- 英
- p-aminosalicylic acid, PAS, p-aminosalicylate
- ラ
- calcii p-aminosalicylas
- 同
- p-アミノサリチル酸、4-アミノサリチル酸 4-aminosalicylic acid
- 化
- ,パラアミノサリチル酸カルシウム calcium p-aminosalicylate, calcium para-aminosalicylate、、パラアミノサリチル酸カルシウム水和物 calcium para-aminosalicylate hydrate PAS-Ca、パスカルシウム PAS calcium PAS-calcium、アミノサリチル酸カルシウム calcium aminosalicylate
- 商
- ニッパスカルシウム
- 関
- 抗結核薬
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/01/11 15:54:06」(JST)
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4-アミノサリチル酸
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
4-amino-2-hydroxy-benzoic acid
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
Oral |
薬物動態データ |
血漿タンパク結合 |
50–60% |
代謝 |
肝臓 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
65-49-6 |
ATCコード |
J04AA01 (WHO) |
PubChem |
CID: 4649 |
DrugBank |
DB00233 |
ChemSpider |
4488 |
UNII |
5B2658E0N2 |
KEGG |
D00162 |
ChEBI |
CHEBI:27565 |
ChEMBL |
CHEMBL1169 |
NIAID ChemDB |
020064 |
化学的データ |
化学式 |
C7H7NO3 |
分子量 |
153.135 g/mol |
|
InChI
-
InChI=1S/C7H7NO3/c8-4-1-2-5(7(10)11)6(9)3-4/h1-3,9H,8H2,(H,10,11)
-
Key:WUBBRNOQWQTFEX-UHFFFAOYSA-N
|
物理的データ |
融点 |
150.5 °C (302.9 °F) |
4-アミノサリチル酸(4-アミノサリチルさん)は、結核の治療に使われた抗生物質である。潰瘍性大腸炎やクローン病に強い効果があることが認められ、1940年代から炎症性腸疾患の治療に用いられている。核内因子κB (NF-κB) を抑制することと、フリーラジカルを除去することにより薬効が現れると考えられている。類縁体の5-アミノサリチル酸は一般名メサラジンとして販売される医薬品である。パラアミノサリチル酸 (paraaminosalicylic acid) とも呼ばれ、PASと略称される。
医薬品としてはカルシウム塩が用いられる。
目次
- 1 薬効
- 2 副作用
- 3 歴史
- 4 合成と性質
- 5 出典
薬効
4-アミノサリチル酸は1948年から臨床の場で使われるようになった(日本では1950年から市販され、翌1951年から保険適用[1])。結核に効果のある治療薬としては、ストレプトマイシンに次いで2番目に発見されたものである。リファンピシンやピラジナミドが開発されるまでは、結核の治療に用いられる標準的な薬の一つであった[2]。
結核治療薬としての効果は現在一線級の薬(イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、ピラジナミド、ストレプトマイシン)よりは落ちるが、多剤耐性結核には依然として有効である。常に他の抗結核薬と併用される。
容量は150ミリグラム/キログラム/日で、これを2回から4回に分けて投与される。平均的な大人への投与量は1日4回、約2から4グラムとなる。アメリカ合衆国では「パーサー (Paser)」の商標名で、4グラム入りの徐放剤が販売されている。この薬剤は酸性の食べ物や飲み物(オレンジ、リンゴ、トマトジュースなど)とともに服用する必要がある[3]。かつて、4-アミノサリチル酸とイソニアジドの合剤が、パシナー (Pasinah)[4] やピカミサン33 (Pycamisan 33)[5] の名称で製造されていた。
4-アミノサリチル酸は潰瘍性大腸炎の治療にも使われているが[6]、スルファサラジンやメサラジンに取って代わられている。
マンガンのキレート療法にも用いられ、エチレンジアミン四酢酸などの薬剤よりも優れた効果を持つとされる[7]。
副作用
消化器への副作用(吐き気、嘔吐、下痢)が一般的にみられる。これらを抑えるため、徐放剤の剤形が採用されている。薬剤性の肝炎をひき起こす場合もある。グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症の患者は溶血を起こす可能性があるので、4-アミノサリチル酸の投与は避けなければならない。また、4-アミノサリチル酸は甲状腺ホルモンの合成を阻害するため、甲状腺腫も生じうる副作用の一つである。薬物相互作用にはワルファリン、フェニトインの血中濃度上昇が挙げられる。リファンピシンと併用した場合、その血中濃度はおよそ半分まで下がる[8]。
カルシウム塩として投与するため、高カルシウム血症患者には使用できない。
アメリカ食品医薬品局は胎児危険度分類においてカテゴリーCに入れ、胎児に害を及ぼすかどうか不明としている。
歴史
化合物としては1920年に合成された。結核菌の治療薬としては、スウェーデンの化学者ヨルゲン・レーマン(スウェーデン語版)によって、結核菌によるサリチル酸の代謝に関する研究の中で発見された。レーマンは1944年末に初めて4-アミノサリチル酸を結核の経口治療薬として試験し、最初の患者は劇的な回復をみせた。神経毒性を持ち耐性が獲得されやすいストレプトマイシンよりも優れた薬効を示すことが明らかにされた。1940年代の終わりに、イギリス医学研究局の研究者は、4-アミノサリチル酸とストレプトマイシンを併用するとそれぞれを単独で使うよりも有効であることを示した。アメリカ合衆国ではパーサーの商標名でジェイコブス・ファーマシューティカルから販売されている。
合成と性質
3-アミノフェノールのカルボキシル化により製造される。加熱すると脱炭酸を起こし3-アミノフェノールに変化する[9]。
出典
- ^ パラアミノサリチル酸 - 新・結核用語辞典
- ^ Mitchison, D. A. (2000). “Role of individual drugs in the chemotherapy of tuberculosis Role of individual drugs in the chemotherapy of tuberculosis”. The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease 4 (9): 796–806. PMID 10985648.
- ^ “Paser”. RxList. 2008年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年10月10日閲覧。
- ^ Smith, N. P.; Ryan, T. J.; Sanderson, K. V.; Sarkany, I. (1976). “Lichen scrofulosorum: A report of four cases”. British Journal of Dermatology 94 (3): 319–325. doi:10.1111/j.1365-2133.1976.tb04391.x. PMID 1252363.
- ^ Black, J. M.; Sutherland, Ian B. (1961). “Two incidents of tuberculous infection by milk from attested herds”. British Medical Journal 1 (5241): 1732–1735. doi:10.1136/bmj.1.5241.1732.
- ^ Daniel, Fady; Seksik, Philippe; Cacheux, Wulfran; Jian, Raymond; Marteau, Philippe (2004). “Tolerance of 4-aminosalicylic acid enemas in patients with inflammatory bowel disease and 5-aminosalicylic-induced acute pancreatitis”. Inflammatory Bowel Diseases 10 (3): 258–260. doi:10.1097/00054725-200405000-00013. PMID 15290921.
- ^ Jiang, Y. M.; Mo, X. A.; Du, F .Q.; Fu, X.; Zhu, X. Y.; Gao, H. Y.; Xie, J. L.; Liao, F. L.; Pira, E.; Zheng, W. (2006). “Effective treatment of manganese-induced occupational Parkinsonism with p-aminosalicylic acid: a case of 17-year follow-up study”. Journal of Occupational and Environmental Medicine 48 (6): 644–649. PMID 16766929.
- ^ Boman, G. (1974). “Serum concentration and half-life of rifampicin after simultaneous oral administration of aminosalicylic acid or isoniazid”. European Journal of Clinical Pharmacology 7 (3): 217–225. doi:10.1007/BF00560384. PMID 4854257.
- ^ Mitchell, S. C.; Waring, R.H. (2002). “Aminophenols”. Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry. Weinheim: Wiley-VCH. doi:10.1002/14356007.a02_099.
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 妊婦多剤耐性肺結核に対する抗結核化学療法の有効性と安全性について
- 高嶋 哲也,團野 桂,田村 嘉孝,永井 崇之,松本 智成,韓 由紀,阿野 裕美,吉多 仁子,河原 邦光,露口 泉夫
- 結核 81(6), 413-418, 2006-06-15
- … 〔結果〕妊婦多剤耐性肺結核の3症例は,妊娠中にピラジナミド(PZA),エタンブトール(EB),パラアミノサリチル酸(PAS),サイクロセリン(CS)およびクラブラン酸カリウム/アモキシシリン(AM-PC/CVA)の5剤治療を受け,全例が化学療法に反応して臨床症状および胸部X線所見が改善し,出産時には喀痰培養は陰性化した。 …
- NAID 10018335873
- 薬疹やイレウスを併発し, 経口投与ができず, 塩酸シプロフロキサシンの点滴と硫酸カナマイシン筋注およびプレドニゾロン静注にて改善した大腸結核を合併した広汎空洞型結核の1例
- 白井 正浩,早川 啓史,中野 泰克,中村 祐太郎,藤田 薫,須田 隆文,千田 金吾
- 結核 81(4), 345-349, 2006-04-15
- … 全身状態が改…善傾向を示したため,リファンピシンの座薬を少量から開始し,さらにパラアミノサリチル酸カルシウムを追加した。 …
- NAID 10017985341
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- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 - パラアミノサリチル酸の用語解説 - しかし,44年に至ってアメリカのS.A.ワクスマンが,土壌の中の放線菌の1種から抗生物質であるストレプトマイシンを発見し,結核化学療法の輝かしい第一歩 ...
- ニッパスカルシウムとは?パラアミノサリチル酸の効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけでは ...
- [para-amino-salicylic acid,PAS] 1920年に合成。1943年スウェーデンのレーマン(Lehman)が結核菌に有効なことを発見,1946年に発表された。日本では1950年より市販,1951年4月社会保険適用,同年10月結核予防法による公費 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ニッパスカルシウム顆粒100%
組成
成分・含量
- 日局 パラアミノサリチル酸カルシウム水和物 1g中1g
禁忌
- 高カルシウム血症の患者〔本剤はカルシウム塩であり、本剤投与により症状を悪化させるおそれがある。〕
効能または効果
適応菌種
適応症
- 肺結核及びその他の結核症
- 通常成人には、パラアミノサリチル酸カルシウム水和物として1日量10〜15gを2〜3回に分けて経口投与する。
年齢、症状により適宜増減する。
なお、他の抗結核薬と併用することが望ましい。
- 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
慎重投与
- 肝障害、腎障害又は血液障害のある患者
〔肝障害、腎障害又は血液障害が悪化するおそれがある。腎障害の場合、排泄遅延により本剤の作用が増強するおそれがある。〕
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
重大な副作用
- 無顆粒球症、溶血性貧血(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。
- 肝炎、黄疸(いずれも頻度不明)等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。
薬効薬理
抗菌作用
協力作用
- SM(ストレプトマイシン)あるいはINH(イソニアジド)との併用で試験管内抗菌力、血中抗菌作用及び耐性上昇遅延等の協力効果を示す。2)
有効成分に関する理化学的知見
○分子式
○分子量
○性状
- ・白色又はわずかに着色した粉末で、味はわずかに苦い。
- ・水に極めて溶けにくく、メタノール又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
- ・光によって徐々に褐色になる。
★リンクテーブル★
[★]
パラアミノサリチル酸、p-アミノサリチル酸
- 関
- 4-aminosalicylic acid、calcium p-aminosalicylate、calcium para-aminosalicylate、p-aminosalicylate、para-aminosalicylic acid、PAS
[★]
- 同
- para-amino salicylic acid
[★]
- 英
- para-aminosalicylic acid、p-aminosalicylic acid
- 関
- パラアミノサリチル酸、4-アミノサリチル酸
[★]
アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム水和物(パラアミノサリチル酸)
[★]
- 英
- 4-aminosalicylic acid
- 関
- パラアミノサリチル酸、p-アミノサリチル酸
[★]
- 英
- alumino-p-aminosalicylate
- 同
- アルミノパス、アルミノパラアミノサリチル酸カルシウム calcium alumino-p-aminosalicylate, Al-PAS-Ca
- 商
- アルミノニッパスカルシウム
- 関
- 抗結核薬
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アルミノパラアミノサリチル酸
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パラアミノサリチル酸
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パラアミノサリチル酸
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- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義