- 英
- Aconitum, aconite
- 関
- アコニタム属
WordNet
- any of various usually poisonous plants of the genus Aconitum having tuberous roots and palmately lobed leaves and blue or white flowers
- genus of poisonous plants of temperate regions of northern hemisphere with a vaulted and enlarged petal (同)genus Aconitum
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- トリカブト(有毒性植物)
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トリカブト属 |
トリカブト(南アルプス聖岳・2005年9月)
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分類 |
界 |
: |
植物界 Plantae |
門 |
: |
被子植物門 Magnoliophyta |
綱 |
: |
双子葉植物綱 Magnoliopsida |
亜綱 |
: |
モクレン亜綱 Magnoliidae |
目 |
: |
キンポウゲ目 Ranunculales |
科 |
: |
キンポウゲ科 Ranunculaceae |
属 |
: |
トリカブト属 Aconitum L., 1753 |
|
英名 |
monkshood |
種 |
|
トリカブト(鳥兜・学名Aconitum)は、キンポウゲ科トリカブト属の総称である。
目次
- 1 概要
- 2 毒性
- 3 漢方薬
- 4 狩猟・軍事利用
- 5 参考画像
- 6 主な種
- 7 附子・トリカブトが出てくる作品
- 8 脚注
- 9 参考文献
- 10 関連項目
- 11 外部リンク
概要
ドクウツギ、ドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つとされ[1]、トリカブトの仲間は日本には約30種自生している。花の色は紫色の他、白、黄色、ピンク色など。多くは多年草である。沢筋などの比較的湿気の多い場所を好む。トリカブトの名の由来は、花が古来の衣装である鳥兜・烏帽子に似ているからとも、鶏の鶏冠(とさか)に似ているからとも言われる。英名の"monkshood"は「僧侶のフード(かぶりもの)」の意。
塊根を乾燥させたものは漢方薬や毒として用いられ、烏頭(うず)または附子(生薬名は「ぶし」、毒に使うときは「ぶす」)と呼ばれる。本来「附子」は、球根の周りに着いている「子ども」の部分。中央部の「親」の部分は「烏頭(うず)」、子球のないものを「天雄(てんゆう)」と呼んでいたが、現在は附子以外のことばはほとんど用いられていない。俗に不美人のことを「ブス」と言うが、これはトリカブトの中毒で神経に障害が起き、顔の表情がおかしくなったのを指すという説もある[2]。
ヨーロッパでは、魔術の女神ヘカテーを司る花とされ、庭に埋めてはならないとされる。ギリシア神話では、地獄の番犬といわれるケルベロスのよだれから生まれたともされている。狼男伝説とも関連づけられている。
毒性
比較的有名な有毒植物。主な毒成分はジテルペン系アルカロイドのアコニチンで、他にメサコニチン、アコニン、ヒバコニチン、低毒性成分のアチシンの他ソンゴリンなどを[3]全草(特に根)に含む。採集時期および地域によって毒の強さが異なる[4][5]が、毒性の強弱に関わらず野草を食用することは非常に危険である。
食べると嘔吐・呼吸困難、臓器不全などから死に至ることもある。経皮吸収・経粘膜吸収され、経口から摂取後数十秒で死亡する即効性がある。半数致死量は0.2~1グラム。トリカブトによる死因は、心室細動ないし心停止である。下痢は普通見られない。特異的療法も解毒剤もないが、各地の医療機関で中毒の治療研究が行われている。[6]
芽吹きの頃にはセリ、ニリンソウ、ゲンノショウコ、ヨモギ等と似ているため、誤食による中毒事故(死亡例もある)が起こる。株によって、葉の切れ込み具合が異なる(参考画像を参照)。蜜、花粉にも中毒例がある。このため、養蜂家はトリカブトが自生している所では蜂蜜を採集しないか開花期を避ける。また、天然蜂蜜による中毒例が報告されている[7]。
漢方薬
漢方ではトリカブト属の塊根を附子(ぶし)と称して薬用にする。本来は、塊根の子根(しこん)を附子と言い、「親」の部分は烏頭(うず)、また、子根の付かない単体の塊根を天雄(てんゆう)と言って、それぞれ運用法が違う。強心作用、鎮痛作用がある。また、牛車腎気丸及び桂枝加朮附湯では皮膚温上昇作用、末梢血管拡張作用により血液循環の改善に有効である[4]。 しかし、毒性が強いため、附子をそのまま生薬として用いることはほとんどなく、修治と呼ばれる弱毒処理が行われる[8]。炮附子は苦汁につけ込んだ後、加熱処理したもの。加工附子や修治附子は、オートクレーブ法を使って加圧加熱処理をしたもの。修治には、オートクレーブの温度、時間が大切である。温度や時間を調節することで、メサコニチンなどの残存量を調節する。この処理は、アコニチンや、メサコニチンのC-8位のアセチル基を加水分解する目的で行われる。これにより、アコニチンはベンゾイルアコニンに、メサコニチンはベンゾイルメサコニンになり、毒性は千分の一程度に減毒される。これには専門的な薬学的知識が必要であり、非常に毒性が強いため素人は処方すべきでない。
附子が配合されている漢方方剤の例
- 葛根加朮附湯
- 桂枝加朮附湯
- 桂枝加苓朮附湯
- 桂芍知母湯
- 芍薬甘草附子
- 麻黄附子細辛湯
- 真武湯
- 八味地黄丸
- 牛車腎気丸
- 四逆湯
狩猟・軍事利用
古来、毒矢に塗布するなどの方法で、狩猟・軍事目的で北東アジア・シベリア文化圏を中心に利用されてきた。詳細は毒矢の項参照。
参考画像
主な種
- ハナトリカブト (A. chinense Sieb. ex Sieb. et Zucc.)
- カワチブシ (A. grossedentatum (Nakai) Nakai)
- ハクサントリカブト (A. hakusanense Nakai)
- センウズモドキ (A. jaluense Kom.)
- ヤマトリカブト (A. japonicum Thunb.) 分布は、関東西部、中部地方東部。
- ツクバトリカブト (A. japonicum Thunb. subsp. maritimum (Nakai ex Tamura et Namba) Kadota)
- キタダケトリカブト (A. kitadakense Nakai)
- レイジンソウ (A. loczyanum R. Raymund.)分布は。関東地方以西、四国、九州、朝鮮
- アズマレイジンソウ (A. pterocaule Koidz.) 分布は東北、関東、中部地方
- ヨウシュトリカブト (A. napellus L.) 模式種
- タンナトリカブト (A. napiforme Lev. et Van.)
- エゾトリカブト (A. sachalinense Fr. Schm.) - アイヌが矢毒に用いた[9]。
- ホソバトリカブト (A. senanense Nakai)
- オオレイジンソウ (A. umbrosum (Korsh.) Kom.)
- ダイセツトリカブト (A. yamazakii Tamura et Namba)
化学成分からみて妥当な分類としてトリカブト属が30種、変種が22種、計52種という多くの種類が存在。[3]
観賞用のトリカブト
ハナトリカブトはその名の通り花が大きく、まとまっているので、観賞用として栽培され、切花の状態で販売されている。しかし、ハナトリカブトの全草にも毒性の強いメサコニチンが含まれているので危険である。
附子・トリカブトが出てくる作品
推理モノの小説、漫画、テレビドラマなどでは定番のアイテムである。以下に代表例を記す。
- 『東海道四谷怪談』―お岩が飲まされた毒は附子であるとされている[2]。
- 『修道士の頭巾』―イギリスの歴史ミステリー『修道士カドフェル』シリーズの一つ。
-
- 主人公が痛み止めの塗薬として調合したものが登場。タイトルの「MONK'S-HOOD」はトリカブトの英名。
脚注
- ^ 古泉秀夫 (2007年8月17日). “毒芹(water-hemlok)の毒性”. 医薬品情報21. 2014年8月31日閲覧。
- ^ a b 山崎,昶 『ミステリーの毒を科学する : 毒とは何かを知るために』 講談社〈ブルーバックス〉、1992年。ISBN 4061329197。
- ^ a b トリカブトの毒性 (2007/12/04) 医薬品情報21
- ^ a b 和田浩二「トリカブト属ジテルペンアルカロイドのLC-APCI-MSによる構造解析と末梢血流量増加作用について」、『藥學雜誌』第122巻第11号、日本薬学会、2002年11月1日、 929-956頁、 doi:10.1248/yakushi.122.929、 NAID 10010204168。
- ^ 坂井進一郎、高山広光、岡本敏彦「高尾(東京都)産トリカブト塩基成分について」、『藥學雜誌』第99巻第6号、日本薬学会、1979年6月25日、 647-656頁、 NAID 110003653012。
- ^ 岩手医科大学医学部-救急救命情報(トリカブト)
- ^ 高田清己、はちみつによる食中毒 食品衛生学雑誌 Vol.34 (1993) No.5 P443-444
- ^ 鹿野美弘、縦青、小松健一「漢方エキス製剤の品質評価について(第6報)呉茱萸の修治によるアルカロイド成分含量変化について」、『藥學雜誌』第111巻第1号、日本薬学会、1991年1月25日、 32-35頁、 NAID 110003649175。
- ^ 門崎允昭 『アイヌの矢毒トリカブト』 北海道出版企画センター、2002年。ISBN 4832802089。
参考文献
- 近藤嘉和 『四季の山野草』 緒方出版、1983年、178頁。
関連項目
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ウィキメディア・コモンズには、トリカブトに関連するメディアがあります。 |
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ウィキスピーシーズにトリカブトに関する情報があります。 |
- ケルベロス - ギリシャ神話の怪物。唾液からトリカブトが生まれたとされる。
- ヘカテー - ギリシャ神話の女神。トリカブトを象徴とする。
- トリカブト保険金殺人事件
- 本庄保険金殺人事件
外部リンク
- 小菅卓夫、横田正実、長沢道男「トリカブト根中の強心成分に関する研究(第1報)Higenamineの単離およびその構造」、『藥學雜誌』第98巻第10号、公益社団法人日本薬学会、1978年10月25日、 1370-1375頁、 NAID 110003652661。
- 写真で見る家畜の有毒植物と中毒(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構)
- トリカブトの誤食に注意!(東北大学大学院薬学研究科 附属薬用植物園)
- 厚生労働大臣 (2011年). “ブシ:第十六改正日本薬局方(JP16)名称データベース 検索結果”. 国立医薬品食品衛生研究所. 2016年5月3日 (火) 17:19 (UTC)閲覧。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 自然毒中毒 : イヌサフラン,トリカブト,キノコ,ヘビ咬傷 (特集 中毒) -- (中毒の集中治療)
- マオウ属植物及びトリカブト属植物を例とした系統解析の薬用植物評価への利用
Related Links
- 日本のトリカブト トリカブトは和名を「附子(ぶす・ぶし)」「烏頭(うず)」「天雄(てんゆう)」と言い、古くから矢に塗る毒のひとつとして使用されていたことが分かっています。 「古事記」や「日本書紀」には、神武 ...
- トリカブト トリカブト属(Aconitum)の総称 英名:aconite, monkshood トリカブトはキンポウゲ科の多年草で,トリカブト属の植物を総称する場合と,中国原産で園芸用に栽培されるハナトリカブト(A. carmichaeli Debx.)をさす場合が ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
オースギ加工ブシ末
組成
- 本剤は、ハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根を高圧蒸気処理により毒性を減じた後、粉末とし、一定のアルカロイド量を含むようにトウモロコシデンプンで調整したものである。
本剤は、総アルカロイド[ベンゾイルアコニン(C32H45NO10:603.70)として]0.4〜1.2%を含む。
効能または効果
- 漢方処方の調剤に用いる。
- 漢方処方の調剤に用いる。
慎重投与
- 体力の充実している患者[副作用があらわれやすくなり、その症状が増強されるおそれがある。]
- 暑がりで、のぼせが強く、赤ら顔の患者[心悸亢進、のぼせ、舌のしびれ、悪心等があらわれるおそれがある。]
★リンクテーブル★
[★]
- 日
- ぶし
- 英
- Japanese aconite daughter root, aconite tuber
- ラ
- Aconiti Tuber
[★]
- 英
- aconitine
- 関
- 附子
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B3%E3%83%8B%E3%83%81%E3%83%B3
[★]
トリカブト、コニタム属、Aconitum属
- 関
- aconite
[★]
- ラ
- Aconitum
- 関
- トリカブト、アコニタム属
[★]
- ラ
- Aconitum
- 関
- トリカブト、Aconitum属
[★]
- 英
- turnip、Brassica rapa
- 関
- アブラナ、アブラナ科、アブラナ属、カリフラワー、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、クレソン、ケール、ルタバガ、セイヨウアブラナ
[★]
- 英
- bird、avian
- 関
- 鳥類