出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/08 21:22:38」(JST)
この項目では、齧歯目(ネズミ目)の一種について記述しています。ネコの品種については「チンチラ (ネコ)」をご覧ください。 |
チンチラ | ||||||||||||||||||||||||
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チンチラ Chinchilla lanigera
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保全状況評価[a 1][a 2] | ||||||||||||||||||||||||
CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Chinchilla lanigera (Molina, 1782) | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
チンチラ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Long-tailed chinchilla | ||||||||||||||||||||||||
チンチラ (Chinchilla lanigera) は、動物界脊索動物門哺乳綱ネズミ目(齧歯類)チンチラ科チンチラ属に分類される齧歯類。
チリ[1][a 2]固有種
体長25-26センチメートル[1]。尾長17-18センチメートル[1]。体重0.4-0.6キログラム[1]。尾は太く長い[1]。耳介は大型[1]。毛衣は銀灰色[1]。
標高400-2,500メートルの地域に生息する[1]。山地の岩場にオス、メスと子どもが集まり集団生活をしている。
食性は植物食で、草、植物の根、コケなどを食べる[1]。
妊娠期間は111日[1]。9-翌2月に1回に1-4頭(主に1-2頭)の幼獣を年に1-3回に分けて産む[1]。
開発や採掘、放牧による生息地の破壊、毛皮用の乱獲などにより生息数は減少している[1]。
ペットとして飼育されることもある[1]。
複数匹を同時飼育する際には命に関わるほどの喧嘩をする場合があり、注意が必要[脚注 1]。また、威嚇のために、コメのぬかのような臭いを出し、さらに人間には害はないがメスは威嚇のために後ろ足で立ち、尿のようなものを飛ばす。オスよりメスの方が体も大きく気が強い傾向がある。
正しく飼育された健康なチンチラは10-15年、長ければ20年ほども生きるために、猫・犬を飼う覚悟で飼わなければならない[脚注 2]。 チンチラはめったに病気をしないが、いざ病気となった際にチンチラを診察することができる獣医師は多くなく、事前に探しておかなければ断られることもある[脚注 1]。
湿気と温度変化に弱く、チンチラにとって毒となるような野草であっても無警戒に口にすることがあるため、屋内飼育が基本とされる。
しかしチンチラは運動能力が高く、体長20cmほどのチンチラであっても、走る速度は人間の歩く速度よりはるかに速い。 加えて成長したチンチラのジャンプは高さ1m前後にも達するため、狭いケージに囲っての飼育には向かない。 ケージ内だけではチンチラが必要とする運動量をまかなえないと感じるなら、飼い主の生活する室内にチンチラを放して散歩させることができるが、木製やプラスチック製の家具、本、壁紙、電気のコード類を好んで齧り破壊するため、注意と(高価な家具や電化製品が破壊されても構わないという)覚悟がいる。 ケージ内に回し車(チンチラの背骨に負担をかけないよう、直径三十センチ以上のものが望ましい)や齧り木を取り付けることで、チンチラのストレスをある程度解消してやることができる。
複数のチンチラを同時に飼育する場合、特に複数のオスを同時に飼育する場合は、チンチラ同士の喧嘩を警戒する必要がある。 喧嘩の程度や頻度は予想がつかないため、一匹につきひとつのケージを用意し、普段はそれぞれの個体を別のケージに分けて飼育するのが望ましい。同性の親子や、仲のよいオスメスのカップルは、喧嘩することなく一つのケージで暮らすことができる場合もあるが、怪我や病気の際の隔離、連続妊娠(チンチラは出産と同時に妊娠可能であるため、出産の前後はオスメスのペアを別にしないと、出産で体力の落ちたメスが間断なく妊娠してしまう危険がある)の回避のためなどには、やはり個別のケージが必要となる[脚注 1]。
基本的には夜行性であり、就寝中もわずかな物音で目を覚ますため、昼間は静かな環境が必要。一方、夜は活発に活動する(中には飼い主の生活サイクルに合わせて活動するチンチラもいるようだ)。 睡眠時間は一日十二時間ほどにもなる[脚注 3]が、短いサイクルでの睡眠と覚醒を繰り返し、完全に安心しきっている環境以外では、熟睡することはあまりない。
体毛にはラノリンが分泌されるので、それを落とすために定期的な砂浴びが必要である。放置すると毛が固まってヘアーボールを作り、皮膚疾患や毛を飲み込んでの毛球症の原因となる[脚注 1]。
乾燥した環境を好み、飼育時の温度は18℃から23℃程度が適しているとされる。 温度管理は重要で、高温に弱く、26℃を超えたあたりから熱射病にかかる危険が発生する。 その一方で低温にも弱く、冷房の風が直接あたるような寒すぎる環境では肺炎にかかる危険があり、ともに致命的[脚注 1][脚注 4]。
餌にはチモシー(オオアワガエリ)などのイネ科の牧草を主食として、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)やチンチラ用に調合されたペレット類を副食として与える。 粗食によく耐える生態であり、成長期と妊娠中を除けば、高カロリー高栄養な餌を与える必要はほとんどない。
チンチラには胆嚢が無く、脂肪の分解能力に劣る。このため、高脂質な場合が多いウサギ、モルモット、ハムスター用の餌などは代用にならない。
また、ウサギ同様切歯も臼歯も生涯伸び続けるので、牧草のように歯を使い、量を摂取できる餌(飲み下すまでに十分な咀嚼の必要な餌)を主食としないと、#不正咬合のリスクが高まる。
一般に知られる齧歯類の食の好みとは異なり、チンチラは生の野菜や果物に興味を示さない場合が多く、通常与える餌としてはあまり向かないが、乾燥させたものは概ね喜んで食べるため、これらを少量「おやつ」として与えることができる。
必要性の是非はともかく、チンチラは甘いものが大好きである。 人間用に加糖や調理されていない(油や塩分、他添加物を避ける意味がある)、ごく少量のドライフルーツ類(マンゴー、パイナップル、バナナ、レーズンなどが定番として知られる)を「おやつ」として与えることは、チンチラのしつけや、コミュニケーションを取るための手段として利用できる。
しかし、チンチラは容易に偏食するので、嗜好性の高い「おやつ」を与え過ぎると、普通の餌をあまり食べなくなってしまうようになる(つまりは間接的に不正咬合発症のリスクを増やすことになる)ほか、栄養の偏りによる脂肪肝をはじめとする内臓疾患や、極端な例では甘いおやつの与え過ぎが歯のう食(虫歯)を引き起こす原因となることもある。
不正咬合の発症は、主に普段の食事内容が原因と考えられている。 小動物の不正咬合は治療が難しく、摂食障害や口内にできてしまった傷からの感染症に発展する、命に関わる深刻な病気だが、発覚した時点ではほとんど取り返しがつかない状態まで進行してしまっている場合が多いため、日々の観察と食事の管理は非常に重要である[脚注 1][脚注 5]。
運よく程度の軽い初期のうちに発見できた場合は、食事療法での回復も期待できるが、重篤な場合は歯を削ったり、抜歯するなどの外科的な処置が必要となる。これらの処置はチンチラにとって大きなストレスであり、成功率も高くはない上、成功して以降も大抵は定期的に歯を削り続ける必要があるため、チンチラだけでなく飼い主にとっても非常に大きな負担となる。
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