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不感症(ふかんしょう)とは、性的な刺激に対して何の興奮も覚えないこと。もしくは何らかの事象に対して、何の感情的な反応もわかないことを指す。
特に感情の動物であるところの人間にして、外的な刺激に対して人間らしい反応が無い場合に、「病的である」として、このように表現する場合がある。
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不感症に類似するものとして、女性の場合では冷感症(れいかんしょう)ともいう。区別は明確ではないが、一般には冷え性などに関連するともされている。
不感症自体は、明確な医学用語とは言いがたく、一般的には性的な問題を、広義では社会性の問題といった様々な側面で汎用される。そのため中には一定の誤解も含まれると考えられるケースも散見され、これが当人の劣等感として問題になることもあるだろう。
性的な不感症の原因は、精神的な問題と神経生理学的な問題に分けられる。両者が密接に関係して起こる場合もある。男性の場合は性的刺激に反応しない(勃起障害)や射精が行われない(極端な遅漏)といった問題、女性の場合は性的刺激で興奮しない・オーガズムに達しないものだと一般に言われている。
性的不感症は、当人にとっても、その相手にとっても、多大な精神的ストレスを与えやすい。さらに、これらのストレスが状態を悪化させることもあるため、性急な解決を求めるのは逆効果である。過剰に刺激して反応を引き出そうとするより、少し間を置いて気分転換を図ったり、焦らず時間を掛けてことに及んだりすることで、すんなり解決することも多い。
その一方では個人の価値観にもよるが、性的興奮を催す対象は人により様々であることから、その人の性的嗜好にも絡んで、見当違いな刺激を与えている場合には、やはり興奮することができない。自慰では達することができるが、性交渉では達することが出来ないというケースも報告されているが、それらを不感症呼ばわりして欠陥のように扱ってしまうと、ストレスの元にもなるので、注意が必要だろう。
なお女性のオーガズムに関しては、婦人雑誌などで行われたアンケート(『モア・リポート』(集英社)など)によれば過半数の性交においてオーガズムに達していないとする話もあり、一概にオーガズムに達していないからといって、不感症だとは言えない。また男性においても、体位や射精にいたる興奮の度合いで達し方に明確な差異が見られる。さらにどちらの性別においても、性的な感覚は体調に影響されやすく、また精神状態には相手に対するイメージやムードといった要素にも影響されやすい。
愛撫を工夫するなど、新しい方法を試すのも一つの手段ではあるが、あまりムキになるのは逆効果なのでほどほどにしたほうがいいかもしれない。よい性交渉では、十分なスキンシップ(→後戯)も重要視される要素であり、必ずしもオーガズムに達することのみが目的とは言いがたいためである。
社会心理学的な面での広義の不感症は、当人の人格形成期における体験や環境、さらにはなんらかの性格的な問題によりもたらされた「不感症気質」の問題として取り沙汰される場合がある(→パーソナリティ障害や情緒障害)。
これらでは共感といった、社会的生活において不可欠とされる精神活動が欠落していたり、非常に弱いために場の空気に沿えず、周囲の人間が困惑したり、当人のコンプレックスになったりもする。
社会的な不感症は、心理学的な面から見ると、様々な精神疾患の結果であったり、あるいは発達障害の結果であったり、または性格面での問題であったりと、一括りに出来ない要素が多い。この中には克服が難しいものもある。
いずれも正しく対処しないと様々な弊害があることが指摘でき、かつてそれらへの理解が無かった時代には、それらの人々は社会参加の機会すら奪われていた。中には集団生活を送ることで、自然に改善する場合もあるが、その場合にもこの不感症とされうる部分を不寛容と強制で無理やり矯正しようとするのではなく、「個性である」として認め理解しようとするだけの寛容さが重要であるといえる。
例えばうつ病(抑うつを含む)は周囲に反応することに疲れきっているため、過度に働き掛けると余計に症状が悪化することが指摘されている。広汎性発達障害では、適切な指導や場合によっては治療を行うことで、症状によっても異なるが、悪化を食い止めたり、あるいは遅れている発達を促すこともできるが、理由も調べずに高圧的な態度で接すると、その機会を逸してしまう危険性すらある。
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