商品名
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成分
薬効分類
薬効
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/01/18 16:20:31」(JST)
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過酸化ベンゾイル
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識別情報
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CAS登録番号
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94-36-0
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日化辞番号
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J2.843F
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E番号
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E928 (その他)
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KEGG
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D03093
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RTECS番号
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DM8575000
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SMILES
c1ccccc1C(=O)OOC(=O)c2ccccc2
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特性
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化学式
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C14H10O4
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モル質量
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242.23 g mol−1
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示性式
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(C6H5CO)2O2
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密度
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1.334 g/cm3
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融点
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103–5 °C 分解
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水への溶解度
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0.1g/100ml(26℃)
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危険性
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安全データシート(外部リンク)
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ICSC 0225
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EU分類
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E Xi
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EU Index
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617-008-00-0
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主な危険性
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爆発性 (E) 刺激性 (Xi)
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NFPA 704
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発火点
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125°C
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特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
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過酸化ベンゾイル(かさんかベンゾイル、英語: Benzoyl peroxide, 略語: BPO)は、酸化剤の一種で、抗菌作用、皮膚の角質の堆積を改善する作用がある[1]。工業、漂白剤、ニキビの治療に使用される。ニキビ治療薬として抗生物質の長期使用の問題に代わって推奨度が高くなった[1]。ベピオ、抗菌薬との合剤デュアック[1]。消防法による危険物(第5類 自己反応性物質、第1種自己反応性物質)に指定されている有機過酸化物。
形状と性質
白色粒状で無臭の固体で、水には溶けない(0.1g/100ml〈26℃〉)が、有機溶剤には溶ける。強い酸化作用があり、80℃まで加熱すると発火、さらに100℃を超えると白煙を発生して激しく分解する。加熱や、摩擦、衝撃、光に当たることなどによっても分解し、爆発する恐れがある。また、乾燥したり強酸や有機物に接触することによっても爆発することがあるので、保管には注意を要する。市販品は爆発防止のため、25%の水で湿らせて純度75%としている。
合成
過酸化ベンゾイルは、塩化ベンゾイルと過酸化ナトリウムから合成される。
用途
加熱により酸素-酸素結合がホモリティックに開裂し、ベンゼンカルボキシルラジカルを与え、そこから二酸化炭素が脱離してフェニルラジカルとなる。この性質を利用し、ラジカル開始剤としてポリマーの合成などに使用される。
他の一般的な用途として染髪や歯の漂白剤が挙げられる。ヨーロッパでは過酸化水素の使用が制限されているため、特に利用される傾向がある。また、小麦粉の製造の際にも使われる。
医療
尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療に承認されている。
21世紀となり抗菌薬(抗生物質)の長期使用による薬剤耐性菌の出現が問題となり、耐性菌の心配のない過酸化ベンゾイルの使用が推奨されるようになった[1]
2015年に過酸化ベンゾイルのみのベピオ、抗菌薬クリンダマイシンとの合剤デュアック[1]。もっとも、欧米では1960年代からニキビの治療に使用されていた[2]。また2016年にアダパレンと合剤のエピデュオが承認された[3]。
副作用としては接触皮膚炎[4]、などがある。
事故事例
1990年5月、東京都板橋区の化学工場で爆発があり、死者8名、負傷者18名を出す惨事となった[5]。実験室でも金属さじによる取り扱いは避ける。
出典
- ^ a b c d e 北村正樹「尋常性ざ瘡治療薬 過酸化ベンゾイル含有製剤」『耳鼻咽喉科展望』第58巻第3号、2015年、 183-185頁、 doi:10.11453/orltokyo.58.3_183。
- ^ 菊川義宣「ベピオゲル2.5%」『ファルマシア』第51巻第11号、2015年、 1082-1083頁、 doi:10.14894/faruawpsj.51.11_1082。
- ^ 北村正樹 (2016年7月19日). “耐性菌出現懸念のないにきび治療薬”. 日経メディカル. 2019年7月8日閲覧。
- ^ 飯島茂子、角田孝彦「過酸化ベンゾイルによる接触皮膚炎の7例」『日本皮膚科学会雑誌』第127巻第1号、2017年、 23-30頁、 doi:10.14924/dermatol.127.23。
- ^ 畑村創造工学研究所(科学技術振興機構). “過酸化ベンゾイルの爆発・火災”. 2011年4月9日閲覧。
UpToDate Contents
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- 1. 尋常性ざ瘡の治療treatment of acne vulgaris [show details]
…papulopustular) acne Topical antimicrobial (eg, benzoyl peroxide alone or benzoyl peroxide +/- topical antibiotic) AND; Topical retinoid ; OR Benzoyl peroxide AND topical antibiotic (for patients who cannot …
- 2. 尋常性ざ瘡のための光治療、補助化学療法、およびその他の治療法light based adjunctive and other therapies for acne vulgaris [show details]
…pulsed light plus benzoyl peroxide versus benzoyl peroxide alone (n = 30) , or pulsed-dye laser treatment plus topical clindamycin/benzoyl peroxide versus topical clindamycin/benzoyl peroxide alone . In another …
- 3. 点状角質融解症pitted keratolysis [show details]
…Clostridium) difficile colitis. Benzoyl peroxide, an antimicrobial agent with keratolytic properties, is sometimes used as therapy for pitted keratolysis . Benzoyl peroxide has been used alone or in combination …
- 4. 紅色陰癬erythrasma [show details]
…efficacious . Other topical therapies (mupirocin 2% ointment , Whitfield ointment , topical benzoyl peroxide, and special antibacterial soaps ) have been reported as successful treatments, though efficacy …
- 5. 黄菌毛症trichomycosis trichobacteriosis [show details]
…antimicrobial agents. Common choices for topical antimicrobial therapy include sulfur soap, benzoyl peroxide, erythromycin, clindamycin, and fusidic acid . In addition, resolution of trichomycosis pubis …
Japanese Journal
- 臨床統計 当院でベピオゲルを使用した尋常性痤瘡608例の副作用発現について
- 野村 有子
- 臨床皮膚科 = Japanese journal of clinical dermatology 72(1), 83-88, 2018-01
- NAID 40021437108
- 新薬紹介委員会
- ファルマシア 51(5), 449-451, 2015
- このコラムでは既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.<br>今回は,51巻3号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.<br>なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳 …
- NAID 130007448187
- 菊川 義宣
- ファルマシア 51(11), 1082-1083, 2015
- … ベピオゲル2.5%は,国内初の過酸化ベンゾイルを有効成分とする尋常性ざ瘡治療剤である.過酸化ベンゾイルは抗菌作用および角層剥離作用を有している.また,本剤耐性菌の報告はなく,抗菌薬耐性菌に対しても抗菌活性を示す.過酸化ベンゾイル含有製剤は1960年代から海外諸国で尋常性ざ瘡の外用治療に用いられている.欧米では,外用および内服抗菌薬に対する耐性菌発現リスクを最小限に抑えるため,過酸化 …
- NAID 130007447974
Related Links
- ベピオゲルとは 白色のゲルタイプであり、クリームのような肌触りです。有効成分は「過酸化ベンゾイル」という成分です。海外では以前よりニキビ治療用薬として使用されており、日本でも2015年に発売されたお薬です。
- ベピオゲル2.5%は、過酸化ベンゾイルを有効成分とする尋常性ざ瘡治療剤です。過酸化ベンゾイルは尋常性ざ瘡の病態に関与しているアクネ菌、表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌に対して抗菌活性を示します。
- ベピオゲルをご存知でしょうか?(日本では)2015年発売の比較的新しいニキビ薬ですが、世界ではそれ以前からずっと使われていました。だから、 効果は折り紙付きでのはずです! ところが、「効かない」「(副作用で)腫れた」という声も聞こえてきます。
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ベピオゲル2.5%
組成
成分・含量(1g中)
添加物
- プロピレングリコール、カルボキシビニルポリマー、エデト酸ナトリウム水和物、pH調節剤
効能または効果
薬効薬理
抗菌作用
- 過酸化ベンゾイルは尋常性ざ瘡の病態に関与しているアクネ菌、表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌に対して抗菌活性を示す(in vitro )7)〜12)。過酸化ベンゾイルの抗菌作用は、分解により生成したラジカルによるものである13)14)。
角層剥離作用
- 実験的ウサギ面皰モデルにおいて、過酸化ベンゾイルは角質細胞同士の結合を弛めて角層剥離を促し、毛漏斗部の角層肥厚を改善する15)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- 過酸化ベンゾイル(Benzoyl Peroxide)(JAN)
化学名:
分子式:
分子量:
- 242.23
- 白色の粉末である。
クロロホルムに溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。