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ペドフィリア(英: paedophilia)とは、幼児・小児(一般に13歳以下)を対象とした特殊な性愛・性的嗜好のこと。略して俗にペドと呼ばれる。類義語には小児性愛(しょうにせいあい)・小児愛(しょうにあい)・児童性愛(じどうせいあい)がある。思春期の子どもへの性的嗜好はエフェボフィリア(英: ephebophilia)という。ペドフィリアの性向を持つ人を、ペドファイルもしくはペドフィル(英: paedophile)という。
医学的疾患(性嗜好障害)を指して使われるが、一般に障害とまでは言えない小児への性的嗜好全般を指す場合もある。欧米では広く児童への性的虐待者そのものを言及するのに用いられている。(児童性虐待者についてはチャイルド・マレスターを参照)
本記事では、一般的な概念としてのペドフィリア(小児性愛)を説明する。現在における精神医学上の障害としての小児性愛も、DSM 及び ICD における「記述」規準において触れている。
古典ギリシア文明における paidophilia(パイドピリア=少年愛)が、キリスト教的近代において否定的意味を与えられ、精神医学の用語とされた。成人による、児童・小児への持続する性的関心をもって特徴とする。
精神医学上の概念としては、精神病理に対し深い識見を備えていたウィーン大学教授リヒャルト・フォン・クラフト=エビングが、著書Psychopathia Sexualis(性的精神病理,1886年)において最初に提唱したとされる。ラテン語より派生した形として、paedophilia とも表記する。その後、異常心理学では、「性の異常心理」として「性対象異常」の下位範疇において児童・小児を性愛の対象とする性倒錯として位置付けられた。20世紀半ばまで、精神医学においても性倒錯として把握されたが、今日の精神医学においては、性嗜好障害とされる。
小児性愛障害 Pedophilic Disorder |
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分類及び外部参照情報 | |
ICD-10 | F65.4 |
ICD-9 | 302.2 |
MeSH | D010378 |
現在、米国精神医学会 (APA) の診断・統計マニュアルDSM-5では小児性愛障害 (Pedophilic Disorder) に関して以下の記述がある。DSM-IV-TR以前では小児性愛 (pedophilia) の診断名が使われていた。[1]。
また、WHOの国際疾患分類改定第10版であるICD-10[2]では、ペドフィリアに関して以下の記述がある。
小児、通常は思春期前あるいは思春期早期の年齢の小児への性的愛好で、ある者はただ少女だけに引きつけられるが、またある者は少年にだけ、またある者は両性に興味をもつ。
成人と性的に成熟した青年との接触は、とくに両者が同性の場合は社会的に承認されていないが、しかし必ずしも小児性愛と関連するものではない。ただ1回の出来事は、とくに加害者自身が青年の場合には、診断にとって必要な持続的あるいは支配的な傾向の存在を証明するものではない。しかしながら、小児性愛者のうちには、成人の性的パートナーを愛好し続けながらも適切な接触を得るのに慢性的に挫折しているため、習慣的にその代理として小児に向かう者が含まれている。思春期以前の自分の子供を性的にからかう者は、時に他の子供たちにも同様な近づき方をするが、いずれの場合も彼らの行動は小児性愛を示唆するものである。[3]
なお、日本では医学上18歳未満の者を小児に含めるが、18歳未満への性的愛好のすべてが小児性愛とみられるわけではない。日本の学齢では13歳に達するのは中学校1年生~2年生、18歳に達するのは高等学校3年生~大学1年生。11歳に達するのは小学校5年生~6年生、5歳年長の16歳に達するのは高等学校1年生~2年生。16歳以上の人と年齢差が4歳の場合は規準に含まないため12歳~13歳の人と16歳の人、13歳の人と17歳の人、また16歳未満の人と13歳以下の人の関係はペドフィリアの定義に含まない。総合的臨床見地によって診断が行われるのは前述の通りであるが16 - 17歳の者への性的愛好が小児性愛とされるのはむしろまれである。
ペドフィリア(pedophilia)は精神医学的疾患分類とは別に、日常語として強く未成年へひきつけられる性的嗜好を表す言葉として用いられることがあり、特に欧米諸国では日常語としての使用頻度が比較的高い。日本の場合、ロリータコンプレックス(ロリコン)とベドフィリアの混同がなされており、日常語としての「ペドフィリア」は(ロリコンに比べて)病的・犯罪的ニュアンスを伴って使用される場合が多い。また、いわゆるオタク的社会風俗場面においては「少女」の中でも特に幼い「幼女」(未就学あるいは10歳に満たない女児)に対する性的嗜好を「ペドフィリア」として呼び分けることがあるが、この場合「ペドフィリア」「ロリコン」共に通俗的な使用であり恣意的な使い分けである場合が多い。
なお日本の場合、刑法176条(強制わいせつ罪)において13歳未満の児童に対するわいせつ行為を犯罪とする旨が定められている。また、刑法177条(強姦罪)により13歳未満の児童との性行為にはただちに強姦罪が適用される(13歳未満の児童には性的合意能力は認定されていない)など、事実上子供との性行為が禁止されている。また後述のペドフィリア認知の経緯などあって、「ペドフィリア」には性犯罪者に対する蔑称のニュアンスを含む場合が多い。
子供への性的虐待の犯人は医学的診断にかかわらず一般社会から小児性愛症者であるとみなされ、そしてそういうものとして言及される。近年の精神医学診断は疾病の原因には言及しない傾向にある。しかし社会一般では逆に、犯罪の動機・原因に強い関心を持って語られることが多い。
社会一般では、犯罪の動機が「子供に限定された強い性的興味」にあると信じられている場合が多い。しかしながら、ストレス、結婚の問題、成人パートナーと接触不能など他の動機がある可能性がある。犯人の大部分は、実際には子供に主に興味があるわけではないとの説もある。
子供への性的虐待は必ずしも(粗暴なという意味での)暴力を伴うものではなくむしろ少数とも言われる。しかしながら、(粗暴な)暴力を伴う性的虐待の例では重篤な被害をもたらす場合が多く、それまで(粗暴な)暴力的手段を用いなかった小児性犯罪者が今後も(粗暴な)暴力的手段を用いない保証はない。
女性から男児への性的虐待も存在し、虐待者は実母、代母、母親の友人などである。[4]少年への性的虐待で女性が加害者である率はおよそ20%という調査結果がある。[5]被害者の男女比は同程度である。[6]また、女性の虐待加害者の66%以上は自らも性的虐待被害者であるという調査結果がある。[7] 男性の共犯者に従うこともある。[8]
幼児・小児に対し性的興味・嗜好を持つ人の割合に関していくつかの研究や調査報告がある。ただし、幼児・小児に対する性的興味・嗜好がただちに、小児性愛(またはその傾向)を意味するわけではない。以下の報告は、精神医学上の小児性愛者(pedophile) ではなく、広義のペドフィリア「小児への性的嗜好」に関する調査報告である。
註:最近の精神医学では、平均との「乖離性」よりも、その「適応性」(主体の孤立・苦悩・経済的破綻)や「価値的基準」(社会規範の遵守等)を重視する傾向がある。そのため、小児性愛(pedophilia)を医学上正常の範疇とする考えは少数派に留まる。この(「乖離性」より「適応性」や「価値的基準」を重視する)観点から近年「同性愛」は、性嗜好障害から除外された。
一般に報告されている事例では、男性の小児性愛者のケースが、女性のそれを明らかに圧倒的に上回っている。
また、DSM-IVは、診断における補足項目として、次のような三つのポイントについて留意し記載するよう奨めている。
小児性愛の類型は明らかに存在すると思われている。しかし現在、その素因や他の性嗜好との相関等について、実証的に確認できるものはないに等しく、定まった説はない。
現在までの間で、ペドフィリアになる(ペドフィリアに至る)原因については諸説ある。一説には脳内のセロトニンの異常によるという。また一説には児童期の虐待などが原因とされる。自身が児童であった時のイメージを、そのまま対象の児童に投影してしまうためという説、他に、成人との性的接触に挫折した代償(前述ICD)であるという説。幼少期にふさわしくない性的刺激を体験した者(親の性交を見る等)は児童性愛者になりやすいと唱える者もいる。また近年の研究では、ペドフィリアを含む性犯罪者の中には一部脳の欠損や機能障害(遺伝的なものを含む)が認められる場合が報告され、原因のひとつと考えられる。
かつては、すべての伝統的なホモ・サピエンスの社会において、オスの生殖上の利益を最大にするため[12]、妊娠・出産が可能になる下限までのメスを性の対象とすることが許されていた。そのため10歳前後の少女との結婚・セックスも認められており、ペドフィリアの一部は、社会的に存在を認められていたと言える。かつて伝統的社会の規範であった宗教において、ペドフィリアに対する「寛容性」が見られていたが、現代では低年齢での妊娠・出産には多くの身体的危険が伴うことも明白となり、多くの宗教・宗派はペドフィリア的性向を人権侵害につながるとして認めていない。
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ヒンドゥー教でも、10歳前後の少女との結婚・セックスは広く認められていた。現代でも農村部では、10歳前後の少女との結婚・セックスが見られる。
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リンク元 | 「小児性愛」 |
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