アタザナビル
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- レイアタッツとは?アタザナビルの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べ られる(おくすり110番:薬事典版)
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
レイアタッツカプセル150mg
組成
- レイアタッツカプセル150mgは1カプセル中,アタザナビル硫酸塩170.84mg(アタザナビルとして150mgに相当)を含有する。
なお,添加物として,クロスポビドン,乳糖水和物及びステアリン酸マグネシウム,また,カプセル本体にゼラチン及び青色二号を含有する。
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 重度の肝障害のある患者(〈用法・用量に関連する使用上の注意〉の項参照)
- **次の薬剤を投与中の患者:リファンピシン,イリノテカン塩酸塩水和物,ミダゾラム,トリアゾラム,ベプリジル塩酸塩水和物,エルゴタミン酒石酸塩,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩,エルゴメトリンマレイン酸塩,メチルエルゴメトリンマレイン酸塩,シサプリド,ピモジド,シンバスタチン,ロバスタチン(国内未発売),インジナビル硫酸塩エタノール付加物,バルデナフィル塩酸塩水和物,ブロナンセリン,プロトンポンプ阻害剤,セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort, セント・ジョーンズ・ワート)(「相互作用」の項参照)
効能または効果
- **無症候性HIV感染症に関する治療開始については,CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって,本剤の使用にあたっては,患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに,最新のガイドラインを確認すること。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ,薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので,本剤は他の抗HIV薬と併用すること。
- **通常,成人には以下の用法・用量に従い食事中又は食直後に経口投与する。
投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
抗HIV薬による治療経験のない患者
- ・アタザナビルとして300mgとリトナビルとして100mgをそれぞれ1日1回併用投与
- ・アタザナビルとして400mgを1日1回投与
抗HIV薬による治療経験のある患者
- ・アタザナビルとして300mgとリトナビルとして100mgをそれぞれ1日1回併用投与
- 本剤による治療は,抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
- **リトナビル100mgを超えて併用投与した際の有効性と安全性は確立していない。リトナビルを高用量で併用投与した場合には本剤の安全性プロファイル(心伝導障害,高ビリルビン血症)に影響をあたえる可能性がある。
- **ウイルス学的治療失敗を伴う抗HIV薬による治療経験のある患者に,本剤をリトナビルと併用せずに投与することは推奨されない(【臨床成績】の項参照)。
- **抗HIV薬による治療経験のない患者で,リトナビルの投与が適用できない患者に対しては,リトナビルと併用しない用法・用量(アタザナビルとして400mgを1日1回投与)を考慮すること(【臨床成績】の項参照)。
- **軽度〜中等度の肝障害のある患者には,慎重に投与すること。中等度の肝障害患者(Child-Pugh分類B)には,リトナビルを併用せずに,本剤の投与量を300mg,1日1回に減量して投与することを考慮する。中等度の肝障害のある患者には,本剤とリトナビルの併用は推奨されない。重度の肝障害患者(Child-Pugh分類C)には,リトナビルの併用の有無にかかわらず本剤を投与しないこと(【薬物動態】の項参照)。
- **透析を施行している腎障害患者の場合,抗HIV薬による治療経験のない患者には,本剤をリトナビルと併用して投与すること。なお,抗HIV薬による治療経験のある患者には,本剤を投与しないこと(【薬物動態】の項参照)。
- ジダノシンと併用する場合には,ジダノシンは食間に投与することとされているので,本剤を食事中又は食直後に投与後,2時間以上の間隔をあけてジダノシンを空腹時に投与すること(「相互作用」の項参照)。
- 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において,因果関係が特定できない重篤な副作用が発現し,治療の継続が困難であると判断された場合には,原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
慎重投与
- 心伝導障害(房室ブロック)のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)
- 軽度〜中等度の肝障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため,肝障害のある患者では高い血中濃度が持続するおそれがあるので注意すること。また,B型・C型肝炎の患者又は投与前に著しいトランスアミナーゼの上昇が認められた患者では,トランスアミナーゼがさらに上昇する又は肝機能が悪化するおそれがあるので,定期的に肝機能検査を行うなど患者の状態をモニタリングすること。](〈用法・用量に関連する使用上の注意〉の項参照)
- 血友病及び著しい出血傾向を有する患者[HIVプロテアーゼ阻害薬にて治療中の血友病患者において突発性の出血性関節症をはじめとする出血事象の増加が報告されている。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
次のような副作用があらわれた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
**重度の肝機能障害,肝炎:
- 重度の肝機能障害,肝炎(1%未満)等があらわれることがあるので,定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。
糖尿病,糖尿病の悪化及び高血糖:
- 糖尿病,糖尿病の悪化及び高血糖があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。
出血傾向:
- HIVプロテアーゼ阻害薬にて治療中の血友病患者において突発性の出血性関節症をはじめとする出血事象の増加が報告されている。このような症状があらわれた場合には血液凝固因子を投与するなど適切な処置を行うこと。
**QT延長,心室頻拍(torsades de pointesを含む),房室ブロック:
- QT延長,心室頻拍(torsades de pointesを含む),房室ブロック(第一度〜第三度AVブロック)があらわれることがある。
**皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),多形紅斑,中毒性皮疹:
- 皮膚粘膜眼症候群,多形紅斑及び中毒性皮疹があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止すること。
薬効薬理
**作用機序
- アタザナビル(ATV)はアザペプチド系のHIV-1プロテアーゼ阻害薬(PI)である。HIV-1に感染した細胞において,本剤はプロテアーゼ阻害作用によりHIVウイルスの構造蛋白(Gag-Pol)に影響を及ぼし,その結果,感染性を有する成熟ウイルスの産生を抑制する。
**抗ウイルス作用(in vitro試験)
- 末梢血単核細胞,マクロファージ,CEM-SS細胞及びMT-2細胞に感染させた各種HIV-1分離株におけるATVの抗ウイルス作用のEC50値は,ヒト血清非存在下で2〜5nMであった。ATVは細胞培養試験において,HIV-1グループM サブタイプ A,B,C,D,AE,AG,F,G及びJの分離株に対して活性を示した。HIV-2分離株に対してはEC50値1.9〜32nMの変動のある活性を示した。細胞培養試験において,ATVと非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI:デラビルジン,エファビレンツ及びネビラピン),PI(アンプレナビル,インジナビル,ロピナビル,ネルフィナビル,リトナビル及びサキナビル),逆転写酵素阻害薬(NRTI:アバカビル,ジダノシン,エムトリシタビン,ラミブジン,サニルブジン,テノホビル,ザルシタビン及びジドブジン),ウイルス感染治療薬であるアデホビル及びリバビリンのいずれかとの2剤併用の抗ウイルス活性試験では,併用薬剤間で拮抗作用は認められず,細胞毒性の増強もなかった。
薬剤耐性
**細胞培養試験:
- 細胞培養試験において,ATVに5ヵ月間曝露した場合,ATVに対する感受性が1/183〜1/93に低下した3種の異なるウイルス株が得られた。これらのATV耐性にはHIV-1ウイルスのI50L,N88S,I84V,A71V及びM46Iのアミノ酸置換が関与していた。また,アミノ酸置換はプロテアーゼ開裂部位でも認められた。I50Lを有し,PI関連の他のメジャーなアミノ酸置換を含まない組み換えウイルスでは,細胞培養試験において増殖障害が認められ,また他のPI(アンプレナビル,インジナビル,ロピナビル,ネルフィナビル,リトナビル及びサキナビル)に対する感受性増大が認められた。ATV及びアンプレナビルの選択的耐性置換としてI50LとI50Vがそれぞれ認められたが,これらに交叉耐性はなかった。
**治療経験のない患者での臨床試験:
- 治療経験のないHIV感染患者にATV300mg1日1回+RTV100mg1日1回(ATV/RTV群)及びATV400mg1日1回(ATV群)のラミブジン+徐放性サニルブジン併用下における比較試験(AI424-089試験)。
(表12参照)
- 治療経験のないHIV感染患者にATVの300mg1日1回+RTV100mgを投与した試験(AI424-138試験)。
ATV/RTVの96週間治療中にウイルス学的失敗(≧400copies/mL)を経験した患者あるいはウイルス量減少が基準値到達前に投与を中止した患者の血液サンプルについて遺伝子型及び表現型解析を実施した。解析数は39例(9%)であった。その結果,ATV/RTV治療グループにおいて,ウイルス学的失敗分離株の1例ではATVに対する感受性が1/56に低下し,L10F,V32I,K43T,M46I,A71I,G73S,I85I/V及びL90MのPI関連の置換が認められた。また,治療失敗分離株5例では,M184I(1例)又はM184V(4例)の置換を有するエムトリシタビン耐性が発現した。
- 治療経験のないHIV感染患者にATVの400mgを1日1回投与した試験。
ATV400mgのみの治療でウイルス学的失敗を経験し,耐性となった患者からの分離株では多くの場合I50Lの置換が認められ(ATV平均治療期間50週間),またA71Vの置換を合併していた。また,1ヵ所以上のPI関連の置換(例えばV32I,L33F,G73S,V82A,I85V又はN88S)がI50Lと同時にあるいはI50Lなしに発現していた。未治療患者において,主要なPI関連置換を有さずにI50Lの置換のみが発現したウイルス分離株は,ATVに対する表現型耐性を示したが,他のPI(アンプレナビル,インジナビル,ロピナビル,ネルフィナビル,リトナビル及びサキナビル)に対しては細胞培養試験で感受性の保持が観察された。
**治療経験を有する患者での臨床試験:
- 治療経験を有するHIV-1患者にATV又はATV/RTVを投与した試験。ウイルス学的失敗を経験した患者から分離したほとんどのATV耐性分離株では,複数のPIに対する耐性と関連したアミノ酸置換が発現し,PIに対する感受性低下が認められた。ATV300mgとRTV100mgの1日1回(同時にテノホビルと1種のNRTI)治療で失敗した患者のウイルス分離株において,最も一般的に認められた置換は,V32I,L33F/V/I,E35D/G,M46I/L,I50L,F53L/V,I54V,A71V/T/I,G73S/T/C,V82A/T/L,I85V及びL89V/Q/M/Tであった。その他の置換として,E34K/A/Q,G48V,I84V,N88S/D/T,及びL90Mが10%未満の患者分離株で認められた。概してATV又はATV/RTV投与開始前の患者のHIV-1ウイルスにI50Lの置換を含む複数のPI耐性置換が存在する場合には,ATVにも耐性が生じた。I50L置換は,治療経験を有する患者にATVの長期投与後にウイルス学的失敗を経験した患者でも確認されている。ATV治療によりプロテアーゼ開裂部位の変化も生じたが,これらの出現はATV耐性の程度とは相関しなかった。
**交差耐性
- PIの治療経験を有する患者にATVを投与した臨床試験において,ATV投与前にウイルス分離株の表現型及び遺伝子型解析を実施した結果,複数のPIに交差耐性を示し,ATVに対しても交差耐性を示した。I84V又はG48V置換を有する分離株の90%以上が,ATVに耐性を示した。また,L90M,G73S/T/C,A71V/T,I54V,M46I/LあるいはV82に置換を有する分離株の60%以上がATV耐性であり,更に他の置換に加えてD30Nを有する分離株の38%がATV耐性であった。ATVに耐性を示す分離株は他のPIに対しても交差耐性を示し,インジナビル,ロピナビル,ネルフィナビル,リトナビル及びサキナビルに対しては90%以上の分離株が,また,アンプレナビルに対しては80%が耐性を示した。治療経験を有する患者において,PI耐性に関連するアミノ酸置換に加えてI50Lを発現したPI耐性ウイルス分離株は,他の複数のPIに対しても交差耐性を示した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- アタザナビル硫酸塩(Atazanavir Sulfate)
化学名:
- Dimethyl(3S,8S,9S,12S)-9-benzyl-3,12-di-tert-butyl-8-hydroxy-4,11-dioxo-6-[4-(pyridin-2-yl)benzyl]-2,5,6,10,13-pentaazatetradecanedioate monosulfate
分子式:
分子量:
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