商品名
ビバンセ
会社名
塩野義製薬
成分
薬効分類
第3の1
薬効
小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)を効能・効果とする新有効成分含有医薬品
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2020/04/10 11:31:35」(JST)
[Wiki ja表示]
リスデキサンフェタミン
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
---|
IUPAC名 (2S)-2,6-ジアミノ-N-[(2S)-1フェニルプロパン-2-イル]ヘキサンアミド 英: (2S)-2,6-diamino-N-[(2S)-1-phenylpropan-2-yl]hexanamide |
臨床データ |
---|
販売名 |
Vyvanse(バイバンス、ビバンセ)、Tyvense、Elvanse、Aduvanz、Venvanse |
---|
Drugs.com |
国別販売名(英語) International Drug Names |
---|
MedlinePlus |
a607047 |
---|
胎児危険度分類 |
|
---|
法的規制 |
- DEA スケジュールII(アメリカ)
クラスB(イギリス) 覚せい剤原料(日本)
|
---|
投与方法 |
経口 |
---|
薬物動態データ |
---|
生物学的利用能 |
96.4% |
---|
代謝 |
赤血球において加水分解(プロドラッグ)、肝臓(デキストロアンフェタミン) |
---|
半減期 |
1時間以下(プロドラッグ)、10–13時間(デキストロアンフェタミン) |
---|
排泄 |
腎臓: ~2% |
---|
識別 |
---|
CAS番号
|
608137-32-2 |
---|
ATCコード |
N06BA12 (WHO) |
---|
PubChem |
CID: 11597698 |
---|
DrugBank |
DB01255 |
---|
KEGG |
D04747 |
---|
化学的データ |
---|
化学式 |
C15H25N3O1 |
---|
分子量 |
263.385 g·mol-1 |
---|
テンプレートを表示 |
リスデキサンフェタミン(英: Lisdexamfetamine、L-リシン-D-アンフェタミン)は、デキストロアンフェタミンのプロドラッグであり、小児期における注意欠如・多動性障害(ADHD)および成人期における中重度の過食性障害(BED)の治療に使われる薬剤である[1][2][3]。
リスデキサンフェタミンメシル酸塩として調製され、北米・豪州・イスラエルでの商品名はVyvanse(シャイアー)、日本ではビバンセ(塩野義製薬および武田薬品工業)である[4][5]。本剤は、経口投与により小腸から吸収され、赤血球のアルギニルアミノペプチダーゼによりデキストロアンフェタミン(アンフェタミンのD型異性体)とL-リシンに加水分解される。この変換は徐々に起こるため、活性体であるデキストロアンフェタミンの急激な血中濃度上昇を抑制するとともに、血中濃度を持続的に維持することが出来る。デキストロアンフェタミンはノルアドレナリンおよびドーパミンの放出促進と再取り込み阻害によって中枢神経に作用する。
リスデキサンフェタミンは、英国ではクラスB/スケジュールII薬物、米国ではスケジュールII規制薬物、日本では覚せい剤原料[6]に指定されている。
脚注
- ^ Abuse-resistant amphetamine prodrugs. United States Patent US7659254B2
- ^ “Lisdexamfetamine Dimesylate: A Review in Paediatric ADHD”. Drugs 78 (10): 1025-1036. (2018-06-19). doi:10.1007/s40265-018-0936-0. PMID 29923015.
- ^ 日本では、過食性障害(BED)に対しては未承認・適応外である。
- ^ 薬食審・第一部会 塩野義の小児AD/HD治療薬など9製品審議、承認了承 ミクスOnline 2019年2月22日
- ^ 欧州ではElvanse、Aduvanz、Tyvense、ブラジルではVenvanseの名でも販売されている。
- ^ 新たに1物質を覚醒剤原料に指定し、規制の強化を図ります 厚生労働省 2018年2月21日
関連項目
- アンフェタミン
- プロドラッグ
- 注意欠如・多動性障害(ADHD)
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
- 1. 成人の注意欠陥多動性障害への薬物療法pharmacotherapy for attention deficit hyperactivity disorder in adults [show details]
…Dextroamphetamine-amphetamine – Both long- or short-acting formulations; Lisdexamfetamine – A prodrug of dextroamphetamine, lisdexamfetamine is a long-acting stimulant, dosed once daily ; Considerations in the …
- 2. 小児や青年の注意欠陥多動性障害 :薬物治療attention deficit hyperactivity disorder in children and adolescents treatment with medications [show details]
…patient or household member: Avoid stimulants or use stimulants with less potential for abuse (eg, lisdexamfetamine, osmotic-release preparation, methylphenidate patch) Preference of the child/adolescent and…
- 3. 小児や青年の注意欠陥多動性障害治療薬の薬理学pharmacology of drugs used to treat attention deficit hyperactivity disorder in children and adolescents [show details]
…salt (dextroamphetamine, amphetamine sulfate) or as mixed dextroamphetamine-amphetamine salts. Lisdexamfetamine is a prodrug of dextroamphetamine that is pharmacologically activated after oral ingestion and …
- 4. 成人における単極性大うつ病:刺激薬および stimulant-like drugsによる抗うつ薬の増強unipolar major depression in adults augmentation of antidepressants with stimulants and stimulant like drugs [show details]
…clinically meaningful. Lisdexamfetamine – Add-on lisdexamfetamine does not improve treatment-resistant depression. A meta-analysis of four randomized trials compared add-on lisdexamfetamine with placebo in patients …
- 5. 成人の双極性障害(大うつ病エピソード):治験中の治療法および標準治療以外の治療法bipolar major depression in adults investigational and nonstandard approaches to treatment [show details]
…provide little to no benefit: Agomelatine ; Celecoxib ; Cytidine ; Folic acid ; Levetiracetam ; Lisdexamfetamine ; Memantine ; Pregnenolone ; However, some of the trials were underpowered. As an example, …
Japanese Journal
- 新薬の紹介 ADHD治療薬(中枢神経刺激剤) リスデキサンフェタミンメシル酸塩(ビバンセ)
- 三嶋 宏和
- 日本病院薬剤師会雑誌 = Journal of Japanese Society of Hospital Pharmacists 56(2), 220-222, 2020-02
- NAID 40022157830
- 新薬紹介委員会
- ファルマシア 55(10), 965-969, 2019
- 本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.<br>今回は,55巻6号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.<br>なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しま …
- NAID 130007722330
- 新薬紹介委員会
- ファルマシア 55(6), 559-559, 2019
- 本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.<br>本稿は,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される"新医薬品として承認された医薬品について"等を基に作成しています.今回は,平成31年3月26日付分の情報より引用掲載 …
- NAID 130007657558
Related Links
- adhdの新薬として「ビバンセカプセル」が厚生労働省により承認されました。リスデキサンフェタミン(覚せい剤原料)含有の新薬として、厳重管理を強いられながら販売が開始されたビバンセの効果と副作用、安全性を、旧薬と比較し解説します。
- ビバンセカプセル30mg1カプセル:747.70円(1日薬価:747.70円) 小児加算の根拠 小児に係る用法・用量が明示的に含まれていること、 比較薬は小児加算を受けていない ことから、加算の要件に該当する 。 算定方式等については以下 ...
- 総称名 ビバンセ 一般名 リスデキサンフェタミンメシル酸塩 欧文一般名 Lisdexamfetamine Mesilate 製剤名 リスデキサンフェタミンメシル酸塩カプセル この情報は KEGG データベースにより提供されています。 日米の医薬品添付文書はこちらから検索することができます。
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ビバンセカプセル20mg
組成
有効成分(1カプセル中)
添加物
- 結晶セルロース,クロスカルメロースナトリウム,ステアリン酸マグネシウム
カプセル本体中:ゼラチン,酸化チタン,黄色三二酸化鉄
効能または効果
- 本剤の使用実態下における乱用・依存性に関する評価が行われるまでの間は,他のAD/HD治療薬が効果不十分な場合にのみ使用すること。
- 6歳未満及び18歳以上の患者における有効性及び安全性は確立していない。[「臨床成績」の項参照]
- 18歳未満で本剤により薬物治療を開始した患者において,18歳以降も継続して本剤を投与する場合には,治療上の有益性と危険性を考慮して慎重に投与するとともに,定期的に本剤の有効性及び安全性を評価し,有用性が認められない場合には,投与中止を考慮し,漫然と投与しないこと。
- AD/HDの診断は,米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM※)等の標準的で確立した診断基準に基づき慎重に実施し,基準を満たす場合にのみ投与すること。
- ※:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders
- 通常,小児にはリスデキサンフェタミンメシル酸塩として30mgを1日1回朝経口投与する。症状により,1日70mgを超えない範囲で適宜増減するが,増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として20mgを超えない範囲で行うこと。
- 本剤の投与量は必要最小限となるよう,患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。
- 高度の腎機能障害のある患者(GFR30mL/min/1.73m2未満)には,1日用量として50mgを超えて投与しないこと。また,透析患者又はGFR15mL/min/1.73m2未満の患者では,更に低用量の投与を考慮し,増量に際しては患者の状態を十分に観察すること。本剤及び本剤の活性体であるd-アンフェタミンは透析で除去されない。[「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照]
- 不眠があらわれるおそれがあるため,就寝時間等を考慮し,午後の服用は避けること。
慎重投与
- 高度の腎機能障害のある患者又は透析患者[本剤の活性体であるd-アンフェタミンの血中濃度が上昇するおそれがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)]
- 高血圧又は不整脈のある患者[血圧又は心拍数の上昇により症状を悪化させるおそれがある。]
- 下記の精神系疾患のある患者[行動障害,思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそれがある。]
- 精神病性障害,双極性障害
- 痙攣発作,脳波異常又はその既往歴のある患者[痙攣閾値を低下させ,発作を誘発するおそれがある。]
- 脳血管障害(脳動脈瘤,血管炎,脳卒中等)又はその既往歴のある患者[症状を悪化又は再発させるおそれがある。]
重大な副作用
- ショック,アナフィラキシー(頻度不明※1):ショック,アナフィラキシー(顔面蒼白,呼吸困難,そう痒等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明※1):皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
- 心筋症(頻度不明※1):心筋症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
- 依存性(頻度不明※1):不適切な使用により精神的依存を生じることがあるので,観察を十分に行い,用量及び使用期間に注意し,慎重に投与すること。
薬効薬理
- リスデキサンフェタミンはプロドラッグであり,主に血中で速やかに加水分解され,活性体のd-アンフェタミンを生成する。
薬理作用
- 幼若ラットにリスデキサンフェタミンを経口投与すると,衝動性行動の減少が認められた。AD/HDモデル動物である自然発症高血圧ラット及び6-OHDA(6-hydroxydopamine)により脳内のドパミン神経を変性させたラットにd-アンフェタミンを腹腔内投与すると,多動性及び衝動性の改善が認められた。マウス及び自然発症高血圧ラットに低用量のd-アンフェタミンを腹腔内投与すると持続的注意の改善が認められた14)。
作用機序
- d-アンフェタミンは,ノルアドレナリントランスポーター及びドパミントランスポーターに対する阻害作用,脳内シナプトソームからのノルアドレナリン及びドパミンの遊離作用,モノアミン酸化酵素Aに対する阻害作用を示し,前頭前皮質及び線条体における細胞外ノルアドレナリン及びドパミン濃度を増加させることによりシグナルを調節している可能性が示唆されているが,AD/HDの治療効果における詳細な作用機序は不明である14)。
有効成分に関する理化学的知見
一般的名称:リスデキサンフェタミンメシル酸塩(JAN)
Lisdexamfetamine Mesilate
化学名:(2S)-2,6-Diamino-N-[(2S)-1-phenylpropan-2-yl] hexanamide dimethanesulfonate
分子式:C15H25N3O・2CH4O3S
分子量:455.59
化学構造式:
性状:白色〜淡黄白色の粉末又は塊である。
融点:192〜198℃
分配係数:-1.76[1-オクタノール/水]