出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/06 20:48:27」(JST)
アボカド | |||||||||||||||||||||
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アボカド
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Persea americana Mill. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ワニナシ(鰐梨) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
avocado alligator pear |
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価 | |
エネルギー | 670 kJ (160 kcal) |
炭水化物 | 8.53 g |
- 糖分 | 0.66 g |
- 食物繊維 | 6.7 g |
脂肪 | 14.66 g |
- 飽和脂肪酸 | 2.126 g |
- 一価不飽和脂肪酸 | 9.799 g |
- 多価不飽和脂肪酸 | 1.816 g |
タンパク質 | 2 g |
- トリプトファン | 0.025 g |
- トレオニン | 0.073 g |
- イソロイシン | 0.084 g |
- ロイシン | 0.143 g |
- リシン | 0.132 g |
- メチオニン | 0.038 g |
- シスチン | 0.027 g |
- フェニルアラニン | 0.097 g |
- チロシン | 0.049 g |
- バリン | 0.107 g |
- アルギニン | 0.088 g |
- ヒスチジン | 0.049 g |
- アラニン | 0.109 g |
- アスパラギン酸 | 0.236 g |
- グルタミン酸 | 0.287 g |
- グリシン | 0.104 g |
- プロリン | 0.098 g |
- セリン | 0.114 g |
水分 | 73.23 g |
ビタミンA相当量 | 7 μg (1%) |
- βカロテン | 62 μg (1%) |
- ルテインおよびゼアキサンチン | 271 μg |
ビタミンB1 | 0.067 mg (5%) |
ビタミンB2 | 0.13 mg (9%) |
ビタミンB3 | 1.738 mg (12%) |
パントテン酸(ビタミンB5) | 1.389 mg (28%) |
ビタミンB6 | 0.257 mg (20%) |
葉酸(ビタミンB9) | 81 μg (20%) |
コリン | 14.2 mg (3%) |
ビタミンB12 | 0 μg (0%) |
ビタミンC | 10 mg (12%) |
ビタミンD | 0 IU (0%) |
ビタミンE | 2.07 mg (14%) |
ビタミンK | 21 μg (20%) |
カルシウム | 12 mg (1%) |
鉄分 | 0.55 mg (4%) |
マグネシウム | 29 mg (8%) |
マンガン | 0.142 mg (7%) |
セレン | 0.4 μg (1%) |
リン | 52 mg (7%) |
カリウム | 485 mg (10%) |
塩分 | 7 mg (0%) |
亜鉛 | 0.64 mg (7%) |
%はアメリカにおける成人向けの 栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
項目 | 分量(g) |
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脂肪 | 100 |
飽和脂肪酸 | 11.56 |
16:0(パルミチン酸) | 10.9 |
一価不飽和脂肪酸 | 70.554 |
16:1(パルミトレイン酸) | 2.665 |
18:1(オレイン酸) | 67.889 |
多価不飽和脂肪酸 | 13.486 |
18:2(リノール酸) | 12.53 |
18:3(α-リノレン酸) | 0.957 |
アボカド(Avocado、学名:Persea americana)とは、クスノキ科ワニナシ属の常緑高木である。また、その果実のことも指す。別名、ワニナシ(鰐梨)。
目次
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メキシコと中央アメリカ原産。低温に弱く、主に熱帯、亜熱帯で生育する。樹高は25メートルほどの大きさになり、濃い緑色の果実をつける。5月ごろに花が咲き、果実の収穫は11から12月ごろ。日本産の植物でもっとも近縁なものはクスノキ科のタブノキであり、タブノキの果実はアボカドの果実をうす甘くしたような味をしている。
アボカドがいつ頃から食物としてヒトに利用されてきたのかは定かではない。ただし、ペルーのチャン・チャン遺跡からは西暦900年頃のものと見られるアボカドの実をかたどった土器が出土している[2]。
またアボカドは、いつ頃から栽培が始められたのかも定かではない。ただし、中南米では果樹として数百年以上に渡って栽培されてきたことは確実であり、遅くとも13世紀から15世紀頃までには栽培が行われたとされ、少なくともヨーロッパからの侵略者がやってきた時にはすでにアメリカ大陸(南北両方)の熱帯地方のあちらこちらにおいて栽培が行われていた [3] 。
メキシコならびに中米のスペイン語圏ではアグアカテ(aguacate)と呼ばれる。語源はナワトル語で睾丸を意味する単語「アワカトル」(ahuacatlまたはauacatl)で、アボカドの実の形状に由来している[要出典]。ワカモレ(Guacamole)、グアカモレはアボカドを使って作ったサルサの事である。 南米のスペイン語圏ではケチュア語起源のパルタ(palta)と呼ばれる。ポルトガル語圏ではアバカテ(abacate)と呼ばれる。 アボカドの名はメキシコのアグアカテに由来する。
日本語では「アボガド」と誤植されたり誤って、あるいは訛って呼ぶ人が多いが、「アボカド」が正しい名称である。ちなみに、「アボガド」(abogado)はスペイン語では弁護士を指す言葉である。また、昭和40年代までは、果実の表皮が動物のワニの肌に似ていることに由来する英語での別称alligator pearを直訳して、ワニナシとも呼んでいた。
果実は生食され、サラダやタコス、サンドイッチ、ハンバーガーなどに用いられる。アボカドだけでも、レモン、カボス、マヨネーズ、メープルシロップなどをかけて食べるとおいしい。ブラジルやインドネシアでは、甘味をつけてデザートや飲み物にすることもある。最近は、アボカドの果肉を絞って取り出したオイルも食用として広まってきている。
果物ではあるが甘みはほとんど無いため、醤油などをつけて食べるのもよい。マグロのトロに味がかなり似ていると言う人もおり、他にもカリフォルニアロールなど巻き寿司のネタとしても用いられる。
メキシコではアボカドとトマトなどでワカモレというサルサを作り、トルティーヤに載せて食べるのが日常食となっている。
日本の店頭で販売されているアボカドは完熟していないものが多く、固くて強い苦みがあるが、常温で放置しておくと追熟しておいしくなる。熟すと果皮の色がより黒っぽくなるが、熟しても緑色のままの品種もある。表皮を軽く押してわずかに柔らかさを感じる程度が食べ頃である。食べごろに変色した時の色が付いたシールが貼られているものもあり、シールと同じ色になれば食べごろだと判断できる。
果肉はきれいな薄緑色であるが、空気に触れていると茶色に変色する。レモンなどの酸をかけると変色を抑えることができる。
果肉に脂肪分が約16パーセント含まれている。「森のバター」や「バターフルーツ」とも呼ばれる。この脂肪分はほとんどが不飽和脂肪酸であり、血中コレステロールを増加させる心配が少ない。ビタミンEも多く含まれる。アボカド1個半程度で成人男子のビタミンEの適正摂取量である10ミリ・グラムを摂取できる。アボカドの属するクスノキ科の植物には、種子散布に関わる鳥獣を引きつける栄養素として果肉に脂肪を蓄える種が多くある。これは、多くの鳥獣種子散布植物が糖分を用いていることとは対照的である。
果実、種、葉などにはペルシンという物質が含まれており、ヒト以外の動物には中毒反応を起こす。ただし天然ゴムに対するアレルギーを持つ人はアボカドでも症状を発することがある。インコ、オウム、モルモット、ウサギ、ヤギなどのペット、家畜に与えると中毒症状を起こし、痙攣・呼吸困難などに陥ることがある。ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、フェレットに対しても毒性を示すことがある[4]。 しかし、アボカド入りの犬猫フードやおやつも販売されており、企業の報告によると健康被害の症例はないとのこと。アボカドの毒性に関してはまだ不明確な点も多々ある[5]。
日本では和歌山県の南部、鹿児島県の奄美大島、沖縄県、高知県など、同国の中でも比較的温暖な気候の地域で栽培されているが、生産量はごく少ない。日本で販売されているアボカドのほとんどはメキシコからの外皮が丈夫なハス種の輸入品である。アメリカ合衆国のカリフォルニア州やブラジルでも多く生産されているが、メキシコの生産量が群を抜いている。
アボカドは比較的簡単に種を発芽させて観葉植物として楽しむことができる。水に浸して発芽させる場合では、残った果肉で水が腐らないよう、取り出した種を水または洗剤を使ってよく洗い、種子の3分の1ほどを水につけておく。水を毎日取り替えると夏場であれば1週間ほど、冬場でも7週間ほどで根が出るので、それから鉢土に植えるとよい。直接土に植える場合は、さっと水洗いした種子をそのまま庭や鉢植えしても良く発芽する。
冷蔵庫で一旦冷やされたアボカドは発芽しない場合が多いので注意が必要である。発芽率がよくない場合は、流通過程で冷蔵されている可能性もあるので購入店舗を変えてみるのも一つの方法である。発芽した後は成長が速く、栽培条件が良ければ、1年間で0.5 - 1メートル程度の高さになる。
初夏や夏に植えると、充分に成長する前に冬を迎え、枯れてしまう事も多い。そのため桜の開花時期以降の4月頃に種を植えるのが最適である。比較的湿気の多い土壌を好む。寒さには弱く、露地植えの場合は、雪や霜に直接あたらないよう注意する。なお、冬には葉が枝ごと落ちて、乾いた茎だけになって完全に枯れたように見える状態になる場合もあるが、翌年5月頃までには再び芽吹くことが多いので、それまで諦めず経過を観察した方が良いが、冬季に常時10度以下になる地域では露地栽培は難しい。氷点下になるとほぼ枯死してしまう。屋内でも10度以下の温度は避けるべきである。
また、露地栽培で、芽や葉が出たばかりの高さ5 - 10センチ・メートル程度の状態で、初夏や夏を迎えてしまうと、気温が高くなって活動が活発になったダンゴムシやナメクジが夜間に大量に群がって新芽を食い荒らし、枯れてしまう事がよくある。なお、雄花と雌花の咲く時期が違うので、1本の木だけでは受粉が起こらない。
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