出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/08/03 16:31:55」(JST)
医学部(いがくぶ)は、大学において医学に関する研究・教育を行っているところ。また医学を専門に学ぶ課程である。
医学部の社会的責務は教育・臨床・研究の3つであると言われる。
医学部に付属する学科は以下のようなものがある。
なお、東洋医学を体系的に学ぶための学科は日本には無い(ただし医学部以外では存在する)が、2007年度時点にて、日本のすべての大学の医学科にて東洋医学の講義が行われるようになった。
医師養成課程(医学部医学科・6年制)を卒業した者には「学士(医学)」の学位(1991年以前は「医学士」の称号)が授与されるが、学士(医学)及びその他の6年制学部卒業者や修士号取得者は医学系の大学院に入学することが可能で、「博士(医学)」の学位を取得することが出来る。すなわち、医師養成課程を経ずとも博士(医学)の学位を取得できる。
博士(医学)の学位を取得できる大学院は、医師養成課程を持つ大学に設置される。博士(医学)の学位を取得するためには、それらの大学院医学研究科に入学する必要があり、さらに、自ら執筆した論文の評価によって博士の学位が授与される。医学研究科は4年制であるが、社会人大学院に入学した場合は3年以上の授業料納付と博士(医学)と認められるのに充分な論文の提出が必要である。学会誌に査読を経て掲載された論文を既に多く執筆済みであっても、授業料を3年以上納付しないと博士(医学)の学位は取得できない。
なお、博士(医学)は学位であり医師免許とは無関係なので、医師ではない博士(医学)の者は医業を行うことはできない。また、医学部医学科を卒業していない博士(医学)の者は医師国家試験の受験資格はない。医師となるには、医学部医学科を卒業予定あるいは卒業した者が、医師国家試験を受験して合格する必要がある。
医学部のうち、医学科は日本全国に80あり、いずれも1学年100人程度と少人数で編成されている(「近年難化を示す医学部入試」というように、大学受験において「医学部」といえば、通常「医学部医学科」のことを指している。以下、医学部=医学科として記す)。入学志望者の競争倍率は高く、受験者には過年度生が他学部と比べて非常に多い(3浪以上の多浪生も珍しくない)。医学部は医師免許を取得できるため、浪人や留年や休学や再受験等で、卒業までに要した年数が合わせて3年以上余分であっても、他学部に比べると就職で大きく不利になることはない(3年以上の遅れであっても新卒扱いになるが、とりわけ文系就職では大きなハンデとなりうる)。また、純粋な浪人生だけでなく、社会人入学者(一旦社会人として就職したのち入学した者)、既に他学部に入学、もしくは中退や卒業をしているにも関わらず志願する者(仮面浪人生や再受験生と呼ぶ)も多い。それゆえ、20歳代後半や30歳代、40歳代で医学部に入学する者も多く、医学部の学生の平均年齢は他学部に比べ高い。
医師養成に何千万の税金が投入されているという話があるが、これは大学病院の赤字補填費や研究費まで含んだ場合の金額であると推定される。各大学発表の収支報告書によると、基本的に授業料収入が教育経費を上回っている。 私立大学医学部の高額な学費は、教育費に加え大学病院の赤字補填費や研究費に充てられる。私立大学医学部の6年間総額納入金の平均額は約3,300万円[1]である。最高額は川崎医科大学医学部で卒業までに約4,600万円が必要。一方で自治医科大学のように、卒業後に一定の条件を満たせば授業料がほとんど無償という大学もある。
卒業時には卒業論文はなく「卒業試験」に合格することで修了となる(一部例外あり)。
最近では、卒後臨床研修必修化に伴い、研修病院への就職活動が激化している。重点研修内容が、内科・外科・産科・小児科などのCommon Disease(罹患率の高い疾患)や救急医療などとなっているため、都市部の市中大規模病院での研修を望む者が多い傾向がある。大学病院は、医師の数が多い上、罹患率が低かったり、高度な医療が必要だったりする特殊な疾患を主に扱い、研修医が重点研修内容を実際に扱う機会が少ないとみなされる点や、給与や福利厚生も市中病院に比べ悪いため、大学病院離れの傾向が強い。病院の数自体が少ない地方ほど、大学病院の高度医療化が進んでいるため、研修医が集まらずに定員割れが起きている(自治医科大学、東北大学、東海地方の大学では、伝統的に市中病院での研修を推奨、または義務としてきたので、大学病院の研修医は少ない)。
2013年現在、最も歴史の浅い医学部は琉球大学医学部で1979年(昭和54年)である。
また、近年の医師不足の背景から、私立大学に医学部の設置を検討する動きが出てきている[2]。 実現すれば、1979年に設置された琉球大学以来およそ30年ぶりとなる。
大学受験において、「医学部入試」といえば、通常、医学部医学科の入試を指す。
近年は少子化による大学入試の易化[3]や理系離れが指摘されているが、バブル崩壊後長く続いた不況による企業の倒産やリストラの影響などもあり、医学部志望者が大幅に増え、特に国公立大学の医学部の入学試験が難化する傾向にあり、景気回復後も人気が高止まりしているのが現状である。国公立大学医学部は、私立大学医学部に比して学費が圧倒的に安い為(年間約50万)、医学部志望者への人気が非常に高い。総合大学では、他学部と同じ問題を出題している大学がほとんどであり、センター試験、二次試験共に合格最低点や入試偏差値は同大学他学部と比して極めて高く、最難関学部(学科)と称されている。さらに2006年度入試から国公立大の医学部において、センター試験理科3科目(化学、物理、生物)全てを受験しなければならない大学も出てきたが、現在では縮小傾向にあり京都大学と九州大学(北海道大学は個別試験も含め3科目必要)のみとなっている。また、ほとんどの医学部では面接を課している(点数化して合否の判定に用いられるものもあれば、いわゆる「形だけの面接」の場合もある)。ただし、医師に求められる性質から、国立大学医学部では一般的に、センター試験、面接試験、小論文といった試験の配点が高い場合が多いことが特徴とされる。
このような入試状況から、現在の大学受験界では、国公立大学医学部では東京大学理科III類(医学部医学科)が最難関とされている。また、私立大学医学部では慶應義塾大学医学部が最難関であると言われているが、最近の医学部人気から、医学部であれば国公立私立どこでも難関、という状態である。前述の2校はおおかた受験期に併願されるが、東大理III合格者の約8割程度が慶應医に合格する傾向にある(なお、東大理III受験生の約2/3が慶應医を併願すると言われている)。ただし国公立もしくは私立上位の医学部受験は非常に難しく、東大合格者を多く輩出する超進学校ですら浪人するケースが多い。国立最高峰の東大・京大の医学部、私立最高峰の慶應の医学部の合格者は大多数が難関中高一貫校出身である。
地方の大学の中には、首都圏の国公立医学部にあと一歩の学生の入学し、医師免許取得後は出身地に戻るケースが増えている。この点が地方大学で大きな問題(特に地方税が投入されている公立大学)となっており、卒業生の流出を防ぐため、大学入試時における地元枠(名称は各大学によって異なる)を設ける大学が増えている(最多は弘前大学の67人で、内訳はAO入試42人、前期青森県定着枠20人、学士編入地域枠5人となっている)。そのため医学部入試は難化傾向である一方、推薦等の特別枠入試により地元の高校生(現役生)が恩恵を受けるといった新たな傾向も生まれている。このような状況に伴い、国公立医学部医学科合格者数ランキングにおいて地方公立高校の台頭が目立つようになってきている。ただし、推薦入試の導入により入学者の学力低下が危ぶまれており、国試合格率の低下が心配されている。また、推薦生達が地元に残らないケースも少なくなく、卒業後の進路について何の制限もないことから、推薦入試を「医学部に簡単に入る究極の裏ワザ」と称する受験参考書も存在する。 しかし、近年の推薦入試では「地域枠」といった名称で卒業後の進路を制約する大学が非常に多い(在学中の学費をすべて免除する代わりに、卒業後一定期間その大学のある県や大学の指定する県で働かなくてはならない、といった具合にである)。また、長崎大学のような、大学を卒業後臨床研修を経て大学院に進学することを条件としたAO入試(2014年度より推薦入試に移行)など独特な形式のAO入試も登場しており、これらの2つの入試は高卒生(浪人生)でも受験することができる大学が多い。そのため、一概に「医学部に簡単に入る究極の裏ワザ」と言えるかどうかについては疑問が残る。
各国公私立大学医学部の一学年分の定員の合計は1982年(昭和57年)に8,280人でピークとなったが、厚生省の医師需給見通しに基づいて定員削減が閣議決定され減少した。さらに1997年(平成19年)にも削減が閣議決定され、2007年(平成19年)には7,625人まで減少した[4]。
しかし、勤務医不足や医師の地域的・診療科的偏在の深刻化から医師の需要が増大した。そのため、2008年(平成20年)度入試で定員を7,793人に増員し[4]、2009年(平成21年)は過去最高の8,486人に増員された[5]。政権交代後も毎年増員がなされ、2014年(平成26年)度入試における定員は9,061人となっている[6]。
近年の医学部一学年ごとの定員の推移は以下のとおり。
入試年度 | 定員 |
---|---|
1998年(平成10年) | 7,640 |
1999年(平成11年) | 7,630 |
2000年(平成12年) | |
2001年(平成13年) | |
2002年(平成14年) | |
2003年(平成15年) | 7,625 |
2004年(平成16年) | |
2005年(平成17年) | |
2006年(平成18年) | |
2007年(平成19年) | |
2008年(平成20年) | 7,793 |
2009年(平成21年) | 8,486 |
2010年(平成22年) | 8,846 |
2011年(平成23年) | 8,923 |
2012年(平成24年) | 8,991 |
2013年(平成25年) | 9,041 |
2014年(平成26年) | 9,061 |
医師を養成する教育過程については医学教育を参照。
詳細は「医科大学」を参照
詳細は「医学校」を参照
詳細は「医学専門学校」を参照
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