのテーレという名のビスケットにも土が原料として用いられている[1]。フランス料理にも[要出典]煮込んだ土にルッコラの根を添えた「土のスープ」という料理がある[1]。
樺太のアイヌ民族も、調理に土を使っていたことが知られている。 珪藻土(アイヌ語: チエトィ。「我らの食べる土」の意) を水に溶いて煮立てたものにハナウドの葉柄、ウラジロタデの若い茎、クロユリの鱗茎などを搗き潰して加え、油を加えたりして食する[2]。
18世紀後期のドイツの博物学者フンボルトは、1800年6月にオリノコ川沿いの村で、オトマコ族の住民が土を食べることを観察している。土は灰黄色のきめの細かいもので、直径10センチメートルあまりの団子にして保存される。直接呑み込むほか、煮炊きの際に溶かして使うこともある。持ち帰った団子を分析したところ、シリカとアルミナのほか若干の石灰から成り、脂肪や炭水化物は含まれていなかった。彼は、洪水の期間は魚が獲れないので土を食べて飢えをしのぐのであろうと結論づけた[3]。
上記以外にも、飢饉や食糧難の時代に珪藻土やベントナイトが食品の増量材として使われたことがある。
妊娠した女性が土壁をかじったり、地面の土を食んだ事例は日本でも古くから知られており、亜鉛や鉄分が不足して味覚異常になった際に発症しやすい行動であることが科学的に明らかになっている[1]。タンザニアのペンバ島では、若い女性が土を食べ始めることは妊娠の兆候として喜ばれる[4]。普段土を食さない人が上記のような症状に陥る場合は土食症(geophagia)と呼ばれる病名を冠する。
鳥類や哺乳類にも、土壌を食するものがある。オウム、ウシ、ネズミ、ゾウなどは、動物の習性として土を摂食することが知られている[4]。その機能としてミネラル補給説や、土壌の物理組成による毒物吸着説[5]、胃腸障害の改善、アシドーシス改善作用説などがある[6]。ウガンダのキバレ国立公園のチンパンジーの土食は、土壌成分のカオリナイトとある種の植物が作用することで得られる抗マラリア原虫である可能性がある[1][7]。一方でカオリナイトには下痢止めの作用も知られており、マハレ山塊国立公園のチンパンジーの場合、胃腸障害が疑われる時に、蟻塚をこのんで食べることが知られている[8]
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