- 英
- thiosulfate
- 関
- チオスルファト、チオ硫酸
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/03/02 13:15:15」(JST)
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チオ硫酸塩(チオりゅうさんえん、英: thiosulfate)は、硫黄のオキソアニオン、チオ硫酸イオン S2O32- を含む塩である。接頭辞「チオ」は、硫酸イオンの酸素原子が硫黄原子で置換されたものであることを示している。チオ硫酸塩は自然に存在し、ある特定の生化学的プロセスによって生成される。銀鉱石の精錬、皮革製品の製造、繊維への染料の定着などに使われる。また、チオ硫酸ナトリウムは写真撮影においてハイポと呼ばれ、現像後の白黒ネガの定着剤として用いられた。今は3〜4倍速く反応する「迅速定着剤」としてチオ硫酸アンモニウムが使われている[1]。いくつかのバクテリアはチオ硫酸塩を代謝することができる[2]。
目次
- 1 生成
- 2 反応
- 3 命名法
- 4 出典
- 5 関連項目
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生成
チオ硫酸塩は、亜硫酸塩と単体の硫黄との反応によって生成される。
反応
チオ硫酸塩は、酸性溶液中では硫黄と亜硫酸が脱水した二酸化硫黄に分解するため、不安定である。
- S2O32− (aq) + 2 H+ (aq) → SO2 (g) + S (s) + H2O
この反応では硫黄の水懸濁液が生成し、これは物理学での光のレイリー散乱の実演に用いられることもある。この懸濁液に白色光を上から当てると青い光が見られ、横から当てるとオレンジ色の光が見られる。これは空の正午と夕方での色の違いと同じメカニズムに起因している。
チオ硫酸塩はハロゲンごとに反応が異なる。これはハロゲンの酸化力が周期を下がるにつれて減少することに起因している。
- S2O32− (aq) + 2 Cl2 (aq) + 5 H2O (l) → 2 SO42− (aq) + 4 Cl− (aq) + 10 H+ (aq)
- S2O32− (aq) + 2 Br2 (aq) + 5 H2O (l) → 2 SO42− (aq) + 4 Br− (aq) + 10 H+ (aq)
- 2 S2O32− (aq) + I2 (aq) → S4O62− (aq) + 2 I− (aq)
チオ硫酸塩は金属を素早く腐食する。鋼やステンレス鋼は、チオ硫酸塩によって誘発される孔食に極めて敏感である。ステンレス鋼の孔食に対する耐性を向上させるために、モリブデンの添加 (AISI 316L hMo) が必要となる。
チオ硫酸塩は、しばしば硫化物の不完全な酸化(黄鉄鉱酸化)や、硫酸塩の部分的な還元(クラフト紙製造)などによっても生成する。チオ硫酸塩の天然での発生は、実質的に非常に稀な鉱物シドピーターサイト Pb4(S2O3)O2(OH)2 に限定されている[3]。現在は、鉱物バーゼンノーバイトでこのアニオンの存在が議論されている[4]。
命名法
付加命名法でのIUPAC組織名はトリオキシドスルフィド硫酸(2-) trioxidosulfidosulfate(2-) で、対応する酸の名称はジヒドロキシドオキシドスルフィド硫黄 dihydroxidooxidosulfidosulfur である。
出典
- Thiosulfate ion General Chemistry Online, Frostburg State University
- ^ Sowerby (Ed.), A. L. M. (1961). Dictionary of Photography: A Reference Book for Amateur and Professional Photographers (19th ed.). London: Illife Books Ltd..
- ^ C.Michael Hogan. 2011. Sulfur. Encyclopedia of Earth, eds. A.Jorgensen and C.J.Cleveland, National Council for Science and the environment, Washington DC
- ^ http://www.handbookofmineralogy.org/pdfs/sidpietersite.pdf Mineral Handbook
- ^ http://www.minsocam.org/msa/AmMin/Toc/Abstracts/2005_Abstracts/Oct05_Abstracts/Bindi_p1556_05.pdf
関連項目
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 劉 克俊,柴山 敦,宮崎 敏夫,藤田 豊久,高橋 国彦
- 一般発表(研究・業績発表)講演要旨集 2001(2), 30-31, 2001-03-01
- NAID 10009366097
- 血液・尿中での硫化物およびチオ硫酸塩の冷蔵保存変化
- 固相抽出法を用いる環境水中のチオ硫酸イオンと亜硫酸イオンの現場前濃縮/吸光光度定量法
- 奥村 稔,藤永 薫,清家 泰 [他],永島 明人
- 分析化学 47(12), 985-991, 1998-12-05
- … 試料水50mlを注射器に採り, 2,2'-ジチオビス(5-ニトロピリジン)(DTNP)アセトニトリル溶液2.5mlと酢酸ナトリウム溶液2.5mlを添加し, チオ硫酸塩-DTNP化合物, 亜硫酸塩-DTNP化合物を生成した. … チオ硫酸塩-DTNPはSP-1に, 亜硫酸塩-DTNPはSP-2に吸着された. … SP-1からチオ硫酸塩-DTNPを20%メタノール-水混合溶液5mlで溶離後, 光度定量(320nm)した. …
- NAID 110002905558
Related Links
- [編集]. チオ硫酸イオンは4面体構造をとり、硫黄原子は中心と1つの頂点に、酸素原子 は他の頂点に配置する。この様にチオ硫酸の二つの原子は等価ではなく頂点に位置 する硫黄は酸化還元能や錯体形成能など チオ硫酸塩 の化学 ...
- 性質 チオ硫酸塩のアンモニア、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩は水溶性が大であり、中性ないしはアルカリ性水溶液は比較的安定である。一方、強酸性水溶液中では不均化によりコロイド状硫黄と二酸化硫黄とに分解するので ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ハイポアルコール液2%「ヤクハン」
組成
禁忌
- (次の部位には使用しないこと)
- 損傷皮膚及び粘膜[刺激作用がある。]
効能または効果
- 皮膚面及び手術用器具類・布類に付着したヨードチンキ類のヨウ素の脱色、消毒
- ヨードチンキ塗布による皮膚面(手術部位及び手術者の皮膚)及び手術用器具類・布類に付着したヨウ素の脱色並びに消毒剤として塗布又は洗浄等にそのまま使用する。
★リンクテーブル★
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- 英
- thiosulfate
- 関
- チオスルファト、チオ硫酸塩
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- 英
- thiosulfate
- 関
- チオ硫酸、チオ硫酸塩
[★]
- 英
- thiosulfate-citrate-bile salt-sucroseagar
- 関
- TCBS寒天
[★]
- 英
- sulfate、sulphate
- 関
- 硫酸、硫酸エステル、硫酸化、無機硫酸塩
[★]
- 英
- sulfuric acid, sulfate
- 関