出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/07/04 19:39:49」(JST)
去勢(きょせい)とは、人間の男女、または動物の雄雌の生殖に必要な部位を切除し、種として生殖不能な状態とすること。
手術による去勢は「去勢術」と呼ばれ、男性(動物なら雄)においては睾丸(あるいは陰茎)の切除、女性(動物なら雌)においては卵巣(場合によっては子宮も)などの切除が最も一般的である。人間の男性の生殖器全体を切除した場合は特に「全除精術」という。ただし、医療行為によらずにこれらを切除した場合や事故などで喪失した場合などにはこの表現や語句は用いない。
現在は家畜・ペット・競走馬などに施されることが多く、雌が不用意に子を産み増やすのを防止したり、特に雄の攻撃的な性質などを喪失させる目的の元に行われたりすることが多い。また、食肉用家畜の雄は去勢することによって肉質がよくなる。雄に対しての去勢は俗に「玉抜き」などと呼ぶ場合もある。去勢すると生殖機能が失われるため、子孫を残すことは出来なくなる。競走馬においては去勢された馬は騸馬と呼ばれる。牡馬(オス馬)に対して行われるのが一般的で、牝馬(メス馬)を去勢することは滅多に無い。気性の悪さが原因で成績を残せない馬に行われることが多いが、去勢されることによって気性が良化し、成績を残す馬もいる。
人間においては古代や中世には刑罰として行われることも少なくなかったが、その後廃止された。また、古代中国などでの宦官や近代以前のヨーロッパでのカストラートなど目的や必要条件に応じて、意図的に多くの男性に対して行われたケースもあった。
人間、動物に限らず、第二性徴以前に去勢する場合は「幼去勢」、それ以降に去勢する場合は「熟去勢」と呼んで区別する場合も多い。人間の例に限るなら、前者の例が前述したカストラートであり、今日に至っては幼少期の特徴を残すための目的や刑罰で行われることはないといえる。
また、男性に対する通過儀礼として睾丸の片方を切除する部族もおり、半去勢と呼ばれる。
なお、いわゆる「ニューハーフ」の中にも去勢手術を行った者は存在するが、ニューハーフのすべてが去勢手術を受けているわけではない。
2015年現在で化学的去勢を実施している国と地域は米国の8つの州およびカナダ、ドイツ、オランダ、ポーランド、スイス、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、モルドバ、大韓民国である[1]。
化学的去勢は刑事罰というよりも異常な性的衝動を持つ性的倒錯者に対する治療という建前となっており、身体刑とは扱われない。
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