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反響定位(はんきょうていい)とは、音の反響を受け止め、それによって周囲の状況を知ることである。エコロケーションあるいはエコーロケーション(echolocation)ともいう。
反響定位とは、動物が自分が発した音が何かにぶつかって返ってきたものを受信し、それによってぶつかってきたものの位置を知ることである。それぞれの方向からの反響を受信すれば、そこから周囲のものの位置関係、それに対する自分の距離を知ることができる。したがって、音による感受法でありながら、一般の聴覚よりも、むしろ視覚に近い役割を担っている。
一般に、周囲の位置関係を知ることは、動物が動きながら餌を求める限り、最も重要な感覚である。光は伝達速度が速く、到達距離が長く、波長が短いので、多量の情報を素早く遠くに伝えるには適している。それにもかかわらず音がそれに代わって用いられるのは、光が利用できない条件下である。またその場合、波長が短い方が情報量は多いことから、高い音ほど有用であり、結果として人の可聴領域以上の音、すなわち超音波が用いられるようになる。
ただし、上記のことが言えるのは空気中のことである。土中ではそもそも光は通らない。水中でも光は強く水に吸収されるため、100m先も見通せない。それに対して、音は水中では空中よりはるかに速く伝達する。空気中での音の伝達速度は340m/s程度だが、水中では1500m/s近くに達し、土中ではさらに速い。
したがって、水中で、ある程度以上の遠くを見通す必要があれば、光は役に立たず、音波のほうがはるかに有効である。人間が海洋で水深を測定するときも、音波が利用される。また、魚群探知機も、音波の反射によって魚の群れの位置を探す装置であり、その原理は反響定位そのものである。
最も有名なのは、哺乳類でありながら空を飛べるコウモリである。コウモリ類には大きく2つの群があるが、大型で果実食のオオコウモリ類は大きな目を持ち、視覚にたよって生活する。反響定位を用いるのは、小型で昆虫食が中心の小型コウモリ類の方である。
小型コウモリ類は目がごく小さく、耳は薄くて大きい。多くのものは空を飛びながら、飛んでいる昆虫を空中で捕獲して生活している。高速で空中を飛ぶものや、木の枝の間をひらひらと飛びながら虫を探すものもいるが、いずれの場合も反響定位にたよって飛行する。実験的に室内に針金を張り巡らせ、その中を飛ばせると、針金にぶつからずに飛び回る。ここで、コウモリに目隠しして飛ばせても、飛び方は変わらないが、耳をふさぐと飛べなくなる。
コウモリは口から間欠的に超音波の領域の音を発して、それによってまわりの木の枝や、虫の位置を知る。虫を捕らえる直前は、音を発する頻度が高くなる。コウモリの餌のひとつであるガの中には、コウモリの発する音を聴くための耳を持ち、コウモリの反響定位音をとらえると、羽を閉じてストンと落下する等の回避行動をとるものがある。
夜行性の鳥にも、反響定位を行うものがある。南アメリカの洞窟に暮らすアブラヨタカは反響定位に可聴領域の音を使っているため、洞窟内に入るとやかましくてたまらないという。ただし、この鳥は目もよく発達しており、夜に洞窟外に出て果実を食う。また、アナツバメ類にも洞窟に栄巣するものがあり、反響定位を利用している。
土中で生活するモグラなども聴覚が発達しているが、反響定位のような使い方はしないようである。
水中では、一部のクジラ類が反響定位を行うことが知られている。ハクジラ類は頭部にメロンという脂肪組織のかたまりを持つが、これが鼻腔で発した音波を屈折させ、収束させるレンズとして機能し、指向性の高い音波の発信にかかわると言われる。また、音波の受信は、眼の後方にある耳孔ではなく下顎骨を用いて行い、ここから骨伝導で内耳に伝えられる。クリック音と言われる超音波を発し、これによって反響定位や、仲間との交信を行っている。一説によれば、1,000km離れた仲間ともやり取りできるとも言われる。
視覚障害者は、杖がコンクリートをたたく音や舌を鳴らした音などの反響で、周囲の状況、例えば横にブロック塀があるといったことがわかるという[1]。阪神・淡路大震災では、町中のブロック塀がことごとくくずれ、そのため、普段歩いていた道の反響が全く変わって、困惑した視覚障害者が多かったとのことである[要出典]。
米国には、視覚障害者に対する反響定位トレーニングを推進する団体がある[1]。
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