- 英
- tsetse fly、Glossina
- ラ
- Glossina
- 関
- ツェツェバエ科、ツェツェバエ属、グロシナ属、Glossina属
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/06/25 19:16:53」(JST)
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ツェツェバエ科 Glossinidae |
|
分類 |
界 |
: |
動物界 Animalia |
門 |
: |
節足動物門 Arthropoda |
綱 |
: |
昆虫綱 Insecta |
目 |
: |
ハエ目(双翅目) Diptera |
亜目 |
: |
ハエ亜目(短角亜目) Brachycera |
下目 |
: |
ハエ下目 Muscomorpha |
上科 |
: |
シラミバエ上科 Hippoboscoidea |
科 |
: |
ツェツェバエ科 Glossinidae
Theobald, 1903 |
|
属 |
|
ツェツェバエは、ハエ目(双翅目)・ハエ亜目(短角亜目)・環縫短角群・ハエ下目・ツェツェバエ科(Glossinidae)に属する昆虫の総称である。2001年現在、23種8亜種が記載されており、Glossina 1属のみで1科を構成する。
吸血性で、アフリカトリパノソーマ症(ヒトのアフリカ睡眠病・家畜のナガナ病)の病原体となるトリパノソーマである、ガンビアトリパノソーマやローデシアトリパノソーマなどの媒介種として知られる。
目次
- 1 形態
- 2 分布
- 3 生態
- 4 分類
- 5 予防法
- 6 駆除
- 7 脚注
- 8 関連項目
- 9 参考文献
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形態[編集]
体長は5~10mm。他の蛹生類(#生態の節で詳述)のハエと異なり、典型的なハエらしいハエの姿をしている。口吻はハエで一般的な唇状ではなく、イエバエ科のサシバエなど他の吸血性のハエと同様に硬化して針状となり、吸血に適した形状となっている。触角の第3節の端棘は枝分かれしており、静止時には翅を鋏の刃のように重ねる。
分布[編集]
アフリカ大陸の北緯15度から南緯20度の範囲のうち約1,500km2の範囲にのみ分布する。そのため、この緯度の範囲はツェツェベルト地帯と呼ばれている。化石はアメリカ合衆国コロラド州の漸新世の頁岩から得られており、かつては現在よりはるかに広い範囲に分布していたと考えられている。
生息環境は種ごとに好適な環境が異なっており、熱帯雨林、乾燥地、マングローブなど多種多様である。
生態[編集]
雌雄ともに哺乳類や鳥類から吸血し、血液を栄養源として生活しており、一度の吸血で40~150mgの血液を摂取する。この点が、雌のみ卵巣発育のための栄養源として吸血する、カやアブ、ブユなどと異なっている。宿主の選好性は環境や野生動物相などによって変化する傾向はあるもの、種特異的な傾向はあり、特定の哺乳類を好むものや機会的な吸血をするものが知られている。
ツェツェバエの生態で非常にユニークな点はその繁殖方法にある。雌は産卵するのではなく、胎内の子宮で一度に1個の卵を保持し、孵化した幼虫は6~7日かけて雌の分泌する栄養物質を子宮内で摂取し、老熟幼虫にまで発育してから産出される。幼虫は速やかに植物の陰など直射日光の当たらないところで土中に潜って蛹となり、30~40日後に羽化する。1個体の雌は羽化後80日齢まで産仔可能であり、生涯に6~8回の産仔を繰り返すといわれている。
こうした繁殖方法は、同じハエ類の中では、ツェツェバエ同様に哺乳類や鳥類の吸血者として特殊化したシラミバエ科やコウモリバエ科でも知られており、産仔後すぐに蛹になることから蛹生類と総称されている。
分類[編集]
2001年現在で1属23種8亜種に分類されており、大きく3つのグループに分かれる。
- Morsitansグループ(ローデシアトリパノソーマを媒介する)
- G. morsitans submorsitans Newstaed
- G. morsitans centralis Machado
- G. morsitans morsitans Westwood
- G. austeni Newstead
- G. pallidipes Austen
- G. swynnertoni Austen
- G. longipalpis Wiedemann
- Palpalisグループ(ガンビアトリパノソーマを媒介する)
- G. palpalis palpalis Rob.-Desvoidy
- G. palpalis gambiensis Vanderplank
- G. fuscipes fuscipes Newstead
- G. fuscipes quanzensis Pires
- G. tachinoides Westwood
- G. pallicera pallicera Bigot
- G. pallicera newstead Austen
- G. caliginea Austen
- Fuscaグループ
- G. fusca fusca Walker
- G. fusca congolensis Newstead & Evans
- G. nigrofusca nigrofusca Newstead
- G. nigrofusca hopkinsi van Emden
- G. medicorum Austen
- G. tabaniformis Westwood
- G. brevipalpis Newstead
- G. longipennis Corti
- G. frezili Couteux
- G. severini Newstead
- G. schwetzi Newstead & Evans
- G. haningtoni Newstead & Evans
- G. fuscipleuris Austen
- G. vanhoofi Henrard
- G. nashi Potts
予防法[編集]
ツェツェバエの媒介するアフリカトリパノソーマ症に対する予防接種はなく、吸血されないように虫よけスプレーや衣服等で予防するしかない。 治療薬には最近、エフロルニチンという新薬が開発されている。
駆除[編集]
雌のツェツェバエは生涯に数個体しか幼虫を産まないため増殖速度はそれほど大きくない。そのため、ツェツェバエの駆除はアフリカトリパノソーマ症の蔓延を阻止する上で有効性が高い。ツェツェバエの蛹化場所である藪や茂みの伐採、地表面への殺虫剤の散布が主な駆除法として挙げられる。また、誘引剤付の罠や、家畜にもともと殺虫剤を散布しておく「生き餌」という駆除法もある。エチオピアでは不妊虫放飼による根絶策が研究されている[1]。
脚注[編集]
- ^ Martin Enserink, "Welcome to Ethiopia's Fly Factory", Science, 317, 310 - 313 (2007). doi:10.1126/science.317.5836.310
関連項目[編集]
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ウィキメディア・コモンズには、ツェツェバエ科に関連するカテゴリがあります。 |
参考文献[編集]
- 佐々木均 「アフリカにツェツェバエを追いかけて」『ハエ学 - 多様な生活と謎を探る』 篠永哲・嶌洪編著、東海大学出版会、2001年、315-338頁、ISBN 4-486-01517-7。
- 吉田幸雄 『図説人体寄生虫学 第4版』 南山堂、1991年、ISBN 4-525-17024-7。
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Japanese Journal
- ヒトアフリカトリパノソーマ感染症の現状と対策 (特集 人獣共通感染症の克服に向けて)
- ツェツェバエ(Glossina morsitans morsitans)のトリプシン,キモトリプシン様遺伝子の発現解析
- 芳山 三喜雄,山川 稔,千種 雄一,GIBSON Wendy C.
- 衞生動物 60(1), 13-22, 2009-03-15
- … ツェツェバエ(Glossina morsitans morsitans)は,アフリカサハラ砂漠以南に生息する眠り病の媒介昆虫である.ツェツェバエ中腸ESTから得られたセリンプロテアーゼ遺伝子群のうちGmmtry1とGmmchy1の2つの遺伝子を解析した.両遺伝子ともセリンプロテアーゼに特異的なヒスチジン(H),アスパラギン酸(D),セリン(S)残基を有していることが示された.Gmmtry1とGmmchy1遺伝子のmRNAは中腸後部で特異的に発現し,Gmmchy1の発現は,吸 …
- NAID 110007226357
- ザンビア共和国におけるトリパノソーマ病の疫学調査と伝播経路の探索(寄生虫病学)
- 目堅 博久,今内 覚,SIMUUNZA Martin,CHEMBENSOFU Mwelwa,加納 里佳,WITOLA William H.,TEMBO Mwase E.,CHITAMBO Harrison,井上 昇,小沼 操,大橋 和彦
- The journal of veterinary medical science 70(9), 923-928, 2008-09-25
- … ザンビア共和国ローワザンベイジ地方でナガナ病の原因となるトリパノソーマ原虫の疫学調査とその伝播経路の探索を行った.同地方のツェツェバエ(Glossina pallidipes)計550匹のトリパノソーマ感染をPCR法により調査した結果,T. …
- NAID 110006946007
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- アフリカ睡眠病(アフリカすいみんびょう、sleeping sickness)は、ツェツェバエが媒介 する寄生性原虫トリパノソーマによって引き起こされる人獣共通感染症である。病状が 進行すると睡眠周期が乱れ朦朧とした状態になり、さらには昏睡して死に至る疾患であり 、 ...
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