ピオグリタゾン
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Japanese Journal
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
- チアゾリジン系薬/スルホニルウレア系薬配合剤 −2型糖尿病治療剤−
販売名
ソニアス配合錠LD
組成
1錠中の有効成分
- ピオグリタゾンとして15mg(ピオグリタゾン塩酸塩 16.53mg)及びグリメピリド1mg
添加物
- 乳糖水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポリソルベート 80、ステアリン酸マグネシウム、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄
禁忌
- 心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者
[ピオグリタゾンでは、動物試験において循環血漿量の増加に伴う代償性の変化と考えられる心重量の増加がみられており、また、臨床的にも心不全を増悪あるいは発症したとの報告がある。]
- 重篤な肝又は腎機能障害のある患者
[低血糖を起こすおそれがある。また、ピオグリタゾンは主に肝臓で代謝されるため、重篤な肝機能障害のある患者では蓄積するおそれがある。]
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者
[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となる。]
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者
[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]
- 下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者
[低血糖を起こすおそれがある。]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
- 本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
- 2型糖尿病
- ただし、ピオグリタゾン塩酸塩及びグリメピリドの併用による治療が適切と判断される場合に限る。
- 糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性等、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)を有する疾患があることに留意すること。
- 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
- 本剤LD(ピオグリタゾン/グリメピリドとして15mg/1mg)については、原則として、既にピオグリタゾンとして1日15mg及びグリメピリド1日1mgを併用し状態が安定している場合、あるいはピオグリタゾンとして1日15mg又はグリメピリド1日1mgの単剤の治療により効果不十分な場合に、使用を検討すること。
- 本剤HD(ピオグリタゾン/グリメピリドとして30mg/3mg)については、原則として、既にピオグリタゾンとして1日30mg及びグリメピリド1日3mgを併用し状態が安定している場合、あるいはグリメピリド1日3mgの単剤の治療により効果不十分な場合に、使用を検討すること。
- ピオグリタゾン塩酸塩の治療により効果不十分な場合の本剤使用に関する臨床試験を実施しておらず、有効性及び安全性に関する成績は限られている。
- 本剤投与中において、本剤の投与がピオグリタゾン塩酸塩及びグリメピリドの各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。
- 通常、成人には1日1回1錠(ピオグリタゾン/グリメピリドとして15mg/1mg又は30mg/3mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。
- ピオグリタゾンによる浮腫やグリメピリドによる低血糖等の副作用が発現するおそれがあるので、ピオグリタゾン及びグリメピリドの各単剤の用法・用量及び以下を考慮して、患者毎に本剤の用量を決めること。
- ピオグリタゾンの投与により浮腫が比較的女性に多く報告されているので、グリメピリド1日1mg単剤の治療により効果不十分な女性に投与する場合は、浮腫の発現に留意し、ピオグリタゾン/グリメピリドとして1日1回15mg/1mgから投与を開始することが望ましい。
- 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、グリメピリド1日1mg単剤の治療により効果不十分な高齢者に投与する場合は、ピオグリタゾン/グリメピリドとして1日1回15mg/1mgから投与を開始することが望ましい。
- グリメピリド1日3mg単剤の治療により効果不十分な場合は、浮腫、低血糖等に注意し、ピオグリタゾンとして1日30mgを上乗せすることが適切であるか慎重に検討すること。
- ピオグリタゾンとして1日30mg単剤の治療により効果不十分な場合は、原則としてグリメピリドの開始用量(1日0.5〜1mg)から各単剤の併用療法を行うこと。
慎重投与
- 心不全発症のおそれのある心筋梗塞、狭心症、心筋症、高血圧性心疾患等の心疾患のある患者
[循環血漿量の増加により心不全を発症させるおそれがある。](「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)
- 次に掲げる低血糖を起こすおそれのある患者又は状態
- 肝又は腎機能障害(【禁忌】の項参照)
- 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
- 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
- 激しい筋肉運動
- 過度のアルコール摂取者
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 他の糖尿病用薬を投与中の患者(「相互作用」、「重大な副作用」の項参照)
重大な副作用
- 心不全が増悪あるいは発症することがあるので、投与中は観察を十分に行い、浮腫、急激な体重増加、心不全症状・徴候(息切れ、動悸、心胸比増大、胸水等)がみられた場合には投与を中止し、ループ利尿剤等を投与するなど適切な処置を行うこと。特に心不全発症のおそれのある心疾患の患者には注意すること。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照)
- 低血糖(初期症状:脱力感、高度の空腹感、発汗等)(0.1〜5%未満)があらわれることがある。なお、徐々に進行する低血糖では、精神障害、意識障害等が主である場合があるので注意すること。
また、本剤の投与により低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、発汗、動悸、振戦、頭痛、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙攣等)が認められた場合には通常はショ糖を投与するが、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。なお、低血糖症状が認められた場合、本剤あるいは併用している糖尿病用薬を一時的に中止するかあるいは減量するなど慎重に投与すること。
また、低血糖は投与中止後、臨床的にいったん回復したと思われる場合でも数日間は再発することがある。
- 循環血漿量の増加によると考えられる浮腫(8.1%)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、浮腫が認められた場合には、減量あるいは中止するなど適切な処置を行うこと。これらの処置によっても症状が改善しない場合には、必要に応じてループ利尿剤(フロセミド等)の投与等を考慮すること。
なお、女性においてピオグリタゾンによる浮腫の発現が多くみられている[ピオグリタゾン国内臨床試験:男性4.2%(29/687例)、女性12.2%(83/681例)]。また、ピオグリタゾンによる浮腫の発現頻度は、糖尿病性網膜症合併例で10.4%(44/422例)、糖尿病性神経障害合併例で11.4%(39/342例)、糖尿病性腎症合併例で10.6%(30/282例)であり、糖尿病性合併症発症例は非発症例に比べ高い傾向にある。これらの症例にあっては浮腫の発現に特に留意すること。(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、AL-P等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸(頻度不明)があらわれることがあるので、基礎に肝機能障害を有するなど必要な場合には定期的に肝機能検査を実施し、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症(頻度不明)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 間質性肺炎(頻度不明)あらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施し、異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
- 胃潰瘍が再燃した例が報告されている。
薬効薬理
ピオグリタゾン
作用機序
- ピオグリタゾンはインスリン受容体のインスリン結合部以降に作用してインスリン抵抗性を軽減し、肝における糖産生を抑制し、末梢組織における糖利用を高め血糖を低下させる。この作用は、インスリン抵抗性の主因である細胞内インスリン情報伝達機構を正常化することによると推測される。
インスリン抵抗性改善作用
- インスリン抵抗性を有し、肥満型糖尿病であるWistar fattyラット及び肥満であるZucker fattyラットにピオグリタゾンを14日間投与し、20時間絶食後にインスリンを投与したところ、インスリン投与後の血糖低下の増強が認められた。14,15)
- 肥満型糖尿病であるKKAyマウスの横隔膜のグリコーゲン画分及び副睾丸周囲脂肪組織の総脂肪画分へのインスリン刺激時の糖取り込みを増加させた。14)
- 肥満型糖尿病であるWistar fattyラットの肝からの糖産生を抑制し、末梢組織における糖の利用を高めた。16)
末梢組織におけるインスリン作用増強
- Wistar fattyラットの後肢ヒラメ筋において、インスリンの作用(グリコーゲン合成及び解糖亢進作用)を増強した(ex vivo)。また、Wistar fattyラットの副睾丸周囲脂肪組織由来の単離脂肪細胞において、インスリンの作用(グルコース酸化及び総脂質合成亢進作用)を増強した(ex vivo)。15)
肝におけるインスリン作用増強
- Wistar fattyラットにおいて、肝におけるグルコキナーゼの活性を亢進し、グルコース-6-ホスファターゼの活性を低下させ、糖産生を抑制した(in vivo)。16)
インスリン受容体作用増強
- Wistar fattyラットの骨格筋において、低下したインスリン受容体及びインスリン受容体基質のリン酸化を正常化し、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼの活性を亢進させた(in vivo)。17)
TNF-α産生抑制作用
- Wistar fattyラットに認められる骨格筋TNF−α産生亢進を抑制し、これと並行して高血糖を軽減した(in vivo)。18)
糖代謝改善作用
- 食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用中の2型糖尿病患者に1日1回ピオグリタゾンとして30mgを12週間併用投与した二重盲検比較試験において、空腹時血糖、HbA1cの下降、1,5-AGの上昇、血中インスリンの下降が認められている。19)
- インスリン抵抗性を有する肥満型2型糖尿病モデル動物(KKAyマウス、Wistar fattyラット)において、高血糖及び高インスリン血症を軽減した。一方、インスリン欠乏の1型糖尿病モデル動物(ストレプトゾシン糖尿病ラット)の高血糖、正常ラット(Sprague-Dawleyラット)の正常血糖には作用を示さなかった。14,15)
耐糖能改善作用
- インスリン抵抗性を有し、耐糖能異常を示すWistar fattyラット及びZucker fattyラットにピオグリタゾンを10〜12日間投与し、20時間絶食後にグルコースを経口投与したところ、グルコース投与後の血漿グルコース上昇の抑制及びインスリン過剰分泌の軽減が認められた。14,15)
グリメピリド
作用機序
- グリメピリドは主に膵β細胞の刺激による内因性インスリン分泌の促進(膵作用)により、血糖降下作用を発現するものと考えられる。また、in vitro試験において糖輸送担体の活性化等の関与が示されている。
血糖降下作用及びインスリン分泌作用
- 健康成人男子9例にグリメピリド1mgを朝食直前に単回投与した時、プラセボ投与時と比べ、朝食後の血中グルコース濃度はグリメピリド投与時において有意に低下した。この時の血清中インスリン濃度のCmaxは、プラセボ投与時と比べグリメピリド投与時では有意差は認められなかったが、朝食後4時間までのAUCはプラセボ投与時と比べ有意に増加した。20)
- ウサギ、ラット、イヌを用いた経口投与試験において、グリメピリドの血糖降下作用は投与1時間後から認められた。グリベンクラミドとの比較では同等もしくはそれ以上の血糖降下作用を示した。21)
インスリン作用の増強
- 人工膵島を用いたイヌ正常血糖インスリンクランプ試験で、グリメピリドの投与により末梢組織での糖取り込み促進と、肝糖処理能の増加を認めた。22,23)また、グリメピリドはインスリン抵抗性KKAyマウスへの長期経口投与により、高血糖及び高インスリン血症を改善した。24)
筋肉・脂肪組織を用いたin vitro試験において、糖輸送担体の活性化や糖輸送の増加等の機序による膵外作用の関与が報告されている。25)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 1-(4-{2-[(3-Ethyl-4-methyl-2-oxo-3-pyrroline-1-carbonyl)amino]ethyl}phenylsulfonyl)-3-(trans-4-methylcyclohexyl)urea
分子式
分子量
融点
性状
- グリメピリドは白色の結晶性の粉末である。ジクロロメタンに溶けにくく、メタノール又はエタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
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ピオグリタゾン、グリメピリド