バルガンシクロビル
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ガンシクロビル
|
IUPAC命名法による物質名 |
2-amino-9-(1,3-dihydroxypropan-2-yloxymethyl)-
3H-purin-6-one |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
D (Au), C (U.S.) |
法的規制 |
S4 (Au), POM (UK), ℞-only (U.S.) |
投与方法 |
点滴、経口、硝子体内 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
5%(経口) |
代謝 |
チミジンキナーゼ |
半減期 |
2.5–5 時間 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS登録番号 |
82410-32-0 |
ATCコード |
J05AB06 S01AD09 |
PubChem |
CID 3454 |
DrugBank |
APRD00263 |
KEGG |
D00333 |
化学的データ |
化学式 |
C9H13N5O4 |
分子量 |
255.23 g/mol |
ガンシクロビル (Ganciclovir) は、ウイルス感染症の治療薬。商品名はデノシン、バリキサ。
目次
- 1 構造
- 2 薬理
- 3 効果・効能
- 4 耐性
- 5 副作用
- 6 関連
構造[編集]
ヌクレオシドのひとつ、グアノシンのアナログ(類似物質)である(9-[(1,3,-dihydroxy-2-propoxy)methyl] guanine)。
薬理[編集]
ガンシクロビルは、静注または経口で使用される。経口での吸収効率(バイオアベイラビリティ)はきわめて悪く、6%程度である。バルガンシクロビル塩酸塩はそのプロドラッグであり、吸収率は高くなっている。
細胞内に入ると、サイトメガロウイルスのORF UL97の産物であるキナーゼもしくは単純ヘルペスウイルス・水痘帯状疱疹ウイルスのチミジンキナーゼの作用によりガンシクロビル5'-三リン酸までリン酸化されると、これはDNAポリメラーゼによるdGTPの使用を完全に阻害する。このガンシクロビル三リン酸は、宿主よりもウイルスのDNAポリメラーゼにより高い親和性を有している。また、ウイルスDNAに直接結合することによりDNA鎖の伸長を阻害する。
効果・効能[編集]
ヘルペスウイルスの一つであるサイトメガロウイルスに対して効果がある。その他、単純ヘルペスウイルス1型・2型、EBウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型に対する効果も確認されている。
エイズ患者、臓器移植患者、悪性腫瘍患者などのサイトメガロウイルス感染症の治療もしくは予防目的で投与する。
耐性[編集]
サイトメガロウイルスによるガンシクロビルに対する耐性は確認されている。UL97の突然変異と、DNAポリメラーゼの改変がその原因である。後者が原因の場合、ときにホスカルネットにも耐性を示す。
副作用[編集]
最大の注意は血液系への副作用に払うべきである。好中球減少症・血小板減少症・貧血、中枢神経症状、発熱・発疹などがおこる。 好中球減少症は投与中止の最大の原因である。妊婦禁忌薬。
関連[編集]
抗DNAウイルス薬(ATCコード:J05、S01AD、D06BB) |
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Baltimore I |
ヘルペスウイルス
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DNA合成
阻害剤
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TK活性型
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プリン誘導体
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グアニン(アシクロビル#/バラシクロビル、ガンシクロビル/バルガンシクロビル、ペンシクロビル/ファムシクロビル)
アデニン(ビダラビン、シタラビン)
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ピリミジン誘導体
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ウリジン(イドクスウリジン、トリフルリジン、エドクスウジン)
チミン(ブリブジン)
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TK不活性型
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ホスカルネット
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その他
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ドコサノール · 初期タンパク質(ホミビルセン) · トロマンタジン
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HPV/MC
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イミキモド/レシキモド · ポドフィロトキシン
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ワクシニア
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会合阻害: リファンピシン
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ポックスウイルス
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メチサゾン
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B型肝炎 (VII) |
ヌクレオシド誘導体/NARTI: エンテカビル · ラミブジン · テルビブジン · クレブジン
ヌクレオシド誘導体/NtRTI: アデホビル · テノホビル
|
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Multiple/general |
核酸阻害剤
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シドホビル
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インターフェロン
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インターフェロンα-2b · ペグインターフェロンα-2a
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複合/不明
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リバビリン#/タリバビン†
|
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ErbB2/PI3K経路
|
NOV-205§ · NOV-002†
|
|
|
#WHO-EM. ‡市場から撤退。治験: †第III相。§第II相以下 |
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- P1-022 バリキサ^[○!R]錠の簡易懸濁における基礎的研究 : 他剤同時懸濁時の影響(一般演題 ポスター発表,調剤・処方鑑査・オーダリングシステム,臨床から学び臨床へと還元する医療薬学)
- 小川 敦,河崎 陽一,正岡 康幸,山路 和彦,名和 秀紀,佐藤 智昭,松永 尚,千堂 年昭
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 20, 290, 2010-10-25
- NAID 110008108402
- P2-001 バリキサ錠450mgの簡易懸濁法の実施に向けた基礎的検討(一般演題 ポスター発表,医薬品情報・データベース,医療薬学の創る未来 科学と臨床の融合)
- 正岡 康幸,久保 和子,河崎 陽一,市川 裕規,松永 尚,千堂 年昭
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 19, 387, 2009-09-15
- NAID 110007485205
Related Links
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- バリキサ錠450mg,バルガンシクロビル塩酸塩錠. ... 商品名, バリキサ錠450mg, 薬品 情報 添付文書情報 成分一致薬品. 一般名, バルガンシクロビル塩酸塩錠, 規格, 450mg1錠. 薬効, 6250 病原生物に対する医薬品化学療法剤抗ウイルス剤抗 ウイルス剤 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
バリキサ錠450mg
組成
成分・含量(1錠中)
- バルガンシクロビル塩酸塩496.3mg(バルガンシクロビルとして450mg)
添加物
- クロスポビドン、酸化チタン、三二酸化鉄、ステアリン酸、セルロース、ヒプロメロース、ポビドン、ポリソルベート80、マクロゴール400
禁忌
- 好中球数500/mm3未満又は血小板数25,000/mm3未満等、著しい骨髄抑制が認められる患者〔本剤の投与により重篤な好中球減少及び血小板減少が認められている。〕
- バルガンシクロビル、ガンシクロビル又は本剤の成分、バルガンシクロビル、ガンシクロビルと化学構造が類似する化合物(アシクロビル、バラシクロビル等)に対する過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人〔本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験において、催奇形性が認められている。〕
効能または効果
- 下記におけるサイトメガロウイルス感染症
- ・ 後天性免疫不全症候群
- ・ 臓器移植(造血幹細胞移植も含む)
- ・ 悪性腫瘍
- 本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、サイトメガロウイルス感染が確認された患者において、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- 本剤のサイトメガロウイルス感染予防の使用目的に対する安全性は確立されていない。
初期治療
- 通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mg(450mg錠2錠)を1日2回、食後に経口投与する。
<維持治療
- 通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mg(450mg錠2錠)を1日1回、食後に経口投与する。
- 過量投与にならないよう定められた投与量を投与すること(「過量投与」の項参照)。
- 初期治療について、21日間を超える本剤投与の有効性及び安全性に関する情報は得られていないので、21日間を超える投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみに限ること。
- サイトメガロウイルス血症の陰性化を確認した場合には、初期治療を終了すること。
- サイトメガロウイルス網膜炎の投与期間については、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。
- 維持治療は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ行い、不必要な長期投与は避けること。
- 維持治療中に症状が悪化した場合は、初期治療に戻る等考慮すること。
- 本剤投与中、好中球減少(500/mm3未満)、血小板減少(25,000/mm3未満)又はヘモグロビン減少(8g/dL未満)等、著しい骨髄抑制が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬すること。これより軽度の好中球減少(500〜1,000/mm3)及び血小板減少(25,000〜50,000/mm3)の場合は減量すること。
- 本剤は食後に投与すること。外国において、本剤を食後に投与した場合、ガンシクロビルの平均AUC0-24hが約30%、平均Cmaxが約14%上昇したとの報告がある。
- 腎障害のある患者、腎機能の低下している患者では、消失半減期が延長されるので、血清クレアチニン及びクレアチニンクリアランスに注意し、本剤の投与量を調整すること。参考までに外国での標準的な本剤の減量の目安を下表に示す。
- クレアチニンクリアランスが10mL/min未満の血液透析を受けている患者には、ガンシクロビル製剤の静脈内投与を行うこと。
慎重投与
- 薬剤等による白血球減少の既往歴のある患者〔本剤の投与により重篤な好中球減少が認められている。〕
- 免疫抑制剤投与中の患者又は血小板減少(100,000/mm3未満)のある患者〔本剤の投与により重篤な血小板減少が認められている。〕
- 腎障害のある患者〔ガンシクロビルの血中半減期の延長とクリアランスの低下の報告がある。〕
- 肝障害のある患者〔肝機能障害を悪化させるおそれがある。〕
- 精神病、思考異常の既往歴のある患者、薬剤による精神病反応又は神経毒性を呈したことのある患者〔精神神経系障害を悪化させるおそれがある。〕
- 高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
- 小児等〔「小児等への投与」の項参照〕
重大な副作用
- 骨髄抑制、汎血球減少、再生不良性貧血、白血球減少(いずれも5%未満)、好中球減少、貧血、血小板減少(いずれも頻度不明)
- 血小板減少に伴う重篤な出血(消化管出血を含む)(5%未満)
- 腎不全(頻度不明)
- 膵炎(頻度不明)
- 深在性血栓性静脈炎(頻度不明)
- 痙攣、精神病性障害、幻覚、錯乱、激越(いずれも5%未満)、昏睡(頻度不明)
- 敗血症等の骨髄障害及び免疫系障害に関連する感染症(5%未満)
薬効薬理
抗ウイルス作用5〜10)
- ヒトサイトメガロウイルスの標準株(AD169,Towne,Major,BT 1943,Davis)に対するin vitroにおけるガンシクロビルのIC50値は、0.4〜7.0μmol/Lであった。また、臨床分離株(後天性免疫不全症候群、ヒトサイトメガロウイルス単核症及び腎移植患者等からの分離株)に対するin vitroでのガンシクロビルのIC50値は、0.08〜14μmol/Lであった。
- マウスにマウスサイトメガロウイルスを接種し、感染後6時間目より、1〜50mg/kgを1日2回、5日間皮下投与した実験では、ガンシクロビル投与群の生存率は25mg/kg以上の用量で75%以上であったが、対照(生理食塩液)群では10%であった。
作用機序11〜13)
- バルガンシクロビルは、ガンシクロビルのL-バリンエステル(pro-drug)であり、経口投与されたのち、腸管及び肝臓のエステラーゼにより速やかにガンシクロビルに変換される。ガンシクロビルはサイトメガロウイルス感染細胞内においてウイルス由来のプロテインキナーゼ(UL97)にリン酸化されてガンシクロビル一リン酸になり、さらにウイルス感染細胞に存在するプロテインキナーゼにリン酸化されて活性型のガンシクロビル三リン酸になる。ガンシクロビル三リン酸はウイルスDNAポリメラーゼの基質であるデオキシグアノシン三リン酸(dGTP)の取り込みを競合的に阻害し、ガンシクロビル三リン酸がDNAに取り込まれ、ウイルスDNAの延長を停止又は制限することによってDNA鎖の複製を阻害する。
薬剤耐性14〜19)
- 免疫機能の低下した患者に発症したサイトメガロウイルス感染症の治療のためにバルガンシクロビルを長期投与した場合、ガンシクロビルに対する耐性ウイルスが検出される場合がある。耐性ウイルスには、ガンシクロビルのモノリン酸化に関与するウイルスキナーゼ(UL97)遺伝子又はウイルスDNAポリメラーゼ(UL54)遺伝子の変異がみられる。UL97遺伝子が変異したウイルスは、ガンシクロビルに対してのみ耐性を示し、一方、UL54遺伝子が変異したウイルスは、類似の作用機序を持つ他の抗ウイルス剤にも交差耐性を示す。
サイトメガロウイルス網膜炎と診断されたAIDS患者にバルガンシクロビルが投与され、148名の患者から分離した多形核白血球について、サイトメガロウイルスの遺伝子型変異解析を実施した結果、3、6、12、18ヵ月後のUL97耐性変異体の発現率は、それぞれ2.2%、6.5%、12.8%及び15.3%であった。
固形臓器移植患者に移植後10日以内から100日までバルガンシクロビルが経口投与され、移植後100日目に採血できた198名の血液サンプルから分離した多形核白血球について、遺伝子型変異解析を実施した結果、UL97耐性変異体は検出されなかった。また、移植後12ヵ月までにサイトメガロウイルス感染症が疑われた患者55名についても、UL97耐性変異体は検出されなかった。
有効成分に関する理化学的知見
○一般名
- バルガンシクロビル塩酸塩
(Valganciclovir Hydrochloride)
○化学名
- (2RS )-2-[(2-Amino-6-oxo-1,6-dihydro-9H -purin-9-yl)methoxy]-3-hydroxypropyl(2S )-2-amino-3-methylbutanoate monohydrochloride
○分子式
○分子量
○性状
- ・白色〜灰白色の粉末である。
- ・水、N,N -ジメチルホルムアミド又はメタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
- ・0.001mol/L塩酸試液に溶ける。
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- ganciclovir
- 同
- 9-[1,3-dihydroxy-2-propoxymethyl] guanine, 1,3-dihydroxy-2-propoxymethyl guanine
- 商
- デノシン、バリキサ
- 関
- 抗ウイルス薬、ウイルス
概念
作用機序
- サイトメガロウイルスのUL97遺伝子にコードされるリン酸転移酵素によりガンシクロビル一リン酸となる。以降、ACVと同様の経路でDNA合成を阻害する。
- CMV がガンシクロビルをリン酸化する酵素をコードする遺伝子を保有していることから、この酵素によりリン酸化されることによってウイルスのDNA polymeraseを阻害し、ウイルスの増殖を抑制する。
適応
副作用
文献
- PMID 922905459
[★]
- 英
- valganciclovir
- 化
- バルガンシクロビル塩酸塩 塩酸バルガンシクロビル valganciclovir hydrochloride
- 商
- バリキサ Valixa
- 関
- 抗ウイルス薬、サイトメガロウイルス
[★]
バルガンシクロビル。バリキサ