出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/10/17 06:03:51」(JST)
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商標(しょうひょう)とは、商品を購入し、あるいは役務(サービス)の提供を受ける需要者が、その商品や役務の出所(誰が提供しているか)を認識可能とするために使用される標識(文字、図形、記号、立体的形状など)をいい、商品の販売に際しては商品または商品の包装、役務の提供に際しては、役務の提供に使用される物や電磁的方法により行う映像面に付して使用する。需要者は、標章を知覚することによって商品や役務の出所を認識し、購入したい商品、または提供を受けたい役務を選択することができる。
商品の販売や役務の提供を継続すると、使用されるブランドは需要者に広く知られることとなり、商品の品質や役務の質が一定以上のものであれば、業務上の信用力(ブランド)が化体し、財産的価値が備わるようになる。この財産的価値は、特許権や著作権にならぶ知的財産権の一つと位置づけられ、条約や法律による保護対象となっている。これにより産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することができる。
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商品の出所を表示するものと役務(サービス)の出所を表示するものがある。このうち、商品の出所を表示するものを「トレードマーク」(trademark, ™) とよび、役務の出所を表示するものを「サービスマーク (service mark, ℠) と呼ぶこともある。たとえば、銀行のようなサービス業は「サービスマーク」を使用することになる。
商標には、文字、図形、記号といった平面的なもののほか、特徴的な商品の形状、店舗に設置される立体的な看板など、立体的形状からなるもの(立体商標)と、これらが結合されたものがある。また、視覚によって認識される標章の他に、音響、匂い、味、手触りも、店舗などでそれらを知覚した需要者が商品や役務の出所を認識できる程度の著しい特徴を有していれば、商標としての機能を発揮する。国によっては、視覚によって認識されるもの以外のこれらの音響や匂い、味などを保護する法制度を持つ国もある。
一般的に、出所表示機能、品質保証機能、広告宣伝機能があるとされている。
出所表示機能とは、その商標が付された商品、役務の出所(生産者、販売者など)を需要者に認識させる機能をいい、この本質的な機能を欠いた場合、後述する品質保証機能や広告宣伝機能も発揮することができない。
品質保証機能とは、その商標が付された商品、役務であれば、一定の品質、質を有するものと需要者に期待させる機能である。たとえば、特定の商標が付された医薬品であれば「効き目が早い」、電子計算機であれば「処理が高速である」、旅客の輸送役務であれば「安全である」といった需要者の期待を抱かせる機能が、品質保証機能である。
広告宣伝機能とは、その商標が使用されている商品や役務を選択することを需要者に促す機能をいい、需要者の好感度を向上させるような広告宣伝活動を通して獲得される機能である。
需要者は、商品自体や商品の包装に付された商標を目にすることによって、希望する商品を購入し、逆に希望しない商品の購入を避けることができる。
役務(サービス)とは、他人のために行う労務または便益であるため、それ自体は無形物である。したがって、役務自体に表示することができないため、役務の提供に際して使用される物に商標を付することになる。たとえば、携帯電話サービスの提供において携帯電話端末に表示したり、旅客輸送サービスにおいて電車やバスの車体、飛行機の機体に表示したり、ネットバンキングや通信販売サービスの提供において、Webサイト上に表示することによって、自己の業務にかかわる役務であることを認識させる。
一般の商標には、「商標マーク ™」(trade mark)、「役務商標マーク ℠」(service mark)、登録商標には「登録商標マーク ®」(registered trademark)を表記することが多いが、いずれもアメリカ国内法の規定に基づく表記である。日本の商標制度では、「登録商標マーク ®」に関する明文上の規定は、「商標法」および「商標法施行規則」等にはない。また商標法施行規則17条では、商標登録表示は、「登録商標」の文字と登録番号としている。しかし、英語教育が行き届き、アメリカ経済の影響を多大に受け、実生活でも商標法第73条が、付するように努めなければならないと規定する商標登録表示として、「®」表示が多用されている日本において、一般需要者は、「®」を「registeredの略」もしくは「登録を意味するもの」と理解し、同時に、使用者も需要者が登録商標であると認識すると期待している。従って、非登録商標に「®」を付する行為は、商標法第74条第1項で言うところの「虚偽表示」にあたると看做されている。前述の通り、「®」は主としてアメリカで用いられていたが 、デザイン上無理なく表示できる等の理由で現在世界的に用いられており、日本と同じ漢字文化圏の中国においても、2002年8月3日に公布された中華人民共和国商標法実施条例37条2項により正式に「®」は商標登録表示の一つとして認められている。
また、「商標が登録商標である旨の表示」は、(たとえば日本法においては)「商標権者・使用権者が登録商標を付するときに、その商標に付けなければならない」ものであり、他者がその商標と同じ文字列(たとえばブランド名)を単に記す際にそのようなものを付けるのは、誤りであるのみならず、記述者を権利者と誤認させうる問題のある行為であるが、商標名を書く時にはそのようにしなければならないという誤った思い込みが広く見られる。
出願時の審査の有無、先使用主義(米国等)か先願主義(日本・ヨーロッパ等)かなど、国によって違いがあるので注意が必要である。保護を求めたい国に直接出願するか、マドリッド協定議定書による国際出願をしない限り、保護は国内に限定される。国際出願をした場合でも原則として保護を求める国で審査を受ける必要がある。
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