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- mazindol
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- サノレックス Sanorex
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/07/23 22:21:31」(JST)
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マジンドール(Mazindol)は、食欲抑制薬である。2007年現在、食欲抑制剤としては日本で唯一承認されており、サノレックスの商品名で、ノバルティスファーマから製造販売されている。保険適応は高度肥満症[1]のみである。また薬事法における習慣性医薬品に指定される[2]。劇薬である。
薬理学的特性は覚醒剤であるアンフェタミンと類似する。食欲中枢への直接作用と脳内でのアドレナリン、ドパミン、セロトニンの神経細胞による再取り込み抑制という2種類の機序により、消費エネルギー促進とともに食欲を抑制する交感神経作用アミンである。
動物実験による依存性の可能性、および短期間での耐性発現があり、人での依存は明確ではないとされる。中枢神経興奮剤(覚醒剤)の依存は、精神的依存と耐性である。健康保険適応上の投与は3か月が限度とされている。
また、禁忌として、アルコール・薬物依存の既往、不安、抑うつ、異常興奮または統合失調症などの精神障害のある場合、他、いくつかの内科的疾患がある。
脚注
- ^ 高度肥満症とは、肥満度が+70%以上あるいは、ボディマス指数 (BMI)が35以上である。
肥満度(%)=(実体重-標準体重)/標準体重×100
BMI = 体重(kg)÷(身長(m)× 身長(m))
- ^ 厚生省, “薬事法第50条第9号の規定に基づき習慣性があるものとして厚生労働大臣の指定する医薬品 通知本文” (プレスリリース), 厚生労働省, http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_document.cgi?MODE=hourei&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&EFSNO=627&PAGE=1 2014年2月16日閲覧。
参考文献
- ノバルティスファーマ (2013-04) (pdf). サノレックス錠0.5mg (Report). 日本医薬情報センター. http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00007131.pdf 2014年2月16日閲覧。.
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、マジンドールに関連するカテゴリがあります。 |
Japanese Journal
- マジンドール休薬後に心不全を繰り返した Prader-Willi 症候群の1例
- 大黒 晴美,袖山 千束,山本 浩之,三谷 康二,重田 真幸,貴田岡 正史
- 肥満研究 : 日本肥満学会誌 = Journal of Japan Society for the Study of Obesity 18(3), 219-222, 2012-12-25
- NAID 10031147217
- 症例報告 マジンドール休薬後に心不全を繰り返したPrader-Willi症候群の1例
- 肥満が主体のメタボリックシンドロームの薬物療法 マジンドール (メタボリックシンドローム(第2版)--基礎・臨床の最新知見) -- (予防・管理・治療)
Related Links
- 医薬品である食欲抑制剤 マジンドール(サノレックス)を使ったダイエット 食欲抑制剤 マジンドール(サノレックス)の作用と効果 マジンドール(商品名「サノレックス」)は、 正式に認可された医療用の食欲抑制剤です。
- サノレックスとは?マジンドールの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 概説 減量を助けるお薬です。肥満症に用います。 作用 食欲にかかわる神経に働きかけて、食欲をおさえます ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
サノレックス錠0.5mg
組成
成分・含量
**添加物
- ステアリン酸マグネシウム、ポビドン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、乳糖
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 緑内障の患者〔眼内圧が上昇するおそれがある。〕
- 重症の心障害のある患者〔症状が悪化するおそれがある。〕
- 重症の膵障害のある患者〔インスリン分泌抑制作用を有する。〕
- 重症の腎・肝障害のある患者〔代謝又は排泄が遅延するおそれがある。〕
- 重症高血圧症の患者〔カテコラミンの昇圧作用を増強する。〕
- 脳血管障害のある患者〔症状が悪化するおそれがある。〕
- 不安・抑うつ・異常興奮状態の患者及び統合失調症等の精神障害のある患者〔症状が悪化するおそれがある。〕
- 薬物・アルコール乱用歴のある患者〔このような患者では一般に依存性、乱用が起こりやすいと考えられる。〕
- MAO阻害剤投与中又は投与中止後2週間以内の患者(「相互作用」の項参照)
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
- 小児(「小児等への投与」の項参照)
効能または効果
- あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における食事療法及び運動療法の補助
- 肥満症治療の基本である食事療法及び運動療法をあらかじめ適用し、その効果が不十分な高度肥満症患者にのみ、本剤の使用を考慮すること。
- 本剤は肥満度が+70%以上又はBMIが35以上の高度肥満症であることを確認した上で適用を考慮すること。
肥満度(%)=(実体重−標準体重)/標準体重×100
BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)2
- 内分泌性肥満、遺伝性肥満、視床下部性肥満等の症候性(二次性)肥満患者においては、原疾患の治療を優先させること。
- 本剤は肥満度が+70%以上又はBMIが35以上の高度肥満症患者に対して、食事療法及び運動療法の補助療法として用いる。
通常、成人には、マジンドールとして0.5mg(1錠)を1日1回昼食前に経口投与する。1日最高投与量はマジンドールとして1.5mg(3錠)までとし、2〜3回に分けて食前に経口投与するが、できる限り最小有効量を用いること。
投与期間はできる限り短期間とし、3ヵ月を限度とする。なお、1ヵ月以内に効果のみられない場合は投与を中止すること。
- 食事量、体重の推移、食生活等に留意の上、常に投与継続の可否、投与量について注意すること。
- 本剤は、睡眠障害を引き起こすことがあるので夕刻の投与は避けること。
慎重投与
- 糖尿病の患者〔インスリン、経口糖尿病剤の必要量が変化することがある。〕
- 精神病の既往歴のある患者(【禁忌】8.の項参照)
- てんかん又はその既往歴のある患者〔本剤の副作用で痙攣が報告されており、発作を誘発するおそれがある。〕
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
依存性(頻度不明)
- 本剤の主要な薬理学的特性はアンフェタミン類と類似しており、サルでの静脈内薬物自己摂取試験においては摂取頻度の増加がみられ、精神依存の形成が認められている。
イヌでの22ヵ月間経口投与による慢性毒性試験においては幻覚様異常行動がみられている。
この点に関し、ヒトにおける長期投与による依存性・精神症状の発現は明確ではないが、本剤を投与する際は、依存性について留意すること。(アンフェタミンをはじめとする中枢興奮剤は耐性及び精神依存を形成することが知られている。)
肺高血圧症(頻度不明)
- 本剤投与中に肺高血圧症があらわれたとの報告があるので観察を十分に行い、労作性呼吸困難、胸痛、失神等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 本剤は、主として視床下部にある食欲中枢に作用し、摂食行動を抑制する。
摂食行動に対する作用
- 1回及び1日摂餌量の減少、食事後食事間間隔の延長及び体重減少が認められる(ラット)。9,10)また、肥満動物モデルである視床下部腹内側核(VMH)破壊ラットにおいて正常ラットに対して影響を及ぼさない用量で摂餌量及び体重減少が認められる。11,12)
消化吸収に対する作用
- 唾液(イヌ)及び胃酸分泌(ラット)の抑制が認められる。13)また、肥満動物モデルであるgoldthioglucose(GTG)投与マウスにおいて増大した小腸の絨毛表面積縮小及び消化酵素(スクラーゼ、エステラーゼ)活性の低下が認められる。14)
グルコース利用促進
- 骨格筋等へのグルコースの取り込み促進が認められ、組織におけるグルコース利用の増加が示唆されている(ラット)。15)
熱産生促進
- ラット及び肥満型糖尿病モデルであるYellow KKマウスにおいて褐色脂肪組織(BAT)のミトコンドリア蛋白含量及びBAT熱産生能の指標であるguanosine 5’-diphosphate(GDP)結合能の増加等、BATの活性化が示唆されている。16,17)
肥満時の代謝変動に対する作用
- 肥満時に認められる肝及び血中の脂質(コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸等)、血中インスリン、脂肪組織重量、脂肪細胞容積等の増加を抑制する(VMH破壊ラット11,12)、GTG投与マウス14))。
作用機序
- マジンドールは摂食調節中枢であるVMH及び視床下部外側野(LHA)への直接作用18,19)及び神経終末におけるモノアミン(ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン)の再吸収抑制20〜22)を介した機序により、摂取エネルギー抑制(摂食抑制、消化吸収抑制)9〜14)及び消費エネルギー促進(グルコース利用、熱産生促進)15〜17)をもたらし、更に肥満時にみられる代謝変動を改善11,12,14)することにより肥満症を是正するものと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- (±)-5-(p-Chlorophenyl)-2,5-dihydro-3H-imidazo[2,1-a]isoindol-5-ol
分子式
分子量
性状
- 白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがある。酢酸(100)に溶けやすく、メタノール、エタノール(95)、クロロホルム又はN,N-ジメチルホルムアミドに溶けにくく、アセトン又はジエチルエーテルに極めて溶けにくく、水又はヘキサンにはほとんど溶けない。
融点
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