Streptococcus mutans
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ミュータンス菌 |
ミュータンス菌
|
分類 |
ドメイン |
: |
真正細菌 Bacteria |
門 |
: |
ファーミキューテス門
Firmicutes |
綱 |
: |
バシラス綱
Bacilli |
目 |
: |
ラクトバシラス目
Lactobacillales |
科 |
: |
ストレプトコッカス科
Streptococcaceae |
属 |
: |
レンサ球菌属
Streptococcus |
種 |
: |
ミュータンス菌
S. mutans |
|
学名 |
Streptococcus mutans
Clarke 1924 |
ミュータンス菌(ミュータンスきん、学名:Streptococcus mutans)とは、グラム陽性で通性嫌気性の連鎖球菌の一種のことである。ヒトの口腔内にも存在し、う蝕(虫歯)の原因菌のひとつである。虫歯菌の別名でも有名。1924年にJ. K. Clarkeによって発見された。
目次
- 1 概要
- 2 う蝕における役割
- 3 関連項目
- 4 脚注
概要[編集]
ミュータンス菌は最初からヒトの口腔内に存在しているのではなく、口移しや食器の共有などによって、感染者の唾液が口に入ることによって感染する。なおミュータンス菌とは、現在Streptococcus mutansのことを主に指すが、過去にはミュータンス群のことを指していた時代がある。S. mutansやS. sobrinusなどがあるが、それら全てがミュータンス菌と考えられていた。しかし、DNAによる同定法などが確立してきたために、それらが別の菌であることが分かった。
ミュータンス菌(Streptococcus mutans)
高病原性株[編集]
標準菌と異なる糖鎖を持つグルコースの側鎖を持たない菌株は高病原性株と呼ばれ、白血球に貪食されにくく、血液中に菌が存在する菌血症状態となり、全身に病原性をもたらす。現在では、脳出血や潰瘍性大腸炎への関与が疑われている。 高病原性株TW295 への感染は、潰瘍性大腸炎の発症リスクを高めているとの研究がある[1][2]。
う蝕における役割[編集]
ミュータンス群は7菌種に分類されているが、ヒトの口腔内に存在するのはS. mutansとS. sobrinusで、ともにう蝕に関与している。S. mutansは、菌体内に保持する酵素群により以下に示すようなう蝕過程の反応を活性化させる。
- スクロース(グルコースとフルクトースからなる二糖)を基質として、グルコシルトランスフェラーゼによりグルカンを産生する。このグルカンにより、菌は歯の平滑面に対しても強い付着能を有し、プラーク(歯垢)を形成させる。
- スクロースやマルトースなどの糖類を代謝することにより乳酸を産生する。この結果、口腔内環境は酸性(最高でpH4近く)になり、エナメル質の脱灰が起こる。特に、プラーク(歯垢)内は唾液によるpHの緩衝作用が弱いためう蝕になりやすい。
関連項目[編集]
- 口腔細菌学/細菌学/感染症学/微生物学
- 歯学/歯科
- う蝕
- 細菌/微生物
- 歯科医師
脚注[編集]
- ^ ミュータンス菌 脳出血と潰瘍性大腸炎にも関与日経メディカルオンライン 記事:2012年5月23日
- ^ 口腔細菌ミュータンス菌特異株の感染は潰瘍性大腸炎のリスクを高める
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Japanese Journal
- 秋田県某市H地区での幼児期う蝕リスク要因の検討 : 幼児歯科健康診査へのDentocult^[○!R]-Strip mutansの導入
- 小松崎 明,小松 義典,末高 武彦
- 口腔衛生学会雑誌 61(2), 215-224, 2011-04-30
- 秋田県某市H地区では,う蝕リスク評価に基づく継続的な保健指導を重視し,幼児歯科健康診査にカリエスリスクテストを導入した.本研究では,3歳児までの歯科健康診査の継続受診児245名を対象として,dftおよびその推移,質問項目の結果,Dentocult^[○!R]-Strip mutans(Dent-SM)スコアを比較し,3歳児のdftと関連する要因について分析し,以下のような結果を得た.3歳児までのd …
- NAID 110008673128
- キシリトール溶液による洗口の唾液中ミュータンス菌レベルへの影響について
- 川守田 暢,安田 善之,新田 督,泉川 昌宣,斎藤 隆史
- 日本歯科保存学雑誌 53(4), 359-366, 2010-08-31
- キシリトールは,齲蝕原因菌に酸を産生させないことから非齲蝕性甘味料として使用されている.本研究の目的は,キシリトール溶液にて4週間洗口を行った場合の齲蝕予防効果を検討することである.はじめに,in vitroにおいてキシリトールの齲蝕原因菌の増殖への影響を調べた.キシリトールは濃度依存性にStreptococcus mutansやStreptococcus sobrinusの増殖を抑制したが,ソル …
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- 矯正歯科治療前後におけるカリエスリスクの臨床的評価
- 今井 徹
- 北海道矯正歯科学会雑誌 36(1), 3-12, 2008-12-25
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- NAID 110008699400
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- ラ
- Streptococcus mutans、S. mutans、mutans streptococci
- 同
- ミュータンスレンサ球菌、ミュータンス菌、ストレプトコッカス・ミュータンス
- 関
- う蝕症、う蝕
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- 関
- mutans streptococci、Streptococcus mutans
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