- 英
- lopinavir
- 商
- カレトラ
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ロピナビル
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IUPAC命名法による物質名 |
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IUPAC名 (2S)-N-[(2S,4S,5S)-5-[2-(2,6-dimethylphenoxy)acetamido]-4-hydroxy-1,6-diphenylhexan-2-yl]-3-methyl-2-(2-oxo-1,3-diazinan-1-yl)butanamide |
臨床データ |
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Drugs.com |
国別販売名(英語) International Drug Names |
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MedlinePlus |
a602015 |
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胎児危険度分類 |
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法的規制 |
- UK: 処方箋のみ (POM)
- US: ℞-only
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投与方法 |
Oral |
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薬物動態データ |
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生物学的利用能 |
Unknown |
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血漿タンパク結合 |
98-99% |
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代謝 |
Hepatic |
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半減期 |
5 to 6 hours |
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排泄 |
Mostly fecal |
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識別 |
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CAS番号
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192725-17-0 |
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ATCコード |
J05AR10 (WHO) (with ritonavir(英語版)) |
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PubChem |
CID: 92727 |
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DrugBank |
DB01601en:Template:drugbankcite |
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ChemSpider |
83706 |
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UNII |
2494G1JF75 |
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KEGG |
D01425 en:Template:keggcite |
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ChEMBL |
CHEMBL729en:Template:ebicite |
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化学的データ |
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化学式 |
C37H48N4O5 |
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分子量 |
628.810 g/mol |
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SMILES
O=C(N[C@@H](Cc1ccccc1)[C@@H](O)C[C@@H](NC(=O)[C@@H](N2C(=O)NCCC2)C(C)C)Cc3ccccc3)COc4c(cccc4C)C
|
InChI
InChI=1S/C37H48N4O5/c1-25(2)34(41-20-12-19-38-37(41)45)36(44)39-30(21-28-15-7-5-8-16-28)23-32(42)31(22-29-17-9-6-10-18-29)40-33(43)24-46-35-26(3)13-11-14-27(35)4/h5-11,13-18,25,30-32,34,42H,12,19-24H2,1-4H3,(H,38,45)(H,39,44)(H,40,43)/t30-,31-,32-,34-/m0/s1 Key:KJHKTHWMRKYKJE-SUGCFTRWSA-N
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ロピナビル(Lopinavir)はHIV感染症のHAART療法に用いられるプロテアーゼ阻害薬(英語版)の一つである。リトナビルとの合剤(英語版)として市場に流通している。リトナビル合剤の商品名カレトラ。
米国では2000年9月に承認された[1]。日本ではソフトカプセルと内用液が2000年12月に承認された[2]:1後、室温保存可能な固溶体錠が2006年9月に承認された。さらに2010年12月、従来は1日2回の服用が必要であったところ、錠剤中の薬剤含有量を倍増して1日1回服用として変更承認された。
効能・効果
HIV感染症
臨床的特徴
副作用、相互作用、禁忌はリトナビルとの合剤(英語版)についてのみ知られている。
禁忌
下記の薬剤を服用中の患者には禁忌である[3][4]:
ピモジド、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴメトリン、メチルエルゴメトリン、ミダゾラム、トリアゾラム、バルデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、ブロナンセリン、アゼルニジピン、リバーロキサバン、リオシグアト、ボリコナゾール
副作用
重大な副作用とされているものは、高血糖、糖尿病、膵炎、出血傾向、肝機能障害、肝炎、徐脈性不整脈、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、多形紅斑 である[3][4]。
薬物動態
血中のロピナビルはそのほとんどが蛋白質に吸着している(98〜99%)[5]。
脳脊髄液にも分布し、26例の脳脊髄液-血漿サンプルの内77%でIC50を超えるロピナビルが脳脊髄液から検出された[6]。
研究開発
2014年の研究に拠ると、ロピナビルはヒトパピローマウイルス(HPV)への抗ウイルス効果を持つ。子宮頸部に局所的に軽度〜高度異形成のある女性に錠剤1日2回相当の薬剤を服用させたところ、3ヶ月後に高度異形成のある女性の82.6%で組織が正常型に復帰した事がスメアと生検で確認された[7]。
開発コードABT-378。
出典
- ^ “FDA Approved Drug Products: Kaletra”. 2004年4月30日閲覧。
- ^ “カレトラ配合錠/カレトラ配合内用液 インタビューフォーム”. アッヴィ (2013年4月). 2015年9月3日閲覧。
- ^ a b “カレトラ配合錠 添付文書” (2016年8月). 2016年11月6日閲覧。
- ^ a b “カレトラ配合内用液 添付文書” (2016年8月). 2016年11月6日閲覧。
- ^ KALETRA (lopinavir/ritonavir) capsules; (lopinavir/ritonavir) oral solution. Prescribing information. April 2009
- ^ Capparelli E, Holland D, Okamoto C, etal (2005). “Lopinavir concentrations in cerebrospinal fluid exceed the 50% inhibitory concentration for HIV”. AIDS (London, England) 19 (9).
- ^ HIV drug used to reverse effects of virus that causes cervical cancer University of Manchester, 17 February 2014.
外部リンク
HIVの治療に使われる抗ウイルス薬 (HAARTなど) (ATCコードが J05のもの) |
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侵入/融合阻害薬 (CCR5受容体遮断薬の発見と開発) |
gp41 (エンフビルチド) - CCR5 (マラビロク, ビクリビロック, セニクリビロック, PRO 140) - CD4 (イバリズマブ) | 核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI) |
アバカビル(ABC)° • エムトリシタビン° • ラミブジン(3TC)° • テノホビル° • ジダノシン(d4T) • ジドブジン(アジドチミジン)(AZT) • アプリシタビン • スタンピジン • エルブシタビン • ラシビル • アムドキソビル • スタブジン • ザルシタビン | 非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTI) |
エファビレンツ(DMP-266,EFV) • ネビラピン • エトラビリン • リルピビリン • ロビリド • デラビルジン | プロテアーゼ阻害剤(PI) |
アタザナビル • ホスアンプレナビル • ロピナビル • ダルナビル • ネルフィナビル • リトナビル • サキナビル(SQV) • チプラナビル • アンプレナビル • インジナビル(IDV) | 膜融合阻害剤 |
エンフビルチド • マラビロック • ビクリビロック • PRO 140 • イバリズマブ | インテグラーゼ阻害剤 |
ラルテグナビル • エルビテグナビル | 成熟阻害剤 |
ベビリマット • Vivecon™† | 合剤 |
Combivir • Atripla • Trizivir • Truvada • Kaletra • Epzicom | その他の治療薬 |
ホスカルネット • ヒドロキシウレア • Synergistic enhancers • Epigallocatechin gallate • Portmanteau inhibitors • Globoidnan A • Griffithsin • Diarylpyrimidines • Calanolide A • Miltefosine |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 症例 ロピナビル/リトナビルが原因と考えられた洞不全症候群の2例
- 佐々木 秀悟,柳澤 如樹,菅沼 明彦 [他]
- 感染症学雑誌 = The journal of Japanese the Association for Infectious Diseases 87(5), 613-617, 2013-09
- NAID 40019827562
- ロピナビル/リトナビルが原因と考えられた洞不全症候群の 2 例
- 佐々木 秀悟,柳澤 如樹,菅沼 明彦,今村 顕史,味澤 篤
- 感染症学雑誌 87(5), 613-617, 2013
- We describe herein two cases of sick sinus syndrome possibly due to lopinavir-ritonavir in HIV-infected individuals. The heart rate dropped to 30 to 40 beats per minute in both cases, but patients rem …
- NAID 130004922121
- Acceleration of monomer self-consistent charge process in fragment molecular orbital method
- 石川 岳志,桑田 一夫
- Chem-Bio Informatics Journal 10, 24-31, 2010
- … ポリグリシン(GLY20、GLY40、GLY60)によるテスト計算の後、HIV-1プロテアーゼのロピナビル複合体の計算を行った。 …
- NAID 130004138110
Related Links
- 成分(一般名) : ロピナビル・リトナビル 製品例 : カレトラ配合錠、カレトラ配合内用液 ・・その他(ジェネリック) & 薬価 区分 : 抗ウイルス剤/プロテアーゼ阻害剤/抗ウイルス化学療法剤
- ロピナビル(Lopinavir)はHIV感染症のHAART療法に用いられる プロテアーゼ阻害薬 (英語版) の一つである。リトナビルとの 合剤 (英語版) として市場に流通している。リトナビル合剤の商品名カレトラ。 米国では2000年9月に承認された
- 販売名 カレトラ配合錠 成分・含量 1錠中 ロピナビル200mg・リトナビル50mg 添加物 コポリビドン,モノラウリン酸ソルビタン,軽質無水ケイ酸,フマル酸ステアリルナトリウム,ヒプロメロース2910,酸化チタン,マクロゴール400 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
カレトラ配合内用液
組成
成分・含量
添加物
- エタノール,プロピレングリコール,サッカリンナトリウム水和物,ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40,ポビドン,グリセリン,トウモロコシシロップ,塩化ナトリウム,クエン酸ナトリウム水和物,アセスルファムカリウム,無水クエン酸,l−メントール,ベンジルアルコール,バニリン,香料
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 次の薬剤を投与中の患者:ピモジド,エルゴタミン酒石酸塩,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩,エルゴメトリンマレイン酸塩,メチルエルゴメトリンマレイン酸塩,ミダゾラム,トリアゾラム,バルデナフィル塩酸塩水和物,シルデナフィルクエン酸塩 (レバチオ),タダラフィル (アドシルカ),ブロナンセリン,アゼルニジピン,リバーロキサバン,ボリコナゾール〔「相互作用」の項参照〕
効能または効果
- HIV感染症
- 通常,成人にはロピナビル・リトナビルとして1回400mg・100mg (5mL) を1日2回食後に経口投与する.
通常,小児には,体重7kg以上15kg未満で1kgあたり12mg・3mg,15kg以上40kg以下で1kgあたり10mg・2.5mgを1日2回食後に経口投与する.最大投与量は400mg・100mg (5mL) 1日2回投与とする.
- 本剤の吸収を高めるため,食後に服用すること.
- 併用薬剤の用法・用量,使用上の注意については,それらの薬剤の製品情報を参照すること.
慎重投与
- 肝機能障害のある患者〔本剤は主に肝臓で代謝されるため,高い血中濃度が持続するおそれがある.また,B型肝炎,C型肝炎,トランスアミナーゼの上昇を合併している患者では肝機能障害を増悪させるおそれがある.〕
- 血友病及び著しい出血傾向を有する患者〔HIVプロテアーゼ阻害薬にて治療中の血友病の患者において突発性の出血性関節症をはじめとする出血事象の増加が報告されている.〕
- 器質的心疾患及び心伝導障害 (房室ブロック等) のある患者,PR間隔を延長させる薬剤 (ベラパミル塩酸塩,アタザナビル硫酸塩等) を使用中の患者〔本剤は軽度の無症候性PR間隔の延長が認められている (「薬物動態」の項参照).〕
重大な副作用
高血糖,糖尿病
(頻度不明)
- 高血糖,糖尿病及び糖尿病の悪化があらわれることがある.〔HIVプロテアーゼ阻害薬にて治療中の患者に糖尿病,糖尿病の悪化及び高血糖があらわれたとの報告がある.一部の例ではインスリン又は経口糖尿病薬の投与開始や用量調節が必要となった.一部では糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれている.HIVプロテアーゼ阻害薬を中止した例の一部では,高血糖が持続した.〕
膵炎
(頻度不明)
- 膵炎があらわれることがある.〔嘔気,嘔吐,腹痛等の臨床症状や血清リパーゼ,アミラーゼ,トリグリセライド等の検査値異常があらわれた場合は膵炎を疑うこと.〕
出血傾向
(頻度不明)
- HIVプロテアーゼ阻害薬にて治療中の血友病の患者において突発性の出血性関節症をはじめとする出血事象の増加が報告されている.このような症状があらわれた場合には血液凝固因子を投与するなど適切な処置を行うこと.
肝機能障害,肝炎
(頻度不明)
- 肝機能障害,肝炎があらわれることがあるので,観察を十分に行うこと.
徐脈性不整脈
(頻度不明)
- 徐脈性不整脈 (洞徐脈,洞停止,房室ブロック) があらわれることがある.
中毒性表皮壊死融解症 (Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群 (Stevens-Johnson症候群),多形紅斑
(頻度不明)
- 中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群,多形紅斑があらわれることがある.
薬効薬理
作用機序
- 本剤はロピナビルとリトナビルの配合剤である.ロピナビルはHIVプロテアーゼの活性を阻害し,HIVプロテアーゼによるgag -pol ポリ蛋白質の開裂を抑制することで,感染性を持つ成熟したHIVの産生を抑制する.リトナビルは,CYP3Aによるロピナビルの代謝を競合的に阻害し,ロピナビルの血中濃度の上昇をもたらす.本剤の抗ウイルス活性は,ロピナビルによるものである (「薬物動態」の項参照).
本剤はHIVプロテアーゼに対する選択的親和性を有し,ヒトのアスパルティックプロテアーゼに対してはほとんど阻害作用を示さない.
抗ウイルス作用 (in vitro)
- HIV標準株による感染後早期のリンパ芽球細胞株及び臨床分離株に感染した末梢血リンパ球細胞におけるロピナビルの抗ウイルス作用を検討した.ヒト血清非存在下では,5種類のHIV-1標準株に対するロピナビルの平均EC50は10〜27nM (0.006〜0.017μg/mL) であり7),6種類のHIV-1臨床分離株に対するロピナビルの平均EC50は4〜11nM (0.003〜0.007μg/mL) であった.50%ヒト血清存在下ではHIV-1標準株に対するロピナビルの平均EC50は65〜289nM (0.04〜0.18μg/mL) であり,7〜11倍の効力低下がみられた.
薬剤耐性
- ロピナビルに対する感受性が低下したHIV-1変異株を分離し,ロピナビル単独,あるいは臨床投与時の血中濃度でのロピナビルとリトナビルの存在下にHIV-1のin vitro 継代培養を行った.継代培養で分離された株の表現型と遺伝子型を検討したところ,リトナビルの存在はロピナビル耐性株の出現に影響を及ぼさないことが示唆された (in vitro ).
交差耐性:
- HIVプロテアーゼ阻害薬 (PI) 間で観察される交差耐性は多様であった.本剤の治療によってロピナビルに対する感受性が低下したウイルスの交差耐性に関する情報はほとんど得られていない.
ロピナビルに対する表現型耐性の増加を認めたPI使用歴のある4例から得られた分離株は本剤投与前からリトナビル,インジナビル,ネルフィナビルに対する交差耐性が維持されていたか,本剤投与後に交差耐性を獲得した.リバウンドしたすべてのウイルスはアンプレナビルに対する感受性を十分に維持していたか,弱い感受性の低下が認められたにとどまった (ロピナビルの最大99倍と比較し,アンプレナビルでは最大8.5倍).ウイルスのリバウンドを経験した被験者のうち,サキナビルの使用経験のない被験者由来の2株は,サキナビルに対する感受性を維持していた.
ロピナビル・リトナビルを含む併用療法を開始した抗レトロウイルス療法経験患者における抗ウイルス作用減少と遺伝子型との関連:
- HIVプロテアーゼにアミノ酸置換 (L10F/I/R/V,K20M/N/R,L24I,L33F,M36I,I47V,G48V,I54L/T/V,V82A/C/F/S/T,I84V) が3以上存在すると本剤のウイルス学的反応に影響を及ぼすことがわかっている.複数の本剤臨床試験におけるHIVプロテアーゼ阻害薬 (PI) 耐性変異数と併用療法におけるウイルス学的反応との関係は以下の通りであった.(薬効薬理の表参照)
HIVプロテアーゼ阻害薬 (PI) 既使用例における抗ウイルス作用:
- ロピナビルに対するin vitro 感受性低下の臨床的意義を検討するため,複数のPIによる治療にもかかわらず血中HIV RNA量が1,000copies/mLを超えた患者56名に対し本剤を投与し,ウイルスの遺伝子型と表現型を評価した.開始時に分離した56株に対するロピナビルのEC50は,野性株に対するEC50の0.5〜96倍であった.48週間にわたり本剤,エファビレンツ及びヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬を投与した後,血中HIV RNA量が400copies/mL以下となった患者は,開始時ロピナビル感受性が10倍以下,10倍超〜40倍未満,及び40倍以上の患者群でそれぞれ93% (25/27),73% (11/15),25% (2/8) であった.また,これら開始時ロピナビル感受性患者群で血中のHIV RNA量が50copies/mL以下となった患者は,それぞれ81% (22/27),60% (9/15),25% (2/8) であった.
本剤投与中の耐性ウイルスの選択:
- 227例の抗レトロウイルス療法未経験者及びHIVプロテアーゼ阻害薬 (PI) 既使用例を対象にした第II相臨床試験では,12〜100週間にわたり本剤を服用した後にウイルス量が定量可能 (>400copies/mL) であった患者のうち4例の分離株は,試験開始時の分離株に比べ,ロピナビルに対する感受性が著しく低下していた.試験開始時におけるこれら患者4例すべての分離株には,PI耐性に関連する変異が少なくとも4箇所認められた.また,ウィルスリバウンド後では,全ての分離株で変異数が増加しており,PI耐性に関連する変異も含まれていた.しかし,現時点ではデータが不十分なため本剤投与患者における変異パターンがロピナビルによるものかどうかは同定できていない.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- (-)-(2S )-N-{ (1S , 3S , 4S )-1-benzyl-4-[2-(2, 6-dimethylphenoxy) acetylamino]-3-hydroxy-5-phenylpentyl}-3-methyl-2-(2-oxotetrahydropyrimidin-1-yl) butyramide
分子式
分子量
性状
- 白色〜淡黄褐色の粉末で,柔らかい塊を含むこともある.
一般名
化学名
- (+)-5-thiazolylmethyl[(αS )-α-[(1S , 3S )-1-hydroxy-3-[(2S )-2-[3-[(2-isopropyl-4-thiazolyl) methyl]-3-methylureido]-3-methylbutyramido]-4-phenylbutyl] phenethyl] carbamate
分子式
分子量
性状
- 白色〜淡黄褐色の粉末で,柔らかい塊を含むこともある.
★リンクテーブル★
[★]
- 同
- 新型コロナウイルス感染症
- 関
- コロナウイルス、SARS-CoV-2
概念
- 2019年末頃にヒトへの感染が確認されている
- SARS-CoV-2による感染症である
感染経路
潜伏期間
- https://www.mhlw.go.jp/content/000609467.pdf
典型的な臨床経過
- 8割の罹患者は軽症であり、発症から一週間程度、感冒症状が持続し自然に軽快する。
- 2割程度の罹患者で、発症から7-10日程度で呼吸状態が悪化し、呼吸困難、咳嗽・喀痰が見られ入院を要する状態となる。
- 2-3%程度の罹患者では、重篤な肺炎のため10日前後の経過で気管挿管など集中治療室での治療を要する状態に陥る。
検査
CT
- https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32118615
- 胸膜下に小さいすりガラス影が散在しており、それら両肺、上葉、中葉/舌区、下葉に分布している。
- crazy-paving pattern (GGO with superimposed interlobular and intralobular septal thickening)が特徴的。
- 気管支肥厚や小葉間の肥厚を伴っている。
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する胸部 CT 検査の指針(Ver.1.0)
- 初期は片側性ないし両側性の胸膜直下のすりガラス影、背側または下葉優位
- 円形の多巣性のすりガラス影
- 進行すると crazy-paving pattern やコンソリデーションなどの割合が増加
- 器質化を反映した索状影の混在
- すりガラス影を伴わない区域性の浸潤影
- 空洞、境界明瞭な結節・腫瘤
- 小葉中心性の粒状影、tree-in-bud appearance
- 胸水(重症例ではみられることがある)
PCRによるウイルスゲノムの同定
- 咽頭粘膜より検体を得て、PCRにて核酸を増幅してSARS-CoV-2を検出する。
- 感度は高いが100%ではないものの、特異度は非常に高い。
- 時間がかかるというデメリットがあり、4-6時間程度かかる。さらに検査装置のある施設に検体を送ってからの検査となるので検査結果が出るのに7日間程度かかることもあるのが現状(2020/5/10時点)
抗原検査によるウイルスの検出
- インフルエンザの迅速検査と同様に粘膜より綿棒等によりぬぐって検体を採取し、適切な溶媒に懸濁してメンブレンの上に滴下し、メンブレン上の抗体と反応させ呈色反応にてウイルス検出を行う。
- 2020/5/9、米クイデル・コーポレーションの抗原検査の緊急使用が認可sれた
- 2020/5/13、国内初の抗原検査キットを薬事承認する方針の様子。みらかホールディングス子会社の富士レビオ(東京・新宿)の製品を承認する様子。(2020/5/10時点)
- デンカも抗原検査キットの開発をいそいでおり、栄研化学も開発をいそいでいるとのこと。
- 抗原検査キットが開発されれば、市中病院や診療所でインフルエンザの検査と同じような感覚で簡易に感染を判定できる。もちろん感度は劣るので感染の否定に使うのは不適切である。
診断
- 以下は私見 2020/5/10
- 症状がある人を対象として、PCRによりウイルスゲノムの検出するのがゴールドスタンダードと思われる。
- 日本の場合、すぐにPCRできるというわけではない。濃厚接触歴があればPCRに回すと思われるが、接触歴がはっきりしない方に対しては、胸部CTをとり胸膜下のスリガラス影を探索し肺炎が疑わしいものについてPCRに回している。
治療
- ウイルス感染症であり、SARS-CoV-2に特異的な治療は現在開発・治験段階である。
- 生活療法:安静、飲水・食事
- 対症療法:解熱薬、鎮咳薬、酸素投与、気管挿管、人工肺(ECMO)
- 特異的治療:確固たるものはないが、抗ウイルス薬、抗原虫薬などが候補になっている
- 点滴製剤。
- 米医薬大手ギリアド・サイエンシズが開発
- 元々はエボラ出血熱の治療のために開発されていた薬剤。
- 錠剤
- 商品名はアビガン。
- 富士フイルムが開発
- 元々は新型インフルエンザの治療のために開発していた薬剤。
- RNA合成酵素阻害薬として作用する。すなわち、三リン酸化体(T-705RTP)がウイルスRNAポリメラーゼを阻害する。
- ヒトの核酸合成酵素とも作用するようであり、動物実験で催奇形性の報告があるため、妊婦、および妊娠が疑われる女性への投与は禁忌であるし、それ以外の男女に投与する場合には七日間は性交を避けること警告されている。
- プロテアーゼ阻害薬である。
- SARS、MERSに対して効果があったと言うことで、用いられている。
- 気管支喘息の吸入用治療薬であるシクレソニド(商品名オルベスコ)。
- 国立感染症研究所で、COVID-19に対して特異的な抗ウイルス作用を持つことが示されている。
- 感染早期から中期、ないし肺炎初期に使用するのが好ましいとされている。
- クロロキンはかつてはマラリアの治療薬として使われていたが、クロロキン耐性マラリアの増加により使われなくなってきている。ヒドロキシクロロキンはクロロキンと類似した構造を有し、日本では全身性エリテマトーデスに対して使用されており、抗炎症作用や免疫調節作用を有するとされている。クロロキンはSARS-CoV-2の複製を抑制することがin vitroの実験で示されている。
予防
- 手洗い、うがい。
- 定期的な空気の入れ換え
- 濃厚接触の予防。
- 清潔な環境の維持:ドアノブ、机の上、キーボード、イスの拭き掃除
- ワクチン接種:現在、開発中である。
パンデミックの経過
- 2019年12月、中華人民共和国の湖北省武漢市で肺炎患者の集団発生が報告された。
- 2020年1月15日、日本で最初の感染者が報告される。
- 2020年1月30日、世界保健機関が公衆衛生上の緊急事態を宣言。
- 2020年2月1日、新型コロナウイルス感染症が指定感染症に指定された。
- 2020年1月~2月に中国武漢から日本国内に侵入したCOVID-19は3月末から4月中旬に封じ込められた(第一波)。感染源の特定は可能であった。
- 2020年4月7日、緊急事態宣言(7都府県)が発令された。緊急事態措置を実施すべき期間は2020年4月7日から5月6日とした。緊急事態措置を実施すべき区域は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県とされた。
- 2020年4月16日、全都道府県を緊急事態措置の対象とする。
- 3月中旬~4月上旬あたりで、欧米から侵入したCOVID-19が国内で拡散している(第二波)。3月後半からはリンクが不明な発症例が増加してきた。
今後の見通し
- 2020/5外出制限が行われているが、解除された後は一過性に患者は増えるであろう。PCRに加えて抗原検査キットも加われば、今まで以上に迅速に疑い患者を同定でき、素早く外出制限・隔離を指導できる。懸念されている第三波は思ったより押さえ込めるのではないかと思われる。(2020/5/10)
- 緊急事態制限解除後は、一過性に患者が増え、そのうち一日数人レベルで患者が発生する日が続き、冬を迎えてインフルエンザと共に流行することが予想される。SAR-CoV-2の抗原を迅速に検出できるキットが医療現場に普及し、インフルエンザと同様に全国民レベルで予防ワクチンの接種が可能となれば、インフルエンザとほぼ同じ対応で対応できるようになる。そこに至れば、医療現場としては安心して仕事ができるのだが。来年に間に合うか。(2020/5/17)
著名人
- 志村けん:3月17日から倦怠感があり。自宅静養中に発熱と呼吸困難が出現。20日に重度の肺炎と診断されて入院。23日新型ウイルスが陽性と判明して以降、人工心肺装置などを装着するも3月29日ご逝去される。
- 岡江久美子:4月3日に発熱し、6日朝に容体が急変して緊急入院。その後の検査で新型ウイルスが陽性と判明。4月23日ご逝去される。
- 岡本行夫:3月下旬ご逝去。橋本政権などで首相補佐官を務めた外交評論家。
勉強会
- 第117回 日本内科学会講演会 緊急シンポジウム 開催日:2020年4月12日(日)
疫学
- 感染例には性差があり、男性患者が60%である。
- 20-50歳代が7割、60歳代以降の高齢者は3割である。
- 60歳以上の患者では集中治療での治療例が増加する。
重症化のリスク因子
- 単変量回帰
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肺炎
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人工呼吸器
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死亡
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男性
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1.6
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4.7
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60歳以上
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3.2
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17
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糖尿病
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2.7
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6.6
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8.3
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高血圧
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3
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脂質異常症
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3.3
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5.9
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喘息
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関係があるとはいえない
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担癌
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3
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9.6
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心血管
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4.5
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典型的な経過
- 感染後の症状があった例を対象とした解析
- 感染後 -(5.1日)→ 発症 -(6.3日)→ 診断 →
- -(16.6日)→ 退院
- -(13.3日)→ 死亡
- 診断時に症状が無くとも、3.5日後に半数が発症し、5/80の例で集中治療を要する。
SARSとCOVID-19の違い
- SARSでは殆どの感染例が重症化していた。
- COVID-19の感染例では、無症状、軽症、重症、死亡に分類される。
- COVID-19の軽症例では、上気道炎を呈する。感染力は高い。
- COVID-19の重症例では、肺炎を呈する。感染力は低い。
- COVID-19の感染者が全員感染力を持っているわけではない。ごく少数の人が二次感染を起こしている、
- SARSの場合、肺で増殖するので、エアロゾルを発生させるような手技を行わなければ、基本的には感染しない。このような手技は普通医療機関で行われる。
- COVID-19の場合、クラスターが可視化できない例がある。多くが無症候、軽症例のためであるからである。
- 三密の環境ではくしゃみや咳がなくても感染の可能性がある。
- クラスターを形成する人はウイルス量の量が多い人であり、咳やくしゃみ、発熱がない人がいる。
中国44672人COVID-19確定患者の重症度ピラミッド
- 2.3%死亡
- 4.7%重篤 呼吸不全、ショック、多臓器不全
- 13% 重症 R≧30, SpO2 < 93, PaO2/FiO2 <300, 浸潤影50%以上
- 80% 軽症 肺炎なし ~ 軽度肺炎
参考
- http://www.kansensho.or.jp/
- https://www.mhlw.go.jp/index.html
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
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会社名
成分名
薬効分類
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リトナビル、ロピナビル
[★]
- 英
- building
- 関
- 建物