出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/26 09:50:33」(JST)
骨: 下顎骨 | |
---|---|
頭蓋内での下顎骨(かがくこつ)の位置。
側面から下顎骨の外側表面を見た図。
|
|
名称 | |
日本語 | 下顎骨 |
英語 | mandible bone |
ラテン語 | mandibula |
関連構造 | |
上位構造 | 頭蓋骨 |
前駆体 | 咽頭弓 |
画像 | |
アナトモグラフィー | 三次元CG |
関連情報 | |
MeSH | Mandible |
グレイの解剖学 | 書籍中の説明(英語) |
テンプレートを表示 |
下顎骨(かがくこつ、mandible bone)は下顎を形成する骨である。
ヒトの下顎骨は、上顎骨と対になっている骨であり、頭蓋の顔面骨の中で一番大きく、強い骨である。下顎の歯を釘植する。水平のU字状上に曲がっている下顎体と、その両端に垂直につく二つの下顎枝からなる。
下顎体は蹄鉄のように曲がっている。
下顎骨の外側面は、発生の初期に二つの骨が結合したことによって生じる弱い隆起がある(下顎骨は元々二つの骨なのが癒合して一つとなる[1])。この隆起は下で別れ、三角形のオトガイ隆起を取り囲む。ちょうど切歯の下の部分にある結合の横には窪みがあり、これを切歯窩といい、オトガイ筋や、口輪筋の一部の起始となる。両側の下顎第二小臼歯の下、下顎体の上下の中間に、オトガイ動脈、オトガイ静脈、オトガイ神経が出るオトガイ孔がある。両側のオトガイ結節から後上方へ弱い隆起が走る。これを斜線といい、下唇下制筋や口角下制筋の起始となる。その下部は広頚筋の起始となる。
内側面は左右に凹面である。結合の下部近くに、一組の左右に並んだ棘があり、これをオトガイ舌筋棘と言い、オトガイ舌筋の起始となる[2]。このすぐ下に二組目の棘があり、これをオトガイ舌骨筋棘といい、オトガイ舌骨筋の起始となる[2]。ただし、オトガイ舌骨筋棘は、正中にできる隆線や痕跡である事が多く、オトガイ舌筋棘も融合していたり、存在せず、粗面となっていたりする事もある。オトガイ舌筋棘の上の正中に、孔や溝が存在することがある。これらは骨が結合したラインを示す。オトガイ舌骨筋棘の下の正中線の両側は顎二腹筋前腹のために楕円形の窩がある。これを二腹筋窩という[2]。両側の癒合部下部から後上方へ伸びているのは顎舌骨筋線で、顎舌骨筋の起始となっている。顎舌骨筋線の後部の部分は歯槽縁の近くで、上咽頭収縮筋の一部の起始となっており、翼突下顎縫線へと続く。顎舌骨筋線前部の上方には滑らかな三角形の区画があり、これを舌下腺窩といい、そこに舌下腺が入り、後部の下方には楕円形の顎下腺窩があり、顎下腺が入る。
上部の歯槽隆起では、歯を入れるための大きな穴があいている。穴の数は十六で、深さや大きさは入る歯のサイズによって異なっている。両側の下顎第一大臼歯の有る付近の歯槽隆起には頬筋が起始する。下縁は丸みを帯びており、上縁より長く、正面は後方よりも厚い。下顎体と下顎枝の連結部の下部に外側の顎動脈のための浅い溝がある事もある。
下顎枝は四辺形で、2つの突起を持つ。
外側面の表面は水平で、下部で傾斜した隆線が確認できる。そのほぼ全面が咬筋の停止である。
内側面では、その中央に下歯槽動脈、下歯槽静脈、下歯槽神経の入り口である下顎孔がある。下顎孔の周囲はでこぼこしており、その正面の顕著な隆起は、下顎小舌といい、 蝶下顎靱帯が付く。そしてその後下方には顎舌骨筋神経溝が前下方へ向けて走り、そこを顎舌骨筋動脈や顎舌骨筋神経が走る。この溝の後ろは、内側翼突筋が停止するための粗面となっている。下顎管は下顎枝内を前下方に、下顎体を平行に走行し、歯槽の下で小さな管をだして歯槽と交通している。切歯の所まで到着すると、二本の切歯との交通のために二本の管を残して、オトガイ孔と交通するために戻っていく。骨の後ろ2/3では下顎管は下顎骨の内側面近くに、前方1/3では外側近くに位置している。これは下歯槽動脈、下歯槽静脈、下歯槽神経を含んでおり、その枝(歯枝)がそれぞれの歯に向かう。
下顎枝の下縁は厚く、直線的で、下顎体の下縁と連続している。連結部後縁は下顎角といい、その内側面、外側面ともに隆線や斜走隆線で著しく、咬筋や内側翼突筋が停止する。茎突下顎靱帯は両筋肉の間で下顎角につく。前縁は上方が薄く、下方が厚くなっており、斜線で連続している。後縁は厚く、なめらかで、丸まっており、耳下腺が覆っている。上縁は薄く、2つの突起を持っている。前方の筋突起と後方の関節突起であり、間にある深い凹面は下顎切痕という。筋突起は薄く、左右に平らな三角形で、形や大きさは異なっている。筋突起の前縁は凸面で、下顎枝の前縁と連続している。後縁は凹面で、下顎切痕の前縁を作る。側面はなめらかで、側頭筋や咬筋が停止する。内側面は側頭筋が停止し、隆線が頂点近くから、一番後方にある大臼歯の内側へ前下方へ走る。この隆線と前縁との間に三角形の溝があり、これを臼後三角といい、その上部は側頭筋が停止し、下部は頬筋の一部の起始となる。関節突起は筋突起より厚く、二つの部分から成る。下顎頭とそれを支える下顎頸である。下顎頭は顎関節の関節円板と関節面を示す。
筋突起側面の末端では、顎関節の外側靱帯が付く小さな結節がある。下顎頸は筋突起後部では平らであるが、前部、並びに側面では、下に行くにしたがい隆線が強くなる。後面は凸面となっており、前面は凹面となっており、これを翼突筋窩といい、外側翼突筋が停止する。下顎切痕は半月状の陥没で、咬筋動脈や咬筋神経が通る。
側面から下顎骨の外側表面を見た図。
側面から下顎骨の内側表面を見た図。
ヒトの下顎骨。正面から見た図。
ヒトの下顎骨。側面から見た図。
ウィキメディア・コモンズには、下顎骨に関連するカテゴリがあります。 |
この項目は、歯学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:歯学/Portal:医学と医療)。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
国試過去問 | 「099D048」 |
リンク元 | 「側頭筋」「jaw」「下顎小舌」「下顎後部」 |
拡張検索 | 「小下顎症」「下顎孔」「下顎管」「翼突下顎ヒダ」 |
E
※国試ナビ4※ [099D047]←[国試_099]→[099D049]
咀嚼筋>:咀嚼筋
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
.