出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2019/06/04 10:27:24」(JST)
接置詞(せっちし、adposition)は、名詞句と結びつき、文中の他の要素との関係を表す句を作る品詞である。
名詞句の前に置く接置詞を前置詞(ぜんちし)、後に置く接置詞を後置詞(こうちし)と呼ぶ。前置詞は、SVO型言語やVSO型言語など、動詞が目的語に先行する言語にしばしば見られる。ヨーロッパの諸言語やアラビア語などセム系言語が前置詞を持つ言語としてよく知られる。後置詞は、SOV型など、目的語が動詞に先行する言語にしばしば見られる。日本語の後置詞は格助詞、中国語の前置詞は介詞と呼ばれる。
短い語が多く、日本語では 1~2 拍、ヨーロッパの諸言語では 1~3 音節、中国語では 1 音節(すなわち 1 字)が普通である。一般に弱く発音される。
ヨーロッパの印欧語族の場合、その起源は名詞の格の用法を補助するための副詞だったものが多く、したがってそれらは特定の格とともに用いられていた。後に格変化の統合・消失にともない格の機能を代行するようになる。
ドイツ語のように格変化が残存している言語では、現在でも前置詞と格の間に結びつきがある。一般にはこれを「前置詞の格支配」と呼んで、前置詞が格を決定するかのように考えられているが、本来はそうではなく、あくまで格が主体である。例えばロシア語などでは、同じ前置詞が複数の格と結びつき、同じ前置詞でも後ろに続く格によって意味に大きな違いが表れる場合がある。
イタリア語などのロマンス語やドイツ語では、後ろに置かれた冠詞と規則的に結合する。例えば、in + il→nel(イタリア語)、zu + dem →zum(ドイツ語)。フランス語では必ずこの縮約を行わなければならない。また、イタリア語やフランス語では、部分の属格を示す前置詞 di/de が定冠詞と結合し、部分冠詞という独特の冠詞を生んだ。
ウィクショナリーに前置詞の項目があります。 |
ここでは日本語の後置詞にあたる格助詞を示す。この場合、「~は」、「~も」、「~すら」など格関係を表示しないいわゆる係り助詞はこれに含まれない。
接語も参照。
現代英語の主な前置詞を挙げる。byやforのように非常にたくさんの意味を持つものもあるが、括弧内の日本語訳は、それらの中の一例ないしは数例である。基礎動詞とともに句動詞を形成する。
古英語の前置詞を参照すること。
以下に掲げる19個のスペイン語の前置詞のうち、cabe は現代スペイン語では一般的ではない。また、so はいくつかの成句でのみ用いられる(so pena de, so pretextoなど)。
アラビア語の前置詞は多くの場合に名詞の対格形から作られる。前置詞の後に続く名詞は所有格をとる。
この中でdeは、母音および無音のhの前に来るとエリジオンを起こしてd'となる(d'histoireなど)。また、前置詞のあとに定冠詞が来ると縮約を起こすものがある(à + les=aux, de+les=desなど)。
カッコ内の形は、後ろに続く単語が子音で始まるか母音で始まるか等により複数の形をとることを示す。例えば「о(об,обо)」の場合はо тебе(子音), об этом(母音), обо мне(発音しにくい子音連続)等。
複合
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中国語の前置詞には次のものがある。簡体字で表記する。
日本語の助詞と同様、名詞の直後で後置詞として用いられる。一部の助詞は、名詞の発音が母音で終わる(母音体言)か子音で終わる(子音体言)かによって異なる形を用いるものがある。主要な助詞を以下に紹介するが、対になっているものは左側が母音体言、右側のものが子音体言に接続する形である。
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