出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/02 22:39:03」(JST)
この項目では、食品のチーズについて記述しています。その他の「チーズ」については「チーズ (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
食事 |
---|
習慣食 |
朝食 ブランチ 昼食 アフタヌーン・ティー 夕食 夜食 |
要素 |
アミューズブーシュ オードブル チーズ カクテル デザート 飲料 アントレ アントルメ 果実 主菜 ナッツ サラダ 副食 |
関連項目 |
宴会 ビュッフェ 料理 摂食 テーブルマナー 食品 間食 |
表・話・編・歴
|
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価 | |
エネルギー | 1,553 kJ (371 kcal) |
炭水化物 | 3.7 g |
- 糖分 | 2.26 g |
- 食物繊維 | 0 g |
脂肪 | 31.79 g |
- 飽和脂肪酸 | 18.057 g |
- 一価不飽和脂肪酸 | 8.236 g |
- 多価不飽和脂肪酸 | 1.286 g |
タンパク質 | 18.13 g |
- トリプトファン | 0.232 g |
- トレオニン | 0.772 g |
- イソロイシン | 0.938 g |
- ロイシン | 1.716 g |
- リシン | 1.516 g |
- メチオニン | 0.475 g |
- シスチン | 0.11 g |
- フェニルアラニン | 0.939 g |
- チロシン | 0.916 g |
- バリン | 1.187 g |
- アルギニン | 0.518 g |
- ヒスチジン | 0.546 g |
- アラニン | 0.613 g |
- アスパラギン酸 | 1.551 g |
- グルタミン酸 | 4.073 g |
- グリシン | 0.359 g |
- プロリン | 1.788 g |
- セリン | 1.093 g |
水分 | 39.61 g |
ビタミンA相当量 | 250 μg (28%) |
- βカロテン | 80 μg (1%) |
- ルテインおよびゼアキサンチン | 0 μg |
ビタミンB1 | 0.015 mg (1%) |
ビタミンB2 | 0.234 mg (16%) |
ビタミンB3 | 0.076 mg (1%) |
パントテン酸(ビタミンB5) | 0.403 mg (8%) |
ビタミンB6 | 0.054 mg (4%) |
葉酸(ビタミンB9) | 8 μg (2%) |
コリン | 36.2 mg (7%) |
ビタミンB12 | 1.5 μg (63%) |
ビタミンC | 0 mg (0%) |
ビタミンD | 23 IU (6%) |
ビタミンE | 0.8 mg (5%) |
ビタミンK | 2.6 μg (2%) |
カルシウム | 1045 mg (105%) |
鉄分 | 0.63 mg (5%) |
マグネシウム | 26 mg (7%) |
マンガン | 0.041 mg (2%) |
セレン | 20.2 μg (29%) |
リン | 641 mg (92%) |
カリウム | 132 mg (3%) |
塩分 | 1671 mg (73%) |
亜鉛 | 2.49 mg (26%) |
コレステロール | 100 mg |
%はアメリカにおける成人向けの 栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
チーズ(英語: cheese、ドイツ語: Käse、イタリア語: formaggio)とは、牛・水牛・羊・山羊・ヤクなどからとれる乳を原料とし、凝固や発酵などの加工をしてつくられる食品(乳製品)の一種。日本語での漢字表記は乾酪。
家畜の乳は古くから栄養価の高い食品として世界中のさまざまな民族に利用されてきたが、そのままでは保存性に欠ける上、液体のため運搬にも不便である。これらの欠点を補うために水分を抜いて保存性と運搬性を高めたのがチーズの始まりである。その起源は定かではないが、紀元前4000年頃には作られていたと考えられている。日本には、かつて蘇(そ)と呼ばれるチーズと同様の食品が存在した。
乳にレンネット(凝乳酵素)または酸(食酢、レモン汁など)を加え、静置するとふわふわの白い塊と上澄みの水分(乳清、ホエー)に分離する。この白い塊はカード(凝乳)と呼ばれ、これを絞るなどしてさらに水分を除いたものがフレッシュチーズと呼ばれるチーズの原型である。多くの場合はこれに熟成・加工の過程を加えてさまざまな味わいのチーズを作り出す。加工の過程では乳酸菌やカビなどを用いて発酵させたり、加温・加圧などの工程を加えて保存性を高めるなどの工夫が凝らされている。
詳細は「チーズの歴史」を参照
チーズがどのようにして発見されたのかは正確には定かではないが、「アラブの商人が羊の胃袋を干して作った水筒に山羊のミルクを入れて砂漠を旅していた途中に、砂漠の疲れとのどの渇きを癒そうと水筒をあけたところ、中からミルクではなく澄んだ水(乳清)と柔らかい白い塊(カード)がでてきた」というのが最初のチーズの発見であるという説が有力だとされていた[1][2]。
ところが、近年になって世界最古のチーズ製造の痕跡はヨーロッパのポーランドで発見されている[3][4]。これはチーズ製造が中東ではなく、ポーランドあたりの中央ヨーロッパで始まった可能性を示唆している。この人類最古のチーズの原料はヤギの乳であり、また現在のポーランドでも多くの種類の山羊乳チーズ(いわゆるシェーブルチーズ)が存在する。
比較的保存がきく食品であることなどから、人類とチーズの付き合いは長い。
ホメロスの『オデッセイア』にはフェタチーズへの言及があり、古代インドの讃歌集『リグ・ヴェーダ』にはチーズを勧める歌が、ほかにプリニウスの『博物誌』やアリストテレスの著作にもチーズについての記述がある。 日本では飛鳥時代頃から乳牛の伝来と飼育が始まり、酪(らく)、酥(そ)、醍醐(だいご)と言った乳製品が作られるが、この「醍醐」がチーズのことを指すと言われ、「醍醐味」という言葉の起源にもなっている。また、推古天皇の時代には、地方ごとに作られたこの醍醐の品評会が行われたという話も残っている。
イタリア料理(パルミジャーノ・レッジャーノチーズやモッツァレラチーズ)やテクス・メクス料理(チェダーチーズ、モンテレージャックチーズ)など、チーズが欠かせない料理もある。
インドでは、ベジタリアンの割合が多く、一般的にインドのベジタリアンは動物の殺生の回避を目的としているため鶏卵も食べない。そのため多くの人が乳製品からタンパク質を補給し、フレッシュチーズのパニールを使った料理が豊富である。インド料理の菜食のメニューの半数程はパニールかダヒ(ヨーグルト)を使っている。
中国にも、チベットのヤクのチーズや、料理に用いられるルーシャンや大良牛乳などの特殊なチーズがある。
チーズの主な原料は乳の中にあるタンパク質の一種カゼインである。カゼインには分子中に親水性部分と疎水性部分があり、これがミセル状となって液体中に浮遊するために乳は白く見える。この乳に乳酸菌を加えてpHを酸性に変え、さらにレンネット(凝乳酵素)を投入するとカゼインの親水性部分が取れてしまい、集まり始める。これを凝乳と言う[5]。
凝乳したカゼインは水と分離して沈殿し、乳はホエイ(乳清)という液体部分とカードという沈殿物とに分かれる。このカード部分を取り出したものがチーズの原形(フレッシュチーズ)となる[5]。この後、熟成工程を経て様々な種類のチーズが作られる[5]。
チーズの種類は熟成工程で決まる。フレッシュチーズ内にある乳酸菌の活動によって、糖は乳酸に、タンパク質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸などに分解され、さまざまな成分を作り出す。ここにプロピオン酸菌などの細菌やカビなどを接触させ、多様な作用を生じさせる事でチーズの各種類がつくられる[5]。
原料や加工法によってチーズは細かく分類され[6]、1000種類以上あるとされる[5]。
分類 | 特徴と主な種類 | |||
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ナチュラルチーズ (加熱処理されていないもの) |
軟質チーズ | フレッシュチーズ | 熟成させない | モッツァレラチーズ(イタリア)など。 |
軽く熟成させる | トゥファルクチーズ(twaróg ポーランド)、 クアルクチーズ(Quark ドイツ)など。 |
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(熟成させるチーズ) | 白かびチーズ (ホワイトチーズ) |
表面に白かびを植えつけて熟成させるもの。 カマンベールチーズ(フランス)など。 |
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ウォッシュチーズ | 表面に菌を植え付けて熟成させ、 同時にそれをワインや塩水などで洗い流す過程を経たもの。 |
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シェーブルチーズ (山羊乳チーズ) |
山羊の乳を原料とするもの。 | オスツィペックチーズ(oscypek)、 オシュチペックチーズ(oszczypek)、 |
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半硬質チーズ (セミハードチーズ) |
ブルーチーズ (青かびチーズ) |
内部に青かびを植えつけて熟成させるもの。 | ||
(その他菌による熟成) | ゴーダチーズ(オランダ)など。 | |||
硬質チーズ(ハードチーズ) | チェダーチーズ(イギリス)など。 | |||
超硬質チーズ | パルミジャーノ・レッジャーノなど。 | |||
プロセスチーズ | 加熱・溶解させることで発酵を止め、 長期保存に適した状態にしたもの。 |
以下は比較的よく消費されているチーズの主要産地別一覧である。さらに詳細なリストはチーズの一覧を参照のこと。
直接食用とするほか、料理の素材、調味、製菓材料として広く使用される。よく用いられるものには下記がある。
厳密にはチーズを名乗れないが、チーズの乳脂肪を植物性脂肪に、乳たんぱくを大豆たんぱくなどに一部置き換えたコピー食品としてアナログチーズ(代替チーズ)がある。乳製品を一切含まないものもある。原料コストを抑えられ、ドイツでは年間10万トンが生産されている。日本でも2007-2008年の原料乳価格高騰で注目された。本来のチーズと比べてコレステロールが低い、牛乳アレルギー患者やヴィーガン(動物性食品を全く摂取しないベジタリアン)でも食べられるなどの利点がある。
世界最大のチーズは28.5tで1995年カナダ・ケベック州のアグローバ酪農組合がスーパーマーケットチェーンの注文で制作したもの。大人のカナダ人が一年で消費するチーズの2500人分の量に匹敵する。
アンドリュー・ドルビー『チーズの歴史』(ブルース・インターアクションズ、2011年)ISBN 978-4-86020-426-6
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